２年間の感想

 この２年間はどうだったですかね、、、。まあ、とても一言では書き表せないのですが、 とにかく今までの人生の中でも非常に濃い時間を過ごせたと思います。
 私は、これまで外国に行ったことすらなく、赴任当初はどうなることやら、、、と思っていましたが、過ぎてみると「人間、何とかなるもんだ」といった感じです。
 ただ、それならもう一回２年前に戻って暮らせといわれれば、、、難しいですね、、、。本当に貴重な体験をさせてもらったとは思いますが、、、。

 それと、ここに来て良かったのは、数多くの人達と知り合いになれたことです。日本にいたらまず知り合う機会すらなかったであろうという様々な人達と知り合う機会が沢山あったということは今後の私にとってもとても意義のあることでした。

 また、親の大切さや、友達のありがたさなども再認識させられた２年間でした。
 赴任当初はトラブル続きでいつも弱音を吐いていて、本当に荷物を抱えて帰ろうと思ったこともありましたが、そんな私に暖かい励ましや厳しい叱咤を与えてくれたのは親や、兄弟や、友達達でした。
 今まで、私は友達に対して「私が友達にすること」の方が「友達から私にしてもらうこと」より多いような気がしていました。しかし、それは大きな大きな間違いだったんだなとこっちに来て気付かされました。自分はみんなに支えられていたから生きてこれてたんだと思います。それが分かったということも２年間の収穫の一つです。
 帰ったら（少しは）親孝行もしないといけないな。と感じています（今は）。とかいいつつ帰ったらまた悪態を吐くとは思うのですけど、、、。

 優等生的意見になるかもしれませんが、私にとって大事なのはこれからで、ここで学んだ沢山のものを持って帰って、今後の自分の人生に活かしていかないといけないと感じています。

 そして、ひ弱な私を支えて下さった沢山の方々にこの場を借りて改めてお礼を申し上げたいと思います。皆さんのおかげで私は何とか２年間を過ごすことが出来ました。本当にありがとうございました。帰ったらまた一緒に遊んでやって下さい。あと、アラビア語が会話の中で出てしまっても変な顔で見ないで笑って許して下さいね。
 

