10/23

 本日は、このツアー最後の都市Gentである。と云ってもAntwerpenから60q程なのでホテルは移動せず、仕込んで本番が終わったら又同じホテルに帰ってくる。明日のマチネが楽日になるのでバラシもない。本当の処この居心地の良くないホテルは替わりたい所だが、まあ良しとしよう。
 このホテルの居心地は本当に悪い。もし皆さんが海外旅行をする時は、ACCORグループのNOVOTELは出来れば避けた方が良いと思う。特にAntwerpenのNOVOTELは止した方が良い。先ず何と言って従業員が、客商売なのにフレンドリーではい。空調のダクトカバーが落ちる、椅子が壊れる。

 11時にホテルを出てGentの劇場に12時に着いた。ちらっ、と劇場を覗いてどうしようと思いつつ街に昼食を食べにでた。Gentは古い街並みの観光地なので歩いた範囲には観光客用の高めのレストランしかやってなかった。やっと見つけたパン屋で菓子パン2つを買って、これが今日の昼食となった。お腹は膨れなかったが、胸は焼けた。

 さて仕込み、困った事はまあ3つ。一つ目この劇場はバトンではなくトラスに照明器材を吊る。然し文字幕が全く無いのでトラスが丸見え!二つ目、吊る所もないが、袖幕も数がない。従って客席から袖中が丸見え状態!三つ目、一階席の客席が舞台に対して斜め!ちゃんとシンメトリーの様な振りをしていながら実は斜め!微妙にずれていて舞台のセンターが実に判りにくい!ちゃんと確認して置いたセンターランプがセンターからずれている様にみえる。舞台前、中央、奥に付けた印がずれている様にみえる。ちゃんと糸を張って直線を出したのに曲がっている様に見えるのだ。何という客席だ全く!これなら端っからシンメトリーじゃない方が未だマシだ。
 でも劇場のスタッフは昨日までとは打って変わってフレンドリーで良い奴等だし、何と言っても客席に吊ってあるトラスの前明かりを命綱を着けているとは云え、あんな高い所から合わせてくれたんだから良しとしよう。合わせた後どうやって降りてくるんだろうと思っていたら、トラスから垂らしたロープに捉まってスルスルと降りてきた。あれは凄いなあ。

 本日満席!何で?と思う位大受け!客席でオペレートをしているSの話では、AntwerpenでのTV取材の映像をよく見ていて、TVで見た所になると待ちかまえていた様に受けていたそうだ。

 本日の不幸指数、菓子パンで胸が焼けて40Point!

昼食を求めて街を彷徨っていてプチ観光になってしまった。
よく判らないけど兎に角大聖堂。
Gentの観光スポットの内の一つ、
近くには他にも観光名所らしき建物があった。
大聖堂前の道をもう少し進むとこの広場に出る。
左側の大きな建物は劇場!らしい。
Action・Machineが公演している
CAPITOLE GENT

此処は大変由緒正しき劇場で
フレッド・アステアやジョセフィン・ベーカー
も舞台に立った事がある。

他の劇場だって結構な物を
やってきた所ばかりだったけど、
アステアの看板が大きく掛かった
昔の写真を見ると
何となく嬉しくなってしまう。

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10/24

 ツアー千秋楽御目出度う御座りまする!本日も賑々しくご参集頂き誠に有り難く存じまする。一段高い舞台の上より誠にご無礼様に御座りまするが、心は遙か下座に下りまして心より、誠に心よりお礼申し上げ奉ります。初日よりこれまで大過なく舞台を務めてこられました事誠に嬉しく存じまする。それもこれも凡て皆々様のお陰と存知、心よりお礼申し上げ奉ります。
 さて我らをサポート致してくれましたピーター・ゼンケル君、これより五日間之お休みを頂その後はアイリッシュダンスとの旅に出掛けまする。然し乍らそれはたったの三週間!それにて本年の御用納めとなりまする。(ううううう羨ましいぞー!馬鹿野郎ー!コン畜生!)
 又ジャスミン・フィッシェル嬢は、休む事さえ許されず明日は何と500q離れたハンブルグに9時到着予定で次のツアーの出演者をピックアップに行き、何と何とその方々をベルギーの他の都市までお連れ致すとの由、誠に誠にご愁傷様に御座りまする。(一体一日で何q走るんだああああ?!!!)

 実際の処、大変好評の内に千秋楽も無事に終える事が出来た事は誠に有り難い事だ。最後のバラシを終え、後援会の方々にパーティに招いて頂いたので出席させて頂いた。そこでGentの名物料理(鳥のクリーム煮)を頂き、話は尽きぬ中、御開となりAntwerpenのホテルへと帰った。みんなはバスで帰ったが、私はジャスミンと最後のドライブと云う事でジャスミンの運転するワゴンで帰った。一緒に帰って良かった、私が一緒に乗ってないとジャスミンは道を間違える所であった。ジャスミンは明日朝早い(5時出発)と云うのに夜のハイウェイを彷徨う所であった。最後のドライブ、つまり最後のビアステーション(ガソリンスタンド)への寄り道でもあった。私はビールとワインを買った。ホテルに着いて車を降りた所でビアステーションで呉れた袋が破れてワインが落ちて割れた!哀号!哀号!私悲しい有るよ。今夜のワインどうしてくれる有るよ。哀号!泣いても泣き切れない有るよ!不幸は何処に転がっているか判らない。

 ホテルにはいると何事かホテルスタッフが殺気立っていて騒々しい。エレベーターが壊れたとの事!全くなんてえホテルだ!全く最後の最後まで碌な事が起きない!部屋は3階とはいえ、大した荷物を持っているわけではないので今日の処はまあ良いが、明日荷物を下ろす時までに直しておけよ!でもダンサーには可哀想であった。ツアー中トラックに載せていた荷物も今日は持ってきて荷造りしなければならないので当然何時もより大変荷物が多い!最後でケチを付けられた様で気分も悪かろう。

 明日は約400q走ってフランクフルトへ行き、いよいよ明後日は帰国だあー!ヤッタネ、長かったがこれで終わり!35日間警察にも救急車にも消防車にも駆け付けられることなく旅を続けられたのは間違いなく、亀のご加護のお陰です。お釈迦様!有り難ううううう!

