・・・パリパリパリ・・・
アタシはさっき買ってきたばかりの包みを破く。
中から現われたのは真っ白な一冊の日記帳・・・。
身長数十メートルの人造人間が街を闊歩し格闘し空を飛ぶこの新世紀になにを今更っ!てな感じもするけどやっぱり日記は手書きに限る!・・・と思うのよ・・・今までつけた事無いけど・・・。
シンジが旅立った寂しさを誤魔化すため・・・
ううん・・・違う・・・これまでのアタシを見つめなおすため?
なんか違うわね・・・
・・・ま・・・ともかくアタシは今日から日記を付ける事に決めた。
タイトル・・・何にしよう?
う〜ん、天災・・・もとい天才美少女のあたしに相応しい冠をいただかないとね♪
うんっ!決めた!
シアワセノカタチ
第六話「アスカの日記」
ASUKA DIARY
ダレェ?そのまんまじゃんって突っ込んだ奴は?
イイ度胸ねぇ〜アタシの踵落しをそんなに食らいたい?
え?食らわせてから言うな?
・・・そう・・・よかったわね・・・ってこの台詞便利ね・・・
コホンっ!
話を元に戻すわね。
そう日記を付ける事にしたのよっ!
きっかけは・・・やっぱりシンジなのよ。
お馬鹿が伝統の日本政府の所在地、第二新東京に人質として行っちゃったアイツ。
なんの文句も言わず、ただアタシに指輪渡して「三年待ってて」だもん・・・
なんか腹が立ったから、とりあえず引っ叩いておいたわっ!
え?何よ・・・それだけじゃないだろうって?・・・
ま・・・そうなんだけどね・・・内緒よ内緒っ・・・デリカシー無いわねっ!
うっ!
また話が逸れたわね・・・
そう日記をつけるきっかけになったのはシンジ。
離れ離れになったシンジとの唯一許されたコミュニケーションの手段が「手紙」
信じられるぅ?身長数十メートルの人造人間が街を闊歩し格闘し空を飛ぶ、この新世紀・・・って前にも言ったわね・・・とにかくこの時代に今時「手紙」のみしか許されないのよっ!
つまりメール禁止、電話禁止、当然無線禁止・・・映像付きDVD禁止・・・
機密漏洩を防ぐって言う日本政府の原則らしいの。
ハンッ!原則原則ってお馬鹿な奴等っ!
情報なんてわざわざ盗まなくったって、官舎回りの赤提灯でだだ漏れよっ!・・・って加持さん言ってた・・・。
ええっと・・・
話しが進まないわね・・・
そう「手紙」ね・・・これが又古臭くて「検閲」まであるのよっ!
他人に見られるって判ってる手紙にどーやって・・・愛の囁き・・・とか書けって言うのよ!!!
ってあんまり腹が立ったから政府の悪口一杯書いて送ったら
「検閲で墨ベタの手紙になって全然内容がわからない」
ってシンジの返事・・・。
むぅ〜アタシに喧嘩売ってるわねっ!日本政府っ!
売られた喧嘩は買うのがアタシの流儀っ!
と言う事で、今度は内容が判らないように書いたの。
え?暗号でも使ったって?
違うわよっ!、アタシの母国語ドイツ語、しかも流暢で美しくそれでいて個性的な筆記体を披露してやったのよ。
ま、国際感覚ゼロの日本人には読めないわねっ!ドイツ特有のスラングも入れてやったから。
ふっ!手も足も出まいっ!
アタシは勝ち誇った顔で手紙を投函したモンだったわ。
・・・一応・・・目的は達したんだけどね・・・問題が一点在ったのよ・・・それも重大な・・・。
シンジに墨ベタ無しの手紙が渡ったのは良いんだけど・・・
「・・・ドイツ語・・・しかも筆記体なんて読めないよぉ〜」
ってシンジの返事・・・。
ちっ!愛の力で解読しなさいよっ!バカシンジ!
