11月の日記

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11月2日

 行動心理学って学問がある。平たく言えば「人間や動物はどんな行動を取りたがるか」を研究するものである。代表的な研究結果が「パブロフの犬」で有名な、条件反射の発見だね。
 
 ただこの研究、かなーり後味悪い研究成果も山ほど出している。いや人間の心なんて複雑怪奇であり、ある実験結果を他の物事にそのまま当てはめるのは間違う可能性があるんだけど、それを承知してすらイヤ〜な感じの結論が出てる研究も多いんだよね。
 
 そんなものの代表としては、「精神科医は、患者の状態より自分のおかれた状況で診断を下す」とか、「ちょっとした権威を振りかざされただけで、相当残酷なことを実行しちゃう」とか、「他人が何とかしてくれそうだと思うと、いくらでも無責任になる」なんてのがある。本当は単純にこう断言するのは危険なんだけど、そう解釈したくなる実験結果があるのよ。
 
 そんな実験の1つに、「報酬を小出しにされると、人は自ら進んで洗脳される」ってのがある。実験内容は単純。報酬20$で「嘘をつけ」と命令したときと、報酬1$で命令したときでは、報酬安い方がその嘘を本気で信じる傾向が強かったってものだ。
 
 この実験、元々はある観察結果を基にして行われたモノだ。いわゆるカルト集団が、「絶対当たるワケない予言」を出した。それを信じて行動を起こした連中を観察したところ、明らかに予言が外れた後の方が熱狂的に教祖を支持したんだそうな。うーむ。
 
 何故そんなことが起きるのか?説明はこうだ。人間誰だって「自分は間違っていた」と思い知らされるのはイヤだ。得られるものが多ければ「お金に目がくらんだんだから、仕方ない」と割り切れるけど、得られるモノが少ないとタダのバカだ。それを認めたくないから、「自分は信念からこうしたんだ!」ってな心理状態になり、結果として自分から勝手に洗脳されちゃう。恐ろしいですねえ。
 
 ちなみにこの研究結果、応用されてる例が発見されてるらしい。いわゆる冷戦時代に捕虜となって「洗脳された」米兵について研究したところ、反米的な作文書かせた後に、つまらない報酬(飴玉など)を与えられただけ…って例がいっぱい見つかったんだとか。「つまらん報酬でトンデモないことやっちゃった」ってのを認めたくない気持ちを利用されたワケだ。
 
 これを紹介するだけなら、「怖いですね〜、イヤですね〜」で終わり。しかし、私はここでふと考えた。ということはだ。「応援する対象が弱い方が、実は熱狂的ファンを生み出しやすい」ってことにならないか?
 
 私が応援し始めたとき、スワローズはBクラスが指定席だった。Jリーグ開設当初の浦和レッズの弱さは有名だ。最初に追いかけた馬シャコーグレイドは心底弱かった。その他諸々、最初に「痛い目」に遭わされた結果、私が今も深くふかぁ〜くハマっているモノは多い。うを、なんかシャレになってねえ…
 
 まあ、こーゆーものは「好きになるきっかけ」にも乏しいのが普通なので、普通の人なら「そもそもハマりゃしねえ」のかもしれない。しかし…それで片付けていいのかなあ。色々とクソ下らない理由で期待しちゃうことはあるよねえ。その結果ズルズルと…ってのはかなり多いんじゃないかと。皆さんも心当たりありません?
 
 問題はもう1つ。逆ってのは必ずしも真とは限らないけど、成立するかどうか考えてみる価値はあるだろう。すなわち、「応援する対象が強いと、実は熱狂的ファンになりにくい」ってこと。これは…どーなんだろ。とても気になる。
 
 世の大半のプロスポーツは、「強ければそれでいい」ってな考え方をしがちである。それが悪いとは思わないけど、行動心理学は「それは間違いかも」という冷酷な問いかけを発しているような気がする。怪しげな「優勝した時の経済効果」なんてものを計算してるヒマがあるんなら、もっと真剣に「チームの強さと支持率の関係」を調べて欲しい。いやマジに。私だってこの結論認めたくないんだから。
 
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11月5日

 本日は諸般の事情により、さらっと流す。というわけで、VaSの地中海戦略・改を解説して終わりたい。
 
 VaSの地中海戦略については、以前触れたことがある。その時点からあんまり変化はない…と言いたいところだけど、細かな変化はあったので、あえて語っておきます。
 
 地中海の戦いは、初期配置から始まる。初期配置で英軍がマルタ島に送り込む部隊を決める〜伊艦隊が出撃するかどうか決める〜ってな具合にゲームが進むから。ここでマルタ島の英軍艦隊が出撃するかどうか決めて終わり…だと思っていた。
 
 これは大いなる間違いである。英軍は巡洋艦に限り英本土から地中海に送り込むことが出来るし、独のポケット戦艦も介入してくる。英軍が地中海に手を出すと決めた場合、これらについても多少考えるべきだ。
 
 私は第1ターンに北海を捨てて地中海を獲りに行く作戦を好む。最初から北海支配するのも魅力的なんだけど、後述する理由により「ちょっと無理かなあ」と思っているので。ここはとりあえず地中海を支配することを前提に、色々と考えてみることにしよう。
 
 私が出した結論として、セットアップでマルタ島に送り込む艦艇は13隻。鈍足戦艦全部(ネルソン・ロドネイ含む)+アークロイヤルである。理由は単純、これぐらい送り込まないと伊艦隊に「一方的勝利」できないから。最初から北海は捨ててるので、これだけの大艦隊送り込んでも対処は可能なはず。
 
 何でここまでして「一方的勝利」追求するのか?そりゃあ下手に損害出すと後々響いてくるからである。「確実に完勝したい」などと考えると、これでも足らないくらいだ。でも、だからってさらに艦艇送り込むのはオススメしない。弱くて足の速い艦艇を投入すると、そいつが狙われちゃうから。これは後々絶対効いてくる。
 
 リーグ戦では「負けても明日がある」ため、同じ負けでも大敗は避けたい。しかし、これからはトーナメント。僅差だろうが大差だろうが負けは負け。となると、英軍が地中海作戦を採用した時、伊艦隊が出撃してくる可能性が高まる。完敗さえしなければ何とかなっちゃうからね。もちろん完敗する可能性もあるんだけど。
 
 当初言われていた「英軍10隻」というのは、正直オススメできない。痛み分けは英軍にとって不利だと思うので。伊艦隊は巡洋艦含むとはいえ10隻もいるし、独のポケット戦艦が介入してくるかもしれないので、敗北の可能性すらある。これを嫌って英本土から巡洋艦送り込むと、巡洋艦の被害が大きい。これまた不利だ。
 
 最近流行の「空母含む11隻」ってのもオススメしにくい。これだとポケ戦が突っ込んできた時に敗北の危険性がある。巡洋艦送り込めば何とかなるけど、その場合はポケ戦は別の所に行き、巡洋艦が標的になる。実際にはポケ戦が突っ込んでくる可能性は低いんだけど、突っ込んできた場合について無視は出来ないからねえ。
 
 そこで私が出した結論が12隻体制だったんだけど、これでもやはり苦しい。そこで13隻目に空母を送る。空母は巡洋艦と違って沈みにくいし、仮に沈んでも増援は多い。残った連中は鈍足だけど沈みにくいので、まあ被害は多少減るんじゃないかと。
 
 こんなに艦艇送り込んだら、単に伊艦隊が出撃してこないだけじゃないの?多分そうだ。というか、「こんだけいるんだから、出撃諦めなさい」って思わせるために大艦隊送り込んでいるのだ。正直、英軍はできればここで決戦したくない。伊艦隊なんて、沈めてもさほど嬉しくないんだから。特に痛み分けってのは最悪。ベストは「伊艦隊が出撃してきて、完勝する」だけど、「出撃してこない」ってのはコレに次ぐ結果と言える。
 
 私が北海諦めているのは、コレが理由である。地中海決戦で手ひどい目に遭うと、後々戦略が崩壊しかねない。だったら北海なんて無理して獲りに行く意味がない。北海が欲しいのなら、半端な隻数じゃ意味がない。1〜2隻ならUボートで支配消されて終わりだし、空母含む3〜4隻程度じゃ独軍全力出撃で抹殺される。もちろん両方支配しに行く意味は大きいんだけど、それがベストかどうかは何とも言えない。
 
 今現在Middle-Earth東京支部で「連合軍地中海支配・北海放棄」って作戦を採用しているのは、知ってる限りでは私だけらしい。それゆえ、正直オススメなプランとは言い難い。私なりにいくつか弱点も見いだしているし。ただ、まるで可能性のないプランではないと思う。強者揃いのVリーグで五分の星残しているんだし。そんなわけで、このゲームに興味のある人なら覚えておいて損のない戦法じゃないかな。
 
