さて、飛行機に乗り込んだのはいいのですが、一向に出発する気配がありません。何やらメカニカルトラブルらしく、飛行機が止まっているのです。そうこうするうちに止まっている飛行機の中から機内食が出てきました。おいお〜いと思いながらも機内食を食べ(なかなか美味しかったです)さらに待つこと約2時間。これでは埒があかないと思ったのか、いったん乗客は空港ロビーに戻されました。
この時点で、時間は既に16時30分を過ぎていました。飛行機の出発時間は13時10分で、本当なら17時10分にはシリアに着いているはずなのです。シリアの空港では同期隊員の垣ちゃんが迎えに来てくれているはずなのに…。電話をしても誰も出ません。もう空港に行っているのでしょう。ごめんなさい垣ちゃん。俺はまだギリシャです。
ところで、こういう事に動じないのがアラビーです。さすがというか、何というか…。私はこいろいろな文章の中でさりげなくアラビーを悪く書いていると思いますが、決して悪いことばかりじゃないんです。
空港にいったん戻された時、私はまさかこういう事態が起こるとは夢にも思っておらず、テレホンカードも、ギリシャの通貨も小銭以外使い切っていました。
私は遅れることを垣ちゃんに連絡しないといけないと思い、小銭が使える電話ボックスを探していたのですが、テレホンカード専用の電話ボックスしか見つかりません。弱っていたところ、私の隣の座席に座っていたシリア人が、「使っていいよ」とテレホンカードを貸してくれたのです。私は「国際電話だよ。シリアに掛けるんだよ」といったのですが、彼は「マフィッシュ ムシュケラ(no problem)」といって貸してくれたのです。アラビーってこういう親切な行為を割に自然に出来る人が多いのです。さっきまで「だからアラビーっていやなんだよな」と思っていた自分をちょっぴり反省しつつ、テレホンカードを借りました。
結局、何回か電話をしたのですが、垣ちゃんとは連絡がつかず、空港でシリア人とお話をしながら飛行機の出発を待っていました。一人のシリア人は「私は何回となくシリアエアーを利用しているけれど、いまだかつて定刻通りに出発したことはない。でも、事故も一回もない」と話してくれました。一回も定刻通りに出発したことがないなんて…。
さらに待つこと約2時間。シリア人の乗客は疲れた様子も見せず「いやっほー。これで今日はホテルだー。朝食付きだー」とはしゃいでます。そんな彼らを横目で見ながら深いため息を吐いていたところ、アナウンスが入りました。遂に出発みたいです。
なんと、飛行機がアテネ空港を発ったのは20時前。飛行機は約7時間も遅れたのです。
その後アレッポ(シリア第2の都市)を経由してダマスカス空港に着いたのは24時前でした。思っていたより税関は楽でほぼフリーパスでシリアに入国できました。
さすがにこの時間だから垣ちゃんは帰っただろうな。と思って、とりあえず電話を掛けようと思いテレホンカードを買いに行ったのですが、そこの空港職員が早速値段を吹っかけてきます。
これは駄目だと思い、とにかく街まで出てそこから電話を掛けようとバスの乗り場に行くと、垣ちゃんが迎えに来てくれたのです。どうやら、飛行機が遅れるという表示を見て、一旦家に帰っていたらしいのです。しかもおにぎりまで作ってくれて…。ありがとう垣ちゃん。その後、シリア隊員のドミトリー(共同宿泊所)に着き、シリア最初の長い長い1日が終わったのです。
今回の私のシリア旅行の目的は
私がお世話になっているシスターの1人がアレキからシリアの修道所に移動になったのです。それで、今回、私がシリアに行くということでアレキのシスター達から渡して欲しいものを頼まれました。
そのシスターはシハームというレバノン人のシスターです。シハームが住んでいる場所には、同期隊員の垣ちゃんが連れて行ってくれました。早速頼まれていたものを渡して、久し振りの再会を楽しみました。また、その場所はオールドダマスといって昔ながらの街並みで、とても気に入りました。
次に行ったのはパルミラ遺跡です。パルミラ遺跡は割と有名な遺跡ですので、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、とても広くてじっくり見たかったら1日がかりで見たほうがいいと思いました。
エジプトのピラミッドのように、うるさい物売りも存在せず、ゆっくりと遺跡を堪能することが出来ました。
JICAのシリア事務所の様子に着いては、ここで書くのもあれですので止めておきましょう。
シリアは、同期隊員の垣ちゃんを始め、皆さんのアドバイスのおかげで楽しく過ごすことが出来ました。ありがとう(ショクラン)シリアの皆さん!