ま・・・そんなこんなで日本語の読み書きをより上達させるために日記を付ける事にしたの。
日本流の建前と本音を入れた文章を憶えて、シンジだけにアタシの愛が伝わるようにね♪
・・・ホントはそれだけじゃない・・・やっぱり自分の心を見つめなおすって奴?
そしてアタシはホントのイイ女になるの!
・・・でないとシンジに顔向けできないもん・・・
と言う事でアタシの日記の始まり始まりぃ〜。
〇月△日 晴れ
今日もつわりがきつい・・・ええぃ!生理痛の苦しみから解放されたと思ったら・・・もっときつい・・・。
う〜ん・・・女って大変な生き物よねっ!
大変と言えば家事っ!
これがこんなに大変なものとは思わなかった・・・シンジってよくこなしてたと思う・・・。
エヴァパイロット兼学生兼主夫業・・・ごめんねシンジ、今まで感謝の言葉一つ言わなくて。
とゆー訳で大枚はたいて家政婦さんを雇った・・・うぅ〜貯金が減っちゃうぅ〜シンジとの結婚資金なのにぃ〜。
ま、エヴァパイロットとしての賃金が沢山あるからそんなに目くじら立てるほどでもないんだけどね。
って雇ったのには理由が在るのよ。
唯一居るのがアノ三十路女でしょ!?掃除洗濯料理な〜んもできないんだもん!
よって家政婦さんは「教官」なの・・・料理のね。
これも花嫁修行&赤ちゃんの為の正しい栄養摂取♪
うん必要な投資よね〜。
〇月△日 晴れ
今日病院でファーストと逢った。
LCLの中で散々説教くれた癖にちゃっかり復活してるのあの娘・・・さすが神様・・・都合が良いわねっ!
ま、死んだ筈のみんなを生き返らせてくれたんだから文句言わないけど。
そうそう死んだと言えば加地さん、サードインパクトの後畑でスイカと一緒に生えてた所を発見されたそう
・・・カッコ悪いわね・・・
検診終了後マンションに帰ったら又ファーストと逢った。
ミサトの説明に拠れば司令の命令で引っ越してきたのだそう・・・シンジの代わりに・・・
色々女手が在った方がアタシの生活のサポートができるだろうって事らしい。
と言う事でファーストの部屋はシンジの使ってた納戸に決定。
「碇君の匂いがする」
って嬉しそうにシンジのベッドにもぐりこんだ時は、おもわず切れそうになったわよっ!
「弐号機パイロット・・・切れてから言わないで」(注:ここのみ綾波の日記より抜粋)
〇月△日 曇り
今日は驚いた事があった。
なんとあのファーストは掃除が上手いのだ!!!
積極的な行動を見せた事が無かったアノ冷血女が、いそいそと動き回っていると思ったら、あっと言う間に家中ピカピカになってた・・・
あの汚す専門・・・いや汚れ軍人葛城ミサトのマンションがよ!?
あんまり驚いたのでファーストを誉めてしまった。
すると
「掃除・・・碇君との絆なの・・・私の掃除する姿をじっと見つめて「綾波って主婦が似合うかもね!?」って碇君は言ったの・・・そう・・・主婦・・・それは奥さん・・・妻・・・碇君のプロポーズの言葉・・・」
ってトリップした目をして言うもんだから、思わず殴りそうになったわよっ!
「弐号機パイロット・・・殴ってから言わないで」(注:ここのみ綾波の日記より抜粋)
〇月△日 曇り
今日も病院で検査・・・。
まだ安定期に入らない・・・よって油断はしない・・・かけがえの無い赤ちゃんだもんね。
帰り際に偶然ヒカリに出合った。
ようやく疎開先から戻ってきたのだそう・・・さっそく熱血バカのお見舞いだそうだ。
まったくっ!物好きよねぇ〜って思わず口に出たら妙な所で突っ込まれた。
それはそうだ・・・なにせ産婦人科から出てきたんだもんアタシ。
と言う事でヒカリには告白しておいた・・・いつもの不潔よっ節で踊り狂いながら暫くトリップしてたヒカリ・・・。
でも産むって事も伝えたら祝福してくれたんだけどね。
ヒカリもやっぱり女の子、羨ましそうに女の顔して・・・母親かな?・・・アタシのお腹を見つめていた。
落ちついたらお泊まり会をしようって事を約束して別れた。
ん〜友達との再会ってイイワね・・・世界を守った・・・エヴァで頑張った甲斐が在ったというもの!
