好男の災難
 7 バッククラッシュ(前編)



 ここからは好男の顔をおもちゃにした顔面騎乗大会の様相を呈してきた。
 好男の、ペニスと顔に女たちが次々に跨ってくる。
「ほら、もっと舌を回しなさい」
「鼻にクリトリス擦りつけたら気持ち良いわよ」
「でも、こいつほんとに好きなんだね。一生懸命舐めてるよ」
 いろいろな言葉が部屋の中で生まれ、順番に女達が滑らかな襞に包まれた濡れた
割れ目を好男の口に押し付ける。
 
 何度目かの射精をはたす。その度に、コンドームが付け替えられる。
 過剰なセックスは男にとって苦痛でしかない。好男のペニスはこすられすぎて赤
くはれ上がり、亀頭のカリの部分には薄く血がにじみ出していた。

「もう許してください。痛いし腰ががくがくなんです」
 何度もそう言って許しを請うが、女達は平然と笑って好男を攻め立てた。
 
「ちょっと、泣くの早過ぎだよ。まだ6回しかやってないんだから」
 山田が、やわらくなった好男のペニスを握ってしごきあげる。
 すでにこの部屋に拉致されてから2時間が経過しようとしていた。
 ユカ達も心配してるはずだ。きっと今ごろあちらこちら探し回ってるのではない
か。いや、2時間も捜しつづけることはないかもしれない。せいぜい30分探して
見つからないと、自分の部屋に戻ったと思ってあきらめてしまうだろう。

 自分を助け出せるのはユカしかいない。そのユカがあきらめてしまえば、自分を
助け出せる人間は誰もいなくなる。好男は、絶望的な想像に追いやられるばかりだ
った。

「そろそろ立ちが悪くなってきたわね。何かお尻に突っ込むものないかな」
 高木が周囲を見回す。
「あ、あのお面使えるんじゃないですか」
 百合子が壁にかかっている天狗の面を指差した。柱の上にかかったそれは、隆々
とした鼻が突き出すように空間を犯している立派な天狗の面だ。

「本当だ。あのお鼻まるでデカチンだよね」
 笑いながらつま先だって、高木はその天狗の面をはずした。
 そしてその鼻先にコンドームをかぶせる。

「ちょうどいいところに紐もついてるから、これを腰にまわして、と」
 口に出しながら高木はその面を自分の股間に装着した。
「うわー本当にうまくつくもんだね。本物のチンコが生えてるみたい」
「知らないの? 天狗の面って昔はこんな風に使うことが前提だったんだよ。女同士
とか、立ちの悪い男と女の間でね」
 若い婦警に山田が中年女の博識を披露して見せた。
 
 好男の顔にまたがっていた女がどいたので、好男にも高木のその雄姿を見ること
ができた。
 実際巨根といっていい股間だった。いつか見たビデオの黒人並だ。
 あんなもの入れられたら、肛門は破裂して血の海だ。
 好男は必死に腕に力をいれ、女たちをどけようとした。
「おっと、あんたは静かにしてなさいね。これから気持ち良い事してあげるんだか
ら」
 山田が右手を、もう一人の名前を知らない女が左手を、それどれ体重をかけるよ
うにして押さえ込んでいる。さっきは同僚相手に力自慢した好男だったが、肉体を
鍛え上げた婦警たち相手では、一対一でもかなわないかもしれない。

 そんな婦警が10人もいるのだ。誰かに助けられない限り、この拷問から逃げ出
すことは不可能だった。
「でも押さえつけてるのも疲れるね。ちょっと、浴衣の紐取ってくれない」
 山田が若い婦警からそれを受け取る。
 好男の右手首が右膝とひとつにくくられた。
 左は左膝に固定される。そうなると、うつ伏せになった場合、いやでも尻を
突き出したポーズになってしまう。
 いまさら羞恥の感情は沸き起こることもないが、まったく無防備に肛門をさらし
た格好は好男の被虐心をしだいに暖めだした。
 これまで自分がホモだと思ったことがないように、マゾだとも考えたことはない。
 それなのにこうして縛られてみると、さんざん射精させられたあとだというのに
じわじわと興奮してくるのだ。

「いい格好だね。このまま後ろからおもいっきり蹴り上げて、玉潰ししてみたいね」
 高木がつま先で好男のぶらぶらした物をいじりながら言う。
「そうだ、男って金玉つぶされたらショック死してしまうって聞いたけど本当かし
ら。あたしはそのくらいで死んだりはしないと思うけど」
 山田がしゃがんで横から好男の玉を握って、軽く力を入れた。

 うぐう!好男の苦痛の声が部屋に響いた。
 だんだん怖くなってきた。まさか本気とは思えないが、集団になった女たちの無
軌道な行動は、自分の想像を絶している。それは好男が今日はじめて知ったことだ
った。女は弱いものという観念が、好男の中には当然のものとして存在していたが、
それはたった一人の女に対してしか、当てはまらないものだったのだ。
 女も二人になり、そして数人になってくると、男とは違った残酷な本性をあらわ
し始めるのだ。卑猥で隠微でそして残酷な本性を。

「玉潰しは後回しね。とにかく一回バックを犯してあげましょう」
 リーダーシップを取って高木が言った。
「何か塗らないとすべりが悪くて入らないんじゃない?」
「みんな、十分ぬれてるでしょ、自分のをこいつに塗りこめてやって」
 山田の言葉に、高木が答えた。
 クスクス笑いが広がる。
 その場にいた全員が、自分の股間の液体を指に取り、一人ずつ好男の肛門に塗っ
ていく。
 ネチョネチョした指先に、好男の肛門は刺激される。
 中には指をぐっと奥に挿入する女もいた。
 一人一人交代でするうちに、自然と好男の肛門は時間をかけたマッサージを施さ
れることになる。肛門も緩み、指一本くらいは難なくくわえ込むほどになっていた。



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