隊員活動を振り返って

 
（あとげん：以下あ）いやいやいや、もうすぐやね、帰国！
（コウヘー：以下コ）ほんま、お疲れさんやね。
（コ）どう？帰ったらまずしたいことって何？
（あ）ほうじゃね〜。やっぱりマックで腹一杯、、、
（コ）それはマンスーラ（注：あとげんの任地）で十分しとるやんか。何かほかにないん？
（あ）そうはゆうてもね。エジプトのマックと日本のマックじゃあるものも違うし、味だって、、、。あっ！！そういえば今思い出した！！！ エジプトのマックで新しいハンバーガー出たの知っとる？
（コ）うん。この前マック通りかかったら大きいポスターがあったよ。えっと、、名前なんだったっけ？
（あ）マクドナルド ロイヤルハンバーガー（即答）。そんなん常識やんか。
（コ）ごめんね、おいらマック詳しくないから、、、 で、どう？味の方は？
（あ）う〜ん。俺的にはね、、やっぱりマック フィーストがアハサン（＝ｂｅｓｔ）だよ。マンスーラのマックなんて俺が電話すると名乗らなくても従業員が勝手に「ミスター阿登？ マック フィースト、ポテトＬ コカコーラＬ ＯＫ？」って言ってくるぐらいだからね。とにかく美味しいよ。マック フィースト。何で、みんなもっとマックに行かないんだろう？それにマックには、、、（以下省略）
（コ）はいはい、ありがとう。お腹一杯食べてね。で、他には？
（あ）ギリシャに別荘！
（コ）それ日本じゃないやん、、、
（あ）ごめんごめん、頭の中は既に帰国モードでね。少し壊れてるみたい、、、
（あ）で、他にはね、うふふふふ
（コ）なんか、気になるな〜。まあいっか。
（あ）で、そっちはどうなん？
（コ）俺ね、やっぱり美味しいお寿司食いたいね。それと早く「一平」（注：コウヘーの兄の子供。‘９９ ５月に誕生）と「ジョー」（注：コウヘー家で飼っている愛犬。溺愛気味）に逢いたいよ。
（あ）ジョー最近はどう？
（コ）さあ、連絡ないから元気じゃないんかな？
（コ）あとはパリも楽しみやね〜。
（あ）でも、ガイドブック読んでたら物価高そうよ。こっちだったらコシャリ（注：エジプト食。ご飯、マカロニ、スパゲティの上に豆とオニオンをのせ、トマトスープがかかってるもの。なかなか美味しい）が何十杯と、、、
（コ）そりゃあ、フランスは先進国やもん、、、。もうそろそろ何でもギネー（注：エジプトの通貨単位）でもの考えるの止めんと。
（あ）でも、アラビア語がついポロッとでそうやね。
（コ）それはありそう。恐いね。俺は最近日本語もよく間違えるし、、、
（あ）（アラビア語を）話したくなったら電話するよ。
（コ）うん。そういえば、俺達が帰国する頃は日本は真夏だよ。噂の「夏キャミ」が見れるかもよ。（そりゃ、いつの話だ？？：大家）
（あ）それってほんまなん？そんな人おらんって。だってここでは、、、
（コ）だから、日本はエジプトとは違うんだって。まあ、これは帰ってからのお楽しみってことで、、、。
（あ）ああ、日本がもう少しだよ、、、。
（コ）でも、本当に大変なのはこれからやね。
（あ）ああ、就職ね。どうなん？出来そう？
（コ）俺に聞かれても、、、。 でも、今日本はまだまだ不況の真っ只中だっていうし、就職も超氷河期だって聞くよ。
（あ）いっそのこと二人で何か商売するか？
（コ）何するん？
（あ）エジプト料理屋！
（コ）って玄ちゃん、エジプト料理作れるんかい？
（あ）それはコウヘーが作って、、、
（あ）俺はベリーダンス（注：アラブ諸国で見ることの出来るダンス。女性が太鼓の軽快なリズムに乗って激しく踊る。ちょっぴりセクシー）踊るから。どう？このアイディア？
（コ）あとげんのベリーダンス見たいやつなんていないよ。玄ちゃんは広島音頭（注：あとげんの得意な踊り）でも踊ってれば？
（あ）いいと思うんだけどな、、、。あとはピラミッド！
（コ）あとげん、、、だいぶ疲れてるんだね、、、。サラムタック（＝お大事に）、、、
（コ）とにかく、地道に就職しろってことだね。やっぱり。
（あ）え〜。いいと思うけどな。エジプト料理屋にベリーダンス、、、
（コ）まあそれはまた今度ゆっくり話そうや。
（コ）で、この２年間を振り返ってみてなんやけどね。辛いこともしんどいことも一杯あったけど、楽しいこともいいことも一杯あったね。
（あ）うん。生徒たちと別れるのは特に辛いよ。俺、最後の発表会では泣いちゃうかも。
（コ）分かるよ。その気持ち。俺もＳｔ．マルコ（注：活動先の一つ。知的しょうがいしゃの子供達に体育を教えていた）の最後の授業の時はめっちゃ悲しかったもん。
（あ）最後の発表会。子供達が楽しく演奏してくれればもうそれだけでいいよ。
（コ）なんか格好いいね。まあまあ、とにかく２年とちょっと（含む訓練期間）ありがとね。随分助けられたよ。で、これからもよろしく。
（あ）締め方が少しきれいやね。らしくないね。まあ、それはいいけど、お腹減って来ない？今からマック食いに行こうよ、、、
（終わり）

あとです

僕は、こちらでエジプトの生水が飲めないから、ミネラルウォーターを買って生活しています。もしくは煮沸した水です。

今日は、ミネラルウォーターを切らしてして、今から煮沸してたら冷えるまで時間がかかるなあ、と思って、近くのお店にミネラルウォーターもしくは、ジュースを買いに行きました。ちょうど、よく冷えたスプライトの１リットルがあったので、それを買いました。喉がカラカラ。

家に帰って、すぐ飲もうと思ったら、ふたが開いてる？あれ？「ああ、誰か間違えてちょっと開けてしまったかあ・・・」。仕方ないなあ、と思いつつコップに注ぐと、案の定、炭酸が抜くてるみたいで泡が出ない。「もう、やれやれ」と思いつつも、喉が乾いているので、すぐに飲みました。飲んでみて、「なんだ、こりゃ、生水！？」。

よく冷えた生水でした。お店に取り替えてもらいに行くと、「おっ、ミスター阿登、それ空っぽだったか？」いやいや、空なのもスゴイけど・・・。僕が「水だったよ」と言うと、「おお、うちのじいちゃんが冷やしてたんだ」と店長が言いました。

これか、やっぱり、ここはエジプトだよ。不思議な国だよ。

２年たって、いよいよ帰国が迫ってきました。大分、エジプトで生活することに違和感も少なくなってきた今日この頃、店長は、僕を初心にかえらせてくれました。

やっぱり不思議な国です。楽しさ盛りだくさん。
 

編集後記