ふふふ・・・エヴァがらみでヒステリーを起してた頃がバカみたい・・・今ならこんなに心軽く感じる・・。
ごめんねシンジ・・・ヤツアタリして・・・散々酷い事して・・・
〇月△日 大雨
来週から中学校が再開される事になった・・・ってニュースを持ってヒカリがお泊まりに来た。
ファーストと一緒に住んでるの見てずいぶんと驚いたみたい。
ヒカリがこそこそっと言うの・・「アスカと綾波さん仲悪いんだと思ってた・・・」だって。
って事は何?今は仲良く見えるの?アタシとファーストが・・・。
ま・・・喧嘩ばっかりしてるけど仲は・・・悪くは・・・ないわね・・・。
そしてヒカリの更なる指摘「ファースト」「弐号機パイロット」って呼び合うのやめなさい・・・って事なんだけど、こればっかりは・・・譲れないのよね。
ほら・・・何を今更・・・って感じもあるし・・・実はこの名称お互いに気に入ってたりするのよね。
以前は蔑称だったかもしれないけど、今は喧嘩友達としての愛称って感じかな。
アタシは弐号機にプライド持ってるし、ファーストは・・・「レイ」って呼ぶ人にイイ印象無いみたい・・・だからそれ以外の名前「ファースト」は好きな方なんだって・・・けど「綾波」って呼ばれるのが一番好きらしい。
・・・ってそれはウチの旦那がアンタを呼ぶ時の呼称でしょっ!
まったく油断も隙も無いわね、この天然女はっ!
ま・・・そんなこんなで美少女三人+三十路女のお泊まり会・・・ほんっと楽しかった。
〇月△日 晴れ
今日は久々に学校に行った。
閉鎖前から戦況が悪化してアタシはずっと通ってなかった・・・ま、大学まで出てるから行かなくてもイイんだけどね。
でも・・・学校・・・結構好き・・・って事を再確認した1日だった。
超低血圧のファーストを叩き起こし、引き摺っての登校。
クラスメイトとの再会、そしてひとしきり大騒ぎして、いつもののんびりした授業。
放課後、ヒカリとファーストと一緒に買い食い・・・。
日常って言うのかな?・・・うん・・・なんか好き・・・
これがアタシが求めていたものかもしれない。
「世界にアタシの才能を知らしめる!!!」なんて言ってた頃がバカみたい。
求めていたものはすぐ側にあった・・・でもやっとそれに気付いた時には、側にいてくれた人がいない・・・
シーンジぃ〜早く帰ってきてよぉ〜。
〇月△日 晴れ
ガタガタガタ・・・
今日は震えながら筆をとっている。
学校で恐ろしいものを見てしまった。
トイレの〇子さん?違うわよっ・・・それどころじゃないぐらい恐ろしいの。
始まりは転校生からだった。
それは銀髪のなかなかの美少年・・・当然女どもは大騒ぎ・・・まっアタシからすればあーんな青瓢箪はアウトオブ眼中、シンジ一筋だもん♪
それになんかイヤな気配するのよね転校生・・・生理的に受け付けないって奴!?
で、突然だけどファーストの異変に気付いたのよっ!
もしかして一目惚れっ!!!って言うぐらいじっと転校生を見てるの・・・まるで睨んでるみたいに。
そして・・・三時間目の休憩時間だったわ・・・転校生が廊下を歩いて行ったの・・・そしてその後を付けるかのようにファーストが続く・・・そしてアタシは当然愛の保護観察っ。
そして人気の無い所に差しかかった時、それは起きたの。
だっだっだっだっと転校生のトコに走り寄るファースト!!!
きゃぁ〜あの朴念仁女が告白でもするのかしらっ!?
