■タイといえばカオマンガイ(鶏のせご飯)も…
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アソシ研リレーエッセイ

地域のことは他人任せにしない


 私は東大阪市で「東大阪産地直送センター」という会社を運営しています。関西よつ葉連絡会を構成する産直センターの一つで、会員さんに向けて安全でおいしい自然食品を配達するのが日々の中心的な業務です。

 以前からの将来構想として、センター併設の店舗を構え、夕方市と地域食堂を土曜日に行い、地域の皆さんや会員さんが集える場所にするという目標がありました。

 手を付けた順番はバラバラだけど、先に夕方市をやりだして9ヶ月が経過しました。おしゃべりを楽しみに来てくれる人やボランティアで店番をしてくれる人も出てきて、運営にそれなりの手ごたえを感じ始めています。次にできるのは地域食堂かな、と考えていたところ……。

 なんと大手コンビニエンスストアのファミリーマートが、3月から「ファミマこども食堂」を全国約2000店で始めるらしいのです。

 イートインスペースを活用して子どもに食事を提供し、料金は小学生までが100円で中学生以上は400円。表向きには住民がコミュニケーションできる場にすることで「地域の活性化」につなげていきたいということです。

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 ファミリーマートといえば、国内16000店舗、海外7000店舗以上の店があるグローバル企業です。振り返れば、コンビニが栄耀栄華を極めるなか、近所のパン屋や街角のタバコ屋がひっそりと姿を消していきました。

 海外のタイでもファミリーマートなどが点在し、近年では日本式のコンビニ弁当を45バーツ(150円ほど)という破格の値段で販売し始めました。

 大打撃を受けたのがタイの食文化を代表する露店屋台です。とうてい個人経営の屋台が太刀打ちできるはずもなく、多くが姿を消していきました。

 この屋台は庶民の大切な台所というだけでなく、タイの非エリート層の重要な働き口なのです。

 世界中でお金儲けの思想をバラまき、自分たちで壊した地域の営みをいまさら活性化したいっていうのは、やっぱりただの売名行為でしょうね。

 地域の大切なことは他人任せにせず、自分でやらんとあかんと心底思いました。

                                         (野口博文:㈲東大阪産直センター)



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