好男の災難

 5 好男、婦警につかまる



 何かうるさい声が聞こえて、好男の意識はゆるやかに浮上しだした。
「変態が寝てるよ!」
 太い声だ。何なんだ変態って?

 ここが女風呂だという記憶が、好男の意識を緩慢なそれから緊急浮上に切り替
えた。どういうことだ? 皆はどこに居るんだ。
 好男が起き上がる。
 周りを見回すと、見知らぬ女達が大勢自分を取り囲んでいた。
 全裸で仁王立ちしている女達は集団の強みなのか恥ずかしがって前を隠すものは
一人も居なかった。
 好男の方が慌てて前を隠す。

「すいません。眠ってしまって。――それじゃどうも……」
 すばやく立ち上がり人だかりを分けて出ようとした瞬間だった。
 それ!という声が聞こえて、風きり音と供に鈍い痛みが股間を襲った。
 一瞬遅れてきつい睾丸痛がドンと湧き上がる。
 ぐえっとうめいて好男はその場に転がった。
 強烈な腹痛と嘔吐感にめまいがしてくる。
 苦痛にのたうつ好男の尻にさらにきつい蹴りが浴びせられた。
 
「それじゃあどうもって何よ。変態が!どうせ女湯覗いて気持ちよくオナニーして
たんだろ。簡単に許されると思ったら大間違いだよ」
 肉感的な体と太い眉毛は、まさに女子プロレスラーを髣髴とさせる。
「変態男にはきついお仕置きをしてやらないとね」
 その横でうで組みしてる女は、痩せ形だが背が高い。180近くあるようだった。

 勘弁してくださいと言い訳しようにも、女達はあっという間に好男の両足をつか
んで力任せに股裂き状態にもっていった。
 陰部を押さえていた好男の両手も別々の女につかまれて剥ぎ取られる。
 結局仰向けで両足を広げて万歳した格好に固定され、腕はタオルできつく縛られ
てしまった。
「うわあ、人殺し!止めてください」
 好男は叫んだが、口から出たのは最初の一言だけで、後は口にタオルを押し込ま
れて声にならなかった。

「よく見たらかわいい子じゃない。皆でいたぶりがいがありそうね。ここでやる?
それとも部屋に連れて行く?」
 女子プロレスラーのような女がリーダーのようだ。
「ここでやるってのも面白いけど、邪魔が入ったらつまんないから、部屋に連れて
行きましょうよ。あっちに3人残ってるしね。彼女たちに黙ってこんな楽しい事し
てたなんてばれたら内部告発物だもんね」
 茶色い髪の女は補佐役のナンバー2だろうか。
 その意見にリーダーもうなずくと、数人に命令した。
 その女達に、まだ苦痛の中にいる好男は軽々と抱え上げられる。

 簡単に浴衣を巻きつけられ、深夜の旅館の廊下を大勢の女達に担がれていく。
 まるで悪漢に誘拐されるお姫様のようだった。

 でも、ユカたちはいったいどこにいったんだ。自分を残して帰ってしまうなんて
なんて薄情なんだ。悪ふざけにしてもひどい。
 混乱した頭で好男は脱出する方法を考えるが、思い浮かぶのはユカたちへの不信
感ばかりだった。

 真夜中の旅館の廊下を、誰ともすれ違うことなくほんの2〜3分で彼女らの大部
屋に着いた。
 一人がドアを開けようとしている。
  入り口の横の看板が、誰かに押されて倒れていった。その看板には、松田警察署
女子柔道部員御一行様と記されていた。

 こいつら婦警なのか?どおりで強いはずだ。しかし婦警が誘拐なんてして良いのか?
 いや、僕は変態だと思われてるんだった。逮捕のつもりなのか?
 好男の頭の中はますます混乱していく。

「みんな!かわいい獲物を捕まえてきたよ。今夜は朝までパーティーだよ」
 リーダーの女子プロレスラーが、部屋に残っていた三人の婦警に言う。
「ええ?どうしたんですか。高木先輩」
 部屋にいた女達の一人が立ち上がりながら尋ねた。
 女子プロレスラーのようなリーダーは高木というらしい。
「女風呂でオナニーしたあと眠りこけていた変態を捕まえてきたのさ」
 そう言う高木の合図で好男は畳の上に乱暴におろされた。
 好男が周りを見回してみると、15畳くらいの部屋の中には 12人の女達が居た。