って期待してたら
「やぁリリス♪久しぶりだね・・・」
「・・・ATフィールド全開・・・」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ〜」
それっきり物音がしなくなった・・・
・・・アタシ・・・何も見てないわよ・・・
「弐号機パイロット・・・見たわね・・・」(注:ここのみ綾波の日記より抜粋)
見てないってばっ・・・・きゃぁぁ!!!助けてぇ〜シンジぃ〜
〇月△日 晴れ
今日遂に妊娠してる事がクラスメイトに知れ渡ってしまった。
なにせ授業中に教室飛び出して吐いちゃったんだもん・・・ジャージ男の「妊娠かぁ?」なんてからかいの言葉をつい真に受けてしまった・・・そして反撃の言葉を間違えてしまった・・・
「うっさいわねっ、悔しかったらアンタもヒカリと作って見なさいっ!!!」
・・・クラス中大騒ぎ・・・
生徒指導室に呼び出されて散々説教されるは・・・それを聞いたミサトが何を勘違いしたのか保安部一個中隊引き連れて学校を制圧しちゃうし・・・ほんっとロクでも無い1日だった。
そうそう・・・忘れてたけど銀髪の転校生は例の日の一週間後全身包帯巻きで登校してきた・・・。
随分とタフね・・・聞けばフィフスチルドレンだそう。
って事はアタシの弐号機に乗っておまけにシンジに言い寄ってた奴ね・・・
おりゃっ!!ベキっ!バキっ!ドコっ!
と言う事で銀髪の転校生、又今日から1週間入院する事になった。
〇月△日 曇り
遂にお腹の膨らみが隠せなくなった・・・よって学校は一時休学・・・つまんない・・・
マタニティな中学校の制服・・・特注しようとしたら辞めてくれって泣きながら土下座してきた・・・先生方が・・・
アタシを危険物扱いするんじゃないっ!
ちゃんと言えば判るわよっ。
と言う事でアタシはのんびり有閑マダムな1日をこれから過ごす事になった。
でも三時過ぎにはファーストが帰って来るし、日替わりで友達もお茶を飲みに来る。
退屈は・・・あんまりしない。
でもちょっと体調が心配だ。
実は体重が増えないのだ・・・もともと家出して体重激減していた所に妊娠つわり・・・これまた体重減っちゃって・・・。
安定期で増えるかなっと思ってたのにそれほどでもない・・・
丁度良いから明日から病院に通って見よう。
大事な赤ちゃん・・・見てなさいっシンジ、これでもか!ってぐらい元気なの産むからねっ
〇月△日 曇り
通院も虚しく遂にNERVの病院に入院する事になった。
って言っても四六時中ベットに寝てるわけじゃない。
朝晩点滴1本ずつ打って、後は適度な運動もOK・・・つまりNERVの各種トレーニング施設も使えるって訳。
ま・・・予定日まであと三ヶ月だもん、大事をとってココに居る事にする。
・・・とファーストも一緒に泊まり込みに来た。
相変わらずぶっきらぼうに「任務だから」って言ってるけど、なんか嬉しい。
ファーストってけっこう優しいんだぁ〜と今更ながらに確認。
こんな所にシンジも惹かれたのかな?
・・・なぬ?惹かれたぁ!?
ふっふっふっふっふっ・・・シンジ・・戻ってきたらおぼえてらっしゃい!
ファーストとの関係きっちり白状させてあげるからねっ!!!
「今日なんだか寒気がする・・・早く寝よう・・・」(注:ここのみ碇シンジの日記より抜粋)
〇月△日 雨
体調不良で寝こんでしまった・・・情けない・・・
例の家出から完全に壊した体調・・・あの時から妊娠していたんだけど・・・コレがいけなかった。
でも・・・アタシも心を入れ替えてからは自己管理には人一倍・・・いや細心の注意をはかってたのに・・・。
なんか悔しい・・・自分に対して・・・バカやった自分が許せない・・・。
そして・・・心細くて・・・逢いたくて逢いたくてしょうがなくなった・・・シンジに。
「シンジ・・・シンジ・・・」
って隠れてシクシク泣いてたの。
そしたら部屋に入ってきたのが・・・ファースト・・・凄い格好で。
短い黒髪のカツラ・・・白いカッターシャツ、黒の学生ズボン、真っ白な肌にはドウランを塗って・・・
眉毛を黒く着色する芸の細かさ・・・。
そして一言「アスカ・・・ゴメン・・・」
・・・思わず大笑い・・・。
まったくアンタ、ウチの旦那の真似上手すぎるわよっ!
