市民環境研究所から
選挙は負けても闘いは続く
京都市長選挙の投票日から2週間が過ぎた。やっと1日だけ雪が降り、道の窪みの水が凍っただけの冬である。異常なのは自然界だけではない。去年の京都府知事選挙に続いて京都市長選挙でも異常状態が発生した。安倍の長期政権と同じく現職の門川も四期目に立候補し、自民公明がまず推薦した。
前号の本欄で書いたように、筆者も市民と野党の連合を求めて「つなぐ京都2020」結成に参加し、共産、れいわ、新社会、緑の党、生活フォーラム関西と共に福山和人候補と選挙を闘った。国政野党の立憲と国民は我々の要請を蹴って自民公明が推す現職を支援した。知事選に続いて、自民公明の後でバンザイをする立憲と国民と社民を見ることになってしまった。門川の21.0万票(45%)に対して福山は16.1万票(34%)、村山は9.4万票(20%)だった。
門川は大型国家プロジェクトである北陸新幹線の京都への延伸、リニアモーターカー建設への参加を提案したが、それらは将来世代に大借金を残し、大企業だけが儲かる事業でしかない。それに対し、福山は「すぐやるパッケージ」で4つの政策を具体的に提案した。①子育て応援セット:中学校給食、子ども医療費の無料化(予算額52.5億円)、②若者セット:返さなくてもいい奨学金など(6億円)、③高齢者応援セット:老人医療費の窓口負担軽減と敬老乗車券の存続(12億円)、④地域経済支援である。
このパッケージ全部でも年間70億円ほどで実行でき、京都市の年間予算8000億の1%程度だと示した。これに対して門川は公開討論会で200億円は必要と反論したが、福山からその根拠を示せと迫られ回答できなかった。その他の政策でも、門川陣営にまっとうな議論を闘わそうとする姿勢は皆無であった。そして恐るべきというか下劣としか言いようのない新聞広告が登場した。
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選挙戦最中の1月26日の京都新聞朝刊広告だ。筆者は朝の犬の散歩から帰り、朝刊を開けて驚いた。「大切な京都に共産党の市長は『NO』」の大見出しの一面広告があった。「京都はいま大きな岐路に立たされています.京都を共産党による独善的な市政に陥らせてはいけません」。戦前回帰の自民公明による「赤狩り」で、民主国家では許されないものである。ネットではきびしく批判され、炎上していた。
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この広告は「有権者を愚弄」し、「戦後の民主主義」を全否定する行為である。この件に関して門川は市民に何も釈明していない。その上に、筆者がもっとも驚いたのは、立民の福山哲郎が記者会見の席上で、「違和感を感じる」とだけ言ったことである。民主主義を否定するものであり、国政の場で野党共闘とか野党連合とか市民と野党の共闘などと言っているのはウソということである。
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安倍内閣の国会軽視がこのような民主主義を否定する風潮を造り出しているのだと思う。なんとかこんな風潮を打破したいと参加した市長選挙には敗れたが、これから市民としてやらなければならないことを多くの人と考えた闘いであったから、めげることなく「つなぐ京都」の決意を深めようと思う。
(石田紀郎:市民環境研究所)