発泡スチロール球の大きさの決定(2億倍のNaOH結晶模型のイオン用)

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a.ナトリウムイオン(Na+)
  Na+の直径は2.32Å、2億倍すると4.64cm。Na+として、直径が 4.5cmの発泡スチロール球を使いました。
  (R.D.Shannon,Acta Crystallogr., A32, p.751,1976、 日本化学会編『化学便覧基礎編改訂4版』II-726, 丸善,1993)

b.水酸化物イオン(OH-)の酸素原子
 (OH-)では、酸素原子と水素原子の電子雲が深く重なり合って共有結合しています。この酸素原子と水素原子として使う発泡スチロール球の大きさは、次のようにして決めました。 水酸化ナトリウムの結晶中では、ナトリウムと酸素の原子間距離は 2.30Åですが、この距離はNa+の半径と、OH-になっている酸素原子の半径の和です。この値からNa+の半径 1.16Åを差し引くと、酸素原子の半径は 1.14Å(直径は2.28Å)となります。この値は酸素原子の直径 3.04Å(van der Waars)、酸素イオンの直径 2.52Å(イオン結合している結晶中で、配位数6の時の値)のどちらよりも小さいです。
 金属酸化物の2億倍結晶模型を作るときには、酸素イオンの直径 2.52Åを2億倍すると 5.04cm になるので、酸素イオンとして 5.0cmの発泡スチロール球を使っています。水酸化物イオンの酸素原子はこれよりも少し小さいのですが、酸素イオンと同じ 5.0cmの発泡スチロール球を使うことにしました。( 榊原郁子『日本理科教育学会北海道支部会報』 8号, p.1〜7 ,1994)

c.水酸化物イオン(OH-)の水素原子
 水酸化ナトリウム(NaOH)の結晶中で隣り合う水素原子間の距離は 2.1Åです。2億倍では 4.2cmになるので、直径が 4.0cmの発泡スチロール球を使うことにしました。2億倍の分子模型を作るときには、水素原子として 5.0cmの発泡スチロール球を使用しているので、それと比べるとかなり小さいです。(水素原子のvan der Waars直径は、2.40Åで、2億倍すると4.8cmになります。)

d.水酸化物イオン(OH-)
 水素原子として 4.0cm、酸素原子として 5.0cmの発泡スチロール球を使い、水素と酸素原子の中心間の距離が、1.96cm(0.98Åの2億倍)になるようにするには、球の一部分を切り取らなければなりません。切断面の直径が 3.8cmになるように 4.0と 5.0cmの発泡スチロール球をカットして接着します。

 イオン結晶では、(+)のイオンと(ー)のイオンが静電気力で強く引き合っています。単独では球形の広がりをもっているイオンも、結晶の中ではまわりのイオンとの相互作用で多少の変形を受けていますが、できるだけイオンの大きさに合わせた発泡スチロール球を使うことによって、実際の結晶に近いイメージを持たせられる結晶模型になると考えています。

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