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地域から政治を考える

日米の植民地支配に対して 沖縄は自己決定権をもとめる

北民連の仲間と共に、3月24日に辺野古へ向かった。3月末で辺野古の岩礁破砕許可が切れるので、それをめぐる攻防が正念場を迎える時期でもあり、3月25日には県民集会が辺野古キャンプシュワブ前で開催されることになっていた。さらに、その前に5か月にわたって不当に拘束されていた山城さんが保釈されるという嬉しいニュースもあり、集会に来るかもしれないと期待した。

25日、わたしたちは、キャンプシュワブ前で、朝7時くらいから座り込みに参加した。あいにくの雨で途中、工事車両が来ないという事を確認して、向かいのテントに移動。北民連として座り込みの参加者にあいさつもさせてもらった。県民集会が始まる11時が近づいてくると続々とバスが到着し、沖縄各地からの人びとが集まってきた。幸い雨も上がり、キャンプシュワブのゲート前の歩道は人で埋めつくされた。3500人が集まったそうだ。感覚的にはもっといたような気がしたが。

山城博治さんは、保釈の条件として集会に参加できないので、集会の前に参加者にアピールをされた。いつもの元気な声が聞こえてきた。集会に参加した人たちは拍手やヒロジコールで応えた。ヒロジさんのメッセージは人びとにたたかいへの決意を高めさせるものだった。

集会がはじまり、オール沖縄の共同代表のみなさん、沖縄選出の国会議員、自治体の議員などのあいさつに続いて、知事になって初めてキャンプシュワブ前にきた翁長さんが最後にあいさつをした。翁長さんは原稿を用意してきたが、それまでにみんな話しているのでと、原稿なしで話をされた。そして、最後に決意を込めて、埋立承認の撤回を行うと宣言。この発言に大きな拍手が起こった。さらにたたかいが新しい段階にはいるということを宣言された。翁長さんへの拍手は続いた。県民がそれを待っていた。沖縄県と県民が再び一つなってたたかう新たな段階に入った。

安倍政権は、岩礁破砕許可の期限切れに対して、名護漁協が漁業権を放棄したので、許可を申請する必要がないという立場をとり、期限が切れた後もそのまま工事を続けようとしている。沖縄県は、漁業権は存在し、県の許可を受けなければ違法であるという立場だ。国の不法な行為を止めるためには、埋立承認の撤回は不可欠だ。

安倍政権は、「撤回」に対して、翁長さん個人に損害賠償を請求すると脅している。安倍政権もあらゆる手段を講じて新基地建設を強引に進めようとしている。

沖縄県民の民意は、衆議院選挙、参議院選挙、知事選挙で明確に示されてきた。しかし、安倍政権は、その民意を無視してきた。そこには民主主義は存在しない。まさに植民地支配でしかない。また、嘉手納爆音訴訟でも、那覇地裁は騒音の被害は認めたものの、その原因である米軍機の飛行差し止めは退けた。米軍は日本政府の直接の指揮命令から外れた「第三者」であるとする「第三者行為論」によって棄却した。日本の領土であるにもかかわらず、日本の主権も及ばない。日本の司法も住民を守らない。

こうした沖縄の植民地的な状況は、沖縄の人びとの間に、自分たちの自己決定権をとりもどして、日米の植民地支配から脱却するしかないという意識を高めている。日米に依存している限り、琉球人の尊厳と平和的生存権をまもることはできない。短い滞在ではあったが、そのように感じている人びとが確実に増えていると実感した。最初の日に交流した那覇市議は、琉球の独立を力説し、最後の日に話を聞いた、米軍用地から自分の農地をとりもどすたたかいをしている共産党市議までが、「沖縄独立」という言葉を口にしていた。

(戸平和夫:北摂反戦民主政治連盟)

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