 本日の不幸指数、全体的に朝から夜ホテルに着くまで幸福な気分に溢れていたがワインを失った上にエレベーターの故障で幸福気分に思いっ切り水を差されたので75Point!と云いたい処だが今日は千秋楽!大盤振る舞いで100Point!!!!(「何のこっちゃいなあ、何もそこまで!」「イヤー!サービス!サービス!」何のサービスやねん、全く!)

CAPITOLE GENTの客席。
よく見ると一階席の座席が奥に行く程
下手に振っている。
お分かり頂けるであろうか?

2階席から見た舞台。
このツアーのスタッフの面々。
結構みんなお茶目です。
招いて頂いたパーティの会場が判らず路頭に迷う子羊たち。 迷いつつも予約時間よりも早く着いてしまったので30分程街を散策していたらこの城があった。 同じく散策中に見つけたライトアップされた建物。

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10/25

 今日は、エレベーターの壊れたままで荷物を下ろすのにとても大変なホテルのあるAntwerpenとついにお別れして、400q程走ってFrankfurtへ来た。明日のフライトに備えて空港近くのホテルでEurope最後の夜を過ごす。
 然しただホテルに来たのでは早すぎるのでFrankfurtのdowntown辺りを2時間程ウロウロとプチ観光した。然しまあ余り観るものはなかった、と思う。何せ観光案内を持っていないのでよく判らず、Frankfurt(Main)駅の辺りをウロウロして過ごした。昨日のリベンジに安ワインと若干の食料を仕入れてホテルにやってきた。個人的にささやかにプチ打ち上げである。

 明日はいよいよ日本へ帰るぞおおおおおおうううううう!!!!!
 アウトバーンの塵となる事もなく此処まで来たぞおお!寝むた目のジャスミンが携帯で電話したり、私に話しかける時に私の方を見たり、綺麗な風景を見ると余所見をしながら180qでぶっ飛ばしても何事もなく此処までこられました!最初の目標通り「生きて帰る」ぞおおお!!!後は飛行機が落ちない事をお釈迦様にお願いするだけだあー!

 嗚呼最後の最後にインターネットに繋げないいいいい!!!!!カプラーも駄目だあああ!!フロントに聞くとWirelessLANしか駄目だという!電話回線はロックされているという!!アクセスポイントに電話すると「ピーーーガシャガシャグヲヲヲウシュウ」というのになああ!!!Essenの作戦も駄目だあーー!嗚呼悔しいいい!!今度ヨーロッパに来る時にはWirelessLANを持って来ようううう!!!殆どのホテルで使えそうだったのでその方が回線速度も速いしそうしよううう!でも何時になる事やら分かんないけどね(;。;)。

Frankfurt(Main)駅
「世界の社葬から」

今日はフランクフルトから赤い列車を
使った社葬をお送り致します。

な訳はない。
個人的プチ打ち上げにしては食料が多いか?

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10/26

 9時30分にロビーに集合してフランクフルト空港へ!
 フライトまでの間は、お土産なんぞを買ったり、ドイツ最後のビールを呑んだりして過ごした。出国手続きは此処でも簡単な物だ。然し今回はスイスで入国した時もハンコを押してくれなかったし、勿論陸路での出入国でもハンコは押してくれなかった。そしてフランクフルトを出る時も無しだ。パスポートのハンコが増えない!「ああ此のハンコは何時何時に何処の国へいた時の物だ」なんて云う老後の楽しみに全くならない!一つ此の希望する者にはハンコを押すというシステムにならないものだろうか?

 実に堂々と店を構えているのでご存じのお方も多いかも知れませんがフランクフルト空港にはポルノショップがあります!こういう物を空港構内、それも普通のお土産屋と並んで有るのには少々驚いた。
 10回程金属探知器を潜らされたおじさんの列に並んでしまったので少々苛々しながらも最後には「これはコントか?」とおかしみさえ湧いてきた手荷物検査を終え、お土産を買ったりドイツで最後のビールをフランクフルターソーセージを食べながら呑んでゲートに行った。
 そこでのアナウンスに一寸吃驚!「本日はオーバーブッキングをしてしまったので、全員の方が名古屋行きに乗る事が出来ません。お時間の有る方は東京行きに振り替えて頂けないでしょうか?その場合ルフトハンザ航空より600Euroの金券を差し上げます。」結構何回も放送していた。名古屋に迎えが来なくて、帰ってすぐ仕事じゃなかったら600Euroゲットして東京経由で帰ったかも知れない。一寸迷ったなあー。然しまあそんな事をせずに飛行機に乗った。

 本日は写真を撮らなかったのでありません。悪しからずご了承下さい。


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10/27

 美味くもない機内食を食べ、狭い座席と戦う事約11時間で無事名古屋空港に着いた。次に海外へ行く時は、常滑沖空港かも知れないなあ。家から遠くなるなあ。そんな事より着いたその日から仕事だあー!嗚呼悲しい

みんな無事帰国!
良かったね!

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