バイオニックコマンドー マニアックス



トップシークレット(AC)

●アーケード版『トップシークレット』では、主人公は左腕に装着した「ワイヤーガン」を使ってワイヤーを発射しているという設定になっている。海外版もこの設定は同じだが、名称は「バイオニック・アーム」だった。

●驚くべきことに、アーケード版『トップシークレット』の時点で、ワイヤーで敵を吹っ飛ばしたり、遠くのアイテムを拾ったりと、ワイヤーを移動以外の用途にも使うことができた。これらのアクションは3D版『バイオニック コマンドー』に至るまで、ずっと引き継がれている。

●アーケード版『トップシークレット』のアイテムは、パラシュートで空輸されてくる。このシステムは、『ヒットラーの復活』以降の作品も引き継がれている。3D版『バイオニック コマンドー』でも、「補給ポッド」という形になってはいるが、空から送り込まれる点は変わらない。

●アーケード版『トップシークレット』にはシリーズ中唯一、ワイヤーをパワーアップするアイテムがある。これを取ると、ワイヤーの伸びるスピードがアップする。

●『ヒットラーの復活』は最終ボスがヒットラーというアブナイ設定で有名だが、アーケード版『トップシークレット』の最終ボスは『宇宙戦艦ヤマト』の「沖田艦長」をほうふつとさせる。


●海外版でのみ、本作の主人公はスーパージョーと明言されている。ちなみに1986年の『ラッシュ&クラッシュ』も、海外版『The Speed Rumbler』のみ、主人公の名前がスーパージョーとなっていたが、内容的なつながりはまったくない。

●海外でのみ発売された、アミガやコモドール64などへの移植版『Bionic Commando』は、音楽のアレンジを伝説的なゲームサウンドクリエイター、ティム・フォリン(Tim Follin)が担当したことでも有名である。

ヒットラーの復活 トップシークレット(FC)

●『ヒットラーの復活』のエリア1、3、4、7BGM(作曲:民谷淳子)は、アーケード版『トップシークレット』のステージ2BGM『大要塞(BIG FORTRESS)』(作曲:藤田晴美)と同じである。この曲は通称「バイオニック・マーチ」と呼ばれ、シリーズのテーマ曲といえるほど有名だ。3D版『バイオニック コマンドー』でも、メインテーマとして使用されている。

●『ヒットラーの復活』のエリア8BGM(作曲:民谷淳子)は、アーケード版『トップシークレット』のステージ4BGM『悪魔の塔(THE TOWER OF DEMON)』(作曲:藤田晴美)と同じである。『ヒットラーの復活』は、ほとんどの曲を複数エリアで流用しているが、この曲はエリア8の1ヵ所でしか鳴らない。しかもエリア8はゲームクリアに必須ではなく、その割にマップの構造は迷路のように複雑である。そうした特異さも相まって、印象に残る曲となっている。

●『ヒットラーの復活』は、アイテムを集めることで、最終的にライフが8つまで増える。しかしゲームスタート直後はライフが1つもないため、一撃で死んでしまう。奇妙な厳しさだが、これはアーケード版『トップシークレット』が常に「一発死」であったことを踏襲している。なお、以降の作品はすべて、最初から3つ以上のライフがある状態でスタートする。

●『ヒットラーの復活』で、各エリアの最後にある動力装置は、アーケード版『トップシークレット』の最終ステージ5に登場した動力装置にそっくりである。ゲームボーイ版『バイオニックコマンドー』や『Elite Forces』にも、デザインは多少異なるが、引き続き登場している。


●『ヒットラーの復活』は、アーケード版『トップシークレット』とはストーリーもステージ構成もまったく異なる。しかし、パラシュート降下、高圧電流の床、上から物を落としてくる兵士、乗り物に乗った小人兵、頭上を飛び回るヘリ、60秒のカウントダウンなど、随所にアーケード版のギミックが残されている。

●本作のクライマックスで、飛び降りながらバズーカを撃ち、ヘリのコクピットを狙撃するシーンはあまりにも有名である。このシーンは、『機動戦士ガンダム』のラストで、シャアがザンジバルのコクピットをバズーカで狙撃し、キシリアを殺害するシーンをほうふつとさせる。


