14.メッカ巡礼


ハッジ(巡礼月)には世界中から100万人ものイスラム教徒がメッカのカーバ神殿に巡礼に集まります。一生に一度はメッカに巡礼するのがイスラム教徒の義務であり夢なのです。私が赴任する直前にジェッダ郊外に新しい大きな空港(キング・アブドラ・アジズ国際空港)が出来、それに隣接して10万人収容可能な巨大なテント村が出来ました。真っ白い曲面の屋根と柱だけの常設の施設で、洗面施設も設けられていますが、普段は無人の建物です。遠くから見ると鶴の大群が集まっているようでした。



巡礼者の宿泊施設

ジェッダはメッカへの玄関口で、飛行機ばかりでなく、船や車でも大勢の巡礼者がやって来ます。多くの人々は炊事道具や寝具、布団まで持参するので、空港でも大変な混雑です。周辺国から来た、人も荷物も満載したオンボロトラックが道路に溢れ、ジェッダの人口は急増します。テレビでは毎日大勢の群集がカーバ神殿の広場を埋め尽くし、黒い神殿の周りをぐるぐる回っている光景を放映していました。

聖地のメッカとメディナにはイスラム教徒以外は入れません。ジェッダの郊外のメッカに通じる道路には、料金所のようなゲートがあって通行者をチェックしています。サウジの王室の夏の宮殿がある避暑地のタイフはジェッダから見るとメッカの先にありますが、そこに行くには我々非イスラム教徒はメッカを迂回して行かなければなりません。メッカに行く道は片側3車線の立派な高速道路並の道路ですが、迂回路は片側1車線の田舎道で、クリスチャンロードと呼ばれていました。

このゲートの近くに広大な駐車場があり、普段は大型バスの群れが埃を被ったまま放置されていますが、巡礼月には大挙して出動です。つまり、巡礼月にしか使われないバスが沢山用意されているということです。

メッカに巡礼した人は「ハッジ」という称号を受けて尊敬されるようになります。


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