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11月8日

 昨日は月曜なのに、珍しく更新できなかった。いやはや。というわけで、本日は日曜の報告その1。何故その1?そりゃあ明日以降にその2があるからだ。日曜は複雑なスケジュールだったのよ。
 
 それなりに早起きして、向かった先は東京ビッグサイト。お目当てはコミティア。本当なら「大事な対戦」に備えてMiddle-Earth東京支部に向かうはずだったんだけど、午後から行けば問題ないというお墨付きが出た?関係上、こちらにも顔を出すことにしたのだ。
 
 私のお目当ては同人便せんなんだけど、この日に限ってはより優先度の高いブツが存在する。カレンダーだ。もうそーゆー季節だからねえ。私はカレンダーを「山ほど」飾るのが好きで、毎年山ほど買い込んでいる。ちなみに今年の分は6つ。少ない(苦笑)。
 
 というわけで物色を開始したんだけど、それなりに良い買い物が出来たようだ。アルバムサイズが4つにシングルサイズが1つ。この手のサイズのものは、いくらあっても困らないからね。ちなみに、後は市販のモノをいくつか、年末のコミケでもいくつか、それとJRAカレンダーを購入予定。
 
 同人カレンダーってのは、事実上絵だけが勝負…ってことにしてある。本当なら日付のところも大いにこだわりたいんだけど、それを言い出すと何も買えなくなっちゃう。私の考えるベストは「イラスト・写真部分と同サイズで、JRA方式」なんだけど、全部コレで統一するのは寂しい。せっかくいっぱい買うんだから、色々バリエーション持たせないと(苦笑)。なおJRA方式ってのは、普通の日曜に始まって土曜に終わるものじゃなく、月曜に始まり日曜で終わるモノを指す。慣れるとコッチの方が便利ですぜ。
 
 私がこの手の物色始めると、「全部買いだ!」とか言い出しかねない。いやマジに。実際にはそんなことやってないけどね。8割ぐらいかな(苦笑)。コミティアはさほど大きくない同人誌即売会なので、これでも問題ない。買わなかったのは、実は主に動物もの。代表例はイヌネコだね。こーゆーのは市販品とモロに被るので、どーしても合格点辛くしちゃうんだよね。特に写真使った作品は…なにしろ馬カレンダー導入が内定してるわけだし(笑)。
 
 とまあ、いつものよーに平和な妄想抱きつつ買い物をしていたわけだけど、唐突に「重大きわまりない挑発行為」に遭遇した。私は基本的に、コミティアでは本(フツーの同人誌)を買わない。でも例外もある。ある政治パロマンガ主体の老舗の本は「新刊出てれば」買っているのだ。今回は新刊あるはずだったのに、それがなかったのだ。
 
 いくら私が「買いたい本が買いたい時に出てないと激怒する」男だと言っても、普通同人誌にソコまで要求しない。「落ちました〜」の一言で片付けられても、「あっそ」で終わり。また次回出掛けて買うだけだ。そう、フツーなら。今回そこの同人誌が落ちた理由がスゴい。「商業誌の企画コーナーとして書店に並ぶことになった」ので、落としたんだそうな。
 
 いわゆるプロデビューってのは、同人の世界じゃたまに存在する。探せばプロ・セミプロの同人誌だって売ってるわけだし。これ自体は挑発行為でも何でもない。問題は掲載誌だ。11/26発売の一般誌「ジャパンポンチ vol.3」。見たことも聞いたこともない。「立ち読みの鬼」F男をして「見たことも聞いたこともない」雑誌…疑いようもなく、入手の難しい品である。
 
 vol.3ってことは、どこをどう考えても過去に2号ほど出ているのだろう。怪しげなタイトル名からして、もし過去に目撃例があれば覚えていそうなモノだ。なのに、記憶にカスリもしねえ。こりゃあかなりの難物だ。発売日にぶらっと近所の本屋に出掛けて、さっさと買って帰る…ってシロモノじゃないでしょ。「東京の巨大書店で必死に探し回る」ってレベルの品と思われる。
 
 たとえどんなにマイナーであれ、私が欲しいと思ったのに入手できない、発行されたはずの商業誌…そんなものの存在を認めるわけにはいかない。これは、私に対する極めて重大な「挑発行為」である!「大量破壊兵器査察団の入国を認めない」どころの話じゃない、「皇太子夫妻暗殺」に匹敵する。2月に遭遇した「ハヤテのごとく!」売り切れ目撃事件を超える衝撃だ。
 
 ちなみにweb検索したところ、この雑誌は6月に創刊されたらしい。6月創刊の雑誌が5ヶ月後の11月にvol.3?なんかヘンな発売間隔だなあ。おそらく、いや間違いなく「なんかあった」んだな…困るよねえ。ホントにちゃんと発売されるのか?今から不安で仕方ないんですけど。
 
 とまあ、こんな精神状態から切り替えができないまま、次の目的地へ向かったわけですよ。「赤い話題」だってのに。なんか色んな意味で「何が起こったか」想像できると思うけど、長くなるので明日以降ということで。
 
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11月10日

 前回の続き。妄想に浸りきったあげく「重大なる挑発行為」を喰らい、アタマの中が同人誌即売会モードから切り替わらないまま到着した先には、「賭けオンスロート」という名の、地獄の戦場が待っていたのであった…
 
 私は一応「ギャンブラー」を自称している。実態は単なる馬券オヤジって話はあるけど。そんな私だけに、「チョコレート付きの」ゲームは断らない、断れない。それがギャンブラーの哀しい性ってものである。「後の勝算無き撤退」は許されない。
 
 そんな私の性を見透かしたように、チョコレート付きのゲームを持ちかけてくる人がいる。「軍神」の呼び名を持ち、日本屈指の経験と技量を持つ男、鹿内氏だ。はっきり言おう。勝てる気がしない。
 
 どれぐらい「勝ち目がない」のか。千葉ロッテマリーンズに挑むサムスンライオンズ。サイレントウイットネス様に挑むテイエムチュラサン。そんな感じだ。無理・無茶・無謀である。多分、逃げ出しても鹿内氏以外誰も文句言わない。とはいえ、今回は向こうから私に挑戦してきた形。漢のプライドに賭けて逃げるわけにはいかなかった。
 
 漢ってのは、負けるとわかっていても戦わなくてはならない時がある。これは決してマンガの中だけの話じゃねえ。ここで逃げ回るってコトは、この先生涯鹿内氏から逃げ回るってのに等しい。それでどーする。格下が本気で牙むいて襲いかからないようじゃ、トップ張ってても面白くないでしょ。「本気でクビ獲りに行く」ってのが、目上に対するホンモノの礼儀じゃないかな。
 
 とはいえ、コンディションはせいぜい「並」。このところ色々あったので、「当日ベストに持って行く」ってな調整はできなかった。おまけにアタマ切り替わっていないんだから、もうどーしよーもない。カネ賭けてる鹿内氏なんて、並の出来で勝てるような相手じゃないでしょ。
 
 おまけに、運もはっきりと悪かった。普段「運が悪かった」などと愚痴ると、「多少の不運で失敗するような作戦採る方が悪い!」と一喝する鹿内氏が、「確かに運も悪かった」と分析するくらいだもの。そりゃあ作戦面で至らぬ点は山ほどあり、それが「主な敗因」であることは否定しない。けど、そんなのは私の実力からして当たり前である。実力以上の力を発揮しないと勝てない相手なんだから、運の助けは欲しいところ。それにソッポ向かれちゃねえ。
 
 どれぐらい負けたかというと、「これ以上は考えにくい」ぐらい負けた。麻雀で言えばハコテン・ヤキトリ付き・ご祝儀だけは免れたってところだね。野球で言えば日本シリーズのタイガースと同レベル。完敗である。
 
 まあ、ある意味わかっていたことではあるので、ショックというものはない。自らの不甲斐なさには本気で腹が立つけど、ちゃんと冷静に受け止めることが出来ていると思う。これは大切なことですね。こういう「負けるのがわかってる」対戦の場合、「いかに負けるか」は大事だ。その点、今回はちゃんと「いい負け方」が出来たのでは。
 
 「いい負け方」とは?普通は「他に責任押しつける」ってのが、悪い負け方とされる。これは私も認める。けど、だからって「ボクが弱かったから」だけで片付けるのも良くない。もっと緻密に敗因分析を行うべきだ。結局のところ、どこに敗因があろうとも、最終的に「チョコレート」渡すのは私である。「調整に失敗した」「運が悪かった」も「自分が弱いだけ」に匹敵するぐらい、自分のせいである。だったらちゃんと敗因分析する。分析して、治せるところは治す。無駄に落ち込んでるヒマなどあるか。
 
 とはいえ、普通ならこんな境地に達するのは難しい。関連薄いところに全責任おっかぶせてみたり、「ボクが弱いから」とヒネて終わり…となりがちだ。普段だったら、私もそうする。自慢じゃないけど。でも、今回のように「チョコレート」ある時はそうもいかない。負けても、ちゃんと何かを掴んで起きあがらないと。それが「授業料払う」ってことだから。
 
