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〔055〕 2月28日の台湾史上最大規模のデモをめぐるそれぞれの声
【2004/02/29】

 中国大陸から台湾に来た外省人による女性への暴力事件をきっかけに国民党政権の弾圧に対する本省人の不満が爆発し、1947年2月28日に本省人が台湾全土で立ち上がった2・28事件の57年目にあたる今年2月28日、台湾で200万人ともいわれる人々が、台湾の西側で約500キロに相当する距離を南北に人間の鎖でつないだ。

 台湾で史上最大規模のデモに参加した40代半ばの本省人男性は、「台湾人が持つ日頃の思いを言葉と行動で示せ、台湾人としての団結心が確認できた」と満足げだった。

 60代後半の本省人男性は「若者も李登輝前総統も駆けつけ、台湾人として生きる我々の意識が世代を超えて共通していることが内外に示された」と声をはずませた。

 一方、50代の外省人男性は「こんなデモを行えば、台湾が二分されてしまう。なくなりつつあった省籍矛盾がむしかえされ、これまでの時間と互いの努力が無に帰す」と不満を述べた。

 30代の外省人女性は「台湾で生まれ育ち台湾が故郷となる私たちは、外省人といわれようが中国大陸で生活できるわけがない。台湾に向けた中国のミサイル配備反対と叫んでいるが、外省人は台湾から出て行けとすら私には聞こえる」と、内部対立に結びつくかもしれない不安を口にした。


(←写真=1996年の第1回台湾総統選挙当日の深夜、台北市内の幹線道路上に「台湾獨立建國」「台湾どくりつ」「台湾建國大道」と、中国語と日本語で書かれたスローガン。翌日には跡形もなく消されていた)

 台湾のデモに対し、「台湾人が自分たちで決めることだが、すでに台湾は独立状態にあって、それほど気にかかることではない」と北京のテレビ局記者が言うように、大半の中国人は対岸の出来事として受け止めていた。しかし中国政府やメディアがこの事態を静観あるいは無視しているように感じ、敏感に反応している人たちもいる。

 台湾人が陳水扁総統を親しみを込めて呼ぶ「阿扁」という言葉をわざわざ使って「阿扁は台湾は中国の一部ではないと言う、なぜメディアはまったく反応しないのか」、あるいは「我々の代表がどんなに憤慨しようとも、台湾は聞く耳を持たない」といった、いらだちをあらわす書き込みが中国のインターネットの掲示板には登場している。

「大陸の軍事力は非常に重要な要素になり得る」「軍事力を使って台湾を解放すべきだ」といった、過激な書き込みもある。

 一方、台湾人の中にも「中国の脅しには屈しない」として、「中国政府と台湾政府に対して言うことが異なるアメリカに頼るのではなく、台湾独立を国際社会に強く公言すべきだ」と、台湾が自立し新たな行動に移ることが重要だという考えを述べる台湾人記者もいた。


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