故平井呈一氏は、「ドラキュラ」を始めとする海外怪奇小説の翻訳家として有名。
この本には、2本の小説(1960年出版時には中菱一夫名義)と海外怪奇作家の評論などが載せられている。
小説はあまり怖くない。というか、ホラーではない。むしろ、幻想小説に近いとも言える。泉鏡花の世界に似ていて、どことなく味わいがある。
と、思ったら、永井苛風もそう言ってる。平井呈一は苛風と親交があり(のちに断絶)、そこら辺の話もまた面白い。
海外怪奇作家の評論は、怪奇小説ファン必読。
それにしても、今の時代(2000年刊)にこういったものが出版される(しかも文庫で)とは思ってもみませんでした。創元社さんに感謝(笑)。
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