でもファーストったら「碇君、アスカには謝ってばかりだった」って言うんだもん、イメージ悪いわっ!!!
ふふふっ・・・ファーストの事又一つ好きになった。
「これも任務だから」って照れて言う所なんて可愛いわね・・・。
〇月△日 曇り
随分と間隔が空いてしまった・・・反省・・・だって忙しかったんだもん。
実は予定日より1ヶ月も早く出産してしまった・・・。
それでもアタシの未熟な体には赤ちゃんが大きかったらしく、なかなか産めなかった・・・。
アタシの出血も酷く、もうすこしで輸血のお世話&帝王切開・・・って事になってたそう。
出産後体力消耗でアタシは三日間起き上がる事も出来なかった。
そして赤ちゃんは保育器の中。
ちっちゃいけど健康には問題無し、黄疸がちょっと目立つぐらい・・・でも許容範囲。
1ヶ月後母子ともに絶好調の健康状態で退院♪
・・・それから・・・壮絶な戦いが始まったの。
それは『育児』!!!!
覚悟してたけど24時間連続の第1種警戒態勢及び臨戦態勢及び戦闘配置・・・。
使徒と戦う方がよっぽど楽だわ。
でもファーストがつきっきりで手伝ってくれるので、ホント助かる。
シンジぃ・・・アタシ頑張れそうよ・・・。
〇月△日 晴れ
区役所に赤ちゃんの名前を届けに行く。
先日シンジから届いた手紙で名前は決めた。
命名「ユキ」・・・綺麗な響きで気に入ってるの。
冬に振る「雪」常夏の日本では絶対に見れないもの・・・から付けたのかと思ったらシンジは「有る希望」で「有希」って事にしたらしい。
シンジにしては随分とロマンチックな名前考えついたものよね・・・。
と婦人雑誌に妙な記事が載っていた。
『男が赤ちゃんに名前を付ける時は初恋の女性の名前を上げる事が多い』
いつの女よっ!!!・・イイ度胸ねシンジっ、戻ってきたら問い詰めてあげるからねっ!!!
「今日又なんだか寒気がする・・・早く寝よう・・・」(注:ここのみ碇シンジの日記より抜粋)
区役所までなんと司令が付き添ってくれた!!!
やっぱりシンジの父親ね♪、保護者として色々と思うところあるらしい。
でも真っ赤になって照れてたっけ司令・・・ミサトは怖がってた・・・リツコは大笑いしてた。
ファーストは・・・「ユキ」を抱いたまま司令に対して第1種警戒態勢をとっていた・・・。
〇月△日 晴れ
随分と久しぶりの日記・・・やっぱり忙しくて書けない。
相変わらずの育児の毎日。
先日ファーストと一緒に、ユキを抱いて近所の公園に行った。
所謂「公園デビュー」って奴?近所のお子様持ち奥様方の仲間入りをする。
やっぱり若すぎる母親ってので警戒されるも、ユキの余りの可愛さに耐えきれなかったよう。
次々と話し掛けて来てくれた。
そうユキは最高にカワイイのよ。
赤みが掛かった金髪にブルーアイこれはアタシの遺伝ね!
優しげな顔立ちと泣き虫な所・・・こっちはシンジ。
もうユキは近所のアイドル♪ってぐらい猫可愛がりされちゃちゃったの。
母親としてちょっとばかり鼻が高いわ。
〇月△日 雨
ユキに歯が生えてきた・・・いや〜んカワイイぃ〜ン。
もう離乳の準備も出来てるし、この辺は準備万端って所ね。
うぅ・・・育児って忙しすぎる・・・よって又もや書くこと無い・・。
あ、一つあった、カップが小さくなっちゃった・・・Dになって喜んでたのにぃ〜。
シンジに見せることなくあえなくCに逆戻り・・・はっ!アタシったらなんて言ってんのかしら?
