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リレーコラム:「地域・自治」

選挙における自治会推薦と市長推薦のおかしさ

選挙の時、選挙公報などに自治会推薦や市長推薦を受けていると明記している候補者がいますが、これってどうなのでしょう? いずれも大いに問題があることを指摘したいと思います。

まず、自治会推薦についてですが、そもそも自治会とは、「地域に住む人々が支え合いの精神に基づき、地域を共同で利用するため、日常生活を支える各種の機能を担うとともに、地域を代表しつつ、その区域内に生ずるさまざまな課題に対処することを通して、よりよい地域を形成・維持していくことが期待された組織です。住民自治の自主的な組織とされています」(千葉県佐倉市)。

自治会には、任意団体である自治会と、不動産を保有するため認可され、地縁団体となった自治会の二通りがあります。地方自治法260条の2で「地縁による団体は、特定の政党のために利用してはならない」とされています。候補者が無所属なら政党ではないから合法と思われがちですが、京都府選挙管理委員会(選管)によれば「地縁団体である自治会が特定の政党を支持することは目的外となるため、違法。また、無所属も当然政党に準じて考えるべきで違法の疑いがある」とのことです。

任意団体である自治会について、多くの自治体の選管は「内部でルールにのっとって推薦が決定されている限り、関知しない」という見解です。しかし、岐阜県の選管は「自治会の全構成員がすべて参加し、かつ全員が賛成したのでない限り、推薦はできない」としています。

また、岡山県の吉備高原・北部住区自治会の執行部会は「自治会として選挙等への政治関与(候補者推薦等)は一切行わないことを決定」し、「選挙等の政治関与は自治会運営の本質と基本的に一切関係なく、選挙は地方自治への個人意思での対応とすることが最善で、自治会に選挙等の政治は持ち込まない、自治会は、そのような事柄には関与しない」と通知しています。岡山県の選管は、この結論に対し「一切の疑義はなく、選挙に対する基本的考え方として非常に正しい」との見解を示し、その理由として「町行政の末端業務を受託対応・自主対応する自治会として、町より助成金(自治会年間予算の約50%余り)を授受している自治会の財政内容は半官半民に近い形態を持っていること。自治会長は、少ないとは言え、町から会長報酬を授受していること」を挙げています。

次に、市長推薦についてです。自治体では二元代表制がとられていて、選挙で選ばれた住民の代表機関である議会と首長とが対等な関係を保ちながら、民意を反映した政治を行うことが期待されています。議会(議員)が果たすべきことは、政策形成(専門職としての役割)と監視・統制(チェックとコントロールの役割)です。議会と行政は、適度な緊張関係が保たれて初めて、市民にとって車の両輪となるのではないでしょうか?首長と議員が活発に知恵を出し合い、斬新な発想を投げかけ合い、真に地域のためになる政治を行う必要があります。

にもかかわらず、選挙で市長を推薦人とするのは、「当選したら市長の提案する議案には何でも賛成します」との意思表示に他ならず、「議員が本来果たすべき役割を放棄します」と公言するようなものではないでしょうか? みなさんはどう思われますか?(しのはら咲子・亀岡市議)


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