●海外版では以下のように、キャラクターの名前など固有名詞の一部が変更されている。また、ゲーム中のハーケンクロイツもすべて削除され、ナチスという単語も登場しない。後の『マスターD復活計画』も、この海外版の設定に準じている。
・アドルフ・ヒットラー → マスターD(Master-D)
・総統ワイズマン → 総統キルット(Generalissimo Killt)
・シュワルツァネッガー → デストロイヤー(Destroyer)

バイオニックコマンドー(GB)

●ゲームボーイ版『バイオニックコマンドー』と、『ヒットラーの復活』の大きな違いは、敵の最終兵器「アルバトロス」の設定だ。『ヒットラーの復活』のアルバトロスは、約2画面分スクロールする巨大ボスだった。ゲームボーイ版『バイオニックコマンドー』のアルバトロスは、さらに巨大な空中要塞に変更され、それ自体が1つのステージとなっている。この展開は、後の『Elite Forces』や『マスターD復活計画』にも引き継がれている。雲上を飛行するアルバトロスの外壁をワイヤー1本で渡っていくシーンは、シリーズの新たな名場面となった。


●ゲームボーイ版『バイオニックコマンドー』の最終ボスは、『ヒットラーの復活』とはまったく異なり、ガイコツ形の巨大ロボット(アルバトロスの正体)となっている。プレイヤーはボスの手を足場にして、弱点の頭を攻撃するのだ。この時期のカプコンのアクションゲームには、このタイプの最終ボスが非常に多い。

Dr.ホセ(2010 ストリートファイター)
ファミリーコンピュータ/1990年8月8日発売
魔帝サマエル(超魔界村)
スーパーファミコン/1991年10月4日発売
アルバトロス(バイオニックコマンドー)
ゲームボーイ/1992年7月24日発売
ウルフシグマ(ロックマンX)
スーパーファミコン/1993年12月17日発売 

●ゲームボーイ版『バイオニックコマンドー』の音楽は、『ヒットラーの復活』からのアレンジ曲が多い。ただし最初のエリア(0、4、6、8、17)のBGMは、まったく新しい曲に変更されている。軍隊調だった「バイオニック・マーチ」に代わり、アニメ風の世界観に合わせた曲だ。この曲は最終ステージのアルバトロスでも流れるほか、続く『Elite Forces』でもエリア1BGMとして使用され、非常に印象深い。ゲームボーイ版2作のテーマ曲ともいえる名曲だ。本作のサウンドを担当した水口エンジニアリングの村田幸史は、同社開発の『ロックマンワールド3』、『ロックマンワールド4』、またコナミ在籍時代に『ドラゴンスクロール 甦りし魔竜』、『がんばれゴエモン2』(山根ミチルと共同)などを担当した。

Bionic Commando: Elite Forces(GBC)

●本作は海外でのみ発売された作品で、日本ではほとんど知られていない。ゲーム内容やステージのダイジェストはこちら

●本作の主人公は「バイオニック・アイ」を装備しており、十字ボタンの上下を押し続けることで、画面の上下を見ることができる。なお世界観は異なるものの、3D版『バイオニック コマンドー』に登場するスナイパー(トーマス・クラーク)も、バイオニック・アイを持っている。


●『Elite Forces』はシリーズ中唯一、足場から真下に飛び降りることができる。十字ボタンを素早く2回押すと、今自分が立っている足場の下にワイヤーでぶら下がるのだ。

●『Elite Forces』は、他のシリーズ作品と異なり、クライマックスの展開が非常に弱い。最終ステージは、特に無線や会話もなく、淡々と進む。そして最後の部屋に入ると、敵の黒幕が宇宙からのパワーを得てエイリアンに変身。それを倒すと、第2形態も脱出シーンもなく、いきなりエンディングが始まる。

バイオニック コマンドー マスターD復活計画(PS3/360)

●『ヒットラーの復活』には、女性キャラクターが1人も登場しなかった。そのことを受けて、『マスターD復活計画』では、新たに女性パイロットの「ヘイリー」が登場する。実はこのキャラクターは、『ヒットラーの復活』に登場した「ハル」と同じ役柄である。ただし、ハルがゲーム終盤でいきなり登場したのに対し、ヘイリーはゲーム開始直後からスペンサーと行動を共にしており、会話シーンも多い。この変更が、クライマックスの感動をより強めている。