 今回我ながら感心したのは、「やはり賭けると肝が据わるな〜」って実感したことである。普段ならモラルブレイクしかねないぐらい運が悪かったのに、少なくとも意気消沈はしなかった。もちろん「取り返すべし」って焦りはあり、それでミスぶっこいたのは事実。けど、あの程度のミスは日常的にやらかしてること。結果は滅茶苦茶でも、投げやりになったり自滅しなかった点は自分を褒めてあげよう。
 
 とはいえ、そんなのは当たり前のことである。何だかんだ言っても、場数だけは踏んでいるんだから。その「当たり前のこと」が難しいのは認めるけど、だからって勝とうと思ったら、これぐらいは出来て当然。それにプラスαがないと。大事な勝負なんだから、実力出し切るだけじゃ駄目。実力以上の「何か」を出せないといけない。それが勝負ってものだよね。
 
 チョコレート賭けた鹿内氏は、強いなんてものじゃない。ただでさえ技量の差があるのに、それに加えて技量を超えた「強さ」をひしひしと感じる。でも、だからどーした。そんな相手であっても、いやそんな相手だからこそ、勝たなくてはいけない。それこそが本当の意味での「勝負」であり、ゲームをプレイする醍醐味だから。今回は残念な結果に終わったけど、それを受け入れることが「授業料」だろう。勝てた時の喜びを考えたら、これぐらいの授業料なんて安いモノ。真剣にそう思う。
 
 今から10年ほど前、戸山調教師は名著「鍛えて最強馬を作る」の中でこう言った。「日本馬が海外に挑戦するなんてムダ、勝てるわけがない」と。それを最初に否定したのは、その戸山調教師が鍛えたフジヤマケンザン様だった。勝ち目が無かろうとも、無謀だろうと、逃げてはいけない。この馬は私にそう教えてくれた。「相手が鹿内氏だから」といって、諦めてはいけない。それはこの偉業をナマで目撃した私の、神聖なる義務だと思う。
 
 賭けることに関しては、色々と是非はあると思う。ただ、これだけは言っておきたい。賭けてこそ見えてくるモノってのは、確かにある。それを覗くことは、大切なことじゃないだろうか。そして、「何かを賭けた勝負」をやるとするのなら、好きなもの・好きなことに賭けるのが当然じゃないか?
 
 なお、ゲームそのものの内容・反省点については、また後日機会があったら語ることにする。まだ分析中だからね。そのうちリベンジする予定だけど、今のところの結論は「駄目だこりゃ」に過ぎないので(苦笑)。
 
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11月11日

 唐突な献辞。酔狸さんへ。こんなワケわからんネタに興味を示してくれて、有り難うございます。これからも、色々とワケわからんネタを紹介していこうかと(笑)。
 
 反響があったので、行動心理学の話題をもう1ついこう。前回同様、本屋で発見した「心は実験できるか」(ローレン・スレイター著/紀伊國屋書店)より、「精神科医にデタラメ伝えるとどーなるか」を紹介しよう。なお、この本では「行動心理学」なる言葉は使ってないけど、これは私がそう「教えられた」からである。ご注意を。
 
 世の中には詐病ってものがある。「私は病気です」ってウソだね。小はサボりの口実から、大は病的強迫観念まで様々なモノがある。これを見抜くのも医者の大事な仕事だ。そこで、「精神科医はどこまで詐病を見抜けるか?」って実験をやった奴がいた。
 
 モノが精神に関するコトなので、迫真の演技は見抜けなくても仕方ない。そこで、ハードルはかなり低めにした。「耳元で人間の声で『ドスン』って言ってる声が聞こえる」という、意味不明で過去に報告のない、それでいてなんかもっともらしい症状を訴えることにしたのだ。
 
 実験結果は…大半がいきなり入院決定。かなり昔の話なので、精神病=即入院だったからね。外部から「この人は正気です。嘘ついてました。ゴメンナサイ」って言われるまで、全く見抜けず。むしろ同じ入院患者の方が「アンタ正常でしょ」と見抜く有様。結果として猛烈に気まずい実験となってしまった。
 
 これは昔の話であって、今じゃこんなコトは有り得ない…のか?この本の作者はわざと自分で実験してみたんだそうな。その結果、まあいきなり入院ってことはなかったけど、「あなたは鬱病ですね」と診断され、ちゃんとクスリ出されたんだそうな…いや、そりゃあ入院とは天と地の差があるけどさあ。
 
 心ってのは複雑怪奇であり、調子がおかしくなったときの症状も千差万別。それは大いに認める。認めるけど、精神科医が「ワケのわからん症例」に遭遇した場合、まずは「無難な」というか「流行の」手段により解決を図ろうとする…ってのは事実のようだ。ズバリ言ってしまうと、精神科医ってのは「わかりません」と認める勇気がない。
 
 ただ、精神科医の立場も何となくわかる。そこに「苦しんでる」患者がいる以上、どうしても「わかりません」とは言いにくい。不信感抱かれて病院代えるだけでしょ。これは医者にとっても患者にとっても不幸だ。なんかもっともらしいコト言って、毒にも薬にもならない薬を出す…ってのが一番いいような気がする。けど、今はネットなどで「どんな薬出されたか」簡単に調べが付いちゃう時代だ。単なる小麦粉なんて出したら、訴訟沙汰になりかねない。
 
 とはいえ、本当にコレでいいのか?って疑問は残るね。今の抗うつ剤ってのは、かなり効いて副作用も弱いらしい。けど、アタマに作用する(と思われる)薬だよ?健常者に与えた場合、無害とは言い切れないのでは。悪名高きロボトミー手術でさえ、「害の方が大きい」とわかったのはかなり後の話。気楽に出していい薬とは思えないんですけど。
 
 誤解して欲しくないんだけど、精神医学そのものがクズだとか、精神科医がいいかげんってワケではない。色々頑張ってはいるけれど、それでも「心の問題」ってのは解決の難しい問題だってコトである。「医者に行きました、治りました」なんて単純なものじゃない。そんなことを期待する方が間違っている。
 
 鬱病ってのは、甘く見てはイケナイ。れっきとした「死に至る病」である。もしこう診断されたら、真剣に治療に取り組む必要がある。けど、それを承知の上で言わせてもらうんだけど、鬱病ってのは(相対的に)気軽に診断されがちになる。それが「今の精神医学界の流行」だから。そのことは頭の片隅に覚えておく価値があるかも知れない。
 
 とはいえ、「鬱病です」と診断されちゃったら、それがれっきとした詐病じゃない限り、医者に従うしかなさそうなのも事実。その診断を疑っても仕方ないような気がする。ただ、医者に相談する前に、ごく身近で親しく、なおかつそれなりの観察眼のある人に相談してみた方がいいかもしれない。詐病の実験の時、同じ入院患者は正常者を見抜いていた。あくまで仮説だけど、身近にいる人には「わかる」ものなのかも。家族・友人ってのはそーゆーものじゃないかなあ。逆に言うと、そーゆーことに気がつかないようでは、「その程度のつきあい」ってことなのか?うーむ…これはこれで難しい問題だなあ。
 
 なお、鬱病は「他人事」だと考えない方がいい。案外どころじゃなく身近にある話だと思うぞ。ま、あえて深くは触れないけどさ。
 
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11月14日

 なんかいいネタがないなあ。このところバタバタしてたし。仕方がないので、あんまり暖まってないネタを無理矢理引っ張って来ちゃおう。題して「ゴキブリについて」。
 
 世間一般では、ゴキブリはかなーり嫌われている。「好き」って奴は論外としても、「そこまで嫌うか?」と発言しただけで変人扱いされそうだ。ティッシュ○枚以下で掴めれば勇者だって話も聞いたことがある。
 
 実は私、ゴキブリはさほど抵抗がない。そりゃあ見かけたら眉の1つもひそめるし、食事中なら皿の中に飛び込んでこないよう警戒する。けど、それだけ。大きめの蠅とさほど扱いは変わらない。素手で掴んだりはしないけど、そりゃあ極めて掴みにくいからであって、ティッシュ1枚もありゃ十分だと思っている。
 
 なんで世間はああもゴキブリを嫌うのか?正直、合理的根拠は見いだせない。確かに不潔だとは思うけど、それを言ったら蠅の方がよっぽど…一応食中毒の原因になるらしいけど、大腸菌程度ならゴキブリ以外も運んでくる。無害とは言わないものの、イメージほどは不潔ではないと思うな。ま、だからって「好きになれ」とは思わないけど。
 
 ゴキブリってのは、猛烈に昔から存在していた。原型となる生き物は、古生代末期にもう登場していたってんだから恐れ入る。恐竜絶滅どころか、現在の地質学では「唯一の」大規模大絶滅とされてる、古生代末期の大絶滅も生き抜いてきたわけだ。そのしぶとさは特筆に値するね。
 
