神保町 昼食ニュース

2008年8月号

2008年8月2日記

覆面男のラーメン屋

◆ 開 店

 7月も神保町界隈の昼食界の動きは活発だった。
 まず,小川町の靖国通り北側「もつ兵衛」(小川町2-4-5)。元は「<元気居酒屋!> ちょんまげ」だった場所だと思う(06年9月号参照)。昼食は,長崎ちゃんぽんが何種類かあり,伴って皿うどんがあり,ほかにとんかつ,メンチ,生姜焼き,さんしょう焼き,などで ¥680~¥900。
 さんしょう焼きというのがちょっと珍しいと思って,豚のさんしょう焼き(¥780)というのを食べてみた。ご飯,味噌汁,漬け物のほか,冷や奴がついている。トンカツ屋風にキャベツたっぷりなのがよい。

 次いで,五十通り(千代田通りのエーパン脇の道)のまぐろ市場向かい,「かいばや」隣の今までは飲食店ではなかった場所にできた「グレスト(Gresto)」に入ってみた。けっこう広くて40席近くある。大手町に姉妹店があるらしい。
 昼食は,Aランチ(カレー1種類・サラダ・ナン・ライス ¥850),Bランチ(カレー2種 ¥950),Cランチ(カレー2種とタンドリーチキン,ドリンク ¥1200),ほかに,タイカレーのDランチがある。カレーはチキン,豆,野菜,キーマ,日替わり(この日はシーフード)で,この順に辛くなる。ナン・ライスは or ではなく and で,ピザの半分のような半円形のナンとサフランライスが付いている。サラダは比較的たっぷり。このあたりでは,ガネーシャ・ガル,シャヒダワット,ムガールマハールに続くインドレストランとなるが,店名に Curry & Wine と冠してあり,店内にワインが並んでいて,少し西洋テイストを加えてあるようだ。

 次は白山通りを北へ行った右側,ラーメンの「生粋」があった場所に「天ぷら もり」という店ができた。古くからの「いもや」に挑戦するかのようなカウンターの天ぷら定食の店である。ふだん,揚げ物はなるべく食べないようにしているが,開店ご祝儀で入ってみた。メニューは,天ぷら定食(¥780),ヘルシー定食(¥600),とり天定食・ぶた天定食(¥880),えび定食,海鮮定食(¥960),穴子天定食(¥1050),などで,とり天・ぶた天というのが東京風の天ぷら屋にはないメニューだ。
 食べたのは天ぷら定食。先にご飯・味噌汁・漬け物が置かれ,少しして揚げたてのカボチャ,ナス,ピーマンが金属の網の上に出され,しばらくしてから,「後半」の穴子,イカ,エビが出てくる。質量共に充実した揚げたてが食べられるの店の登場である。

 神保町1丁目北側の小道に「カフェ フルーク(Café Flug)」という店が6月下旬に開店した(神保町 1-18-5;きよし・田家の奥)。昼は,日替わり,塩ぶた焼き丼,塩豚生姜焼き,カレーそぼろ丼など(¥900)で,コーヒーまたは紅茶つきである。訪れた日の日替わりはスパイシーガンボライス(オクラ入り,トマト・カレー味ソースかけご飯)で,夏向きのちょっと変わったカレーという趣だった。
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 7月に出会った随一の変わった店は,神保町交差点の北西ブロック,靖国通りの北1本目の道,「めん鳥」の右の方(神保町2-2)にできたカウンター10席ほどの「覆麺」というラーメン店である。7月22日ごろ開店したようだ。カウンターの中にはプロレスラーのような黒覆面と白覆面の男が1人ずついて,壁には「ゴメン 日本語が良くできません。アンガーラ」という張り紙がある。どうやら黒覆面がアンガーラさんという店主らしい。ほかに女性の店員が一人いる。メニューは覆麺(¥780),油覆麺(汁なし)(¥800)が基本で,オプションに味玉,チャーシューがある。
 暑い日だったので汁なしの油覆麺をたのんだら,黒覆面氏が 「アナタ,たくさん食べられないネ」という。どういう意味かなと思ったら,白覆面氏(日本人らしい)が「麺が並で 200g あるんですけど,大丈夫ですか」と「通訳」してくれた。年寄りだと見て聞いてくれたらしい。そこは意地を張って,ということもないが,並にした。文字通り汁なしで,細く,黄色が濃い古典的な麺に味をからめたものである。200g は確かにかなり量があるが,近ごろのつけ麺はだいたいこのぐらいなので,さして苦労なく完食した。(ただし,夜はなかなか腹が減らなかった。)
 何日かして通りかかったら,表に「麺多い(200g) おまけにあっさりしてない アンガーラ」という貼り紙がしてあった(写真)。

 続いて,神保町2丁目の北端,「ねこのしっぽ」「チェゴヤ」の向かいの「おがわ屋」(神保町2-42あたり)。24席ほど(うちカウンター8席)のカフェバーで,前から何度か通りかかったがこれまでなかなか入れなかった。女性率が高く,飲み物・デザートがあるのでおしゃべり長く,客の滞在時間が長いようだ。
 昼食は,パスタ,チキンソテー,チキンカツカレーなどで,デザートまたはドリンク付きで ¥900,別にドリンクを注文することもできる。チキンソテーを頼んでみた。真四角の白い皿の上に,どんぶり風にご飯とおかずが載っている。野菜が多いこともあり,ワンプレートの寂しさはなく,ボリュームもけっこうあった。

 神保町パークタワー北側1階の「潘藩街粥麺専家」の場所が「<もつ焼き>トンちゃん」になったのは知っていたが,ランチをやっているのを7月になってから知って行ってみた。壁を塗り直した以外は,ほぼ前のままの店内である。ランチは,モツ煮,角煮,ショウガ焼などの定食,ラーメン,角煮ラーメン,モツ煮ラーメン,日替わり定食,今日の麺(ある日はざるラーメン,翌日はつけめんだった)などで,ラーメン ¥500 から日替わり ¥800/¥1000 まで値段の幅がある。
 食べたのは日替わり定食(¥1000)で,その日は牛タンだった。比較的厚いタン5枚で,小付に竹輪の煮物が付き,なかなかの充実度だった。

◆その他の動き

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 6月に閉店したすずらん通りの「Sバーミヤン」の後は,「紅とん」というもつ焼きの店になるらしい。

 元「安」の場所にできた「闌(たけなわ)」は,夏メニューとして宮崎冷や汁飯とぶっかけ麦とろを出している。代わりにハムカツと鶏唐揚げは休みだが,ルーロー飯や肉豆腐は「健在」である。これも看板に書いておけばいいのにと思う。

 魚○のあった建物が取り壊され,その空き地の向こうに讃岐うどんの丸香の行列が見える。今だけの風景である。


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