補足・感想 前編
自分の書いたレポ(?)を印刷してみたら、A4で34枚ありました。その前に下書きを50枚近く書きなぐっていたんだから、腱鞘炎にもなるはずです。 やみくもに書きまくった分、間違っているというか、頭の中で勝手につなげているところが本当に多くて。他の方のすばらしいレポを読むたび、情けない気分になったり、落ち込んだりもしましたが。私の頭の中に記憶されてるものだという前提でやっていたんだからと、今は開き直っています。 ただ、それとは別に。 レポを書く時点で思い出せなかったことはともかく、観劇の時点で聞き取れなかったり、見ていなかったものに関して話が盛り上がっていると、かなり悔しいことに最近になって気づきました。 南原さんだけが目当ての6回のリピートでしたが、どうやらいつのまにか「ユーリンタウン」というミュージカルが好きになっていたようです。 全公演終了してから気づいたのが良かったのか、悪かったのか。 もし、本当に再演があるなら、全部の台詞を聞き取れるまで、アンサンブルの方が何役やっているのか判るまではリピートしたいんですが、それには何回見なきゃいけないんだろう。 今回だって6回も見たのに、6回とも全く同じとこだけを見てたとしか思えないくらい、見てないとこは本当に全然見てないし(^^; 難しいことは何も判りません。 日記の壊れ具合を見ていただければ判るように、2階席で見た2月11日の公演を私はとても楽んだし、すごいと思って見てました。逆にいうと、あちらこちらで書かれてる「東京公演終盤にかけて驚くほどよくなった」というのが実はよく判らない(ユーリンタウンは結末との落差のためにも絶対に「笑い」が必要で、その「笑い」の元となる「アドリブ」が後半になるにつれ増えてたっていうのは判ります。ただ、初期の状態でも私は何も不満に思わなかったので)。ある意味、非常に性質の悪い観客です。 というわけで、ここからはそんな偏った視点からみた、ミュージカル「ユーリンタウン」の感想です。 「開演前」 マルサス。プログラムの帯、開演前のステージと目立つ位置に書いてあっても、まさかこの名前がそんなに重要だと思ってませんでした。判ってしまえば、最初から結末は提示されている。サーチライトに照らされる場内。客席を歩く看守。会場がそのまま牢獄で、「みな罪人」で、「私たちのいる場所が、ユーリンタウン」という感じ。開演前のその雰囲気も好きでした。 「オープニング」 ユーリンタウンの中で「一番好きな曲は?」と聞かれたら、最初に流れた曲(CDでいうところの「overture」)を選びます。今でもCDを聞いた瞬間に心がざわめくというか、ドキドキする。同じような旋律なのに、少しずつ微妙に違って。緊迫感だったり、静かさだったりを表現してる感じがして。 台詞のないまま、曲の変化にあわせて人が動く。幕が外され、檻を叩き、笛がなり。そして、ロックストックが舞台へあがったと思ったら、客席に下りてくる。ここが早いんですよね。心の準備が全くできない。気づくとロックストックの動きを目で追っていて。ステージに視線が戻ったときにはみんな着替え終わっている、という(^^;。 流れるようにストーリーの紹介が始まり、いつのまにか奇妙な設定のミュージカルに引き込まれていく。 リトルサリーに突っ込まれつつも、自分の書いたミュージカルが上演されることが楽しくて仕方ない、という感じのロックストック。 そして、全員で歌う「ユーリンタウン」へ。いろんな歌が、音が重なって、一つの音楽になり会場全体に響き渡る。あの感覚はくせになりますね。そういう意味では、大阪より東京の方が音に迫力があって好きでした。歌詞は全然聞き取れなかったけど(^^;。 プログラムに「ユーリン・グット・カンパニー」と書いてあったので初めて、「ゆうりょう」が「有料」でなく「優良」だったんだと気づきました。というか、社名のロゴが「UGC」なんだから、台詞も「ユーリン・グッド・カンパニー」で良かったんじゃないのかな。「SKIT」とか英語のまま出してるんだし。 書き終わった後から、頭に浮かんだシーンが一つあって。ロックストックが「運の悪い奴はこういうトイレを使うしかない」と言った後、リトルサリーの耳元で「不潔(?)で汚い(?)トイレを!」みたいなことを大きな声で言う。何処に入るんだか、本当にそんな台詞があったんだか、全く思い出せないんですが。 「公衆トイレ No.9」 町の人たちはみんな奇抜な格好をしています。人の顔や名前を覚えるのが下手な私は、この衣装だけでアンサンブルの皆さんを見分けてました。だから、同じ人がUGCの社員やマフィアをやっていても、見ただけでは全然わからない(^^;。中でも変な格好なのがストロング親父。何故に角が生えているのか。何故、一人あんな衣装なのか。そして、何故ストロング「親父」なのか(オリジナルは「Old Man Strong」)。奥さんには名前があるのに(^^;。あのキャラだから、ペニーワイズにおしりを叩かれたり、舞台上で水をまくなんていう露骨な演出が出来たのかもしれないけど。 迫力満点のマルシアの歌が終わると、オフィサー・ロックストック登場。 レポの中でも書きましたが、最初に歌の途中で静止して、町の人たちが笑いをこらえてるのを見たとき、次の歌詞が出てこなくてひっぱってるんだと普通に思ってました(^^;。2回目で、演出だと気づいて。