ダブルドラゴン アドバンスへの道
The Way of Double Dragon Advance
[ Part 2 ]




敵キャラクター

 新キャラの「スティーブ」は、『リターン』の時にジャン=クロード・ヴァン・ダムをモデルに作った、足技を得意とするキャラです。ちょうどデザイナーが『マトリックス』の敵キャラ風に描いてくれたので、まるで『マトリックス』から採用したように見えますが、これは個人的には『ダブル・インパクト』という映画のジャン=クロード・ヴァン・ダムを意識しております。

 また「キクチヨ」は、『七人の侍』の三船敏郎の役名です。ルックスは戦国時代の殿様ですが、イメージはだんだんにシリアスな侍から、志村けんのバカ殿になっていってしまいました! 核戦争後という設定なので、荒廃した世界で1人戦国時代をなりきっている侍集団のリーダーです。

 今回ライバルとして登場する、「レイモンド」をリーダーとする「五虎将(幻截拳の5人)」については、ジャッキー・チェンの映画に出た「五獣の拳」の使い手というのが元のイメージです。「龍」「蛇」「虎」「鶴」「豹」の5つの刺客として登場し、「風」「影」「剛」「雷」「幻」の5つの技があったのですが、ざっくりカットになってしまいました。
 キャラ名の「レイモンド」は、香港の映画会社ゴールデンハーベストの代表の名前、レイモンド・チョウです。ルックスはスティーブン・セガールにしたかったのですが、だんだんに変わって、プロレスラーの上田馬ノ介みたいになってしまいました!

 「レイモンド」以外の4人の名前はそれぞれ、「ヤン・チェンリ(楊正利)」(ハチマキ男)、「ウー・インシック(呉仁植)」(スキンヘッド)、「アンダーソン」(前髪のあるロン毛)、「デビッド」(赤のロン毛)、となっています。
 それから今回のチンは「陳王羽(チン・ワンユー)」と言います。チンのスキンヘッドは「陳元圭(チン・ユンケイ)」です。

 ボツキャラでは、「アボレ」や「ボロ」もいましたし「右腕」もいました。『リターン』からは「ベイカー」という刀使いと、『リターン』のボツキャラのパーカーを着たベレッタ男「スタイナー」がいました。それと「コボボ」というローキックで倒すアボボ顔の小さいマッチョがいました。
 ボイスもチンの気合いの声が録音したのに入れられなかったし、ブルノフの笑い声もありません。その他演出動作をかなりカットしました(なごりではアボボの腕組み立ちが残っています)。

新ステージ

 4つの新ステージについては、3面「チャイナタウン」、4面「荒野」の2ステージは、『リターン』の面影として入りました。6面「鍾乳洞」は、FC版『DD1』のオリジナルステージをイメージし、ダンジョンのような場所にして作品的面影を残しました。

 7面「隠し砦」については、初案はまず70年代のカンフー映画の定番ネタで、ボスの前に雇われた異人種のボディーガードと死闘を行う! というものがありまして、それをウィリー戦の前に雇われた拳法家として出すという案から、拳法家「レイモンド」との決闘場とだけ決めていました。
 場面の雰囲気は大きな1フロアだけ用意し、そのフロアでぞろぞろと門弟達が出てきて、洋ゲーの『スマッシュTV』や『戦場の狼』の1面のラストのようにひたすら戦うイメージでしたが、絵を東洋的に! とか考えるうちに、私の大好きな作品『スパルタンX』の2面の炎を吹く龍みたいに「火を吹く龍の石像」を出したい! とか、FC版『DD2』に乱発した「針の床」の出番が少ない! とか膨らんで、結局FC版『DD2』の後半面に登場した「針の床」の遊びを強調したスクロールシーンになりました。

 この面の遊びとしては、まずFC版『DD2』名物の一発死にする「針の床」に串刺しにされないように敵を落とすこと! それからラストの拳法家集団「五虎将」との武術家同士の他流対決が特長です。

 遊んでいただいた方なら、通路の中間あたりの1箇所だけ奇妙な落下地帯があることにお気付きかと思います。これは最初、画面下にはバックチェックがあって落ちなくなっていました。調整段階で「ダブドラだから(暴力の支配する暗黒の世界だから)」とリミットを外しました。
 すると落ちるようにした瞬間から、「やりすぎでは? こりゃないよ! 酷い! 悪質だ!」という反応がありまして、その反応を見た結果、「なんて酷い地形トラップだ! コノヤロー!」という怒りの感情を持っていただきたくて残しました。これもある意味、昔のゲームでは良く持つ感情のひとつでした(テーブル台の頃のゲームは皆が良く画面を叩いたり踏んだりしたものです)。
 トラップは覚えゲーなので熟知すれば落ちなくなるのですが、見た目が解りにくいのはもうちょっとヒントを出しておけば良かったかなぁ? と反省もしています。

