タイトル
HOME過去号34号

リレーコラム:「地域・自治」

2学期制移行は「ゆとり教育」の矛盾の尻拭い

高槻市は07年度から一斉に、公立中・小学校と幼稚園に2学期制を導入すると決めています。その調査研究の目的で、今年度に試行実践した16校の報告会が、10月28日に行われました。会場の桃園小学校体育館は、保護者、教育関係者で一杯でした。それだけ、2学期制への不安、教育に対する関心が高いことをあらためて感じました。

導入に当たっての目標、基本方針、具体的実践などについて、各学校から報告がありました。夏休み前の小学校の個人・3者懇談の実施、成績補助簿の作成など、それ自体としては興味のある取り組みもありました。が、あえて言えば、それらは2学期制でなければできないものではなく、今の3学期制の中でも可能であり、2学期制導入の根拠には乏しいように思えます。報告会に参加した保護者とも話をしましたが、私と同じく「個々の取り組みの報告ばかり。2学期制に移行したら根本的に何がどう変わるのか、教えてほしい」と言っておられました。

そもそも、市はなぜ2学期制を導入しようとするのか? 実は、「ゆとり教育」の名目で行われた完全週休2日制、それに伴う授業時間の減少による学力低下が原因です。つまり、終業式を3回から2回へ、定期試験を5回から4回に減らし、夏休みを短縮することで、減った授業時間を作り出すためです。私はそう理解しています。ならば、2学期制がいいとか3学期制がいいとか、ごまかしの議論ではなく、もっとストレートに、今の「ゆとり教育」を総括し、基礎学力向上のための手を打つべきだと思います。

この間、高校の必修科目の未履修問題が大きな社会問題になっています。これも、元をただせば「ゆとり教育」と、従来どおりの「受験システム」との矛盾によるものです。私はそういった根本的な議論がされないままの、尻拭い・処方箋的な2学期制には反対です。少なくとも今回報告のあったモデル校など実践校の個々の取り組みの課題を整理し、全体化するための議論を、学校関係者だけではなく生徒、児童、保護者とともに行う必要があると考えています。(松川泰樹:高槻市議)


200×40バナー
©2002 地域・アソシエーション研究所 All rights reserved.