心の 窓

こういう場合 第二部 第十五話

作者:でらさん
















戦闘から帰還した後、再び身柄を拘束されたシンジと新たに身柄を拘束されたアスカの処遇に揺れるネルフ内のドタバタした
空気にもかかわらず、それとはまた違う悩みにマナは苦悩していた。
レイが自分を抱きしめてきた一件以来、彼女が気になって仕方ないのだ。

幼年学校時代も女の子の下級生からラブレターを貰った事はあり、自分にそういう方面からの人気が高いことも自覚はしていた。
それが嫌だと思ったことはなく、慕われるのは純粋に嬉しいとさえ思っていた。女の子と付き合いたいとまでは考えなかったのだが。
しかしレイに対する感情が、時間を経るにつれて怪しい方向に変化を見せているのが自分でも分かる。嘗てある上級生に憧れた
時期の感情にも似ているが、それとはまた違う。より本格的な感じがする。


「初恋は男の子だったし、レズじゃないわよね、わたし。
でもレイさん、綺麗だから」


自分の性的嗜好に疑う余地などなかったはず。憧れと恋を明確に区別する分別も付けられる歳でもある。
法的に結婚出来る歳でもあるし、恋を夢見る時期はとっくに過ぎた。


「レイさんなら、いいかな・・・」


シンクロテストの合間にエントリープラグ内でボソッと呟いたマナのひと言は、通信回線が開きっぱなしだったためオペレーター達
に筒抜けで、マナがレイに心惹かれているという噂は瞬く間に広がっていった。
それが戦自にまで到達し、噂を聞き驚愕したレイの親衛隊(ファンクラブ)が幼年学校に手を回してネルフ本部に研修生を送り込み、
真相の追求とマナの意思確認を図ろうと動いたのは、別の話。

ちなみに、後日研修生としてネルフ本部に送り込まれたのは、ムサシ リー ストラスバーグと浅利ケイタという少年二人。





シンジの営倉からの脱走について、取り調べにあたった保安部は当事者の供述が悉く食い違う事に困惑していた。
シンジは自分が策を弄して脱走したと主張し、守衛を担当していた二人の職員は自分達の判断で彼を出したのだと言う。
更にアスカは、自分が守衛の二人から小銃を奪って脅したのだと主張した。
要は、みんな自分で罪を被ろうとしているわけ。


「監視カメラの記録を確認すればいいだろう?あれは常時回っているはずだ」


取り調べにあたった職員から相談を受けた上司の男は、さも面倒そうに回答を返す。営倉内部の様子は常に監視カメラが記録して
いるはず。それが規則なのだから。
その画像を見れば、事の真相などすぐに・・


「それがその・・・カメラの電源は切られておりまして、何も」


「映っていないというのか!?誰がそんな事を許可した!?私は監視カメラの電源を切れなどと指示を出した覚えなどない!」


「担当に確認したところ、部長直々の指示だとか・・
部長も、それは認めておられます」


「部長?うちの部長か?」


「はい」


「なんてこった」


保安部長自ら規則をないがしろにしてシンジに便宜を図ったとなれば、課長に過ぎない自分がいくらしゃかりきに真相を追求しても、
努力が実る事はないだろう。
部長が自分の関与を素直に認めたということは、その意志に沿って事態を収拾しろと言っているようなもの。
現場の職員達も今回の事態にはあまり乗り気ではないようだし、うやむやに終わせるしかない。第一、当事者四人の内二人は司令の
身内・・しかも一人は妊娠している。今回のことで彼女に不測の事態が起き流産でもしたら、その責任を問われかねない。特務機関
でのヘタな対応は、自分の命に直結する。


「四人を処分保留のまま釈放するんだ。
報告書も私が書く。この件に関しては、これで一切終了とする・・・分かったな?」


「しかし」


「終わりと言ったんだ。通常の仕事に戻りたまえ」


「はっ」


執務室から出て行く部下を見やり、一課を預かる男は自分の端末に向き直って報告書を作成し始めた。
全てが丸く収まり、誰にも処分が及ばない・・しかも矛盾があってはならない完璧な報告書。

