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リレーエッセイ:社会を変える全体性の横得を

「想定外」─今年一番否応なしに考えさせられた言葉である。その無責任性、傲慢さはいうまでもなく、カネがいのちより一番大事と言いたげな今の社会を象徴する言葉である。今年の流行語大賞を授けたくなる。
 原発の技術はどこまでいっても、破壊の技術、戦争技術であることにかわりはない。「平和利用」などと誤魔化して人々を惑わすから、オメデタイ人々もたくさんいる。遺伝子組み換え技術もしかり。想定外・未知のことだらけの技術なのに、そんなことはおかまいなしに突き進められる。その結果、必然的に破局を招き、多くの人々を不幸に陥れる。
 原発にしろ、遺伝子技術にしろ、科学というよりは政治(資本)の問題。政治がその技術をカネになるものに仕立てる。カネになるからそれに群がる連中が増え、勢力を拡大する。
 原発を進めていく社会の歩みは、一昔前に戦争に突入して行った時代の流れに似たものを感じさせる。何百万のいのちを犠牲にしても止めなかったのだから、原発も何度も破局を迎えても止まらない可能性もまだまだ多く残る。「怖い」だけでは止まらない。止めるためには何が問われなければならないのか?
 政治、支配の問題、何故人々はかくも騙されやすく、奴隷の地位に甘んじるのか? また、そのことに気づきもしないのは何故なのか? いのちより大事なカネとは何?
 資本力=社会全体を組織する力が弱くなり、行き詰っているとはいえ、自然消滅を期待するのは無理なのであろうから、それを超える社会全体のイメージを日々の営みの中から鍛えていかなければならないのであろう。
 直近の課題となっている「脱原発」も、その大きな転換点にすることができるのではないか。今の社会に根本から対抗する「脱原発社会」をトータルに、魅力ある社会思想に!
 部分から始まるにしても、それが全体性を獲得できなければ、本当に社会を変える力にはならないのだから。
 (鈴木伸明:関西よつ葉連絡会)


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