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Theater Report #56
       

06.Feb.02
 昨日に続き“BUGLISI/FPREMAN DANCE”です。

 1.FRIDA(1998)
 2.DANCES FOR SEVEN (World Premiere)
 3.SUSPENDED WOMEN(2000)

 以上3作品でした。

1.FRIDAは、メキシコ出身の画家Fridaの愛と希望と苦悩を描いた作品です。愛は、単に夫婦間の愛に留まらす彼女自身への自己愛、作品への愛情など彼女を取り巻く状況の中に存在する凡ての愛を含んでいます。希望も苦悩も同様に彼女を取り巻く凡ての物に対する愛に対しそこから生まれてくるもの凡てを含んでいる。これらを3人の女性ダンサーによって描いていた。舞台正面奥にはスクリーンがつるされそこに幾枚もの彼女の作品が映し出され、上手の椅子に立ってスカートを広げそれをスクリーンとして映されたスライドもあった。
 昨日のレクイエムと同じくBuglisiの振り付けですが、昨日とは違い意識は決して上へ許りは向かわず、地平と平行に向けられていたように思う。
 始まってすぐ何らかのトラブルがあり(多分スライド関係)5分ほどで一度幕が下りてやり直すというアクシデントがあったが、やり直した後は素晴らしい舞台であった。
 これでもう少し音が控えめで有れば言う事なしなんだけど。昨日よりは今日は音は控えめであったがそれでもこの作品の始まりの音はもう少し抑えて観客がダンスの世界に入っていく事を助けるべきであろう。

2.“DANCE FOR SEVEN”はタイトルの通り7名のダンサーの為のダンスで昨日3作品を上演したForemanの振り付けである。3組のカップルと1人の女性ダンサーによって踊られるダンスは、1枚1枚のレイヤーの上に登場人物が描かれるように登場し、レイヤーは最終的に凡てが重ねられる。この作品のベースにあるものも愛だと思うが、昨日同様Foremanの振りは最終的に暗くならない。これも見ていて非常に楽しくなる作品で素晴らしかった。
 この作品はPianoの生演奏による伴奏で、昨日の反省か客席では生音とリバーブ成分のみが聞こえ、マイクは殆ど舞台上の返しの為だけに使われていた。気持ちの良い音であった。

3.“SUSPENDED WOMEN”は再びBuglisiの振り付けでCompany凡てのダンサーによって演じられ、様々な女性の日常生活の中にある喜怒哀楽を描いたこの作品は、凡ての女性に捧げられている。この作品の根底にあるものは人間愛だと思う。これも素晴らしいダンスであった。
 今日と8日の2回だけは、ヴァイオリンが生で入り、CDの伴奏で演奏する。9日マチネと10日のソワレは凡てCDでの公演となる。
 個人的にはCDだけでの公演の方がダンスに集中出来るのではないかと思う。ヴァイオリンの音とCDの音が解け合ってなく、気になった。

 今回2日間に渡ってリハーサルを見学させて頂いて感じた事は、「やってる事は日本と変わらない。」という当たり前の事であった。そして一番驚いたのが意外に音に気を遣っていない事である。もっとちゃんとしたサウンド・デザイナーを入れて音を管理させるべきであろう。2日目は初日の反省で何度も音響ブースに音を小さくするように指示がでていたが、何度もそんな事を指示しなければいけない音響スタッフを使っている事自体に驚かされた。彼は劇場のエンジニアでCompanyが劇場入りして初めてDanceを見たのではないだろうか?だとしたら彼もほんの少し可哀想だ。だが何よりもっとダンスと音楽と舞台に愛情を持ったスタッフを使う可きである。

 Dance自体は2日とも素晴らしい物でした(少しトラブルもありましたが)。ダンスがお好きな方は機会がありましたら是非御覧下さい。出演者の1人、折原美樹さん年に何回か日本での舞台に出演します。とても素晴らしいダンサーですので是非そちらの舞台も御覧下さい。詳しくは彼女のホームページを御覧下さい。リンクのページから行けます。

 2日間も部外者をリハーサルに同席させて頂き誠に有り難うございました。恩を仇で返すような勝手な事を書いてすみません。
 本当に素晴らしいDANCEでした。こんな素晴らしいCompany、Dance、Dancerと仕事が出来る事が大変羨ましく思いました。それだけにあの音は惜しい。

 BUGLISI/FOREMANの関係者の皆様、本当に有り難うございました。
 心より感謝致します。
Buglisi&Foreman仕込み図
Buglisi&Foreman仕込み図