ネルフに入って最も難しいと実感した仕事をこの男が成し遂げたとき、時は翌日の朝を告げていた。





翌日・・


関係者全員が無事にお咎め無しとはなったが、事の真相が気になったアスカはシンジを学校に送り出した後ミサトの元を訪れ、
事情を聞くことにした。
司令直々に独房行きを宣告された人間が脱走して誰も責任を問われないというのは異常。少なくともシンジ本人の処分は免れ
ないとアスカは覚悟していただけに、安堵と言うより疑念の方が大きい。
何かの思惑が働いていて、後にこの件が政治的に利用されるとしたら・・・


「初号機が無期限の封印?」


「そっ、いかにも苦肉の策ね。人間を処分しないで初号機を封印なんて、司令も頭使ったわ。
レイを助けたシンジ君を処分したら戦自の反発は避けられないし、本部の職員も納得しない。かといって守衛の二人に全責任
を押しつけたら保安部に借りを作ることになる・・・これがベストね。
司令は、アスカの体を一番に心配したんでしょうけど」


アスカは自分が考えが杞憂であったことに安堵し、ゲンドウの配慮に感謝した。
ミサトは妊娠した自分にゲンドウが気を遣ったと受け取っているようだが、ゲンドウが一番気遣っているのは自分ではなくシン
ジだと思う。それが、アスカには何となく分かる。


「封印はいいけど、こんな時に使徒が来たらどうすんのよ」


「封印たって、恰好だけよきっと。
使徒が来襲すれば、非常事態だとか言ってすぐに封印解除するに決まってるんだから」


「まあ零号機の補修はもう終わりそうだし、マナも使えるようにはなったから、あの二人だけでも勝てるだろうけどさ」


「裏死海文書によると、来襲の予想される使徒は、後三体・・・もう一息よ。
この戦いが終われば、あなたも安心して赤ちゃんを産めるわ」


「それはどうかしら?人間同士の戦いは終わらないわよ、絶対に。
エヴァを擁するネルフが恐怖政治の代名詞としてテロの対象になるかもしれない。今は使徒が目を逸らしてくれてるけど」


人類共通の敵と認識されている使徒が来襲している現在、世界各地の紛争は小康状態といっていい状況。
破滅を間近にした危機感が身内同士の争いを思いとどませている感じだ。しかし使徒の来襲が無いとなれば、
世界はまた紛争の頻発する状態へ戻るのは避けられないとアスカは考える。
前世紀末期、冷戦終了でイデオロギーから解放された民族感情の爆発が地域紛争にまで発展したような状況になると読むのだ。
また、安定しない世情の責任をネルフに求めて攻撃する輩も出てくるだろう。頂点に立つ者は、どうしても恨みを買うもの。


「それも道理だけど、もっと楽観的に考えましょ。
考えすぎは、お腹の赤ちゃんに悪いわよ」


「ミサトが楽観的過ぎるのよ」


「そうかしら?私だって、ちゃんと考えて」


ミサトが反論の狼煙を上げようとしたとき、所内全域に警戒警報が。
二人は、はっとして同時に顔を上げ、不安の色を隠さずにお互いを見る。


「ほら、 言ったじゃない!来ちゃったわよ、使徒!」


「な、何を動揺してるのよ、アスカは。レイとマナがいれば安心じゃなかったの?」


「ア、アンタこそ、その冷や汗は何よ!初号機の封印はすぐに解除されるんでしょ!?」


二人とも、言葉とは裏腹にかなりの不安は持っていたらしい。
実際、レイはともかくマナが使えるようになったとは言っても、エヴァをまともに動かせるようになったというレベルでしかない。
しかも、飛行訓練はまだシミュレーションを始めたばかり。第10使徒のように宇宙空間に使徒が出現したらレイ単独の出撃と
なってしまう。宇宙用の装備もあるし殲滅に問題は無いだろうが、レイの負担は大きいだろう。

