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〔047〕 急増するテレビ・コマーシャルに当局が規制に乗り出す
【2003/10/19】

 「人民日報」によると、先頃、中国国家統計局は今年の国内総生産(GDP)の成長率が8.5%前後に達するとの予測を発表。この中国経済のめざましい伸びを印象づける一つにテレビ・コマーシャルの増加があげられる。

 テレビ・コマーシャルが中国国内でもっともさかんに製作されているのは上海だ。その理由を現地プロデューサーはこう説明する。

 「上海は多数の外国企業や国内有力企業が本社や支店を構える経済都市であるとともに、バラエティに富む豊富な撮影現場、優秀な製作スッタフの充実など、製作条件がそろっているためだ」

 旧インド・スエズ銀行や旧サッスーン・ハウスなど、租界時代の石造り建築群が今も残る黄浦江西岸の外灘(バンド)。あるいは、88階建ての高層ビルや上海の新しいシンボルとなる東方明珠テレビタワーなどが建つ浦東新区では、ほとんど毎日のように撮影が行われる。

 テレビ・コマーシャルの製作に携われば短期間で高収入が得られるとして、上海では映画やテレビ番組、デザイン製作にかかわってきた人たちが多数参入してきている。

 通常、製作現場では準備に5日、撮影に2日の計7日間ぐらいで仕上げ、一つの仕事で現場プロデューサーに支払われる額は2万元ほど(約30万円)。日本の状況よりはるかに恵まれていると、日本人スタッフはうらやむ。

 コマーシャル・タレントのギャラもかなりの額が支払われる。20代半ばのタレントによれば、多いときで1万元ほど(約15万円)、少なくても5000元ほど(約7万5000円)になる。2日間の拘束でこの程度の額が得られるのは魅力的だという。

 「それだけに、コマーシャル出演を足がかりに芸能界入りを目論む若者が急増しているが、知名度をさらに上げようとしてテレビ・コマーシャルに出演する有名タレントも多く、競争が激しくなっている」という。

 一方、放映されるテレビ・コマーシャルが急増していることから、国家広播電影電視総局(広電局)はこの9月中旬に徐光春局長名で「ラジオ・テレビ・コマーシャル放送管理暫定規則」を発布し、2004年1月1日からの施行を決定した。

 この規則で、誇大宣伝を禁止するとともに、午後7から午後9時までのいわゆるゴールデンタイムのコマーシャル放映時間を15%以内に抑えるなど、コマーシャル放映量や放映回数の規制、あるいは時間帯を配慮し広告取り扱い商品の制限を定めるなどした。違反した場合には、放映中止あるいは放送許可の取り消し処分を行うとしている。

 中国で初めてテレビ・コマーシャルが放映されたのは1979年1月。上海テレビ局だった。以来、コマーシャルといえば発電機や起重機といった大型工業品目が中心で、ターゲットは一般視聴者ではなく工場の設備調達係など特定の職種に向けて製作されていた。

 しかし計画経済の時代から市場経済へと移行し、消費者主導型経済社会に入った現在では、日本とまったく変わらないコマーシャルが放映されている。

 「テレビ局が収入を広告に依存する割合が急増し、香港や台湾、日本やアメリカ資本からのコマーシャル製作依頼も数多くある。今後、テレビ・コマーシャルの仕事は増えることはあっても減ることはないだろうと考えている」

 全国すべてのテレビ局がコマーシャルを放映しているだけに、広電局の規制にも大きな影響はないとして、上海のプロデューサーは仕事の規模拡大を目指している。


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