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リレーコラム「地域・自治」(27)
主権者ほったらかしの政治改悪は許せない

繰り返しになりますが、日本の政治体制は中央集権の立憲君主制です。この間、三位一体改革など、いろいろな改革がなされたかのように宣伝されていますが、政治の枠組みは変わっていません。国会で法律が変われば、自治体はそれに合わせて条例を変えるだけです。地方分権は少しも進んでいません。
 こうした政治の枠組みの中で、今とても危険だと思われるのは、論議を尽くすことができなくなっていることです。たしかに、IT化で情報公開は進んでいます。国の審議会などの論議も、数日後には議事録が公開されています。しかし、その反面、議案上程から採決、施行までの期間がとても早まっています。そのように即決される法律の多くが、「官から民へ」の市場開放分野や社会保障分野なのです。
 こうした法律が私たちの暮らしにどう影響してくるのか、自治体職員にも見えていません。机上の空論で法をひねり回し、あれこれ実験してみた結果、混乱を招いているのが実態です。
 例えば、障害者自立支援法によって作業所などがどんどん潰れています。税制改悪で年金生活者の不安が増大しています。待機児童をゼロにするための認定こども園制度など、子育てに必至な親は知りません。75歳以上が加入する「後期高齢者保険制度」が新設される予定ですが、地域によっては国民健康保険の会計が維持できるか分からない状態にもかかわらず、事前調査は行われていません。
 主権者である私たちの暮らしがどうなるのか充分な議論もないまま、一部の人たちだけが自らに都合のよい政治の仕組みを作っていくことに、許せない気持ちでいっぱいです。政権交代が何度も繰り返され、国会は空転続きで何も決まらない状態になればよい。心からそう思います。(大阪府議・小沢福子)


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