ハッピーエンドでは終われない

城谷詠人
 二章 もう一つの出会い
 

 16


コーラのビンくらいはありそうだ。
 そんなジョージの物が薄いピンクのビニールで覆われて僕の目の前にあった。
「これを今から入れてやるからな。痛かったらいいなさい。ゆっくりするから」
 ジョージの言葉使いは、どこと無く外国人を思わせる。
 一見日本人だけど、そうでもないのかな。
 そんなジョージが僕の両足を担ぐ格好でベッドに上がった。
 腰をずらすようにして硬く膨れ上がったそれの先端を僕の緩んだアヌスに押し当ててき
た。
 ズッと入ってくる。ずきんと激痛が走る。
 痛い、という言葉が思わず口から出て、腰を引くけど、がっしり保持されているから逃
げられない。
「おっと、失礼。もう少しなじませないと無理だったかな」
 ジョージがいったん腰を引いてくれたから、激痛は一瞬で治まった。
 僕は口を大きく開いて呼吸する。
 口を開くと、下の穴も緩んでくるのだ。
 思わず開いた目の前に荒木さんの顔が迫ってきた。
「大変だな。でも、痛いのは最初だけだぞ」
 荒木さんの口がつぶやいたかと思うと、そのまま僕の口にかぶさってきた。
 荒木さんの熱い舌が僕の舌と絡まりあう。
 ねっとりとした唾液が僕の口にあふれてくる。
 僕は荒木さんの肩を抱き寄せるようにしてその舌をむさぼるように吸った。
 興奮で状況判断が麻痺していくようだ。
 
 荒木さんの手が僕の胸からわき腹を撫で回す。
 神経がすごく敏感になっているみたいだ。
 そんな軽い愛撫が強い性感になって僕の気持ちを高ぶらせる。
 アヌスが再び大きく広げられた。
 また激痛がくるが、今度はそれほどきつくは無かった。
 太い先端が侵入してしまうと、驚くほど簡単に奥まで蹂躙される。
 痛みは引いていき、僕が感じるのは大きく広げられたアヌスの引きつりと、鈍い快感だ
けだった。
「よし、全部入ったぞ。どうだい?」
 ジョージが腰を入れてくる。
 いっぱいいっぱいまで入ってる感触に、思わず僕はうっとりしてしまう。
 すべてが満ち足りてしまう感じだ。
 このままずっと入れたままにされたいと思ってしまう。
 初めて会った男に、荒木さんの前で犯されている、そんなことさえスパイスとなって僕
の気持ちを刺激する。
 つんっという快感が胸から来た。
 荒木さんがキスをやめて、僕の乳首を軽くかんだのだ。
 そのまま乳首を吸われる。
 ジョージがゆっくり腰を動かし始めると、鈍かったアヌスの快感が、徐々に鋭さを増し
て僕に襲い掛かってくる。

 もう止めて。つぶやくように僕は言う。
 これ以上されたら引き返せないところまでいってしまう気がした。
 すでに後戻りできない道を僕はずっと歩いてきたのか。
 振り向くと、ノーマルだった日々が陽炎の中にかすんで見えるだけのようだ。
 
 う、うん。
 自分自身の甘いあえぎ声が、耳をくすぐる。
 まるで少女のような愁いを帯びたかすかな声。
 その声が男をさらに元気にさせると知っていて、それを期待しているかのような悩まし
さに満ちている。
「いい傾向だな。このネコちゃんすっかり立ってるぞ」
 多分ジョージの手だろう。
 僕の勃起したものが分厚い肉で包まれた。
 軽くこすりあげられるだけで、僕はすぐにでも行きそうになった。
「おっと、あんまり早く一人だけ行ってしまうと後がきついからな」
 幸運なことに、その分厚い手は僕が行く前に仕事を止めてくれた。
「どうかな、三人目の感触は? 最初の二人より具合がいいかい」
 耳元で意地悪な質問をするのは荒木さんだ。
 ここまでくれば僕もいい加減あきらめてしまえる。
「すごく良いです。おっきくてたくましくて」
 うわごとのような声で言ってやった。
 それを合図にしたかのように、静かだったベッドのきしみ音が大きくなった。
 ジョージの腰の動きが、それまでの震度2から震度5に大きくなった。
 アヌスがこすり上げられるのは、快感もあるが、切ない痛みを伴う。
 動きが激しくなると、快感よりもその切ない痛みの方がより大きくなって、次第に苦痛
になっていく。
 痛い。
 やはりまだ僕はこのやり方に完全に慣れているわけではなさそうだ。
 荒木さんによる上半身の愛撫に意識を集中しようとするけど、なかなか難しかった。
 さらに震度が6まで上がったところで、いっきにジョージの腰が突き出してきた。
 最後は3回か4回に分けて大きく僕のアヌスの奥底までジョージが突き入れて、やっと
静かになった。
 喧騒の後には、巨漢の激しい息遣いが部屋の中いっぱいに響いていた。

