其の弐 寒さと眠気の山頂編


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 元祖室を出発!深夜の登山 
 
 もし雨の場合は朝まで山小屋に留まり、のんびり山頂に目指すことを決めていた。そして深夜1時、夜空には星が瞬き、風も無いので眠い目を擦りつつ出発準備。
 外は結構寒く、明け方は0℃近くまで下がる時もあるということでTシャツ・長袖シャツ・パーカー・ジャンパーと4枚着込む。既に団体ツアーの集団が続々と登り始めている。この混雑ぶりを見ると御来光までに間に合うのか?と焦りつつ、宿を出発!
 月夜の中、岩場の続く足元は暗く、懐中電灯は必要不可欠。登山道は段々狭くなり、それに反比例して人は増えるばかり。それぞれの登るペースも違うので登山道は大渋滞。そんな中でも隊長と純太隊員は人を掻き分け元気に登り続けるが、今回初登山のN隊員はどことなく元気がなさそう。
 それでもみんな1歩づつ山頂を目指し上り続ける。
 午前4時過ぎから徐々に空が白み始め、夜明けが近いことを察知。
 しかし夜明けの時間がわからない我々は、とにかく急いで山頂を目指す。
 そしてようやく山頂の鳥居が・・。
 
 
 
 久須志神社で御来光
 
続々と登る登山者  河口湖口山頂の久須志神社に到着し、ここで夜明け、いわゆる御来光を待つことに・・。さっきまでの疲れが一気に吹っ飛び、みんな何とも言えない達成感を持つ。
 眼下の登山道には、山頂を目指す人達のライトが一筋の光の流れを作っている。その流れをしばし眺める。
 すると登ってくる時には感じなかったが、急に寒さを感じるようになる。さっきまで体を動かしてたからなぁ・・。
 御来光を待つ間、何度も雲が通過し、太陽の光を遮る。はたして夜明けを拝めるのか?と一同ヒヤヒヤしながら待つ。
 そして4時52分頃、雲と雲の隙間から朝日がのぞき始め、山頂には歓声と拍手がこだまする。それから30分ほど劇的な光景を眺め続けた。
 
もうすぐ御来光   御来光!
 
 
 お鉢周りに出発
 
お先まっシロ 御来光の興奮も冷めやらぬまま、今度は本当の山頂、剣ヶ峰の富士山測候所を目指すことに・・。
 ツアーでは久須志神社で御来光を拝んで下山するのがほとんどで、3,776mの山頂や浅間神社奥宮にある富士山頂郵便局に行く時間は含まれていない。
 今回のような個人旅行であればこそ、チャレンジすることガ可能である。せっかく来たのに日本一高い場所に行かない手はない!ということで富士山火口を1周するお鉢回りへ出発!
 まずは反時計回りで御殿場口登下山道にあるNTTの施設を目指し歩き始めるが、山頂一帯は雲に包まれ、10m先が見えない状態に。まだ雨風が無いだけマシだが、一歩踏み外せば谷底へ・・、と思うと踏みしめる足先にも自然と力が入る。
 ようやくNTTの施設に到着。携帯電話がなかった頃は、実家や友人にモーニングコールをする人も多かっただろうが、携帯電話の普及でほとんど人影はない。
 ちなみに山頂ではドコモの携帯のみがアンテナが3本立つ状態で他の会社は壊滅状態。ドコモの携帯を持つ隊長とN隊員であったが明け方頃は回線が混み合ってなかなか繋がらなかったようだ。
 
 
 
 登山証明書をGET!
 
登山証明書 次に富士山頂郵便局を目指し、移動開始。依然、雲は晴れず登山者の足跡を目印に登山道を進み続ける。気分は川口探検隊(う〜ん、かなり古いな・・)。
 10分ほどで浅間大社奥宮に到着。その隣には日本一高い場所にある郵便局、「富士山頂郵便局」がある。ここで登山の目的のひとつ、郵便局でだけ発行される「登山証明書」を自宅に郵送する(ちなみに送料込みで300円)。
 こんな不便なところでもハガキが50円で送れるのにはビックリ!!さすが赤字の郵政省!太っ腹!と思いつつ投函。
 それぞれが手紙を書き終わり、頂上を目指して出発!
 
 
 
 
 念願の富士山頂!
 
富士山測候所 郵便局を出発し、富士山頂に続く峰伝いの急な坂を登ることとなるが、隊長いわく「以前登った時は強風が吹き荒れ、油断すると谷底に体を持っていかれそうに・・。とにかく怖かった」と言っていた。
 だがその時、実は登山中に知り合った女の子と手と手をとって登っていた・・、なんともオイシイ話があったのを私は知っている。だからといって男同士で手をとって・・、なんて絶対イヤだ〜!
 そんな妄想を抱きつつ一歩一歩、山頂を目指し登り続ける。そしてようやく白い球体がシンボルマークの富士山測候所が姿を現す。とうとう日本一高い場所、富士山頂に到着!
 長年の夢であった山頂には、富士山測候所と三角点の石碑。しかし依然として続く曇り空で周りの景色は全く見えない。天気が良ければ、きっとすばらしい景色なんだろうなぁ・・。残念!
 早速、隊長はモバイルで日本一高い場所からメールを投げる準備を始める。一方、純太隊員は疲労と軽い高山病で測候所の床に寝そべる。N隊員も疲れた顔。
 周りを見回すと10人ぐらいの人達が記念撮影をしたり、携帯で電話をかけたりしている。10℃以下にもかかわらず、ランニング姿の登山者も・・うーん、信じられん。
 結局、真っ白な景色しか見えない山頂で1時間ほど思い思いの時間を過ごし、山頂に別れを告げる。 本当の苦難はここから始まる・・。
 
   ほんとの富士山頂?

  

  


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