 そんなゴキブリだけに、人類絶滅後はゴキブリの天下になる…なんて話がまことしやかに語られている。けど、実はその可能性は極めて低い。何故か?今現在よく見かけるゴキブリってのは、実質人間に寄生してるようなモノだからだ。そのため、人類滅亡後はゴキブリも激減するはずである。
 
 そもそも、何で我々はゴキブリに遭遇するのか。ゴキブリってのは元々熱帯性の生き物であり、快適に過ごせる温度が人間と似てるのだ。おまけに人間と同じ雑食性で、人間が食べるものなら何でも食う。かなり寒い土地でもゴキブリを見かける理由はたった1つ。そこに人間がいるから。あえて言ってしまおう。ゴキブリってのは、人間にそっくりな生き物なのだ。
 
 一口にゴキブリと言っても、実際には多数の種類が存在する。にもかかわらず、実は家庭などで普通に見かけるゴキブリってのは案外種類が少ない。おまけに世界規模で似たような顔ぶればかり見かけるらしい。これは、よく見かける連中が「人間の傍らで暮らす」ことに関してはエキスパートで、他の連中じゃ太刀打ちできないからではと予想されている。
 
 でも、そんな連中だけに、もし人類が絶滅してしまったら大騒ぎである。いわゆる「よく見るゴキブリ」ってのは、もはや野生状態ではほとんど存在してないらしい。ある意味人類と運命を共にする覚悟を決めてるってコトだな。だから、「人間が栄えてゴキブリは絶滅」ってことはあり得ても、「人類滅亡してゴキブリは繁栄」ってことはあり得ない。それがゴキブリの選んだ道である。
 
 ある意味ゴキブリに一番近いのは、ウマかもしれない。ウマってのはそれなりによく見かける存在だけど、野生状態じゃ絶滅同然。シマウマってのは厳密にはウマじゃないからね。つまり、人間がいないと絶滅してしまう、ひ弱な存在なのである。ゴキブリもコレに同じ。殺虫剤などの攻撃にもかかわらず人間にまとわりついてるのは、そこしか彼らの居場所がないからだ。ゴキブリとひ弱って言葉は猛烈に縁の遠い存在と思われがちだけど、実はこんな一面もあるんだな。
 
 ゴキブリの仲間ってのは良くできた生物であり、このグループの一部は、よほどのことがない限り人類絶滅後も生き延びるだろう。なにせ「生物種の9割以上が消え去った」と推定される大絶滅を乗り越えてきたくらいだ。しかし、ここで生き延びるのは「おなじみの」ゴキブリではないと思われる。人類が絶滅するときは他の生物種も大量に道連れになると思われるけど、そこにおなじみのゴキブリがいるのは確実でしょ。
 
 ゴキブリは確かに不快な生き物だ。多少駆除したところで良心は痛まない。だけど、絶滅させるってのはどうかなと思う。そこまで不快で有害な生き物じゃないと思うんだけどねえ。多少目立たなくなれば、それで許してやってもいいんじゃないかと。そもそもゴキブリってのは、適当に駆除しつつ、生ゴミの管理をきちっとやれば、目立たなくなるはずである。
 
 不快なる嫌われ者・ゴキブリ。確かに嫌われるのはわかる。わかるけど、ゴキブリは己の存在価値をかけて人間にまとわりついている。その心意気?だけは認めてあげてもいいんじゃないかな。ゴキブリがいないような環境が人間にとって本当に快適な環境なのか、ちょっと考えてしまうのは事実。「快適な住まい」の代償として、隅っこをちょろちょろするぐらいなら、認めてやっても実害はないと思うんだけどね。とはいえ「1匹見れば30匹」ってな連中だから、見かけたら本気で追い回すぐらいでいいのかも(苦笑)。
 
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11月16日

 私が諸般の事情で出席できないでいた間に、Vリーグ決勝トーナメント参加者が決まったとか。というわけで、関係者以外置き去りにしてリーグ戦回顧と決勝トーナメント展望予想をしてみます。
 
 まずは私が属していた敷島隊(ブロック名)から。1位鹿内殿・2位DSREICH殿・3位西新宿鮫殿・4位F男(私)・5位増山殿・6位<麿>殿という結果に。ある意味では順当な結果なんだけど、上位陣は熾烈な争いだった。1位2位は得失点差で決まったし、3位4位の差は勝ち点1。6位の<麿>殿は4敗1分けとボロボロだけど、得失点差は-5に過ぎず、これは4位の私よりずっと良い。猛烈な潰し合いが展開されたと言っていいだろう。
 
 このブロックの勝敗を分けたのは、おそらく実力以外の何かである。そりゃあ実力で言ったら鹿内殿が「日本屈指の実力者」であり、実際順当に1位通過してる。けど、それだけで語りきれるようなモノじゃなかった。鹿内殿が1位通過できたのは、実力と言うよりは気迫の差のような気がするね。「人間力勝負」に持ち込まれたと言っても過言じゃない。
 
 次いでもう1つのブロック、山桜隊の結果。こちらは1位平野殿・2位羽田殿・3位有楽斎殿・4位庭猟師殿・5位志乃殿・6位酔狸殿。こちらは上位2名が大きく抜け出し、3〜5位の3人が得失点差で決着する展開。上位2名は実力者であり、こちらは実力と運が全てを決めたのではないかな。
 
 このように結果だけ見れば、「ふーん」で終わりかもしれない。しかし、参加者にしてみれば地獄の日々だった。勝っても負けても「嫌な相手」が立ちふさがるんだもの。おまけに表・裏の2番勝負1組。気力の消耗はすさまじいものがあった。「引くも地獄、進むも地獄」ってのはこのことか。
 
 ただでさえ「嫌な相手」なのに加え、試合消化が進むにつれてみんな戦術を進化させてきたってのが嫌でねえ。ま、かく言う私自身「初戦に鹿内殿とやって、実戦で勉強して後に挑む」なんて姑息な駆け引き駆使してたけど。リーグ消化の他にオープン戦やって、見学して、感想戦に参加してみんな強くなっていった。単純な実力差だけでなく、「どれだけ伸びたか」も勝敗を分けたと思うな。これは、この世界の第一人者である鹿内殿も含めた話である!
 
 さて、そろそろ決勝トーナメントの展望といこう。決勝トーナメントは、まずブロック2位と別ブロック3位が戦い、ブロック1位への挑戦者を決めることになる。DASREICH殿VS有楽斎殿、羽田殿VS西新宿鮫殿の戦いだね。一応順当に各ブロック2位が有利と見るけど、どんなもんでしょ。
 
 その後4人で準決勝・決勝を戦うわけだけど…ま、誰が勝ち上がっても熱い戦いが繰り広げられるだろう。普通に考えるなら鹿内殿の優勝ってのが「ありがち」だと思うけど、どんなものかねえ。戦いぶりが一番安定していた、平野殿の方を上に見た方がいいかもしれない。まあ誰が優勝してもちっとも不思議じゃないんだけど。
 
 こういう「公式戦」ってのは、猛烈な緊張感がある。これは、カネ賭ける緊張感とは少し異なるかな。カネ賭けると「負けたくない」って心理が強く出る傾向があるけど、公式戦は「勝ちたい」って執着が強めに出る気がする。失うモノが無くて得るモノがあるんだから、当然と言えば当然なんだけど。また、リーグ戦だとトーナメント戦以上に「後々の対戦」ってプレッシャーがかかる。これまたキツくてねえ。ま、そこが楽しいところでもあるんだけど。
 
 ゲームの面白さは、何も盤上に限ったコトじゃない。盤外で繰り広げられる心理戦も重要だ。公式戦だのカネ賭けるだのといった「オマケ付きの対戦」は、この心理戦がよりクローズアップされる。猛烈なプレッシャーの中、崩れないで対戦するのは大変だよ。ましてや「何か賭けると」強くなる人と対戦するとあっては…盤上のテクニックを磨くのは大切だけど、このプレッシャーに勝てるかどうか、自分に問うてみるのは大切だと思う。
 
 私は今回惜しくも敗れ去ったけど、まあ何か失ったワケじゃない。コレに懲りずに、次こそは頑張りたいモノである。とはいえ、次は「関ヶ原トーナメント」って噂があるんだよな。このゲーム、全く自信ないんですけど。棄権してもいいですか?(笑)
 
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11月18日

 はっはっは、やっと探していた情報が手に入った。苦労させられたぜ。というわけで、深く考えずに完成させたネタをそのまま公開しましょ。タイムリーじゃないけど。
 
 先日発覚した「女子高生によるタリウム投与事件」。道徳的な話はともかく、ミステリマニアとしては極めて興味深い話ですね。詳細な研究などはプロ(法律家だの作家だの)に任せて、とりあえずはタリウムについて語ろうかと。
 
 タリウムってのは元素の一種。重金属で、基本的に人体には猛毒。じわじわ効いてくるってのが特色で、少しずつ与えて殺害するのに向いている。検出は容易で治療法も確立してるんだけど、最大の特徴として気づかれにくいってのがある。
 