初号機の封印についても、臨機応変に解除される云々はミサトの勝手な推測に過ぎない。
あくまで、司令ならばそうするだろうという希望的観測なのだ。


「と、と、とにかく、私は発令所に行くわ」


「ちょっと、待って!アタシも行く!」


発令所に着いた二人を待っていたものは、最悪に近い状況。

メインモニターに映る羽のような使徒は中心部に赤いコアを抱えて青白く発光し、バックの宇宙空間とコントラストを成して前衛
芸術のような美を醸し出している。
その美しさが、二人には使徒の嫌味に思えた。


「はは・・はははははははは・・・・・初号機の封印解除、まだなの?日向君」


「はっ!司令からは、まだ何も。零号機の補修は終了し、出撃準備は整っています。弐号機も準備OKです」


「い、一応、サードを初号機に待機させておいて。不測の事態に対する備えよ」


「了解!」


零号機の単独出撃でもレイが使徒に後れを取るなどとは、誰も考えていない。アスカとて、それは同じ。彼女の力量はアスカも認め
る所ではあるし。
しかし、今回の使徒は何か違うような気がした。


(光の翼をかたどった使徒・・・嫌な光ね、アレ。ATフィールドとは違うみたいだけど)




司令室・・


「初号機の封印、解除せんでもいいのか?
使徒襲来の非常事態だ。誰も文句など言わんよ」


「まだ日が浅い。もう少し待とう。
今回はレイだけで処理出来るだろう。あの大砲もあるしな」


「しかし、万が一ということもある。すぐ飛べるように、地上で待機させた方がいいのでないか?」


「弐号機に地上から牽制してもらう。大丈夫だ、レイを信じろ」


「・・・ま、様子を見るか」







雨。

地上に射出された弐号機を出迎えたのは、用意された大型ポジトロンライフルと少し強い調子で降り続く雨。
幼年学校では、こんな雨の日に野外訓練を行うのはしょっちゅうで、朝から雨の日は憂鬱な気分になったものだ。
必要な訓練と頭では分かっていても、雨中での訓練は好きな方ではなかった。


「ケイタが好きだったわね。雨が降ると、一人で張り切ってさ」


久しぶりに思い出した幼馴染みの名は、マナに束の間の安らぎをもたらしてくれる。彼一人ではなく、クラス全員の名と顔・・・
そして教官達の顔を思い浮かべた。
みんなが親兄弟を失った孤児、全てを失った大人。
そんな子供達にとって級友は兄弟、教官は親・・・そう思い、あの学校で共に過ごした。
ネルフでの任務を終えたら、一度帰りたい。みんなが待つ、あの学校へ。


「ムサシのやつ、彼女できたかな・・
すましてれば恰好良いのに、へっぽこだからあいつ」


ケイタと共に幼友達であるアメリカ系ハーフの少年も思い出し、端正な顔に似合わない惚けた性格が彼から幸せを遠ざけている事
を、ふと思い起こした。
数年前、中等部に在籍している頃、付き合ってくれと告白されたこともある。だけどもマナは、彼に幼馴染み以上の関係を求めた
くなかった。
気軽に馬鹿話ができる兄弟のような関係・・・そんな、心許せる人間でい続けて欲しかった。それが自分勝手な都合だと分かって
はいる。でも彼に恋する自分など、想像も出来ない。

レイの場合はどうなのだろうか。
気になる先輩、崇拝の対象、憧れる同性?


