調教倶楽部

 



「耕平、困るよ、あれつけてもいないのに。妊娠したらどうするのよ」
 急いでベッドを飛び出して、ノズルをはずしたシャワーであそこの中を洗い流した後、
ベッドに戻った私はすまなそうに座ってる耕平の前に仁王立ち。
 一応ピルは飲んでるけど、それでも百パーセント安全なわけではないわけで。
 ただ、当然だけどピルの事は耕平には内緒だ。
 責める材料に丁度いい。

「ごめん。でもさ。あそこまでやられたらさすがに仕方がないよ」
「何言ってるのよ。外出しは基本でしょ。まさかその年で結婚はいやでしょう」
 腕組みして目の前に立つ私に、顔を合わせることもできなくてうつむく耕平は無言で頷
くだけだった。
「まあ、すんだ事は仕方ないとして。だけど耕平ちょっと経験乏しすぎなんじゃない?あ
の程度で取り乱すなんてさ」
 責める口調から一転して、やさしく励ます口調になった私を耕平が見上げた。
 目に涙がにじんでるのが、なんともいとおしかった。

「とりあえず、負けも認めたんだからお仕置きね。いいんでしょ」
 一抹の不安は残るけど、ここは調教を進めるしかない。
「わかった。何でも言う事聞くよ」
「聞くよじゃない。聞きます、でしょ」
「……聞きます」
 思ったよりスムーズに調教できそうだ。
 最初は、お仕置きといっても軽いものを考えていたけど、耕平の失策でもう少し突っ込
んだお仕置きができそう。
 
 どういう具合にいこうか迷ったけど、まずは土下座させる事から行くことにした。
 本当はこれはレベル高いから、まだ先だと思ってたんだけど、耕平の失敗に乗じた今が
チャンスだ。

「じゃあ、まずきちんと謝って。そこに正座しなさい」
 神妙にしている耕平の横に座ると、私はじゅうたんを指差した。
 ため息をつきながらも耕平は立ち上がり、じゅうたんの上に跪いた。
「もう少し下がって、そうその辺。どうやって謝るの?やり方くらいわかるでしょ」
 少しきつめに言ってみたけど、耕平は反発する気力もないようだ。
 でも土下座するのは抵抗があるみたいで、頭を少し下げただけだった。
「すいませんでした」
「何よ。それで謝ってるつもりなの? おでこがちゃんと床に着くまでするのが礼儀でしょ」
 ゆがんだ顔で耕平が私を見つめる。
 でも私はきつい眼で睨んでやった。
 再び耕平が頭を下げる。今度はちゃんとおでこを床に密着させている。
「反省してます」
「動かないのよ。跳ね除けたりしたら許さないからね」
 一応警告してから、耕平の頭に右足を乗せた。
 ぐっと体重をかけて耕平の頭を床に押し付ける。
 屈辱感で耕平の心の中は沸騰しているだろう。
 でもそんな想像が、ぞくりと私の気持ちをさらに高めていく。
 さらに何度か踏みつけてから、私は足をどけた。
 足を舐めさせようかとも思ったけど、それはまだの方がいい。
 それやってしまうと、お仕置きというより、いきなりSMになってしまう。

「じゃあ頭あげていいわ。今度は反対向いてお尻をこっちに出しなさい」
「何する……何をするんですか?」
 耕平の眼の中にあった自信が消えてしまって、不安におどおどした目つきになっていた。
「お仕置きって言ったでしょ。悪い事をしたときは身体に教え込むのが一番なの。そうす
れば条件反射で次からは悪い事しなくなるわ」
 さっきバスルームに行った時に持ってきた三十センチ位のビニールホースを空中で一回
振って見せた。
 空気を裂く音が部屋の中に響く。

「それは……勘弁してください」
 いやいやをする耕平。大学生というより小学生みたいな表情だ。
「早くしなさい」
 早口でそれだけ言うと、耕平はうなだれて後ろ向きになった。
「ほら、手と頭を下げてお尻を高くしなさい」
 うくっと言う声が聞こえた。
 耕平の肩が震えている。泣いてるのかもしれない。
 じわじわと耕平が体を倒して、反対に私に向けたお尻を高くした。
「じゃあいくわよ。当然痛いけど我慢するのよ」
 耕平の身体から少しずらした位置に座りなおすと、右手に持ったホースを振り上げる。
 一気に打ち下ろすと、耕平の白い小さなお尻に一本のピンクの筋が浮かんだ。
「痛い。マジで痛いよ」
 耕平が手でお尻を押さえて逃げようとする。
「動くなって言ったでしょ。言う事を聞くって言ったのはうそだったの? 男に二言はない
んでしょ。我慢できたなら仮に今日あたしが妊娠したとしてもおろしてあげる。あたしも
まだ母親になる気はないし。でも言う事聞かないんなら……」
 最後まで言うまでもなかった。
 耕平は再び元の格好に戻ったから。
 耕平は陰毛も薄めだけど、お尻のほうはまったく生えていない。
 私の方がそこは毛深いくらいだ。少しうらやましかった。
 痛みに備えるためか、肛門が必死に閉じようとしていた。
 二撃目を打ち下ろす。
 うめき声を上げるだけで逃げない耕平にさらに打撃を加えていく。
 耕平の白いお尻はピンクの線でいっぱいになり、白い部分が少なくなっていく。
 私も尻たたきは受けた事があるから、耕平の痛みは大体わかる。
 最初は飛び上がるくらいの激痛が走るけど、何度も叩かれていくうちに痛みは熱さに変
わってくる。
 そしてまるでお尻がやけどしてるみたいに熱くなってくるのだ。
 夢中になっていた所為か、耕平の声に気付かなかった。
 ふと手を止めたとき、耕平の泣き声が聞こえてきた。
 まるで子供のような泣き声だ。
 大人になると、人は痛みや苦しみで泣く事は少なくなってくる。
 涙が出る事はあっても、声を上げて泣き叫ぶ事はない。
 大人が声を上げて泣くのは、痛いときよりも悲しいときだ。
 異性に苦痛を与えられて泣きじゃくるのは、完全にプライドを捨てて無防備になったか、
その苦痛で痛みよりも屈辱を感じている場合だといえる。
 しばらく手を止めて泣いている耕平を観察した後、私は立ち上がり耕平の前に回った。
「よく我慢したわね。お仕置きはこれくらいにしてあげる。あたしの足にキスしてくれる?」
 目の前に差し出された私の足先に耕平が口を寄せた。

 落ちたかな。
 このまま行けば耕平がM奴隷になるのは時間の問題だろう。
 耕平の舌先が私の右足の甲を舐めて、そのあと親指を口に含んだ。



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