 タリウムの正しい?用法としては、食べ物などに少しずつ入れてじわじわ殺すものとなる。似たような使われ方をするものに砒素があるけど、砒素はあまりに有名になった(その昔から使われてた)関係上かなりバレやすくなり、「愚者の毒物」と言われるほどになった。それに代わって登場したのがタリウム。重度のミステリマニアなら、記憶しておく価値がある。
 
 ミステリマニアなら、タリウムと聞けばグレアム(グラハム)・ヤングとアガサ・クリスティーって名前が反射的に出てくるようでなくては。前者は有名な毒殺者。特に誰かを殺そうと思ったワケじゃなく、どうも周囲の人物全てを実験動物扱いしたらしい。医者がトンチンカンな診断下すのを見て喜んでいたって記録がある。恐ろしいですねえ。コイツを尊敬していたっていうんだから、例の女子高生も同類じゃないかと。ちなみに死刑じゃなく獄中で病死した。
 
 アガサ・クリスティーは説明不要だろう。高名な推理小説作家。元看護婦って経歴だけに毒物には詳しく、作品の1つにタリウムを使っている。新聞などではしっかり作品名が掲載されたけど、これは「犯人バラす」に匹敵する反則行為だと思う。ミステリの解説書だの化学の専門書で掲載するのはともかく、新聞で掲載するのはマズいんじゃ。作品読んでないから、その辺の区別がついてないんでしょ。
 
 このタリウム使った作品は、クリスティー女史の作品の中で特にメジャーってわけではない。なのに何でタリウムと言えばクリスティーなのか?スゴい実話があったんですよ。中東で幼児が謎の病気に罹った。中東の病院はもとより、英国の病院ですら原因不明。ところがどっこい、クリスティーを愛読していた看護婦が、「なんかあの作品の症状にそっくり」と指摘して調べたところ、タリウム中毒と判明。おかげで一命をとりとめたそうな。ミステリが実社会で有意義に役立った、珍しい例じゃないかな。
 
 タリウム中毒ってのはフツーの病気と区別が付けにくく、しかも無味無臭。疑って調べれば一発でわかるけど、簡単には思いつかない。ある意味「究極の毒薬」じゃないかな。ただ1点、見分けやすい特徴がある。やたら髪が抜けやすくなるのだ。これは有名で覚えやすいので、発覚するきっかけとなりやすい。逆に言うと、ハゲオヤジに使えばよりバレにくい…なんかシャレになってねーな。
 
 その昔はネズミ取りに使われていたらしいけど、今現在はかなり入手しにくい薬物である。同位体の放射性を利用して、ごく少量を医療用検査に使ったりする程度。理由は単純、毒殺に使われたら効果的すぎるから。特に無味無臭ってのがヤバい。たとえ「これはタリウム中毒だ!」とわかったとしても、何に入れられたのかがさっぱりわからない。それこそ片っ端から検査しなくちゃいけなくなる。危なくて仕方がない。事故のことも考えたら、「実験に使う」って理由で未成年に売っていいモノとは思えないんだけどなあ。
 
 砒素に青酸化合物、ニコチン・ストリキニーネ・ジキタリン・スポコラミンにアトロピン…世に毒物は山ほどあるけど、憎い相手を病気に見せかけて毒殺したい場合、タリウムは有力候補だと思う。入手が難しいので簡単にはいかないだろうけど、逆に言えばそれさえ解決できたら…「最近体調悪いし、よく髪が抜けるんだよね」というアナタ、他人に恨まれてませんか?「オレもトシだからなあ」で片付ける前に、少し考えてみた方がいいかもね。
 
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11月21日

 勝手に献辞シリーズ。有楽斎殿へ。「技量は負けても、熱意は負けない」をモットーとする私ですが、さすがに貴方には負けるかも。その熱意が「優勝」という形になる日は遠くないでしょう。願わくは、その時の決勝の相手が私でありますように。
 
 トーナメントに敗退し、VaSはしばらくやらないかなと思っていたんだけど、20日のMiddle-Earth東京支部例会において、山桜隊3位で予選通過した有楽斎殿とオープン戦を行った。結果は僅差ながら私の勝利。一応決勝トーナメント用に温存していた「戦法」がハマってくれた。そこで、一応この秘策?を公開してみたい。実は大したことないんだけどね。
 
 まずは連合軍側の作戦。これはリーグ戦でも使用していたモノの改良版。まず地中海に鈍足戦艦全部+空母アークロイヤルを送り込み、北海を捨てる。狙いはただ1つ。セットアップ時に給油艦サークルにいる、独ポケット戦艦を確実に独本国へ帰還させるため。まずは独艦隊の分散を封じる。
 
 ここで地中海の伊艦隊が出撃してきた場合、提督使って出撃阻止を一応期待する。それでも決戦になったら…「巡洋艦を優先的に沈める」などという色気は出さず、とにかく少ない損失で勝つことを祈る。ここで消耗戦をやっちゃうと、後々苦しいので。なお、第1ターン終了時に地中海艦隊は大半が英本土に帰還する。地中海海戦の結果にかかわらず。
 
 第2ターンには南北大西洋+北海を押さえる。実はここが気合いの入れ時。独艦隊が出撃してきた場合、「絶対撃破する!」という気合いを入れること。必要ならば体当たりしてでも相手を沈めるよう、各艦に指令を下す。そんなルールはないけどね(苦笑)。相手が出撃してこなかったら?それこそコッチの思うつぼ。第3ターン以降に北海−バレンツ海ラインを押さえ、後はここをガッチリ固めて独艦隊の出撃先を塞ぐ。そしてUボートの動向を注意しつつ、北大西洋−バレンツ海という「コンボイライン」を徹底維持する。そして、コンボイは片っ端からムルマンスクへ送り込む。そして、南大西洋は基本的にカラッポにしてしまう。
 
 こんなことすると、伊巡洋艦が南大西洋を中心に暴れ回ることになる。けど、これはさほど気にせず、折を見て空母中心の艦隊で追い回すに留める。伊艦隊は連合軍より先に移動するため、追いつめるのはさほど難しくない…はず。本当はここに極意があるんだけど、さすがに一口では説明できない。悪しからず。
 
 この戦略のポイントは、艦隊温存主義を取る枢軸プレイヤーを「戦わずして追いつめる」ことにある。相手がビスマルク・テルピッツという巨大艦の完成を待っている間に、出撃先の自由を奪うってのが理想。ま、実際はその前に独艦隊が出撃してきて、撃ち漏らした艦がどうこう…って展開になると思うけど。こうなった場合にまた「極意」があるんだけど、これまた一口じゃ語れない。
 
 実を言うと、今現在Middle-Earth東京支部で主流となっている作戦は、この作戦と似たようなモノが多い。私の作戦はちょっと極端だけどね。「独ポケット戦艦の地中海突入はウザい」って評価があるので、対策として第1ターンだけ強力な地中海艦隊を派遣するのが流行してるのだ。とはいえ、あえてポケット戦艦を地中海に突入させる作戦も成立すると思うけどね。
 
 連合軍側の作戦は以前も紹介したモノの変形だ。大切なのは枢軸側の作戦。とはいえ内容は単純。第1ターンに伊地中海艦隊が全力出撃する。相手がどれだけ艦隊を送り込んでも。それだけ。
 
 連合軍側の作戦で述べたように、提督使われて「やっっぱ出撃やめた」などと勝手に帰還してしまう可能性もある。それは気にしない。出撃しない時と何も変わらないんだから。問題は決戦になったとき。ここで大切なのは、「海戦に勝つ」ことより、「敵艦を1隻でも多く沈める」ことを重視することだ。
 
 この作戦は、はっきり言ってちょっと無謀である。間違ってここで大敗してしまうと、もう取り返しがつかないからだ。ボロ負けが視野に入る。だからリーグ戦じゃ使えなかったのだ。得失点を勘定することがわかっていたので、大敗はなるべく避ける必要がある。しかし、トーナメントなら話は別。僅差だろうと大差だろうと負けは負け。ならば、大敗というデメリットを覚悟の上でバクチを打つ価値が高まる。
 
 こんなハイリスクなバクチを打つ意味はドコにあるか?すぐ後に予想される、独艦隊の決戦を支援するためだ。放置しておくと出撃先を封じられるため、独艦隊は早期出撃を検討することが多い。海域を支配するためではない。フランスか中立国に別働隊を送り込むためだ。これは連合軍にもわかっているので、普通は地中海艦隊の大半を本土に引き上げ、この決戦に備える。そこで、伊艦隊に決戦させて英艦隊の数を削るのが目的である。
 
 こんなことやってしまうと、本来なら安定して稼げるはずだった地中海支配のPOCを連合軍に渡すことになりかねない。それを考えると、ハイリスクローリターンだって意見の方が主流でしょ。ただ、ソコは実を言うとポイントじゃない。真のポイントは、相手の意表を突いた作戦を使うことにより、相手のミスを誘うことである。な、なんてセコい…
 