「違うんです。これはほんの間違いで……」
 好男はそう言いたかったが、口の中にタオルを突っ込まれているのでモガモガ言
うだけで、言葉にならない。
「早速いただきましょ。佐恵子はコンドームを取ってきて、あなた今日はコンドー
ム係ね。和歌子と、幸子は足を押さえて。腕は小百合と静子お願いね」
 てきぱきと高木が指示を出す。
 仰向けで大の字にされた好男の手足に、彼女らのふくよかなヒップががっしりと
おりてきた。
 くそ、なんて重い尻なんだ。
 力自慢の好男も両手両足に一人ずつ体重をかけられると、まったく身動きできな
くなった。
 好男の浴衣はすぐに剥ぎ取られた。
 引き締まった腹筋と、対照的に緩んだ股間を大勢の女達に見下ろされている。
 風呂場でも恥ずかしかったが、こんな風に自分だけ裸に剥かれた状態はさらに羞
恥心が大きくなった。
 余った八人のうちの一人が、やわらかい好男の股間の物を素足でいたぶり始めた。

「コンドームをつけるには一応勃起させないとね」
 20代前半くらいに見えるその娘は、薄ら笑いを浮かべながら足で好男の玉を揉
み始めた。
 ぐりぐりと転がされるたびに好男は、屈辱と痛みを感じるが、背を丸めて逃げよ
うにも力ずくで押さえ込まれていては逃げようがなかった。
 その娘の浴衣の合わせ目からすらりと伸びる長い足。それが好男の玉をもむよう
に動くたびに、合わせ目の奥の薄い布切れが少しだけ顔を覗かせる。
 普通なら興奮する場面だが、さっき大量に発射したばかりの好男には、それほど
興味を引く光景とは思えなかった。

「なかなか立たないね。も少しという感じなんだけど」
 高木が身を乗り出して覗き込んだ。
 さらに手を出して、好男のペニスをつかんだ。男みたいなごつい手のひらだった。
「千賀子、ちょっと交代ね」
 好男を足でいたぶっていた娘に、高木はそう言うと、乱暴に好男のものをこすり上げ
はじめる。

 欲情してる時はすごく気持ちのいい接触も、射精していったんさめてしまうと、ちっとも
気持ちよくないばかりか、苦痛になってくるものだ。
「痛い痛い。そんなに乱暴にしないでくれ」
 好男は、声にならないとわかっていても言わずにおれなかった。
 敏感になっているペニスのカリの部分を、高木は皮も持たずに、直接刺激してる
のだ。男の扱い方というものをまったく知らないのか、単に誤解しているのか?
 
「ちぇ、立たないじゃん。つまんないの」
 高木は疲れたのか腕をとめた。
 好男にとって、ほっと一息つける安息の瞬間だった。
「先輩。知らないんですか。男も乳首とかが感じるんですよ」
 後ろの方に立っていた小柄な娘が言った。
 目鼻立ちのくっきりした茶髪の彼女は、今風の美少女だった。
 
「あなた、結構男にもてそうだもんね。百合子さんだっけ?新人に花を持たせます
かな」
 高木はそう言って好男から体を離した。
 

 代わりに百合子と呼ばれた新人婦警が好男の広げた両足の間に入ってきた。
 ショートカットの似合う百合子の浴衣の胸元からは、大きめの乳房の谷間が暗く
見えていた。
 百合子は片手で好男の玉をも見上げながら、上体を好男にもたれかかるようにし
て、好男の左の乳首にキスしてきた。
 軽く舐め、軽くかみ、強く吸ってくる。
 手馴れたものだった。
 うまいな、この娘。高木っていう男みたいな奴と違って、男の感じるつぼを心得
てるようだ。
 少しだけリラックスした好男のものが、徐々に固くなっていく。
 百合子は更に自分の浴衣の帯を解くと、前を開いて、湯上りで湿っぽい体を好男
に押し付けてきた。
 じっとりと湿った肌触り。
 時間をかけて好男の緊張をほぐすように愛撫している。
 若い好男が回復するのにそれほどの時間はかからなかった。




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