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〔064〕 北京オリンピックへ向けて始まった報道規制
【2004/09/06】

 アテネ・オリンピックが閉幕し、オリンピック旗が次回開催の北京に到着した8月31日、現地のある報道機関で、次のような通達が出された。

 「今後、北京オリンピック開催までの4年間にわたり、世界各国から北京ならびに中国が今まで以上に注目される。この事実をわきまえ、関連記事にはじゅうぶん注意を払い慎重に報道するように」

 これを聞いた記者は、「上部機関から何らかの指示が出され、報道規制が今後ますます強まると直感した」という。

 前日の昼、市内で北京オリンピック開催反対の横断幕が掲げられたという情報を、記者は得ていた。目撃者の証言によると、オリンピック会場となる施設近くを通る幹線道路の横断橋で、30日、西洋人と見られる複数の男性が行ったという。

 この話を裏付けるように、31日付インターネット紙「シークレットチャイナ」が次のように報じた。

 「NO OLYMPICS FOR CHINA UNTILL TIBET IS FREE」というスローガンを掲げたのは、オーストラリア人とアメリカ人の男性活動家2人で、うち一人はオーストラリア・チベット・カウンシルのメンバー。掲げてわずか10分たらずで、中国当局に拘束されたという。

 過去、中国人権やヒューマン・ライツ・ウォッチ、国境なき記者団などを始めとする国外の人権団体などが表現の自由の保障や中国政府による政治犯、少数民族、宗教家、民主化運動家、記者などに対する弾圧をやめるよう求めてきたが、北京でのオリンピック開催が決定されてからは中国政府の対応が変更されない限りオリンピックを開催すべきではないと表明するようになった。

 その一つ、インターナショナル・チベット・サポート・ネットワークは、北京オリンピック開催反対に向け、さまざまなキャンペーンを準備していると発表。ヒューマン・ライツ・ウォッチは「オリンピック・ウォッチ」と題する専門のホームページを立ち上げ、北京オリンピック開催にいたるまでの間、人権侵害、言論弾圧や検閲を監視するとしている。

 北京でのオリンピック開催は、中国の人権状況を改善させる大きなチャンスと見る団体が多い。国内でも、これを望む声が少なくないと、先の記者は言う。

 それだけに国外からのオリンピック開催反対や監視運動に対し、国内でもこの動きに呼応してさまざまな活動が個人や組織からわき起こることも予想される。

 「中国政府としては、国外の反対運動が中国へ波及し、国内外の組織が協力関係を結ぶことを恐れ、政府にとって“不穏な動き”を押さえ込もうと必死になるだろう。それだけに、早々と報道規制をにおわせる通達を出したのでは」

 先の中国人記者は、こう推測する。さらに同僚との間では、こんな話が出ているという。

 「北京でのアジア・カップ・サッカーの混乱に対する報道規制や押さえ込みは、オリンピックへの訓練となったとする認識が上部にはある。しかし、今後の対応いかんでは自らの首を絞めかねないだけに、強権的な姿勢を保ちつつも模索状態にあるのでは」


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