生徒と一緒に作ったもの(3)
5)飛騨神岡高等学校 総合学科時代
神岡鉄道のジオラマ(奥飛騨温泉口〜神岡鉱山前)
   (文化祭クラス展示、2007年度)
これは、私が2年A組(工業技術系列)のクラスを担任したときに、企画、製作したものです。前の年に地元の第三セクター鉄道「神岡鉄道」が廃止されましたが、当時すでにこれで通学していた生徒が全くいなかったため、校内ではほとんど関心が持たれませんでした。しかし鉄道ファンである私は、「ダイヤが不便、利用したくてもできない、トンネルばかりで景色がつまらない」と地元からも半ば見捨てられていた、この小さな鉄道に以前から愛着を持ち、2006年には放送部としてビデオ番組を作ったりしました。いつかは飛騨神岡高校の文化祭でこの題材をとりあげたいと思い、ようやく実現にこぎつけました。

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神岡の高校でありながら、通学にはほとんど利用されなかった神岡鉄道。だが廃止されると一抹の寂しさを感じる。そこで、2年A組ではこの愛すべき鉄道を永く記憶に残すために模型を製作することにした。
題して「甦(よみがえ)れ!神岡鉄道」
白樺祭(文化祭)での展示風景。総合学科棟2階のランチルームにて。2つのテーブル間にまたがって線路が敷かれている。列車は自動的に運転され、駅に停車し、終点で折り返します。 神岡鉄道は、もともと鉱山の貨物輸送のために敷設された鉄道なので、旅客の利用はほとんど期待できなかった。しかし、第三セクターで20年以上続いたのは奇跡といえる
車両はプラレール用を改造。レールはプラスチック製のモールで安上がり写真は奥飛騨温泉口駅 奥飛騨温泉口を出発するとすぐに神岡大橋駅に停車。駅前には名物「きのこトイレ」がある。鉄道廃止後もこのトイレは健在。 本当は、ホーム上にはトイレではなく待合小屋があるのだが、細かいことは気にしない。駅名板は現役時代の写真を貼って作った。
トンネルを出て、高架橋の上にある飛騨神岡駅に進入する1両編成の列車。(実際の高架橋はもっと長いし、ホーム上屋は手前にある) 飛騨神岡駅に停車中。途中駅の停車はレールに小さな銀テープを貼って車体底の反射型光センサで検出した。 上から俯瞰した飛騨神岡駅。国鉄時代は飛騨船津駅と呼んでいました。(駅の向きが本物とは逆です)
とりあえずの終点、神岡鉱山前駅に停車。線路は2つに別れているが手前には進めない。(この先はトンネルばかり続くのでこれでおしまい。) 市販の神鉄の模型というものがなかったので雑誌などの写真をもとにスチロール板を組み合わせて手作りした。窓の配置や帯の色はサインペンで塗り分けた。 トミープラレールのキハ40系車両をベースに前後をアルミ板で延長しそこに制御回路と単2電池およびCR2リチウム電池を収めた。
車両正面の顔もカラーサインペンで苦心の手書き。「ワンマン」の表示やワイパー、サイドミラーなども書かれています。窓ガラスはどうしようもないので黒のベタ塗りですがライトは書いたものなので点灯しません。 車両の足周りを下から見たところ。もともと短いプラレールの車体にアルミを継ぎ足して電子回路のスペースを確保。前後には往復運転用のマイクロスイッチ、中央右よりには途中駅で停車させるための反射型センサ。 車両前部に無理やり押し込んだ制御回路。ギヤーの前の狭いスペースに約30mm×40mmの基板2枚をスポンジをはさんで背中合わせに貼り合わせ。後ろ側には制御電源のリチウム電池CR2用ボックスを配置した。
運転制御はすべて車両に内蔵した電子回路で行います。2枚の基板のうち1枚。中央の黒いのはラッチングリレー、2つコイルがあるのでドライブTrが2個。VRはセンサ感度調整用 マイコンは用いず、停車時間はワンショットマルチで調整。プラレールのままでは走りが速すぎて神岡鉄道らしくないので速度を落とすため、タイマIC7555とパワーMOS-FET、2SK2231でPWM制御。VRは速度調整用。 旧、神岡鉄道から借用したペナントも飾りました。山にKのマークは筆頭株主である神岡鉱業鰍フしるしと思われます。
地元の新聞「神岡ニュース」2007年10月18日付けに掲載されました。 CLICK!
超簡易形、FMワイヤレスマイク
平成10年度岐阜県産業教育フェア(高山会場)体験コーナー(アマチュア無線部として出展)
平成11年度〜20年度、飛騨神岡高校 夏休みオープンスクール製作体験授業
ものづくりの楽しさを多くの方に知っていただくために、工業系の高校ではいろいろな機会に「工作体験」を実施しています。おもに小・中学生を対象に簡単にできる電子工作をという趣旨から、どこの家にもあるラジオで受信できる、FMワイヤレスマイクを設計、キット化したものを組み立ててもらいました。基板は部員に手伝ってもらってエッチングで作成しました)
部品の入手性という点からICは使用せず、オーソドックスなディスクリート部品を使用し、回路を極限まで簡素化し(トランジスタは1個!)ました。周波数が不安定ですが体験工作ということで割り切ることとし、平成10年度の岐阜県産業教育フェアでは1台100円(原価は300円くらいかかっているので赤字です)で販売し、その場で組み立て、持ち帰っていただきました。30セット用意しましたがすべて完売しました。
その後、飛騨神岡高校に転勤後は同じものを夏休みオープンスクールで製作体験し、再度転勤する平成20年まで続きました。
こうした体験工作は、準備が大変(市販のキットではなくオリジナルではなおさら)ですが、一般の方にものづくりの楽しさを知ってもらうために今後とも継続していきたいと思います。
超簡単、FMワイヤレスマイクの外観。単3乾電池1本で動作する。(電池は付属しない) 回路部分のクローズアップ。トランジスタ1個、抵抗3本、コンデンサ5本、コイル1個、ECM1個という構成。ワイヤレスマイクとしてはこれ以上の簡素化は不可能でしょう。
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基板は「明治のマーブルチョコレート」の紙筒にちょうど入る大きさです。
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同じ回路、部品(但しECMはより小型のもの)を使用して極限まで小さく作ってみたもの。小さなケースに入れれば立派な盗聴器です。電池はLR44ボタン電池がいいでしょう。
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上から単3乾電池、体験工作バージョン、超小型バージョンを並べてみたところ。
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平成10年、岐阜県産業教育フェア・高山会場にて、高山工業高校アマチュア無線部の出展として1個100円で製作を体験してもらいました。その後、飛騨神岡高校の夏休みオープンスクールの体験授業として平成20年まで続きました。
製作体験の説明資料はこちら(PDF形式) CLICK!