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〔062〕 組織的活動は押さえ込まれたが、持続する民主化促進の動き 
【2004/06/03】

 1989年6月の第2次天安門事件から15年目を迎える。警戒心をいだく当局は、押さえ込みを狙って表と裏でさまざまな動きを活発化させていると、北京から伝えてきた。

 表だった動きの一つに、4月20日から北京市政府により施行された「天安門地区管理規定」がある。 天安門地区の社会秩序維持を目的に、公共の安全を脅かしたり非合法活動を行った者に対し厳罰で対処するなど安全対策強化をうたっているが、これを文字通り受け取る人は少ない。

 そもそも「天安門地区管理規定」の「天安門地区」とはどこを指すのか。天安門広場なのか、広場と限定していないことからさらに広い区域を意味するのか。当局から明確な回答は得られなかったと、現地記者はいう。

 清掃人、観光客、一般市民などに扮した私服組と制服組による警備陣が多数位置され、中国でもっとも管理された公共の場所となる天安門広場に、これ以上の対策は必要ないというのが多くの人の受けとめ方だ。それだけに、6月4日が近づく前に、当局が先手を打ってきた治安対策だと、取材に動いた記者はみる。

 「東突(東トルキスタン運動)、いわゆるウイグルを中心とする独立運動などを国内にかかえる中国は、イスラム勢力による国際的緊張が高まっていることなどを理由にあげ、安全確保を口実に治安維持をより徹底しようとする意図が感じられる」

 一方、天安門事件に対する学生や市民の表だった行動は見られないが、水面下では確実に動きがあるという。直接的な表現は避けられているが、犠牲者を追悼するとともに、民主化促進への働きかけを呼びかける電子メールが送信されていると、証言する人たちもいる。

 国外の組織からのアピールはいくつかあり、ニューヨークを中心に活動を続ける「中国人権」では、天安門事件で息子を亡くした遺族による、事件の真相や学生たちの行動の再評価を求める活動などを伝えている。

 日本では組織的な活動は途絶えたが、89年当時、積極的に動いた留学生たちは15年を経て、研究者やビジネスマンになったものの、今も自分なりの活動を維持する者がいる。

 さらに帰国すれば迫害のおそれが懸念されたにも関わらず在留資格更新拒否などに出た日本政府の姿勢に反発・疑問を感じ、欧米に出た者あるいは政治亡命した者の中にも、姿勢を変えない者がいる。

 「その一方で、当局の監視に恐れおののき活動にまったく参加しなかったにもかかわらず、活動家と称してマスコミに接近し、ジャーナリストと名乗って生きる者のもいる。表向きは中国当局を批判する発言を行いながら中国当局と頻繁に接触するなどして、在日中国人から常に警戒感をもたれている」

 日本の実情を知る北京の記者の一人は、こう述べる。そして、次のように付け加えた。

 「組織的活動は押さえ込まれているが、活動が消滅したわけではない。ウーアルカイシ、柴玲など当時の学生指導者を海外メディアは今も好んで登場させるが、実際には彼らは一線から距離を置いている。中国当局の厳しい姿勢を身にしてみているだけに、真の活動家たちはなかなか表には出てこない。それだけに海外メディアは著名人だけを取材していると、民主化運動の方向性を見誤る」


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