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リレーコラム:「地域・自治」

能勢町が核廃棄物の処分場を誘致?

昨年10月27日、大阪市内で「放射性廃棄物地層処分シンポジウムin近畿」が開かれました。経済産業省などの主催です。原子力発電所の使用済み燃料を再処理したあとに出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場を作るため、アメ(交付金)をちらつかせて「説明」するものです。そこに能勢町の町長も出席しました。国は2002年、全国の自治体に高レベル放射性廃棄物の最終処分場を公募しましたが、どこからも応募がありませんでした。そこで、これまで年2.1億円だった交付金を、来年度から一挙に10億円に増やし、「札束で頬を張る」強引なやり方で突破口を開こうとしています。

高レベル放射性廃棄物の最終処分場建設に向けた事前調査に協力すると手を挙げるだけで、自由に使える交付金10億円が下りるシステムになっています。まして、処分場ができれば半永久的に交付金がもらえることになります。財政難の自治体なら応募したいのは山々でしょうが、それでも応募しないのは危険性(説明は省略)が付きまとうからです。

断念はしたものの、滋賀県余呉町がこのアメに最初に飛びつき、新聞などでも大きく報じられました。余呉町の町長が地元の住民集会で発言したところでは、シンポジウムの際、能勢町の町長から「うちも考えているのでがんばってください」とエールを送られたとのことです。私は先手を打って学習会を開き、住民にこの事実を知らせるとともに、12月議会でその真意を問いただしました。町長の答弁は「興味はあったが手を挙げることはない」というものでした。

この話には「おまけ」がつきます。能勢町の町長は昨年秋、北摂10市町の首長に直接面談し、政令指定都市に向けた「合併」を持ちかけています。財政難の能勢町が財政破綻を回避するための策略ですが、相手にされなかったそうです。どうやら、合併話を成功させるための「カード」として「処分場の誘致」を持ち出そうとした、というのが実際のようです。結局、さすがに「まずい」と気がついたようですが…。

「トイレなきマンション」と言われる矛盾だらけの原子力施策ですが、今回の件にもその一端が現れているように思います。(八木 修:能勢町議)


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