「何か違うな」


<マナ、聞こえてる?>


「は、はい!」


ミサトの声でマナは我に返り、モニターに映るミサトの方を見る。
雨につられて、暫しの間考え込んでしまったようだ。心なしか、ミサトの視線がきつい。


<零号機が宇宙に上がる時間を稼ぐから、こちらからの指示で狙撃してもらいます。
旧型のポジトロンライフルだから出力不足は分かってるわ。危険を察知したら即退却よ。
あなたはまだ宇宙はおろか飛行ユニットすら使った事無いんだから、無理は禁物。いいわね?>


「了解です!ご指示を!」


<では第一撃を。照準はMAGIのオートで。
着弾確認の必要無し・・・狙撃開始!>


雨雲の一部を吹き飛ばし、一条の光が空に向かって放たれた。弐号機は発射の後すぐに移動し使徒の反撃に警戒した。
旧型とはいえ、巡洋艦程度の艦船ならば一撃で葬り去るほどの威力を誇る長距離砲。
しかし分厚い大気が威力を減衰させ、衛星軌道上にある使徒に命中する頃には並のミサイル以下の効果しか期待できない。
現在使徒に接近中の零号機が持っている一八式長距離砲(別名ムーンバスター)は、地上で使用すると衝撃波だけで大気に深刻
な影響を与え、地球規模の大災害を引き起こす可能性が高いとMAGIが警告したため宇宙空間でしか使用できない。しかも月
をも破壊しかねない威力故に射線がかなり限定される。強力すぎる兵器も問題だという証左である。



発令所・・


「目標、ATフィールドを展開。位置にも変化無し」


ライフルの光線を難なくATフィールドで遮った使徒は、依然として位置を変えず地上を窺うように何の動きも見せない。
ミサトに報告する日向にも使徒の思惑が読めない。


「反撃する様子は?」


「目立ったエネルギー反応はありません」


「敵の攻撃手段も分からないんじゃ、レイに悪いわ。
マナ、移動しながら三斉射してみて」


<了解!>


張りのある声でミサトの命に応えたマナは弐号機を破綻無く操り、三発とも使徒を直撃・・が、やはりATフィールドが光の帯
を受け止めた。
と、使徒が返礼のように光の奔流を返してくる。そしてそれが、三斉射目の後に移動するのを怠っていた弐号機を直撃する。


<きゃ あ!>


「マナ!退却しなさい!リツコ!あれは何!?」


「ATフィールドに似た可視波長の光線だけど・・」


「だけど・・何なのよ!」


「エネルギーが無いのよ」


「何よ、それ・・
とにかく、退却よマナ!」


<りょ、了解です>


弐号機の近くにあった収容ビルが地上に射出され、マナが不快な気分に堪えて退却しようと弐号機を動かそうとしたとき、弐号機を
覆っていた光は忽然と消えた。
使徒の攻撃が止んだのかとマナも発令所も気を抜いた次の瞬間、彼らは己の甘さに気づくのだった。
敵は目標を変えただけ・・・宇宙に上がった、零号機へ。


「何よ、今の・・一瞬だけど、頭の中を強引に覗き込まれた感じがしたわ。
そうだ!レイさんに今のを」


マナがレイに警告を発しようと天を仰ぎ見た時、すでにそれは始まっていた。






目標を視認したと思った瞬間、視界は光に覆われた。
ATフィールドを素通しする光が身を包んだ後、光は形を変え、己の姿をとる。
その自分が、忘れたはずの記憶、思い出したくない忌まわしい記憶を心の底から引きずり出し、暴き出す。

人間ではない自分の体、ただ生きていただけの暗い無機質な部屋・・・死の苦しみ。
そうだ、自分は一度死んだ・・殺された。訳も分からぬままに嘲笑をぶつけた女が逆上して、自分の首を絞めて自分は死んだ。
そして幾ばくかの混沌の後、自分はまた意識を持って現世に存在している。

復活出来たのは、巨大な水槽に漂う数十体の姉妹達がいたから。
記憶の転写をしなければ、彼女達はただ笑いながら水槽内を泳ぐ人間型した動物。哀しきクローン達。彼女達は今この瞬間にも、
あそこでLCLに包まれて漂い続ける。
そんな彼女達の生を足場に自分の生がある。


そんな自分が、しれっと生きていていいの?あの子達が不憫と思わない?


