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〔039〕 カネを軸に大きく変質する中国映画界
【2003/04/27】

 「中国映画をハリウッド映画と同じように取り扱う人物が多すぎる」
 日本で中国映画に関わるスッタフはこう嘆く。

 中国映画をハリウッド映画と同じように取り扱う人物というのは、彼が言うところの「お願いしたこちらでさえ腰を抜かすほど、作品をよいしょするフリーの宣伝屋、つまり日本の映画評論家」だけではない。中国の映画俳優もすでにこの範疇に入っているという。

 ここ数年、有名映画俳優の出演料は高騰し続け、これに比例し待遇に対する要求もエスカレートしてきている。砂漠や農村など辺境の地での撮影が長期間続いた超大作では、主役の俳優たちがシャワー、ベッドルームなどが一流ホテル並みに整えられた超高級キャンピングカーの用意や専属コックの雇用なども契約段階で求めてきた。

 来年、公開される作品に出演した若手女優は、ロケ地での宿泊施設として4つ星以上の高級ホテルを指定(註:中国ではホテルの格付けを星の数で表し5つ星が最高)、また、撮影時間は夜10時までと限定し、翌日の撮影までには必ず10時間以上の間隔をあけるよう要求。

 さらに、撮影中、気に入らないことがあれば、ふてくされる。付き人を罵倒する。ささいなことで激昂し、撮影をボイコットしてホテルに戻ってしまうわがままも珍しくなくなっている。日本の映画やテレビ界をよく知る中国映画人は、「日本の芸能人となんら変わりがなくなった」と見る。

 新中国建国以来続いた表現の自由に対する政府の引き締め政策に失望し、80年代以降多くの映画人が国外に出た。同時に検閲強化で社会派の作品が減り、興行収入だけを目当てとする陳腐な内容の商業路線が強まった。その結果、映像制作は金になるとかぎつけた一団が国外の芸能システムを手本とし始めた。

 その象徴として、マネージャーの存在があげられる。俳優にマネージャーがつくようになったのはこの90年代半ばくらいから。以前は俳優といえども労働者にすぎず監督、現場スタッフなど職種の違いはあっても金銭や待遇面などで大きな開きはなかった。

 「何でもかんでも改革・開放の風潮の中、国外の芸能システムの悪いところだけが中国に持ち込まれた」と、先の中国映画人は指摘する。

 出演料は極秘事項のため具体的な金額を知る者はごく少数に限られるが、大作とされる映画で主役級の俳優が得る金額は、すでに日本円で億の金額に達しかけているという。
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