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〔034〕 党や国の管理を嫌う “自由人士” の増加
【2003/06/18】

 SARSの影響で一時は延期も検討された大学への統一入試も、6月9日に大半の省や自治区で終了。約610万人余りの受験生が入試に挑んだ。一方、大学を卒業し就職先の確保に奔走する学生がいる。

 本人の意向を顧みず職を国が一方的に分配する職業分配制度はこの20年にわたる改革開放で崩壊し、就職先を自由に選べるようになった。現在、IT、金融、不動産、自動車、バイオなどに人気が集中し、聯想や海爾、IBMやシティバンクなど民間や外資などを希望する学生が多く、大半は企業に就職する。

 だが、自由人士、いわゆるフリーランスの道を選択する人物も増加している。北京で、既に10年以上にわたってフリーのカメラマンとして活躍する36歳の男性は、こう語る。

 「改革開放政策の導入による経済発展のおかげで、この道を選択できた。以前は単位がなければ中国社会で生き抜くことができなかっただけに、どの企業にも所属せずに働ける現在の社会をありがたく思えと、いつも親に言われている」

 かつて農村を除いて、すべての中国人は企業、機関、軍などなんらかの単位に所属させられ、失業者や主婦など職場のない者でさえ居住区の街道弁事処が所属単位となった。

 住居、年金、医療、結婚、旅行など個人の日常生活のあらゆる面で単位が関わり、中国人は共産党の徹底した管理下に置かれた。

 だが、経済発展にともなう社会状況の変化で、単位に依存しなくても生きられる道が開け、単位からの管理や干渉、閉鎖性を嫌う若者が自由人士としての道を選ぶようになった。

 夫がフリーとして活躍、専業主婦として生きる女性は、単位に所属しない生活の不便さはあまり感じられないと言う。

 「単位からの恩恵をあげるとすれば、住宅購入費と医療費が安くなる程度。しかしこれも仕事を精力的にこなせば解決できない問題ではない」

 与えられる待遇より自分の能力で自由に生きられる道を選択できる方が重要だと考える傾向は若い世代ほど多い。しかし、大学を卒業しても、経験がないためにすぐにフリーとして生きることは難しい。

 このため、まずはフリーとして生き抜くための環境が整う都会に留まることを最優先し、とりあえず都市部で就職し、チャンスをつかもうとする道を選択する方法が取られるようになってきている。


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