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〔057〕 銃撃事件が引き金となって混迷を深めた台湾総統選挙 2/2
【2004/03/25】

 3月20日に行われた中華民国第11代正副総統選挙で、民主進歩党の陳水扁総統が野党統一候補の連戦国民党主席を、中央選管発表の得票率でわずか0.22ポイントの差で破り、再選された。

 落選した連戦国民党主席は投票日夜、選挙対策本部で公の席に初めて現れたとき、「不公平な選挙で、無効だ」といきなり主張。以後、国民党本部と総統府を結ぶ凱達格蘭大通には国民党支持者が続々と集まり、総統府へ向けての大抗議集会が始まった。

 投票日翌日の21日は日曜日で、総統府前の国民党支持者による抗議集会には早朝から幼子を抱きかかえた家族連れや老人の姿もたくさん見られた。

 手作りのプラカードを持ち寄る人も多く、陳水扁総統をヒトラーになぞらえ抗議する大学生もいた。カギ十字の背景の緑は民進党のシンボルカラー。






 陳水扁総統は、支持者から「阿扁」の愛称で呼ばれることが多い。この「阿扁」の「扁」と同じ中国語発音となる「騙」を使い、「騙子下台」(嘘つきは政権から降りろ)、「下流扁」(陳水扁は卑しい)といった厳しい言葉を書き連ねる横断幕。
 1989年の天安門事件でも、中国国内では「下台」がさかんに叫ばれ、李鵬などに向けて使われた。





 投票用紙の再チェックを要求した連戦国民党主席の主張を支持する「立即験票」(すぐに票をチェックせよ)というスローガン。
 支持者がVサインをしているのは、連戦国民党主席は選挙登録が2番だっだことから、Vサインと2番への投票にひっかけ、国民党支持者は選挙中からVサインで投票を訴えていた。赤と青は国民党のシンボルカラー。






 20日夜から、総統府に通じる道路は警察によって封鎖された。このため総統府に近づけない国民党支持者はバリケードに思い思いのビラを貼って抗議の意志を表した。
 撮影直後、大勢の国民党支持者がこの道路にも集まり始め、バリケード内に重装備の警察が整列しデモ隊の侵入に備えた。







 抗議集会では、選挙のやり直しを求めるスローガンが叫ばれるたびに、中華民国国旗「青天白日満地紅旗」や国民党旗「青天白日旗」が振られた。
 時には、中華民国の正当性と永続性を訴える歌詞で綴られ、テレサ・テンも国民党軍の前で好んで歌った「中華民国頌」が合唱され、自分たちが台湾ではなく中華民国の国民であることを国民党支持者は強くアピールした。




 抗議集会の現場に隣接する二二八和平公園。以前は新台北公園と呼ばれていたが、1996年に当時、台北市長だった陳水扁が二二八和平公園に改名。
 21日夕方、公園の案内板に「台北公園」という落書きがなされた。現在、公園内には、国民党による本省人への弾圧を伝える二二八記念館が建つ。
 「台北公園」という落書きは、台湾における本省人と外省人の対立の根深さを示しているようにみえる。




 抗議集会二日目となった21日、警察は午後10時までに解散を命じたが、集会は続いた。このため、馬英九台北市長が集会壇上で「明日は仕事も学校もあるから帰宅するように」と訴えたが、参加者は無視。この模様を伝える現地テレビ。
 壇上で発言した複数の国民党幹部は選挙の無効や票の再チェックを強く訴えたのに対し、馬市長はこの件に言及しなかった。国民党の次期総統選の有力候補とされ、市民からの評価も高い馬市長は抗議集会にまる1日、現れなかったこともあり、彼の言動にさまざまな憶測が流れた。


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