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研究会報告:グラムシ研究会

現代へのグラムシのアドバイスは? −研究会を振り返って

小泉政権を期に、格差社会という言葉が広く使われるようになってきました。しかしながら、小泉1人の力で格差を作り出した訳ではありませんから、格差が生じる理由、背景があるはずです。

時代を100年遡ると、洋の東西を問わず格差は当たり前です。歴史的に見ると、今日ほど富裕層と一般庶民の生活格差が縮まったこの100年、日本で言えば50年位こそが、特殊な時代であったと言えます。小泉政権までの比較的格差の少なかった時代がどうして生まれてきたのか、と考えるほうが妥当な発想のようです。

日本では高度成長期に経済が膨らんでゆき、一般庶民は重要な労働資源であったし、大量消費を推進し一層経済を拡大していく原動力でもありました。一般庶民の生活の中にまで物質的な豊かさを導入することで、大量生産・大量消費を実現、中産階級という社会層を作り出しました。

原点は、ル−ズベルトのニュ−ディ−ル政策、フォ−ディズムという考え方にあります。子どもの頃、フォ−ディズムの先進国アメリカから持ち込まれた『ビ−バ−ちゃん』や『パパは何でも知っている』というテレビ番組をブラウン管越しに見せられて、豊かなアメリカに憧れるように仕向けられていた訳です。

フォ−ディズムの波は、発展途上国へとスライドしてゆきます。本家アメリカでは、日本より一足先に格差社会が生じてゆきます。時を経て、日本でも今、本格的な中産階級の切捨てが始まっているというのが、自然な見方だと思います。

フォ−ディズムは共産主義を凌駕し、環境問題を引き起こし、果ては人類存亡の危機まで引き起こしています。こんな時代を迎え、グラムシからのアドバイスがあるとすれば、地域と個人の自立、権力への従属からの解放、物欲や我欲を排した慎ましい生活の追求だと思われます。(村上忠政:京滋センタ−)


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