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〔028〕 インターネットに警戒心を持って管理を強める中国政府
【2003/04/18】

 中国におけるインターネット関連の条例の核となるのが、全7章81条からなる国務院令第291号として2000年9月25日公布の『中華人民共和国電信条例』だ。

 この条例の第5章では、インターネットによる情報伝達の禁止事項を羅列する。国家の安全を脅かす、国家機密の漏洩、国家統一の破壊、民族対立の扇動、国の宗教政策の批判、社会秩序の破壊、猥褻・暴力・殺人・テロ・犯罪への扇動などがあげられる。

 これに違反した場合の罰則規定として、犯罪を構成した場合には法による刑事責任の追及があり、犯罪を構成しない場合においても公安機関などにより関連法律や行政法規の規定に基づいて処罰するとある。つまり、インターネットは当局の管理下にあることが明言化されている。

 この禁止条項と類似するのが映画管理条例だ。映画の検閲を正当化するために制定された条例と中国時画人が言う映画管理条例においても、国家の安全を脅かす、民族対立の扇動、社会秩序の破壊などが羅列される。だが、実情はこれら抽象規定を理由に、さまざまな場面に対して不許可あるいは修正が頻繁に命じられている。

 インターネットより一足先に、条例による取り締まりを受けてきた中国映画人は、「電信条例」について次のように語る。

 「政府は映画検閲において、条例を根拠として最終的には監督の制作意図あるいは物語の主題を自分たちの都合の良い方向へと軌道修正させている。『電信条例』においても、総論にとどめているだけに、条文の拡大解釈によりその時々の情況によりインターネットを自在に管理しようとするのでは」

 中国政府がインターネットに対して警戒心を持って管理を強める背景には、コンピュータや携帯電話の急激な普及によるIT社会の到来が政府の予測をはるかに上回り、しかも政府が考えるレベルを越えて利用されている現実があるためだ。

 電信条例に映画同様に、国家統一の破壊、民族対立の扇動が明記されるあたりがこれを象徴している。89年の天安門事件当時、天安門広場にいた民主化運動の一人は、当時、インターネットが現在のように普及していたら、あのような悲劇的な結果、あるいは敗北にはいたらなかったはずだと言う。

 2000年夏以降、「中華人民共和国電信条例」を始めとして、「インターネット情報サービス管理規則」、「インターネットサイト・ニュース掲載業務従事管理暫定規則」「インターネット公告サービス管理規則」などが次々に公布されている。

 これらインターネット関連の各種条例や管理規制を見る限り、党や政府による独占であった情報伝達手段の拡散を可能とするインターネットに対して、中国政府が強い警戒心を抱き取り締まりに乗り出したことを意味している。

 以後、現在までに、火災が発生し死傷者が出たことを理由に、全国に点在するインターネットカフェに対する立ち入りと取締りを実施し、多数を営業停止処分にした。さらに利用者の登録管理へと動いている。また、プロバイダやニュースサイトの摘発にも乗り出している。

 ここ最近の新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)の感染に関して、中国衛生局の発表に対して医師が患者数と死亡者数はそれ以上と告発した例に見られるように、管制報道の信頼性に疑問符を投げかける人々が圧倒的だ。インターネットの普及にともない、海外からの情報に慣れ親しみだした一般ユーザーは、国内と国外の情報ギャップに敏感になっている。


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