神保町 昼食ニュース

2010年10月号

2010年10月3日記

めにゃ・けにゅ

 三十数年にわたり,平日はほとんど毎日,神田神保町近辺を歩き回ってきたが,12月中旬に会社が移転して神田の地から離れてしまうことになった。実際にはそれほど遠くへ行くわけではないのだが,これまで例えば三省堂書店神保町本店まで徒歩5分だったのが15分ちょっとになるので,これまでのように毎日神保町・錦町・小川町・駿河台を歩くというわけにはいかなくなる。
 そのため,「読者」の方には突然のお知らせということになってしまうが,この「神保町昼食ニュース」のページは,残念ながら,12月初め掲出予定の12月号をもって「月刊誌」としては休刊とすることとしたい。

◆ 開 店・初 訪 問

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 9月も神保町の動きは激しかった。
 まず,靖国通りから錦華通りに入ってすぐの左側の隣り合わせで開店した2軒。ひとつは「自然(じねん)」を改装した「鳥キング」(神保町1-2)で,9月1日の開店当日に入った。ランチは,名物焼き鳥重 600円/豚生姜焼き重 600円/チキン南蛮定食 700円/ジャンボチキンカツ定食 700円/鶏の唐揚げカレーライス 600円/刺身六点盛定食 750円/海鮮丼 700円/釜揚げしらす御膳 800円/本日の焼魚定食(この日はほっけ) 750円/本日の特別定食(この日は麻婆茄子) 750円 の10種類。
 食べたのは,釜揚げしらす御膳(800円)。メインは単調な丼なので,唐揚げ2個,サバ一切れ,きんぴらゴボウ,キュウリとわかめの酢の物が付いてバランスの良い食事になっていた。

 その左隣の「<大衆酒場>けいちゃん」は8月26日開店で,9月1日からランチを始め,鳥キングと並んで客引きをしていた(写真①)。元「海神丸」だったところである。昼食はすべて鶏唐揚げ2個つき,ご飯大盛り・味噌汁お代わり無料で,本日の中華定食,卵チャーハン,しまほっけ,まぐろづけ丼,海鮮三色丼など,600~800円。食べたのはいちばん高い海鮮三色丼(800円)。テーブルはビールのケースで作られていた。

 靖国通りの反対側のロッテリアがあった場所に,9月15日に博多ラーメンの「風龍」が開店した(神保町1-1)。入ったのは下旬になってからで,2階のカウンターに案内された。基本はとんこつと塩とんこつ,各600円で,替え玉2玉無料,トッピングはチャーシュー,ネギ,メンマ,味玉,海苔など。
 開店当初は200円引きの割引券を配っていた。対抗して,すぐそばの同じく替え玉2玉無料のさいたま屋も割引セールをやっていた。(このさいたま屋は,一時「神田風神」となっていたが,間もなく元の名に戻った。)

 神保町2丁目の靖国通り北側に,ラーメン・つけ麺の「<神保町>堅優」という店ができた。元は上記「さいたま屋」の「神保町2号店」,その前は Stand Cafeがあった間口の狭い場所である(神保町2-2)。ネットによれば8月開店で,値段についてはなぜかいろいろな情報が飛び交っている。
 私が入ったときは,ラーメン,つけ麺 700円,「豪華」(全部乗せ)1000円で,大盛り無料,昼は小ライス無料。まだ暑いときだったので,食べたのはつけ麺。かつお節の粉入り,濃厚魚介スープで,太麺だった。トッピングの種類は多めで,「豪華」には海老ワンタンも2個入っていた。
 看板には「Menya Kenyu」とあって(写真③),一瞬「めにゃ・けにゅ」って何だろうと思ってしまった。

 白山通りを北へ行った右側,元「天ぷら もり」(→参照 ;→参照)があった場所(神保町 1-54)に,「<餃子とハンバーグ>はなこ」が開店した。ただし,看板には店名がなく,「餃子とハンバーグ」とのみ書いてある(写真④)。コの字型カウンターの中は広いオープンキッチンになっていて,年配の人2人を含む4人が働いていた。
 ハンバーグ定食と餃子定食が590円,ハンバーグと餃子4個を組み合わせたはなこランチが740円で,豚汁付き。食べたのははなこランチで,鉄板で焼かれたハンバーグと餃子は,つけあわせのゆでキャベツで区切られていた。ハンバーグのソースは,ハンバーグソース,カレーソース,バジルクリームソース,トマトソース,おろしポン酢から選べるようになっていた。

