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市民環境研究所から:ミカンも半作、安倍政権も半作

自然は半作の次は豊作をもたらしてくれるが・・・

今年の1月、2月の寒さは、ことのほか厳しかった。私が30年近く通っている和歌山のミカン園は標高が300mで、ミカンの産地としてはもっとも高いから、この寒さは南の植物であるミカンには耐え難きものであった。木々は凍え切って寒さに震えていたことだろう。ミカン園の中で陽当たりの悪い部分の木は終日凍りついているが、南向きの斜面の木では、夜は凍り、冬とはいえ昼間の太陽光で氷が溶けるから、氷結と解凍を繰り返すことになる。そうすると、木の葉は生理異常をきたして落葉してしまう。春が来て、新芽の時期に訪れた時には3〜4割の葉が落ちてしまっており、花芽も障害を受けていた。

その結果、果実数が激減して、今秋の収穫は半分となってしまった。厳しく寂しい秋である。1haの園での収量が、去年の20トンから11トンと半作となった。この省農薬ミカンを楽しみに待っていてくれた顧客に注文を断る羽目となり、農家には大打撃である。自然現象とはいえ、つらい実りの秋である。自然相手の生業だから仕方がないと、諦めざるを得ない。

半作といえば、小泉の後を継いだ安倍内閣も支持率が半分以下に早くも低下した。もちろんこの内閣に期待しているわけでもないから、国民が正当な評価をしていると納得である。安倍が任命した政府税調の委員長である本間阪大教授が、スキャンダラスな行為で辞任した。こんな節操ない大学教授を要職に指名した安倍本人の責任は、きびしく問われなければならない。思い上がった大学教授の典型的な振る舞いである。

この手の大学教授好きは、安倍の性癖なのだろうか。この前の衆議院議員選挙の際に、彼の陣営が犯した選挙違反も、思い上がった大学教授が関係したものである。何度か新聞紙上で取り上げられたからご存じの方もあるだろうが、公然と選挙違反をし、当選して首相になった議員もまれである。私の手許に、選挙中に安倍陣営から山口県の有権者に配られた公選葉書がある。公職選挙法で認められて切手不要で郵送されるものである。そこには、「安倍さんを推薦します」と何人かの推薦人の氏名と顔写真が印刷されている。よくあるタイプの印刷物であるが、この葉書を見て、驚愕してしまった。当時はまだ独立法人ではなく、国立大学であった京大教授の中西輝政が、「京都大学教授・評論家」の肩書きで登場していたからである。

国家公務員が選挙活動をしてはいけないというのは常識であり、隠れて選挙活動をしたという理由で何人もの公務員が逮捕されてきた。公選葉書に堂々と登場し、何千枚も配られ、証拠がいっぱいあるのに、安倍陣営も中西も咎められることもなく、野党の追及も尻すぼみとなり、京大当局も訳のわからん言い訳を発表して葬り去った事件である。山口県の心ある人たちが告発しようとしたが、山口県特有の政治風土の中で押しつぶされた。一時、テレビの登場を控えていたか、控えさせられていた中西が安倍政権誕生後、またぞろテレビに登場しだした。

今年は凶作だったが、ミカンの枝には来年の花芽がすでに揃っている。自然は半作の翌年は豊作をもたらしてくれるが、支持率が半分以下となっても悪政を連発する安倍内閣には庶民を豊作に導けそうもない。早い退陣をお願いしたい。(石田紀郎)


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