日本最北端の地・稚内

日本最北端到着証明書

平成14年6月、会社で勤続30年めにして「リフレッシュ休暇」というのに、ありつき?
何処に行こうかと考えた時に真っ先に浮かんだのが稚内。何としても日本最北端・稚内(宗谷岬)に立ってみたくなったからである。

航空券は4月中に手配を済ませ、宿もNET上で調べたがあまり無い。全日空ホテルなら取れるが予算オーバー。
旅館を探しても予約が終了していたりして、普段利用している「旅の窓口」では該当する所が見つからず最終的に「やど上手」というサイトで「紀の国屋旅館」という所を予約。
あまり大きくはなく、気が乗らないが料理は良さそうな
ので決定。

当日は家を9時頃出発。各駅に乗ったら通勤用の車両で4つドア、普通は中距離用なので座席が多いのだがこれは近距離用なので座る所が少なく、上野まで座れず。
上野から山手線に乗り換え。隣のホームでは京浜東北線も
有るのだが、昼間は快速運転で浜松町には停まらないので..

浜松町に着いて切符を出そうとしたら見つからない。乗る時には自動改札を通してから財布に入れた筈なのだが見つからない。仕方無く改札で切符を無くした旨を申告すると上野からの料金で良いから払ってくれと言われ、仕方無く160円払って改札を出た。
ヤレヤレ最初からこれでは先が思いやられる..

浜松町で航空券を買おうと思って自動チェックイン機を見るとANAには発券機能が無く、カウンターで問い合わせるとチケットレスで予約済みなので羽田で受け取ってくれとのこと。
浜松町で食事をした後でモノレールに乗り換え
羽田に向かう。

羽田に着いて自動チェックイン機でチケットを発券してもらい出発の荷物検査他。今回はフィルム用の袋を入れて行かなかったのでスムーズに通過。
一緒に行った弟はベルトのバックルが金属探知機に反応してしまい、ボデイチェック
を念入りにされて怒っていた。(^^;)

羽田はローカル路線なのでバスで連れて行かれるかと思ったら搭乗ゲートから乗れた。機材はB-767の300。
ほぼ定刻に到着。稚内空港でレンタカーを借りるため地図を手に営業所を探すが空港の近くでは見当たらない。
空港のカウンターも担当者が居ないため連絡先に電話したら、しばらくしてやってきた。送迎の車で営業所に行き車を借りる。ビッツだが、見ると4WD車。これは思ったよりも乗りやすかった。
ナビも慣れれば、そんなに難しくは
無いものの最初はリモコンが無くて探してしまった。
道路も空いており市街を外れると信号も殆ど無い。

稚内空港から宗谷岬に向かう。途中に何か石碑が立っていたが帰りに寄ることにしてパス。
宗谷岬に着いたら、思ったほど人も居ない。宗谷岬で最北端の地の碑や間宮林蔵の像、宗谷岬の歌碑の前で写真を撮り、近くの土産物屋で日本最北端到着証明書を買う。
宗谷岬の最北端の碑は思ったよりも小さかった。

岸辺は川のように流れが有り、10cm程度の魚が沢山泳いでいた。
間宮林蔵の銅像は昭和55年に生誕100年
を記念して作られたそうで、樺太の方を見ているとのこと。
そうして、見ると流氷館というのが有って、無料とのこと。

早い話が業務用で使う大きな冷蔵庫みたいな物だが、その中に流氷とアザラシ等の動物の剥製?が置かれている。
温度はマイナス13℃くらいだったが、短時間なら寒いとはいっても特に何も着なくても居られる。
しかし、心臓とか
弱い人は遠慮した方が無難なようだ。 
宗谷岬に有る「日本最北端の地」碑。
宗谷岬に有る土産物屋。ここの右裏手に流氷館が有る

宗谷岬の土産物屋を数軒見てまわり、それから稚内に向かって戻る途中で間宮林蔵の渡樺の地という碑を見て帰る。
間宮林蔵は稚内から樺太(サハリン)に探検に出掛ける際に決死の覚悟で自分の墓を建ててから出発した
そうで、それらしき物も残っている。


間宮林蔵渡樺の地碑

それからノシャップ岬に向かう。ノシャップ岬からは利尻島(利尻富士)が見える。ノシャップ岬を見た後でノシャップ寒流水族館を見る。
17時閉館とのことで早足で見てまわる。水族館の入り口にはゴマフアザラシやフンボルトペン
ギンが居る。
回遊式の水槽には海水に慣らされたイトウ(魚へんに鬼と書く、鮭科の魚で本来は釧路湿原等に棲息
する淡水魚で幻の魚とも言われる)やソイ、カレイ、ホッケ、ニシンも泳いでいる。
他の水槽にはタラバガニや毛ガ
ニ、ミズダコ、オオカミウオ、バフンウニ、ホヤ等も居る。
ノシャップ岬には恵山泊漁港公園が有る。近くに有る海産
物の店で土産物を物色しようと思ったが気に入った物が無くて止めた。
ノシャップ岬灯台とノシャップ寒流水族館
ノシャップ寒流水族館の入場券
ノシャップ岬(恵山泊漁港公園)
ノシャップ岬から見る利尻島(利尻山)

