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地域から政治を考える

市民運動の側から
選挙を主導する動きをどうつくるか


国政ではアベ一強体制のもと、今国会での成立をめざして強権的に共謀罪の審議が行われている。また、アベ政権を揺るがす「森友問題」は、政権一体となって封印し、無理やり幕引きを図ろうとしている。そんな4月、いくつかの選挙が行われた。

 北民連も応援した宝塚市長選挙、島本町長・町会議員選挙は圧倒的な勝利だった。他方、能勢町議会選挙では、支持する候補者は全員通ったが票数では最下部を占め、旧来の地区代表である保守派が大量に得票する結果となった。もう一人候補者が出なければ、無投票当選になることころだった。選挙の結果として、私たちが推す候補者の能勢町内での位置が分かった。

 宝塚市長選挙では、現職の中川さんが保守系候補二人を破って圧勝。自民党推薦の候補は最下位だった。勝ち目がないと思ったか、維新、公明は自主投票になった。島本町でも維新が支援する候補を若い新人の山田候補が打ち破り、町議選挙でも山田候補を支持する3人が上位3位を占めた。まさに快挙だ。

 宝塚市の場合は、現職としての市政の実績が自民党などをよせつけなかった。島本町の場合は高槻市への合併を主張する維新に対し、合併反対の民意が鮮明に反映された結果となった。いずれも争点が非常に明確だったと言える。

 反対に、能勢町の場合は明確な争点もなく、保守派も世代交代する中で、積極的に出馬した者はいない。私たちも独自の候補者を立てることは出来なかった。市民派および野党の町議4人と共に、多くの課題を克服していく必要がある。

 今後の最大の焦点は衆議院議員選挙だ。私がいる大阪9区は、茨木市、箕面市、池田市、豊能町、能勢町という地域を跨いだ選挙区だが、未だ地域を跨いで統一した運動をつくれていない。ようやく各地の市民運動の連携が始まったばかりの状況にある。

 この間9区は大阪の他の選挙区と同様、自民、維新に議席を独占されてきた。さらに維新は、各市町で影響力を強めようとしてきた。しかし、1月の茨木市議選挙でも維新の勢いが低迷し、能勢町、豊能町でも維新の推す町長候補は破れている。とはいえ、衆院選は野党の数合わせでは自民、維新を打ち破れない。市民運動を中心として野党共闘にとどまらない力を発揮することが問われている。

 こうした動きの一つとして、4月29日に関西市民連合のよびかけで行われた関西市民連絡会に参加した。会議の目的は、衆院選に勝利する体制を市民の側からつくること、また、関西での市民運動の連携をつくることだった。大阪北部と南部、京都、滋賀、兵庫の市民運動から参加者が集まった。

 驚いたのは、講師が30代の若者で、話の内容が選挙のための技術に絞られていたことだ。講師は米国で選挙運動に関わっていたらしく、その際のインターンシップのためのマニュアルのようなものを説明してくれた。

 最初の講義では、関西市民連合の若い人たちが講演し、目標の明確化、空中戦と地上戦の結合、運動の発展のさせ方、ポスターローラー作戦などといった選挙区民への働きかけが提案され、その後に各地区に分かれて討議を行った。

 各運動が抱える課題(ここでは「資源」と表現された)を一人一人が書き出し、それを分類し、そのなかで補えない課題を見つけ出すという方式だ。私も含めオジサンたちには馴染みの薄い、「ワールドカフェ」方式だという。それでも最終的には、選挙で勝てる候補者を見つけ出す、候補者が安心できる運動の基盤をつくるという結論が出てきた。ここで積極的な役割を果たしていたのが、市民連合高槻・島本の人たちだ。

 いずれにせよ、地域での活動の浸透、そして、地域間の連携を進めていかなければならないと改めて感じた。   

                     (戸平和夫:北摂反戦民主政治連盟)


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