ヒカリが聞いたら不潔よ節で大踊りするところだわっ。
〇月△日 雨
随分と久しぶりに日記を開く。
最近は日記を書いて心落ち着かせなくても、随分と安定した心を保てるようになった。
なにもかもミンナのおかげ。
そう、アタシは一人じゃない、ミンナのおかげで生きている!!!
なんてね・・・ちょっと格好付け過ぎちゃった。
本日はユキの満1歳の誕生日♪
昼はファースト、ヒカリ、三馬鹿トリオ(渚を加えた新三馬鹿、馬鹿度200%増し当社比)を中心とするクラスメイトとホームパーティ。
夜は夜でNERV職員集まってのパーティ。
ところで司令、副指令、作戦部長、E計画責任者、女たらし、オペレーター・・・全員集まってるけどNERVって今どうやって機能してるんだろう?
司令とリツコはユキの誕生日を第三新東京の祝日にしようとMAGIに採択させたらしい・・・当然否決だったけど・・・賛成票1票あったからMAGI・・・非常識なコンピューターだわねっ!!!
でも・・・ミンナの祝福がホントに嬉しい。
ユキ・・・絶対に幸せになれるよね?
〇月△日 晴れ
今日は中学校の卒業式。
アタシもファーストも出席せねばならない・・・が・・・泣き虫のユキがアタシ達以外の世話で黙っているわけが無い。
と言う事でバックアップを雇った。
・・・が・・・これも人選を誤ったか!?
ミサト、リツコ、マヤ・・・この三人に世話をお願いしたのだが、なにを勘違いしたのかカワイイ♪カワイイ♪カワイイ♪の三連呼で大騒ぎし始めた・・・保護者席で・・・。
ふ・・・普段から貸してあげてたら良かったわね・・・アタシとファーストで育児は全部取りしきってたから思わぬところで問題発生だわ。
迷惑な保護者に顔を赤らめながら、卒業式は無事終了。
来春からは、華の女子高生よ♪
そうそう・・・卒業式後だけどさすがにユキを抱いてるアタシに告白してくる馬鹿な男は居なかったわ。
でも・・・妙に熱い目をして寄ってくる後輩には参ったわ・・・おねえさま・・・ってどういう意味なんだろ?
〇月△日 晴れ
市立第壱高校・・・これがアタシ達の通う高校の名前・・・捻りが無いわねっ
高校はきちんと通える事になった、実は高校近くに保育所があったのだ!
下見をして見たけど優しそうな老女の園長先生を筆頭に少数精鋭?の昔ながらの保育だそう。
好感を持てたのでお願いする事にした。
大学まで出ているんだから高校に通う必要は無いんだけど、ユキにはアタシが十五歳の若い母親だって言う事を知っていてもらいたいの。
いずれはアタシの所為で虐められる事もあるだろう。
だからこそ、ユキにはアタシの事知ってもらいたい・・・ただ家の中で一緒にいるだけじゃ判らない事も多いから・・・。
とまだ2歳にもならない我が子を千尋の谷に突き落とすアタシだった・・・。
「弐号機パイロット・・・やっぱり肉食獣だったのね・・・それにそこまで大げさな事?」(注:ここのみ綾波の日記より抜粋)
〇月△日 曇り
高校生活をはじめて早1ヶ月。
クラスは相変わらずのメンバー、ファースト、ヒカリ、新三馬鹿・・・チルドレンは未だに監視及び保護態勢なのだそう。
でも大分顔ぶれも変わった。
そしてアタシの事知らない奴も増えたのよ・・・おかげで又下駄箱が郵便ポスト状態・・メールも多いし。
と言う事で『アタシと付き合いたいやつは付いて来なさいっ』って告知して、放課後集めて見た。
そしたら・・・居るわ居るわ・・・むさい男で1個大隊は居る。
まったく顔だけでよく人の事好きになれるわね・・・アタシって性格悪いのにっ!・・・うっ・・・アタシってば自覚してるの?