光で創られた自分が問いかけてくる。これは幻覚か?


「思わないわ。私は私だもの」


ふふ・・独善的ね、あなた。いつからそんな事言えるようになったのかしら?
でも碇君にもふられた独りぼっちのあなたは、そう言うしかないわね。ごめんなさい。



「私は独りじゃない」


シンジと出会って恋を知り、失恋で悲しみを覚えた。もう笑って語られる思い出にしたはず。
今では友人もいるし、自分を慕ってくれる戦自の隊員達やネルフの職員達もいる。シンジやアスカは一番の友人で、マナだって・・


「マナだって、いるわ」


甘ちゃんね、あなたも。
戦自やネルフの人達が本当にあなたを慕ってると思うの?碇君やアスカが本当の友達?マナが好意的?
おめでたいわ。大人達は自分の政治的立場を強化するためにあなたに近づく。碇君の頭にあなたの事なんて塵一粒程も無い。
アスカなんか、あなたが早く男作って碇君のこと忘れてくれればいいと思ってる。マナ?ただの軽い女よ、あれは。たまたま身近に
あなたがいただけ。素敵な男でも現れれば、すぐに気を移すわ。
みんながあなたを利用して、馬鹿にしてほくそ笑んでる。人の世なんて、そんなものよ。
だから・・・みんな壊してしまえばいい。あなたには・・いえ、私達にはその力があるもの。



「・・・あなたは私なの?」


そうよ、あなたの暗黒面・・光の翼によって引き上げられたあなたの本性。
リミッターの役目もあるわ。私が表面化すれば、こんな出来損ないの肉の鎧に頼らなくたって使徒なんか簡単に殲滅できる。
自分でも分かってるくせに・・
私達はリリスと魂を共有する使徒以上の存在。人間の風下に立つ理由なんて無いわ。



「違う、私はそんな事考えない。あなたは私じゃない」


私を否定するの?
あなたがマナを押し倒して犯す夢を見たの、私知ってるわ。
本当に犯せばいいのに。女が女を襲ったって罪にはならないし、マナがあなたを慕ってるのなら、かえって喜ばれるかも。



「そんなこと」


好きなんでしょ?彼女が。好きなら奪えばいいの。何なら、私が変わってあげるわよ。
二人っきりになるのなんて簡単だから、どこかに誘い込んで



「やめ て!」


<レイさん!しっかりして下さい!>


マナの声で我に返ったレイがモニターに見た物は、紅い翼を広げ危なっかしい感じで宙に漂う弐号機。そしてモニターの片隅に映るマナの顔。
弐号機の出現に驚いたのか、使徒の攻撃は止んでいる。
そう、あれは攻撃だ。精神に作用する攻撃。一時的にでも惑わされた自分が恥ずかしい。


「マナ?どうして、あなたがここへ?飛行訓練もしてないのに」


<へへ、命令無視しちゃいました>


「・・・馬鹿ね」


<とにかく、あの惚けた使徒を殲滅しましょう!早くしないと、逃げられちゃいます!>


「そうね。じゃあ一緒に支えてくれる?」


<はい!>




十数秒後・・使徒はムーンバスターの一撃で、かき消されるように跡形もなく殲滅された。

ミサトの制止を無視して飛び立ったマナは、初めての実地飛行で宇宙に出るという快挙を成し遂げたわけだが、勢いだけで飛び出し
たため、大気圏再突入の際には苦労したようである。


「お、お、 お、落ちる〜〜〜!!レイさん!助けて〜〜〜!!」


「ちょっと、マナ・・そんなにしがみつくと、バランスが。大砲も持ってるし、
あっ!!


大気圏再突入の最中、零号機にしがみつく弐号機が暴れた弾みで一八式長距離砲は零号機の手から離れ、大気との摩擦で燃え上がった
それは、リツコの涙と共に流れ星となって消えていった。
マナが当分の間リツコから口を利いて貰えなくなったのは、言うまでもない。




つづく

次回、「希望