戦場の狼II
アーケード / カプコン / 1990年4月
ストーリー
MISSION 1 作戦開始
MISSION 2 敵戦車地帯
MISSION 3 敵主力戦艦
MISSION 4 山岳地
MISSION 5 市街地
MISSION 6 R国空軍基地
FINAL MISSION
エンディング



 1985年5月にカプコンから発売された『戦場の狼』は、トップビュー・戦場アクションシューティングのエポック・メイキングとして大ヒットを記録した。以後、このタイプのゲームはほとんどの場合、「『戦場の狼』タイプ」と表現される。
 『戦場の狼』以来、そうした「『戦場の狼』タイプ」のゲームは各社からいくつも発売された。SNKの『怒』(1986年)や、データイーストの『ヘビーバレル』(1987年)などが特に有名だ。ではその数ある「『戦場の狼』タイプ」の中でも、決定版と言えるタイトルは一体何だろうか。様々な意見はあるだろうが、『戦場の狼』から実に5年の月日を経た1990年4月に、カプコンから発売された『戦場の狼』の続編、その名も『戦場の狼II』が、そのひとつであることは間違いない。
 CPシステム第9弾である『戦場の狼II』は、専用筐体を使用した3人同時プレイ、そして進歩したグラフィックによるド派手な演出がウリだ。「人間VS戦闘機」「人間VS戦艦」といった燃えるシチュエーションが連続し、そして超絶に描き込まれたリアルな爆発! 火炎放射器でマッチ棒のように燃え尽きる敵兵士! といった過激なビジュアルは、プレイヤーに衝撃を与えた。
 システム面ではライフ制やメガクラッシュ(画面全体にダメージを与え、敵弾も消す)が採用され、ジープや戦車といった乗り物を奪って大暴れすることも可能になった。当時のカプコンゲームらしい「遊びやすさ」があり、とにかく「撃って」「走って」「壊しまくる」、戦争ゲームの爽快感を心ゆくまで堪能できる。
 ショット音、ヒット音、爆発音といった各種効果音の小気味良さも、破壊の爽快感に大きな役割を果たしている。BGMも最高に熱い。特にステージ5、敵の戦車を奪い、ジープを奪い、地雷だらけの市街地を強行突破していく、まさにゲームのクライマックスとも言えるシーンのBGMは、もう失禁ものだ。
 本作はライフ制とは言え1回のダメージ量が非常に大きいため、初心者から見ると恐ろしく難しい、敷居の高いゲームに思われがちだが、実はメガクラッシュを撃つ場所をパターン化して、節操なく撃ちまくれば、誰でも簡単にクリアできる。だがそれでは、「単に見た目が派手なだけの大味なゲーム」で終わってしまうし、事実本作に対してそのような偏見を持っている人はかなり多い。『戦場の狼II』の真の攻略は、ノーコンティニュークリア、そしてノーメガクラッシュクリアを目指すことから始まる。
 前作『戦場の狼』は、パターンよりも圧倒的にアドリブ重視のゲームだった。止まっている間もザコが無限に襲ってくるので、プレイヤーは立ち止まることが許されず、どんどん強行突破していかなければならない。その緊張感や疾走感が、まさに「戦場」を表現していた。
 それに対し『戦場の狼II』は、パターンとアドリブが絶妙のバランスでミックスされている。前作同様無限にわいてくるザコと、耐久力のある中型敵(戦車や装甲車など)のコンビネーションが中心になっているため、強行突破だけでは通用しないのだ。ノーメガクラッシュクリアするためには、場面ごとにパターンを作る必要があり(ちゃんと全ての場面に、合理的なパターンが用意されている)、同時に前作と同じ感覚の熱いアドリブも要求される。前作より奥深いゲーム性を盛り込みつつも、かと言って前作と正反対の「覚えゲー」に改変されてしまっているわけではない。極めて高い次元でバランスがとられており、何度プレイしても飽きることがないのである。
 だが、その高い完成度にも関わらず『戦場の狼II』は、初心者だけでなく、マニアからもあまり高い評価を得られなかった。それは稼ぎ要素が少なく、しかもノーメガクラッシュクリアするだけであっさりカウンターストップしてしまうため、スコアラーにとっても短命なゲームとなってしまったのだ。また仕方のないことだが、ゲーム的にもグラフィック的にも業界初だった前作『戦場の狼』に比べると、どうしても「『戦場の狼』を真似たゲームの真似」のように見られてしまい、強烈なインパクトを与えられなかった。
 それでも『戦場の狼II』は、名作『戦場の狼』の名を冠するにふさわしい、紛れもない傑作だ。ゲームのエンディング、狼達(と言うかシュワ。しかも3人)の活躍によって、世界は救われる。だが彼らの存在はトップシークレットであり、公式文書には一切記されることはない――今までも、そしてこれからも。夕焼けの中を、人知れず走り去って行く狼達(と言うかシュワ。しかも3人)……熱いぜ!!



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