・・・全員引き連れて、保育所にレッツゴー。
ユキを引き取って一言
「アタシ子持ちだけどそれでも付き合いたい?」
全員玉砕!!!ざまあ無いわね・・・その程度の気持ちでアタシにアタックするなんざ百年早いってーの。
〇月△日 晴れ
今日、旧政権が総辞職、新内閣が発足した。
これもNERVの努力の賜物・・・らしい。
ミサトもリツコも・・・そして司令も、その辺の工作に付いては何も語ってくれない。
やっぱり裏では血で血を洗う抗争なのかな?って思っていたら司令が少しだけ話してくれた。
シンジとの約束で絶対に血は流さない、平和的に皆が幸せになるチャンスを得られるようにする・・・との事だった。
・・・内罰的な奴だと思ってたらアイツいつの間にか『男』になってたのね・・・。
NERV本部と各支部、そして国連、人類補完委員会との関係も良好。
あとは躍らされた日本政府の面子を保ちつつ、花道を残す事で勇退を計る・・・のが作戦だそう。
おかげで時間は掛かるのよね・・・。
シンジにはやく娘を抱かせてあげたい・・・。
〇月△日 雨
本日はユキの満2歳の誕生日。
ええっと・・・遂にホントに・・・今日・・・第三新東京市の祝日になっちゃった・・・
去年の否決は条件付否決で「時期尚早」って事だったらしい・・・MAGIって・・・ほんとに大丈夫なの?
と言う事で朝から昼から夜まで大騒ぎっ♪
今年は近所の奥様方やユキの保育園仲間&そのお母様も参加。
でも・・・驚いてたみたい。
だってネルフの首脳が揃ってるんだもん。
とは言えフランクでフレンドリーが売りの秘密組織ネルフ、すぐに打ち解けて噂話から政界裏話・・湿っぽい話しまで盛り上がっていた。
仏教用語で「縁」って言うのかな?人の繋がりが広がって行く・・・なんか気持ちイイな・・・
〇月△日 雨
高校も2年生になった・・・。
もうすぐシンジと離れ離れになって三年になるんだ・・・。
でも出合ったのが三年前、一緒に暮らして半年弱・・・傷つけあった半年・・・分り合えて・・・ううん・・・分り合う事をはじめるって決めて・・・恋人になったのが数時間・・・
・・・時間って・・・無情・・・
・・・逢いたい・・・逢いたい・・・シンジ・・・
〇月△日 晴れ
ふっふっふ♪
今日は最高にいい朗報が入った!!!
日本政府は戦略自衛隊の指揮権を国連に完全委譲、国連は特務機関NERVを即日解体、国連軍日本支部NERVと改変された。
そーなのよ!政軍分離って奴?おかげでシンジは自由の身!?
って思ってたら・・・妙な条件「サードチルドレンの第三新東京市への立ち入り規制」が出来ちゃった。
理由を聞けば納得したけど・・・だって前時代で言うなら核ミサイルとその制御キーは離して管理するべき!って事。
つまり「エヴァ」は第三新東京内で厳重に管理、チルドレン及び候補者を第三から離す事となったのだ。
そしてNERVも指揮司令部分と新MAGIが第2新東京にお引越し。
と言う事なのでアタシは一足先に第2新東京に行かせてもらう事になった。
だってさ・・・ミンナで行くのも良いけど・・・一人の方がインパクト強いじゃない?
・・・シンジと暫く二人っきりで生活して見たいとか・・・イチャイチャして見たい・・・とかそーゆー事じゃないのよ!?
はぁ〜転校の日が待ち遠しいなぁ〜。
シンジ・・・変わってるかな?・・・三年も逢ってないんだもの・・・
まっうだうだ考えても仕方ないわっ!
睡眠不足で腫れぼったい顔なんてシンジに見せれないもんね。
まってなさいっ!シンジ!
アタシ・・・今度こそイイ女になってるんだからねっ!!!
アスカの日記 おしまい