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地域から政治を考える

各地の選挙で与党系が敗北

情勢の流れは変わるのか?
いや、変えていこう!



 9月20日、安倍首相は自民党総裁選挙で三選されたが、本人が想定していたような全面勝利ではなかった。対抗馬である石破の地方組織を中心とする善戦は、与党内部にも不満がたまっていることを示した。

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 つづく沖縄県知事選挙で、与党側は名護市長選挙、新潟県知事選挙で使った「勝利の方程式」をもって、全体重をかけて臨んだ。しかし、ここでも想定どおりにはならなかった。辺野古新基地の建設に反対した翁長前知事の後継、「オール沖縄」の玉城デニー候補が8万票差で与党側の佐喜真候補に圧勝したのだ。

 その要因の一つは、「勝利の方程式」の要にあった創価学会が本土の上部組織や公明党の思惑通りに動かず、出口調査によると、公明党支持者の3割が玉城氏に投票したからだと言われる。実際には4割が離反したとの説もある。同じく、自民党支持者についても、2割が玉城氏に投票したという。

 与党側が大挙動員し、連日大物議員が佐喜真候補と肩を並べて街宣したのに対して、玉城陣営は候補者と政党の人間が並んで街宣することなく、“沖縄のことは沖縄が決める”という姿勢を鮮明にした。また、ネット右翼によるフェイクニュースを使ったネガティブ攻撃に対しては、若者たちを中心にデマを跳ね返すポジティブなキャンペーンが展開された。その中でも大きく影響したのは、翁長夫人の選挙中の訴えであり、翁長知事の死そのものであった。ウチナンチューの心が動いたのである。

 つづく豊見城市の市長選挙でも、オール沖縄の候補が勝利した。これは、直接的には保守派が分裂した結果だが、オール沖縄優勢の流れに棹さす結果となった。

 さらに、10月21日に投開票が行われた那覇市長選挙では、オール沖縄の城間みちこさんに開票直後に当確がでるほどの圧勝となった。この選挙では創価学会が動かず、自民も力を入れず、与党系の候補者は見捨てられたような状態となっていたそうだ。知事選の結果が大きく影響していることは間違いない。

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 沖縄だけではない。那覇市長選挙と同日に行われた兵庫県川西市の市長選挙では、無所属の新人が与党候補に大差をつけて勝利し、京都府大山崎町の町長選挙でも、自公に加え、立憲、国民、希望が相乗りした候補に、共産党だけが推薦した候補が勝利した。10月14日投開票の千葉県君津市の市長選挙でも、自公が推す市長候補を破って、無所属の新人が勝利した。

 実は、川西市では市長選挙と同時に市議会議員選挙も行われ、私たち北摂反戦民主政治連盟の仲間でもある谷正充さんが初当選を果たした。

 谷さんは、兵庫県議会議員選挙への出馬を決めた前職・北上哲仁さんの後継者として立候補したが、選挙に出ると決めたのが5月の連休過ぎ、半年に満たない短期戦となった。仕事のこと、家族のこと、いろいろ迷った末に決断に至ったのは、これまで北上さんとともにさまざまな市民運動に取り組む中で、地域の中で弱い立場にある人たちの声を市政に届ける役割の重要性を痛感したからだという。

 とはいえ、後継とは言っても、もちろんそのまま北上さんの票が引き継がれるわけではない。谷さん、北上さんを先頭に、選対関係者は地道な努力を重ね、北摂反戦民主政治連盟の仲間たちも陰に陽に応援に加わった。選挙というモロに政治的な条件の中で、地域に暮らすさまざまな人たちとどうつながっていけるのか。この課題を改めて突きつけられたように思う。

 来年4月には統一地方選挙が控えている。北上さんを始め、私たちのほか仲間もいくつかの自治体で立候補を予定している。今回の谷さんの勝利を、ぜひとも来年4月につなげ、さらには7月に予定される参議院選挙にもつなげ、安倍政権を追い詰めていきたい。 
                                      (戸平和夫:北摂反戦民主政治連盟)




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