 小川町方面では,平和堂脇の通り(三菱UFJの向かい)の右側,「万豚記」が改装し,「ちょもらんま」となって9月6日に開店した(駿河台3-7)。このごろよくあるが,経営は変わらず別ブランドの店にしたものらしい(上記の「自然」→「鳥キング」も同様である)。この店の場合は,外側は塗り替えたが内部はほとんど変わらず,メニューの重点を餃子に移して,看板には「中華・餃子・担々麺」と書いてある。
 開店翌日に入った。カウンター席はやたら暑く,汗をかいた。メニューは,餃子(焼・葱・水など),チャーハン類,うま煮かけご飯類,汁なし担々麺・肉味噌ジャージャー麺・担々麺類,ラーメン,など多彩。食べたのは汁なし担々麺・焼き餃子(「やみつき餃子」)6個のセット(980円)で,汁なし担々麺はやたら濃厚な辛甘味ミートソース,一方薄い皮の餃子はあまり味がなく,まだ店内のオペレーションは混乱状態だった。
 見ていたら,チャーハンは三角錐形の型を使って高く盛られていた。「チョモランマ型」ということか。

 その2本東側の道,三井住友海上に近いところに「でびっと」というラーメン店ができていた。元はカツカレーの店で,そのあと同じくカツカレーの「ひまわり」という店があったところである(駿河台3-3)。でびっと何とかというタレントがやっているらしい。基本メニューは豚骨醤油ラーメンとつけ麺で,トッピングはネギ,メンマ,のり,味玉,チャーシューと標準的。味も突飛なところはなく,安心して食べられた。

 神田錦町2丁目は,神保町や小川町より大きなビルが多く,オフィス人口の割に飲食店は少ないが,路地ごとに小さい店が個性を競っている。昼に寿司はめったに食べないのだが,9月下旬の某日,通りかかってちょっと気になった「矢の根寿司」(錦町 2-5-1)に入ってみた。新しい店というわけではない。中はけっこう広く,カウンターは5席のみで,あとは個室になっていた。日本橋に本店があるとのこと。
 ランチはA 1000円,B 1300円,C 1500円,(ほかに2980円,4500円),いずれも小鉢(この日はミニ湯豆腐),お椀(麩の味噌汁)付き。質・量とも十分な水準で,たまには昼に寿司もいいかなと思った。

◆その他の動き

  9月上旬のある日の昼,すずらん通りを歩いていて雨が非常に激しくなり,目の前にあった老舗の天ぷら屋「はちまき」に飛び込んだ。入るのはたぶん20年ぶりぐらいである。ここの前の亭主は,愛想が悪いというよりいつも機嫌が悪い人で,安いランチ天丼を頼むとますます機嫌が悪くなった。客の前でしょっちゅう奥さんを叱りつけるのも不愉快だった。
 前に書いたとおり,この店は今年路線変更して再出発した。カウンターの中で天ぷらを揚げているのは,幸い前の亭主ではなかった。新しい亭主(?)の息子らしい人も働いていて,さらに先代夫人も健在だった。食べたのは天ぷら定食並(700円)で,えび,きす,いか,いんげん,なす,かぼちゃなどを目の前で揚げてくれる。洗練された食事というわけにはいかないが,コスト・パフォーマンスは十分。並には漬け物がつかないので別注した(100円)。

 先月書くべきことだったが,純粋に昼のみ・酒なしの孤高の和食昼食店「はせ川」(錦町3-20)が,同地区のビル取り壊しのため,8月27日限りで閉店した。最後の週は,1時過ぎまで行列ができていた。

 小川町交差点から聖橋方向へ上がった左側,ビルの5階の「鬼平」が別の店になり,昼食はやっていなかった。同じビルの下の「わだつみ」は健在である。


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