 また、見た目にも地味になってしまったことも、「『DD2』のAC版みたいにキラキラと派手に綺麗に見せられたらなぁ」と、ちょっぴり残念に思いますが、主なネタはFC版『DD2』への思い入れからまとまっているので、個人的にも好きなステージです。

オブジェクト

 ステージ内の看板で一番こだわったのはまず、AC版の1面にある『くにおくん』の看板です。その他では、なるべくAC版にあった看板や張り紙、2面のダンボールのTJC文字などは、イメージを壊さないようにそのまま残すようにしました。

 3面の「チャイナタウン」はオリジナルの面なので、ブルース・リーの主演映画『ドラゴン危機一発』の香港版の原題『唐山大兄』や、ブルース・リーが最も熱を入れて修行したと言われる、広東省に伝わる南派の武術「詠春拳」の道場という設定で、「詠春」という文字を残したりしております。
 それからボスフロアのトラックの裏面には、私の大好きな映画『ブルース・リー死亡遊戯』の最も代表的なファイティングポーズを描いてもらいました。特に70年代から80年代のクラシックなクンフー映画のテイストを町中に遺しました。

サウンド

 音楽についてですが、これはこだわりがありまして、新しい曲より山根さんのサウンドを鳴らさなければ、『DD3』やネオジオ版のようにダブドラらしくならない! と勝手に言い張り、わがままに使用しました。特に1面の「スラム街」はAC版『DD1』のダブドラらしい思い出の曲で、他にも名曲はたくさんありますが、「双龍の雄叫び」(FC版『DD2』のラスボス「謎のかくとうか」の曲)もこれまた大好きでした!

 『リターン』の時に、FC版『DD2』の企画を担当した先輩に「この『かくとうか』の曲はどうやって作曲のリクエストしたんですか?」と尋ねたほどでした。ちなみに返答は「カッコイイ曲にして」の一言だけだったとのこと! で、サンプルでNGなしであのレベルだったそうです。
 それを見習ってあまり煩く言わないで、『リターン』の時はラスボスの「デューク」の場面用に「『DD2』の『謎のかくとうか』のようなカッコイイ曲にしてください」とだけ頼みました(で、あの曲があがったにもかかわらずシーンにあてて鳴らすことができませんで、なぜかロールに鳴っています!)。

 今回GBA版にあたっては、まずAC版『DD1』のエンディングまでと、FC版『DD2』のエンディングまでのビデオを見せながら、1曲ずつリストと照らし合わせて、サウンドデザイナーに説明しました。結果、「原曲がカッコイイので、あまり変えない方向でアレンジしたら相当カッコ良くなりますよ!」との返事をもらい、この時点で「あっ、これはイイ作品になるな」と直感しました。
 ですが、サンプルでメモリを増やした豪華版と、メモリを抑えたバージョンとを用意してもらいまして聞き比べてみると、やはり露骨にスケール感が違うのでした。そこで「デカイ容量のバージョンでは何曲くらい入るのか?」と聞いてみると、「半分も入らない!!」とのことだったので曲数を選びました。今回鳴っているサウンドスコアはダブドラの魅力を伝える上でどうしても必要でした。

 使う予定でいた曲には、まず「鍾乳洞」ではFC版『DD1』の鍾乳洞の曲か、『リターン』の地下の通路用に書いてもらった未使用曲をあてる予定でした。次に「デューク」のテーマを今回は「五虎将」のうちリーダーの「レイモンド」以外の4人で鳴らす予定でした。
 この2曲は本当に入れられなくて残念でした。それから願わくば『DD2』の曲はたくさん使いたかったんですが入れられませんでした。

2人プレイ

 自分で言うのも難ですがこれ2人でやるとめちゃくちゃおもろいんです! 2人コンボで開発中爆笑していたネタは「ヘディング合戦!」
 まず敵を1人挟んで頭突きで浮かし! 反対でそれを頭突きで打ち返しますです(これを何回空中でループできるか! 8ループもすればアボボも何もできないまま死にます!)。開発では進行管理兼ディレクターで、プロレスゲームでの評価が高い某メーカー出身という貴重な経歴を持つ松本さんと爆笑でした。
 他にも天殺を相手が逆から爆魔で飛ばしたり色々あります。開発はおもろかったですよー! 今までで最高でした。



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