ノシャップ岬から稚内温泉「童夢」に向かう。ここは日帰り温泉だが、最北端の温泉。入るとナトリウム−強塩化物・炭酸水素塩泉のため肌がツルツルしてくる。
平成9年にオープンした温泉とのことで露天風呂・打たせ湯・ジェット
バス、薬湯、サウナ等が有る。


稚内温泉・童夢

温泉を出た後で稚内市内に戻るが、レンタカーを返すまでに時間が有るので稚内公園に寄ることにする。
ここは氷雪の門が有名。丘の上に有り、ガイドブックを見るとロープウエイが有るが、車でも上れる。
稚内公園の
開基百年記念塔の手前に風力発電のプロペラが目についたので見てから記念塔に寄って展望台から景色を見てくる。
開基百年記念塔は昭和53年に稚内の開基100年と市政30周年を記念して作られた物で海抜170mの所
に高さは80mの塔が建っている。
海抜240mの展望台までエレベーターで上がれる。ここは入場は有料だが見晴
らしは良い。
エレベーターは外が見えないタイプなので高所恐怖症の人でも平気。

1階と2階は北方記念館として資料館になっている。間宮林蔵、樺太関係の資料も多く、鉄道関係、農業関係、動物の展示、土器や石器類等が展示されている。
終戦間際にソ連軍の侵攻に伴って西海岸の真岡郵便局で最後
まで交換台を死守した後、自決した電話交換手の9人の乙女の写真も飾られている。
戦争さえ無ければ、日本が敗戦にならなければ、ソ連がドサクサで参戦しなければ、この人達の運命も大きく変わっていただろうと思うと、やりきれない思いがする。

余談ではあるが、この事件を基にした映画「樺太1945年夏 氷雪の門」というのが有るが、この映画は1974年に製作されたものの、当時のソ連の圧力で配給元の東宝が降りてしまい、殆ど日の目を見ることが無いままお蔵入りとなっていたが2004年にフィルムが見つかってデジタル化され、2010年に各地で上映された。
 
私も隣町の深谷市にある深谷シネマで2010年の11月初旬に見ることが出来たが、当時のソ連軍の横暴ぶりが描かれ、彼女達が死を選ばざるをえなかった様子を描いている。
(主演は二木てるみ)、36年という歳月にスタッフや出演している俳優の中にも亡くなった人も少なくない。
島田正吾、丹波哲郎、千秋実、藤岡重慶、南田洋子..岡田可愛や栗田ひろみは既に引退しているし、鬼籍に入った人も..

2010年11月1日、ロシアのメドベージェフ大統領が北方領土である国後島をロシアの大統領として初めて訪問。
樺太といい、北方領土といい、ソ連によって不条理に占拠された土地に我が物顔で来られては旧住民としては、やりきれないだろう。
住み慣れた土地を不条理にも追われたり生命を落とした人達の怨嗟の声が聞こえてきそう
である。 
稚内公園に有る「氷雪の門」
稚内公園に有る風力発電設備・プロペラの直径は
30mも有るとか? 後方に見えるのは開基百年記念塔

記念塔から氷雪の門を見に行く。観光バスが来ていて、結構人が居た。氷雪の門は樺太から引き上げてきた人達の望郷の念等を表した女性の像が間に有る。
周囲の花壇にはチューリップがキレイに咲いていた。
近くには昭和天皇が行幸の砌に詠まれた歌碑も有る。

稚内公園を後にし、防波堤(北防波堤ドーム)でも見に行こうかと思ったが弟が億劫がったので行かず。
レンタカー
を返して宿に向かう。地図が分かりにくかったが、簡単に見つかりチェックイン。
風呂もトイレも部屋とは別という、
今となっては珍しい作りだが料理はカニやウニ、イクラ、タコしゃぶ等が食べられて満足。タコしゃぶのタコは真蛸ではなくミズタコという大きめのもの。これは、しゃぶしゃぶにすると真蛸だと具合が悪いとか..
タレを付けて食べ
る。夜は思ったよりも暑くて眠れなかった。何しろ暖房器具は有っても冷房設備が無いのである。 
旅館の料理(鍋はタコしゃぶ用、蓋をしてある器は茶碗蒸し、手前のフライは鮭)
旅館の料理(手前の白っぽい物がミズダコの冷凍物、
毛ガニは半身、右上はウニ、ミソ汁はホタテが入ってた)

朝は7時に朝食を摂って出発。スーパー宗谷で旭川に向かい、お昼前に旭川に到着。
 稚内駅
特急スーパー宗谷(稚内〜旭川間)

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