いつ動き出すか、だるまさんが転んだのようなことをやっているんだと気づいたのは、28日。にらめっこのような細かいことをしていたのは・・・終わってから他の人のレポで始めて知りました。何がそんなにおかしいんだろう、とか思っててごめんなさい・・・。 ロックストックといえば、「忘れないでくれ」と何度も戻ってくるストロング親父に「しつこい!」とオーバーアクションでキレる、あのタイミングが好きです。ちょうどこっちも「何回やるんだ?」と思った頃に入るから。 「UGC社長室」 フィップ議員との会話を聞くと悪い奴のはずなのに、行動をみると可愛いおじ様にみえる、クラッドウェル=藤木さん。大河ドラマにも似たような役で出ていたので笑ってしまいました。そして、彼のキャラクターのまま、「ミスター・クラッドウェル」は果てしなく明るく、そしてあほらしい(^^;。悪役までも愛嬌があるから、なんていうか「騙される」んですよね。ここの社員のみなさんも格好は奇抜なんですが、既に私の記憶容量が尽きていたため、区別が全くついていません。 「夜の町角」 檻だけが暗い中にある状態なんですが、このシンプルなセットが、ライトと使い方によっていろんな場所に見えるのが面白い。 さっきまでとがらっと変わって、静かな夜の街角。「やさしいお兄さん」なロックストックと、「ちょっと生意気な妹」リトルサリー。「こんな時間に・・・」の台詞がすごい優しい声でした。下では丸見え状態でみなさん着替え中。その落差もおかしい。 ここの会話を聞いていると、世界的な水不足なんだとしたら、街をキレイにとか言ってる場合ではなくて。水洗トイレ自体を禁止しないと駄目じゃないか、とロックストックが嫌がりそうな余計なことを考えてしまう(^^;。雨が降らなきゃ、作物も育たないだろうし。お風呂も洗濯も無理そうだし。 「おまわりの歌」 歌いだす前、遊んでるみたいに踊るロックストックと、それを笑いながら見守るバレル。微笑ましく見えるけど、実は人を殺した話の後・・・と思うと急に怖いシーンに見える。歌も「飲んじゃった〜」とか言われると笑っちゃって怖がってられないけど、あそこに出てくる人みんな殺されてるんですよね。 ロックストックのソロは、歌唱力がどうのよりもよくあれだけ動きながら歌えるな、と思ってみてました。たくさんの人が動きを揃えてるのが好きなんで、舞い上がっていて歌詞が聞き取りづらかたっと言われても「そうでした?」という感じ。気にしてる余裕がなかったというか。単純に南原さんの声と歌は好きだし、冷静に判断とか無理。「とどめは終点 ユーリンタウン」で警棒を取り出してくるっと回しながら取り出す手つきも好きでした。 「ハートの告げるままに」 一番、どこが面白かったかといわれたら、この場面を選ぶかも。ボビーとホープのかみ合わない会話の「間」が好きでした。キャラクターがずるいですよね(^^;。「物理的にあり得ないわ」とか「真空状態が?」とか。ボビーは無意識にスポンジを振り回してみたり、自分の胸を叩いてしまってみたり。べたでお約束だけど、可愛い。下には天使がミニコントしてるわ、上にはロックストックとリトルサリーが控えてるわで、二人から目線が逸れそうになったけど。 二人が舞台から去ると、檻が回転してロックストックとリトルサリーが舞台の中央へ。ボビーのアドリブに対抗するロックストック(^^;。長く泣きすぎて(多分)リトルサリーに「泣かないの」って言われてたのが、私の見た中では一番面白かったかな。「おやすみ、だって〜」と直前のハプニングを即座にネタにした東京千秋楽も感心したけど。 ここで、ロックストックが「ユーリンタウンなんてない」と暴露。 「空をみろ」 マルシアの歌とはまた違う迫力。南原さん、たとえが上手いですよね。マルシアの歌は魂に響く。別所さんの歌を聞くと、惚れそうになる。歌が響くんだけど、刺さってはこないというか。包まれる感じ。 「うさぎになるな」 人形コントのところ、ロックストックとバレルが自分の人形を机の下から取り出して背中に隠してたり、人形が飛ばされた後で自分たちの人形を片付けにセットの裏に行ったりしてたのが妙にてきぱきとした動きでツボでした。テンポよく台詞が続くから、タイミングが大切なんでしょうね。 歌の時も、ロックストックがすごい真剣な顔で机を動かしてるし。 「第一幕 フィナーレ」 歌と踊りのビックナンバー、ですよね。他の方の感想を読んでやっと思い出しました。なんでだか、頭の中で「バックナンバー」になってたんだけど、絶対違うと思って書きませんでした(^^;。ここもまた、それぞれが別々の歌詞を歌っているのに、会場全体で「音楽」になって響き渡る。気持ち良いし、好きなんだけど何を歌っていたんだかさっぱり(^^;。通路で向かい合って歌うとこは、中央のブロックに座ってると迫力あるでしょうね。一度くらい、真ん中よりも前で見れば良かった(前の方も取ろうと思えば取れたんだけど、追加分は通路際の席を優先してたんで後ろばっかりになってしまった)。 ロックストックにボビーがマイクで応戦するところ、ベタだけど毎回笑ってました。最終的にはクラッドウェルがすごい設備のマイクを持ってくるし。 クラッドウェルにマイク取られて怒ってみたり。帰ってきたマイクを汚そうにバレルでぬぐってみたり。子供のようにしてたかと思うと、ラストでは紳士になって締めの挨拶。 灯りがついた瞬間、ため息ついてた気がします。あんなに密度の濃い1時間ってなかなかない。。 |