 VaSはどちらかと言えば単純なゲームだ。おまけに、研究も進みまくっている。多少想定外の作戦を採用されたからって、何とかなる…って考えるのは、よほど深く研究した人間か、人間相手にプレッシャーかかる勝負を経験したことのない奴だけである。技量と無関係の精神的プレッシャーで崩れるなんて、良くある話。作戦的裏付けのない「悪手」ならともかく、「作戦としては成り立つけど、ちょっと無謀」ぐらいなら、見たこと無い作戦の方がイヤってものだ。
 
 こうした考えが成立するってのは、別の世界に好例がある。将棋だ。中原・米長といった大ベテランは、色んなところが衰えてきた関係上、「流行の戦法」じゃ若手に勝てない。忙しくて研究量が不足しがちだし、記憶力勝負でも衰えが見られる(あくまで棋士レベルの話)からね。しかし、だからって若手相手に負けてばかりではない。わざと研究の少ない力戦に持ち込み、相手のミスを誘って勝っている。この業界じゃ若手であるはずの私がそんな手を使う是非はさておき、これもまた立派な「勝負」である。
 
 強いってのは、「実力がある」とイコールではない。力のある存在が、その持てる力を出し切れずに敗れ去るなんて良くある話。本当の強者は実力があり、なおかつその実力を常に発揮できる奴のことだ。これは口で言うのは簡単だけど、その領域に達するのがどれだけ大変なことか。反則やマナー違反でない「揺さぶり」なんて腐るほどあるし、それを効果的に使われて崩れないってのは、私の知る限りごく一部だけである。
 
 有楽斎殿がトーナメント対策として積極的に対人対戦で調整しているってのは、かなり好感の持てるポイントだと思う。プレッシャーのかかる場面で思い出せない作戦なんて、ものの役には立たないからね。この辺を鍛えようと思ったら、対人対戦で得た経験ってのが役に立つ。まあ「戦えば戦うほど有利」って言えるほど世の中甘くはないんだけど、それでも無駄にはならないでしょ。トーナメント出場者は相当な強者揃いだけど、つけいる隙はあるはず。完全燃焼あるのみですよ!ただ…相手はみんな本当に強いけどね(苦笑)。
 
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11月22日

 天才来日であーる!ああ、また日本で天才の芸術的騎乗が拝めるのね!キャ〜!ステキ!イヤ〜ン…って、はしゃぎすぎだオレ(苦笑)。でもまあ、それだけの価値があるお方である。
 
 今週末はジャパンカップ。海外から強い馬が来日する。近年はブリーダーズCだの香港国際デーだのに馬取られて、招待馬のレベルに疑問が付くのは事実。でも、やはり私の好きなレースであることに代わりはない。
 
 しかーし!今年はどの馬よりも重要な存在が来日する。「天才」ことデットーリ騎手だ。連れてきたアルカセット(出走馬)偉い!今年はコーツィーも来日してくれたし、私としてはとてーも嬉しい。これはもう競馬場へすっ飛んでいくしかないでしょ!
 
 天才は世界一の騎手である。少なくともドバイの殿下はそう思っているし、競馬先進国にいる競馬ファンの大多数がそう思っている。むろん私も言うに及ばず。「この世のジョッキーは、天才&魔神(ペリエのこと)とその他大勢に分かれる」と常日頃から主張している。天才と武豊の差は、武豊と「サラブレッドジョッキー」二○柳クンの差より遙かに大きいと確信して疑ってない。そういうジョッキーである。
 
 天才は単に「いいジョッキー」ってだけではない。私認定「世界一いい男」である。そりゃージョッキーだから、小っちゃいって欠点はある。だからどーした。キラキラお目々に眩しい笑顔、フレンドリーなファンサービス、負けちゃった時に全身から発する哀しそうなオーラ、そして至高の芸術品デットーリジャンプ…まさに少女マンガで言うところの「王子様」。いやもう最高である。「男も濡れる」ってのはこのことだね!(おい)
 
 近年は魔神だのデザーモだのといった、「世界の名手」が日本に出稼ぎにやってくるようになった。でも、天才がそんなことをする可能性は皆無。ドバイの殿下お抱えジョッキーだからね。来日経験は何度もあるけど、本質的になかなか拝めないジョッキーである。海外競馬観戦でもすれば話は別だけど、日本でそんな趣味持ってる奴が何人いるって?
 
 私は当初、「今年も天才の来日はナシか…」と思っていた。ゴドルフィンの馬が来日しないのはわかっていたからね。他の馬とセットで来ることはあり得るけど、「ゴドルフィン優先主義」のジョッキーだから無理なんでは…と思っていた。JCの何がマズいって、大レースの常連であるゴドルフィン勢がやって来ないことである。JRAはJCを「大レースである」と言い張っているけど、ゴドルフィンの馬を滅多に見ない(ゴドルフィンとしては参加ゼロ)レースのドコが大レースなのか、説明が必要なレベルである。
 
 おまけに、ゴドルフィンとJRAは良好な仲とは…「ゴドルフィンの先兵」であるダーレイジャパンを馬主認定するしないで騒いでいやがるし。国会のクソジジイどもがJRAにワケわからん圧力までかけたとか。下手すると殿下から「行くな」って指令が飛んでるのでは…そう思っていたくらいだ。にもかかわらず、アルカセット陣営の要請に応えて来日。器でかいね〜。日本人でいることが恥ずかしくなるくらいですよ。
 
 しかしだねえ。あえて不満を述べるとするならば、やっぱりゴドルフィンの勝負服着た天才が見たかったね。アレ着た天才こそが一番カッコイイと思うし。その意味で惜しかったのは、船橋のシーチャリオットが故障しちゃったことだね。無事ならば、JCダートに天才騎乗で出走したのでは。もちろん勝負服はゴドルフィンブルー(笑)。ものすげー見たかったなあ…いや惜しかった。
 
 贅沢を言えばきりがない。ここは素直に、天才の馬券が買えることを喜ぶことにしよう。天才の馬券ってのは、この世で唯一「外れても納得できるって保障がある」からなあ。こんなのは天才の乗る馬ぐらいですよ。ま、だからって的中目指すことに代わりはないけどね。幸いなことに的中率も高いし。いや、ホントありがたやありがたや…
 
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11月23日

 宿題はさっさと片付けよう。というわけで、某所で予告したとおり、VaSルール解釈に関する考察を。
 
 Vリーグもいよいよ決勝トーナメントに入ったというのに、何で今更ルール確認を?それはね、正直言って問題の部分があるから。シミュレイションゲームってのはルールが複雑なだけに、どーしても曖昧な部分とか出るからねえ。コレがこの趣味の弱点だね。
 
 現在問題となっているのは、コンボイの取り扱いと連合軍提督による伊軍帰還チェック。これはかなーり問題をはらんでいるので、決勝トーナメント開始前にちょっとルールを再確認しましょ、となったわけだ。
 
 まずはコンボイから。コンボイってのは扱いが特殊だ。そのため、ちょっとした悪用が可能である。南大西洋に長いこと浮かべておき、その戦闘力を活用するってものだ。砲撃力についてはともかく対潜能力はやたら高いので、便利と言えば便利だ。
 
 これについては色々考えたんだけど、「ある海域に留まることはない」と厳しく解釈してもいいんじゃないかと。つまり、南大西洋にいるコンボイは、英本土に入港するか、フランス上陸するかのどちらかというわけだ。実はこう解釈しても不都合は生じないと思うので。
 
 この解釈だと「枢軸振り切り」の時にフランス上陸が出来ない?いや、そんなことはない。南大西洋のコンボイが英本土に入港し、北大西洋のコンボイが南大西洋に移動すればいい。こうすれば得点は枢軸+6となり、なおかつ南大西洋にコンボイがいる。次のターンに枢軸側が何らかの妨害を行わない限り、フランス上陸が成功するだろう。
 
 これ以外の解釈だと、特殊な場合に3隻のコンボイ全てが盤上に登場する機会があることになる。ユニットとして3隻あるんだから、それでいいという解釈もあるんだけど…正直なんか「キモチ悪い」気がするんだよね。別に連合軍が特に不利になるワケでもないし、これでいいんじゃないかな。なお、「コンボイはフランス解放後に南大西洋に侵入できるのか」については…できないとしていいんじゃないかなあ。
 
 コンボイはこんなものでいいだろう。仮にもっと甘い解釈になっても、さほど大きな違いになりそうもない。大問題は提督である。これは確かにマズいんだよなあ。でも、正直言って現状のルールが最善じゃないかって気もするんだよね…
 