 大きくため息が聞こえて、アヌスの中のまだ弾力に富んだ棒がゆっくり出て行く。
 ゼリーで滑りが良いから、引っかかる感じも無くてスムーズに、それは出て行く。
 僕は大きく息を吸い込んだ拍子に埃でも入ったのか、激しく咳き込んでいた。
 横を向いて丸くなった僕の背中を優しくさすってくれる手があった。
 そのままうつぶせになって枕に顔をうずめる。
「久しぶりにたくさん出してしまいました。見てくださいよこれ」
 ジョージはコンドームをはずしたんだろう、そこに溜まった白濁の液体を荒木さんに見
せ付けている光景が枕の奥に見えた。
「満足していただけたのならよかったですよ」
 敬語を使って話し合う二人がすごく場違いだ。
 こんなプライベートな室内で、他人行儀な人間が集まってるなんて。

「今度はこっちにおいで」
 服を脱いだ荒木さんの声がしたかと思うと、僕は腰を引かれてうつぶせのまま足側に移
動させられた。
 顔を上げると、ジョージの太い足が見える。
 そのまま僕の前にジョージがあぐらをかいた。
 さっきまで僕の身体の中に入っていた黒い棒が、縮れた短い毛の中にそびえている。
 それは自身の排出した白濁液でぬらぬらと濡れ光っていた。
 荒木さんが服を脱いでいるほんの数分の間に、大砲は次の砲弾を装着されて、元気を取
り戻したかのようだ。

 いつか見た3Pのアダルトフォトが浮かび上がる。
 今からまさにその状態になるんだ。
 僕のものが痛いくらいに硬くなって、シーツに少しでも強くこすり付ければ発射しそう
になっている。
「エイトはこんな風にされるのが好きだろう?」
 腰がぐっと上に持ち上げられて、うつぶせのまま膝を立てた、お尻を突き出す格好にさ
れた。
 目の前のものをくわえながら、バックから犯されるのだ。
 
「じゃあやってもらおうかな。下のお口で味わったものを、今度は上のお口で味わうん
だ」
 ジョージの声が降って来た。
 手を添えられたそれの先端が僕の唇に密着して、独特のにおいが鼻につく。
 突き出すようにされたお尻からは、荒木さんの先端が緩んだそこを広げようと侵入して
くる感覚があった。
 僕は口を開くと、ゴムボールのような先端を含んだ。
 ぬるりとくる液体の味をみないですむように、一気に奥までくわえ込んだ。
 びくんと脈打つ棒に唾液を絡めると、尿や汗や精液の混ざった匂いが内側から鼻をくす
ぐった。
 臭いをこらえるのに苦労していると、今度は荒木さんのものが僕のアヌスを大きく押し
広げて入ってきた。
 ジョージを迎え入れた後だから、痛みはまったく感じない。
 それよりも、自分の今の格好を客観的に想像してしまって羞恥心を刺激される。
 その刺激は不快なものではなく、興奮をさらに膨らませてくれるスパイスになる。

 変態め!淫乱な雌犬め!二人の男にはさまれて犯されることに興奮するオカマめ。
 そんな声がどこからか聞こえてくる。
 その声は、とてつもなく心地よい響きを伴っていた。





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