●『ヒットラーの復活』でボスの一人だったロボット兵士は、『マスターD復活計画』で「ゴッドフリート・グローダー」という名前と経歴を与えられた。スペンサーの最大のライバルとなったグローダーは、続編である3D版『バイオニック コマンドー』にも引き続き登場する。


●『マスターD復活計画』には、『ヒットラーの復活』にはなかった会話が追加されている。スペンサーの失踪した妻や、FSAの「アームストロング将軍」に関する話題だ。実はこれらは、3D版『バイオニック コマンドー』の伏線になっている。

●最終ボスであるマスターD(ヒットラー)との戦いは、原作と大きく異なっている。『ヒットラーの復活』では、飛び降りながらヘリのコクピットを撃ち、当てれば勝利、外せば即死、という短いものだった。『マスターD復活計画』では、ヘリに体力ゲージがあり、独立したボス戦となっている。ワイヤーでヘリのミサイルを撃ち落としながら、右スティックでバズーカの弾を誘導し、コクピットに命中させるのだ。ゲーム性は格段に高まったが、原作のような「一発勝負」ではなくなり、評価が分かれるところとなった。

●『ヒットラーの復活』のラストには、ヒットラーの頭部が『北斗の拳』のように爆裂するという、ファミコンとは思えないほど衝撃的なシーンがあった。海外版の『マスターD復活計画』は、この名シーンを忠実に再現しているばかりか、表現のグロテスクさが数段増している。日本版ではレーティングの関係により、残念ながらこのシーンはカットされている。


●本作は『ヒットラーの復活』と違い、各エリアの最後に新たにボスが追加されている。その代わり、おなじみの動力装置がなくなってしまった……ように思えるが、実は最終ボスの直前で、背景に巨大な動力装置が見える。



●『マスターD復活計画』の音楽は基本的に『ヒットラーの復活』のアレンジだが、トップビューの「遭遇戦」は、元ネタともいえる『戦場の狼』のメインBGMアレンジとなっている。

バイオニック コマンドー(PS3/360/PC)

●『マスターD復活計画』は、『ヒットラーの復活』で登場した武器を引き継ぎつつ、それぞれの性能を修正している。例えば、ワイド砲をショットガンとして強化したり、バズーカ(ロケット砲)は爆風で自分もダメージを受けるようになったり、といった具合だ。そして3D版『バイオニック コマンドー』の武器は、『マスターD復活計画』とほぼ同じ性能のものが登場する。

ヒットラーの復活 マスターD復活計画 バイオニック コマンドー
ノーマル銃 リボルバー TUNGSTEN
ロケット砲 バズーカ BULLDOG
ワイド砲 ショットガン HIKER
3WAY ベクターキャノン なし
ジョーのマシンガン ジョーのマシンガン ジョーのマシンガン
ハイパーバズーカ バズーカ(アップグレード) TARANTULA
なし 手榴弾 手榴弾
なし プラズマライフル なし
なし なし YELENA

●最初のボスでもあるブラーク・ヘリコプターは、『マスターD復活計画』の最終ボス、マスターDのヘリと同型である。また、誘導ミサイルを使って撃墜する点も同じだ。

●バイオメックは、アーケード版『トップシークレット』に登場したラウンドウォーカー(二足歩行ロボット)をほうふつとさせる。倒すとパイロットが飛び出してくる点も同じだ。

●本作の音楽は、有名な「バイオニック・マーチ」をはじめ、各エリアBGM、遭遇戦BGMなど、『ヒットラーの復活』の曲をふんだんに使用している。また、注意深く聴いてみると、以下の曲にも『ヒットラーの復活』のフレーズが盛り込まれている。
・Groder's Anthem(グローダー戦)……『ヒットラーの復活』エリア8BGM(悪魔の塔)
・Project Vulture(最終戦)……『ヒットラーの復活』ボスBGM
・The Mohole(モホール戦)……『ヒットラーの復活』ボス前会話BGM



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