 現状の解釈はこうなる。まず伊艦隊が地中海に出撃する。これに対し、連合軍は英本土から傷ついた鈍足戦艦(多分いる)を提督付きで地中海に出撃させる。これだけで伊艦隊は帰還チェックを強いられるのだ。仮に伊艦隊が帰還しなかった場合、連合軍は速度チェックに失敗することを祈る。失敗すれば海戦が発生しないので、提督は生き残る。次のターンにまた同じコトが出来るのだ。
 
 これは確かにエグい。それは大いに認める。でも、じゃあどう手直しすればいいのかと問われると…「伊艦隊の帰還チェックは速度判定の後」としてしまうと、Uボート含む独艦隊がテコ入れするタイミングを失う。これはマズい。ゲームが大きく変わってくる。「英国艦がその海域に到達しない可能性がある場合、帰還チェックを行わない」って意見が提唱されてるけど、仮に連合軍が鈍足戦艦大量にかき集めて英本土から遠征してきた場合、帰還チェックを行わないことになる。これもなんか違うような気がする…
 
 史実での伊艦隊のふるまいを考えた場合、現状の解釈が適切…どころか、これでもまだ伊艦隊が勇ましすぎるぐらいだ。なにせ史実の伊艦隊は猛烈にヤル気がない。戦艦含む大艦隊が、軽巡(このゲームじゃ弱すぎてユニットになってねえ)しかいない艦隊相手に逃げ回っているんだから。燃料不足とか色々事情あるんだけど、率直に言えば伊艦隊なんて「港に浮かべて観賞するために建造された」ようなものだ。非情な英軍は、それすら空母艦載機による夜間空襲で邪魔したけど(笑)。
 
 確かにこのゲームのルールには曖昧な部分があるけど、提督の存在による伊艦隊帰還チェックの場合、「ルール解釈」という枠組みで考える以上、現状の解釈以外あり得ないと思われる。さらに、史実の状況と照らし合わせて考えた場合も、この結果は適性ではないかと。伊艦隊ってのは、サボる口実さえあれば勝てそうな戦いでも絶対出撃しないモノだから。まず、この点は認めるべきじゃないかと。
 
 しかし、この解釈を押し通すとバランスが悪い。それも一理ある。ならば「解釈論」で判断するのではなく、「ルール改造」で対応すべきじゃないかと。「英国艦がその海域に到達しない可能性がある場合、帰還チェックを行わない」ってのもルール改造だけど、あえて言うなら半端じゃないかな。どうせ改造に踏み込むんだったら、もう少し大胆にいじってもいいような気がする。
 
 というわけで、私の提唱はこう。「英軍提督配置直後に仮の速度チェックを行い、この結果到達してる艦がある場合に限り、伊艦隊帰還チェックを行う」というもの。この速度チェックはあくまで仮の結果であり、成功失敗は実際の速度チェックとは無関係とする。まずは「速度チェックにかかわらず、地中海にたどり着けそうだ」ってフネを用意しなさいと。それが高速艦1隻なのか、鈍足艦多数なのかは問わないよと。仮の速度チェックでそれを証明すれば、伊艦隊は怯えて引っ込む可能性がある、とするのだ。結果として実際の速度チェックで英国艦が1隻もたどり着かなかったとしても、それはそれで良しとする。これは余計な手間だけど、あえてそうする価値があるんじゃないかな。
 
 これは我ながら大がかりな提案であり、話し合いの場に行って提唱しないのは問題があるような気がする。無視されるのは気にならないんだけど、「こういう場合にはどーしたらいいんだ!」って疑問点指摘されて答えられないのは、申し訳ないような…でも、相手がJCじゃあねえ。馬券師F男にとって「最も大事なレース」の1つなんですよ。仕方がない。ま、ここで長々と参考意見を述べたと言うことで、欠席の代償とさせていただければ。
 
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11月24日

 ストーブリーグに突入して久しいので、ここらで野球ネタいっておこう。今後しばらくはキャンプインまでロクな話題なさそうだし。
 
 まずは大・社ドラフト回顧。我がヤクルトスワローズは、かなりうまく立ち回った印象を受ける。自由枠でクリーンアップ候補を確保し、後は投手2人に外野手1人。3巡目に指名した松井はライオンズの自由枠って話もあった投手だし、4巡目の高木は「トラがいくかも」って情報もあったけど、無事に指名できた。ドラフト時点での満足度は高いんじゃないかな。ま、活躍してナンボではあるんだけど。
 
 それより大きいのは、特大補強に成功したことである。え?いつ誰を獲ったのかって?別にFAだのトレードばかりが補強じゃない。岩村残留である(笑)。いなくなるものと確信してたからなあ。石井は「メジャー行かせろ」ってゴネてるようだけど、これも引き留めればやはり「大型補強」だね。むろん成功すれば大きいけど、失敗して元々だから問題ない。
 
 ここ数年、スワローズは戦力損失が大きかった。稲葉という外野守備の要が「程度の軽い方」に分類されるからなあ。今年は岩村と石井が「メジャー行きたい」って希望を出していて、「せめて片方にしてくれ」って祈っていたレベル。今年このどちらかがメジャーに行き、来年残った方が出て、その翌年に古田引退、ってな計算をしていた。その次は誰だ?ってなもんだ。
 
 しかし、これはまだマトモな部類だと思う。出て行くと言っても主にメジャーなので、遠慮無く出て行った選手を応援できる。おまけにスッパリ諦めもつくってものだ。個人的に一番イヤなのは、なんと言っても「故障」である。古くは荒木(現ライオンズ投手コーチ)の故障に愕然とし、その後も高野・伊東・岡林・川崎・伊藤智・石井…とエース格の故障に泣かされたモノだ。復活を待つ暗い暗い日々を考えれば、メジャーへの流出なんて精神的ショックは小さいね。
 
 選手に関しては何の不安も感じてない(仮に石井が出て行っても)けど、首脳陣には少し不安が残りますね。とっくの昔にわかっていたことだけど、ついに若松監督が勇退してしまいましたから。何だかんだ言ってやりくり上手で、毎年のような戦力流出にもかかわらず安定した成績を見せていただけに…それに、私みたいな古くからのファンにとっては「神様」だったからねえ。
 
 その後を継いだ古田監督だけど、どうなのかねえ。頭脳派だってのは認めるところだし、人望もあるとは思うんだけど…監督に必要な資質の1つ、「我慢強さ」について多少不安があるかもね。コーチや二軍監督といった、もう少し気楽な立場で修行してから監督やった方が良かったとは思う。とはいえ期待も大きいので、ここはまずお手並み拝見ってところか。
 
 キャンプでの課題は、まず守備だと思う。青木がブレイクしたおかげで、稲葉が抜けた穴は攻撃面では塞がってオツリが来た。とはいえ、守備に関してはちょっと不安が…ラミレスの守備は仕方ないとしても、他の選手にはもう1段上の守備を期待したいところ。特に宮出だね。コイツが不動のレギュラーとして活躍してくれないと、ちょっと優勝は難しいかも。
 
 攻撃面では、宮本の奮起を期待したい。今期の宮本はちょっと調子悪かったからなあ。チーム打率の割に得点力がイマイチだった理由の1つに、宮本が上手く機能しなかったってのがあると思う。今のところ代役になる選手も見あたらないし、まだ衰えるには早いと思うので、「チームの浮沈はオレの打撃次第」と思って奮起してもらいたい。選手会会長と兼任で大変だと思うけど。
 
 他球団で「いい補強したなあ」と感心したのは、何を隠そう巨人。原監督がどうこうじゃなく、尾花投手コーチってのが…高校生ドラフト4位に逃げられたのなんて気にならないぐらい、いい補強じゃないかな。王監督が手放すって知ってたら、いきなり古田じゃなくて尾花を挟んでも良かったんじゃ…巨人のユニホーム着てる尾花を見るのは、かなりフクザツですよ。
 
 シーズン終わったこの時期は、さほど緊張感がない。ある意味一番冷静に戦力を勘定できるかもしれない。これでキャンプインなんぞしようものなら期待と不安が入り交じり、オープン戦が始まると調整具合が気にかかり、シーズン突入しようものならば…ま、それだけ「つまんない」季節でもあるんだけどね。でも、そんな時期があるからこそ1年応援し続けるエネルギーが溜まるんだよね。今は落ち着いていられるけど、来年も一生懸命応援しないと。ガンバレ、スワローズ!
 
