☀☀☀太陽光発電の実践☀☀☀

☀2☀ <太陽光発電の性質と可能性>
 太陽光は、ただで得られるものです。また得られた後は何も残らないという性質です。他の物ではこうはいきません。
  例えば、火力発電であれば、重油や天然ガス等の燃料を必要としますし、発電した後には温室効果ガスであるCOを初め、種々の有害ガスも発生します。原子 力発電であれば、ウラン235が必要ですし、使用済み核燃料の後始末も非常に大変です。また、今回のように万が一の事故が起れば大変なことになります。つ まり、燃料の調達、運転中の制御、後始末と全ての場面において技術が必要ですし、コストもかかります。
 ところが、太陽光発電においては、最初にパネルを設置したら、後は日が当るのを待つだけ。廃棄物の心配も、万が一の事故の心配も不要。
 つまり、何もしなくてもタダで安全にエネルギーが生み出される、それは何ともありがたい物なのです。
  ですが、当然のことながら、これはお日様任せ、お天気任せ、つまり、人間の手にはどうにもならない気まぐれなものなのです。ですから、太陽光発電で定期的 に工場の機械を動かそうとか、電車を動かそうなんてことは出来ません。曇りや雨の日は、会社はお休みなんてことになってしまいます。夜も全くダメ。当たり 前ですよね。
 そもそも、こういう当たり前のこと(日が当らない限り発電出来ないお天気任せの発電)をきちんと理解しない(認めようとしない)で、太陽光発電こそ代替エネルギーと夢を見ている人が非常に多いと思います。
 そこで、もっと科学的に太陽光発電の可能性を考えてみることにしましょう。
 そもそも太陽光発電のエネルギー量は非常に小さいものです。山手線内にパネルを敷き詰めてやっと原発1基分なんて言われますが、まさにそのとおり、というよりもそれよりもずっと性能が悪いのです。
 今、市販されている畳1枚くらいの大きさのパネルで、約150W/時の出力です。屋根の上に10枚並べて1500W=1.5kWです。これは平均的なクーラーを動かすのに必要な電力です。
 よく、屋根の上にソーラーパネルを敷き詰めて、電力会社に電気を売っている家があります。こういう設備にはおよそ300万円くらいかかります。15年以上かかって元が取れるといいます。
  では、その間、電気代はタダなのかというと、そうではありません。先ほどのように1.5kWの発電ではクーラーも動かない。つまり、電力を食わない照明 や、テレビなどをつけるだけで、肝心の電気を沢山使うエアコンはタダで動かせないのです。もちろん、電気代は安くなりますが。
 さて、ここで計算している畳1枚分の面積のパネルで150W/時というのはあくまで、最大効率の場合です。太陽光線がパネルに垂直に近い角度で十分当っている時のことで1日の内では約3時間と計算するのが普通です。
  つまり、日中の太陽の高度が高い正午近くの3時間が、この最大発電量を発揮できるのであって、それ以外の時間はかなり効率が落ちます。なぜなら、通常の ソーラーパネルは、太陽光の追尾システムがついていない(屋根にただ置いて有るだけ)ため、太陽の高度が低いと斜めから太陽光があたり、単位面積当りの太 陽光のエネルギーが小さくなってしまうからです。
 また、太陽が雲で隠れれば効率はぐっと落ちます。雨が降ってパネルの表面に泥埃がつけばこれもまた効率低下の原因になります。
 太陽光発電は確かにクリーンなエネルギーですし、元手はかかっても後はタダで安全にエネルギーが得られる理想的なものです。ですが、全くの気まぐれでしか発電できないのも確かです。最大の効率の時ばかり夢見て太陽光発電にのめり込むのは間違いです。
  サハラ砂漠のように雲がほとんどなく、晴れしかないような場所で、広大な砂漠にパネルを設置するのであれば可能性はあるでしょう(それでも砂嵐によるパネ ル表面の遮へいの問題がありますが)。ですが、日本のような狭い国土で、天候の変化に富むような場所では、そもそも太陽光発電でエネルギーを賄おうとする ことは不可能なわけです。
 つまり、先ず、私たちがきちんと認識しなくてはいけないことは、代替エネルギーとして太陽光発電を選択することは不可能であるということです。


←前へ     次へ→

太陽光発電の実践のトップへ