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地域から政治を考える

2018年を振り返る

「勝つためにはあきらめない」こと



 来年は2019年で、天皇の代替わりがある。巷では「平成最後の○○」という言葉が飛び交っている。失われた30年が終わろうとしている。

 2018年は、どんな年だったのか、明確なのは安倍を追い詰めることができなかったことだ。年の初めには、森友問題での財務省の文書の改ざんが明らかになり、安倍晋三と昭恵の関わりを抹殺しようとしていたことは、明らかになっていた。そもそも、公文書改ざんはれっきとした犯罪である。

 にもかかわらず、財務省も、大臣も、安倍夫妻もなんのお咎めもなく過ぎてしまった。また、加計問題でも、決定的な証拠が次々と出て来たにも書かわず、シラを切り通して、そのままになっている。

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 国会審議でも、「働き方改革」法案の審議で、裁量労働制を導入しようとして、虚偽のデータで法案の正当化をはかるなど、法案を通すためにためには、なんでもするというあり方が明確になったが、結局は、裁量労働制を外して、他の法案は強行採決する暴挙に出た。

 そして、会期延長までして、中国地方の豪雨災害の最中に、国土交通大臣まで出て、審議したのがカジノ法案だった。これも強硬に採択された。信じられないような不正が罷り通っている。

 しかし、安倍を退陣に追い込むことはできず、自民党の総裁選挙で石破を破って安倍が3選を果たし、延命した。

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 沖縄では、名護市長選挙で自公の戦術の前に、オール沖縄の稲嶺市長が敗北し、その後オール沖縄から保守派がぬけるなど、困難な状況にあった。安倍政権は、辺野古新基地建設工事を強行し、護岸工事まで終わり、土砂直前までいった。翁長知事が亡くなる直前に、承認撤回を宣言した。

  ■沖縄の民意を示した知事選挙
 翁長知事が亡くなったことで、知事選が前倒しされることになった。後継者に玉城デニー氏が指名され、翁長知事の壮絶な死を受けてオール沖縄は再び結束し、知事選で対立候補に大差をつけて勝利した。続く豊見城市長、那覇市長選挙でも、オール沖縄は勝利した。明確に沖縄の民意を示した。

 しかし、安倍政権は、この民意を無視し、また、玉城デニー知事が求める対話による解決を否定し、行政不服申し立てという、行政機関同士では使わない手段まで行使し、工事の再開を強行した。

 このあからさまな不正にまみれた安倍政権は、延命し、同じことを繰り返しているが、安倍の最大の目標であった改憲は、ますます不透明になりつつある。国会では、いまだに憲法審査会も開催されない事態となっている。

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 来年は、統一地方選、さらに参議院選挙があるが、沖縄のたたかいに学び、連帯し、市民と野党の共同の力で、安倍を追い詰めていこう。乗り越えていかないといけない問題がたくさんあるが、一つ一つ克服していこう。

 安倍政権の継続はうんざりするが、沖縄知事選にもみられたように、足元は揺らぎつつある。安倍の戦術は、国民をあきらめさせることにある。

 そうだとすれば、沖縄の人たちが言うように、「勝つためにはあきらめない」ことだ。

                                              (戸平和夫:北摂反戦民主政治連盟)



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