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11月28日

 天才はやっぱり天才だった。今年のJCは、身震いするほどにスゴかった。今一度声を大にして主張したい。天才デットーリは偉大であると。
 
 スタートの瞬間、多少で遅れたのは事実。思わず「何やってんだ天才!」と吼えてしまった。しかし、そこで慌てないのが天才。す〜っと内に切れ込み、無理せず中断後方につける。そこでハイペースで逃げる前をにらみつつ、じっと我慢する。この辺の判断はさすがだね。
 
 前を行くタップダンスシチーは猛然とぶっ飛ばした。疑いようもなくハイペース。前行った馬の顔ぶれはさほど変わらないのに、秋天とは大違い。中盤になってもそのペースは全く緩まない。4角回ったところでは、「このまま行くのか?」って思ったくらいだ。
 
 だけど、競馬はそんなに甘くない。直線に入ってウィジャボード・ゼンノロブロイ・アルカセットが差してきた。ここで一番伸びたのは天才騎乗のアルカセット。「豪腕」ってイメージはないんだけど、天才の追う馬は本当に良く伸びる。天才の騎乗技術がわかりやすく実感できる瞬間だね。何度見てもあれは美しい。
 
 そこに猛然と襲いかかったのが、ハーツクライ。最後の最後まで我慢して、一気に全部交わしに来たのだ。他の馬が止まって見えるほど鋭い脚を使ったけど、最後に控える天才だけは話が別。最後の最後にぐいっともうひと伸びし、並んだところがゴールだった。
 
 写真判定はきわどかった。ゴール前のスロー映像で「コレは微妙!」って声が出た。普通ならばどっちが有利かわかるんだけどね。審議もあった関係上、結果が出るまで本当に長かった。ありゃあ本当に府中全体が固唾をのんでたね。
 
 結果、勝ったのは天才&アルカセット。2着ハーツクライ。前年の覇者で1番人気ゼンノロブロイが3着。タイムは何と2分22秒1。平成元年にホーリックスが出したレコードタイムを0.1秒更新した。な、何だと〜!何が勝ったかはともかく、この時計はビックリである。
 
 今から16年前、オセアニアの女傑ホーリックスとオグリキャップが、壮絶な叩き合いの末にマークした2分22秒2。このレコードは「更新不能じゃないか」と思っていた。それぐらいズバ抜けた時計だったのだ。この後に府中2400のレースは多数行われているけど、近いタイムすらお目にかかれない。疑いようもなく、日本競馬史上に残る大記録の1つだ。それが更新されるとはねえ…嬉しい反面、ちょっと寂しくもある。
 
 それにしても、可哀想なのはハーツクライ陣営である。この馬自身GIの2着はこれが3回目。鞍上ルメールは来日通算5回目。共に勝利なし。管理する橋口調教師は4勝してるけど、2着はこれで18回目…橋口調教師が「何でまた2着なんだ!オレは運がない!」と吼えたのもわかる。審議対象になったのは事実であり、それ自体は褒められたコトじゃないとは思うけど、勝とうと思ったらアレ以外どーしろと。ホーリックスのタイム更新して、さらに前に馬がいるなんて普通考えない。相手が悪すぎた。これが勝負の残酷さだね。
 
 天才はこれでJC3勝目。勝ったのはみんなハナ差。接戦に強いのは技術の証と同時に、天運に愛されている証拠だろう。私が天才を愛するのは、騎乗技術が高いからではない。それをも超えた「特別な強さ」があるからだ。天才なら何とかしてくれる。天才で駄目なら何をやっても駄目。勝負事という不確実な世界の中で、そんな気持ちにさせてくれるモノを持つゆえに「天才」なのだ。もしも自分の命賭けた勝負をやれと言われたら、ためらいなく天才の馬券を買いに行くだろう。天才はその価値がある漢である。
 
 とはいえ、私はちっとも偉そうなことが言えない…競馬場に着くまでは、前に行く馬の顔ぶれが秋天と変わらないので、「またスローでしょ」と決めつけていた…そう、ハーツクライは買わない予定だったのだ。しかし、知人と話しているうちイヤ〜な予感がしてきてねえ。タップダンスシチーが馬体重10kg減(どう考えてもプラス材料)と聞いて、土壇場で方針変換。ハーツクライを買うこととし、オマケに三連複をやめて馬連に。結果としてコレが大正解。ハーツクライが2着に突っ込んできた上に、馬連は三連複より配当良かったときたもんだ。土壇場の弱気が好結果をもたらすという、ちょっと珍しいこととなった。なんてだらしない…まあ、「相性の悪い魔神(ペリエ)のいない秋のGIなんて嬉しいね!」なーんて公言してる段階で自慢にはならないんだけど(苦笑)。
 
 今年はディープインパクト絡みで競馬が盛り上がっているけど、この馬は何だかんだ言ってまだ3歳。3歳限定戦でブイブイ言ってるだけの存在だ。本当に面白いのはこれからでしょ。それに対し、「世界最強スプリンター」サイレントウィットネス様とか天才デットーリの方はイマイチ注目度が低かったような。これは少しもったいない気がする。アルカセット号は有馬記念出走って選択肢も考慮中と聞くので、もし対決した際には、「天才」の恐ろしさを日本中に知らしめてもらいたい。本当はレコード駆けの反動が怖いんだけどね(苦笑)。
 
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11月29日

 諸般の事情により、本日からジャンル分けを少し変更する。今まで灰色扱いしていた小説一般を緑色に変更する。「一般的なエンターテイメント」って意味合いのジャンルにするってコトで。単に緑色の話題が見つけにくかっただけって話はあるけど。
 
 というわけで、本日は異色短編集「どんがらがん」を紹介する。猛烈に面白いので。「知らない」ってのは罪じゃないけど、「知ってて何も言わない」ってのは立派な罪だと思う。そーゆー作品である。
 
 まずは書誌学データ。「どんがらがん」河出書房新社刊。作者アヴラム・デイヴィットスン。編者殊能将之。編者はなんか文学賞受賞した作家らしい。よく知らないけど。ちなみにお値段は¥1,995.-です。
 
 作者はフツーの人は全く聞いたことがないと思う。けど、私は2つほど知識があった。ミステリの短編で賞を貰った人なんだよね。その時の作品「物は証言できない」(今回も収録されてる)は面白かった記憶があった。でも、もう1つの推薦の方が強力かな。この作者、実は「エラリー・クイーン」として作品書いた経歴があるのだ。
 
 エラリー・クイーンと言えば、まごうことなきミステリ界の大物。神とあがめる人も少なくない。でも、その正体は別の人じゃ?それはおおむね正しい。エラリー・クイーンの正体はフレッド・ダネイとマンフレッド・リーの合作なんだけど、実はいくつかの作品ではダネイがプロット考え、他の作家が書いていたそうな。SF作家として有名なシオドア・スタージョンも「代筆」していたとか。ま、どーでもいい知識ではあるんだけどね。
 
 短編集だけあって、ジャンルは雑多。つーかこの作者、ミステリ・SF・ファンタジーの3ジャンルで短編の賞もらってたりする。ある種の天才だね。どう考えても「知る人ぞ知る」作家だけど、これは紹介しない方が悪いと思う。この辺が日本の出版界のイケナイところだと思うんだけど。ブツブツ…
 
 内容は…とにかく読むべし。騙されたと思って。全部いいとまでは言わないけど、きっとガツンと来る作品があると思う。とにかく平均点高いし、面白いものは傑作レベル。私はこういう「ジャンル分けの難しい、いい味出してる短編作家」が大好きなんだけど、それを差し引いてもイイと思う。ロアルド・ダール、フレドリック・ブラウン、シオドア・スタージョン、星新一、阿刀田高といった作家の作品を読んで面白いと思った人ならば、絶対楽しめるだろう。
 
 私が特に気に入ったのは、「そして赤い薔薇一輪を忘れずに」だなあ。冴えない主人公の近所に越してきた、謎の東洋人。その東洋人が売っているのは、魅惑的な東洋の書。だけど、そのお値段は「純白のオウム一羽、ゾウ一頭」といった不可思議な物ばかり…ってもの。「本の虫」であれば、誰でも主人公の気持ちがわかると思う。タイトルがまた上手いんだな。
 
 少し一般的なものとしては、「パシャルーニー大尉」もイイ。気の利いたオチの付いた人情話である。いつも「うちの父ちゃんはなあ…」という哀しいウソをついていた孤児に、突然現れた父親の話。単なる人情話ではなく、ちょっぴりほろ苦くて余韻があり、色々と想像力をかきたてるときたもんだ。こんな話はなかなかないよ。
 
 「質のいい短編集」というのは、絶滅の危機にあると思う。短編小説は原稿料安い・本売れない・誰も書かないの3拍子が揃いつつあり、初期に習作を書いた後はみーんな長編に流れてゆく。出版社に至っては、単なる義務感からイヤイヤ短編集出しているんじゃないかって感じがするくらい。今じゃ「短編故の良さ」ってのは理解されないのかなあ。だけど、いい作品は本当にイイ。長編小説は「何で小説なの?漫画や映像でいいじゃん」と聞きたい気もするけど、良くできた短編小説は他に換えが効かないと思う。
 
 ここで紹介する本ってのは、大抵反応が悪い。「あっそ」で片付けられてる気がする。まあ、それでかまわないって趣旨で運用されてるんだからいいんだけど。ただ、一応当人は本気で「イイ!」と思っていたりするんだな。たまには騙されたと思って、手に取ってみてくださいよ。珍しく「一般人が読んでも恥ずかしくないモノ」紹介したんだから(笑)。
 
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