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過去号>135号

アソシ 研リレーエッセイ

「多 様性」の意味を捉え直すこと


前回、前々回と大阪W選挙がテーマ。で、そのバトンを受けるのが、曲がりなりにも“大阪”産地直送センターで働いている者とあっては、更にそれ を引っ張るしかないですよね?
 自分自身は大阪府に住んでいないのでどちらの選挙も投票権はなかったのですが、日々配達をしている会員さんと話をしてみると、月並みですが千差 万別だなという印象です。市教組の組合員だった方などは「あれが市長になって教育現場に介入してきたことで、どんなひどい事になったか・・・」と 罵詈雑言。一方「よくわからないけど、このままでいいとは思わないし、何か変えていかなければねぇ」という方もいれば、維新の事務所に出入りして 選挙の手伝いをしている方まで・・・。その会員さん曰く「他の党から合流して都市農業の事を真剣にやっている議員もいて、意外にちゃんと現場をま わっている一生懸命な人が多いですよ」。いわゆる“ミドルアッパー”が主体とされる関西よつ葉連絡会の会員さんの中だけでも、これだけ様々な評価 があり、かつ結果的には大阪全体として何となく根強い支持がある。これはどういうことなのか?
 そういえば、「橋下現象研究会」代表・杉村昌昭さんの話を聴いたとき、印象に残った点が2つありました。1つは、生まれも育ちも現住所も大阪で はない地方出身の僕にはあまり感じられないことですが、大阪の古い層には「崩壊感」があるという話。経済的に沈んでいき東京への一極集中がますま す進む中「このままではいけない、過去の栄光をもう一度!」という想いを、上手に掬われているという分析です。そして2つ目が「多様性」。所属し ている議員及び支持者の、年齢、職業、所得、社会的地位などが実は非常に多様であるという点。「そういう組織は根強い、そう簡単には崩れないと思 います」と杉村さんは言われていました。ある階層の利害を代表するような旧来の政党ではないという一点が、中身が無いにも関わらず根強い支持を誇 る所以なのでしょうか。ただし客観的にその政策や成果をみれば、強者の側に立ち社会的格差を拡大させるという旗色は明確だと思うのですが・・・。
 何にせよ、相手側も表の皮一枚とはいえ「多様性」を纏ってそれを武器にしてくるなら、自分たちも強みだと自認している「多様性」の意味、大切さ を自分たち自身がもう一度捉え直し、それが担保されつつ全体として意見や行動を調整していける術を鍛えていかなければならないと思います。

(大阪産地直送センター 松原竜生)

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