ジャンルが良く分からないなあ。多分、ゴシックロマンスというのがいいと思うんだけど。
有名な「フランケンシュタイン」です。
でも案外、原作も映画も観てない人の方が多いでしょ。ちなみに、「フランケンシュタイン」とは怪物のことではなく、怪物を作り出した医学生の名前です。
フランケンシュタインの怪物が結構饒舌なので、びっくりします。わりと盛り上がりにかけたりします。映画化や劇化によって、かなりの改ざんがなされ、原作とは随分違ったイメージになってしまっているようです。
1931年のボリス・カーロフによって演じられたフランケンシュタインのスチル写真、覚えてます? 有名な、湖畔で女の子がフランケンシュタインの怪物に花をあげる、あのシーンです。残念ながら、原作にはありません。
なお、コッポラ製作による『フランケンシュタイン(1994)』も、オリジナルに近いとはいえ、かなりの創作が追加されています。おそらく1935年に公開された映画『フランケンシュタインの花嫁』を織り混ぜているようですね。(脚本(ノベライズ)の邦訳は、角川ホラー文庫『フランケンシュタインの子供』に所収)
ところで、この『フランケンシュタイン』は、アジモフやオールディスによって、SFの原点のひとつとされている。とくに、オールディスはSF史『十億年の宴』の中で『フランケンシュタイン』にSFの起源という大きな地位を与えている程である。
さて、こんな作品を女性がなぜ書いたか不思議であるが、実は『フランケンシュタイン』を書いたきっかけも面白い。
1814年、夫のシェリー(詩人。但しこの時は、不倫駆け落ち中で、まだ結婚していない)、バイロン卿(詩人)と彼の主治医ポリドリとともに、ジュネーブ近郊の湖畔に滞在していた。
その時に、4人でそれぞれ「怪談」を書こうという話になるのだが、その時に書き上げたのが、メアリの『フランケンシュタイン』とポリドリの『吸血鬼』である。ポリドリの『吸血鬼』は、その後の吸血鬼モノの原点となった。
ここら辺の出来事を伝奇化した小説にティム・パワーズの『石の夢』(ハヤカワFT文庫)がある。『石の夢』も結構面白いので、どうぞ。
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