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「腕切り」に関する一考察

「腹切り」が日本の伝統文化として欧米各国では、今でも紹介されているようだが、「腹切り」が日本の伝統文化だとすると、「腕切り」はジェダイの重要な伝統である。
ジェダイ騎士は無意味な殺傷を禁じられているが、滅多なことがない限り止めをさすことはなす。多くの場合は、相手の腕を切り、相手の武装を解除し、戦意を喪失させるに留まる。ジェダイ騎士の「腕切り」のテーマは、スター・ウォーズにおける重要なテーマの一つである。まずは、旧三部作で繰り返された「腕切り」描写を一覧表にする。

作品

切った人

切られた人

   「腕切り」の状況

NH

オビワン

ポンダ・バーバ

 ルークにいちゃもんをつけてきたポンダ・バーバーの腕を問答無用でオビワンが切断

ESB

ルーク

ワンパ

 ワンパ洞窟から脱出する際、ワンパの腕をルークが切断。ワンパのとどめをささずに、厳寒のホスの雪原へルークは逃げる。

ESB

ベーダー

ルーク

 ベーダーとルークの対決。ベーダーに歯が立たないルークは、あっさりと右手を切断される。しかし、手は機械によって修復された。

RJ

ルーク

ベーダー

 ESBとは逆に、ルークがベーダーの腕を切断。しかし、ベーダーの腕は既に機械化されていた。

FM   ?    ?   果たして、「腕切り」は登場するか?


  arm_wampa.jpg (8723 バイト)   arm_luke.jpg (9764 バイト)
  切断されたワンパの腕     ルークの修復された腕

「腕切り」が、四回も旧三部策において繰り返されている。注意すべきは、RJで、ルークがベーダーの腕を切断した際、ベーダーの腕が既に機械化されていたことであろう。つまり、ベーダーの本物の(生身の)右腕は、何者かによって既に切断されたということであろう。そのベーダーの生腕切断は、新三部作のどこかで必ず描かれるだろう。
 上の表を見ると、いずれも「腕切り」を行った人物は、ジェダイ騎士であることがわかる。ジェダイ騎士の戦闘のルール、ないしはマナーといったものが、存在する可能性がある。
そこで、反論する人がいるかもしれない。NHにおいて、ベーダーとオビワンの決闘シーン。ベーダーはオビワンの腕を切らずに、とどめをさしたのではないかと。
 その指摘は誤りである。NHのこの決闘シーンを注意深く見返して欲しい。ベーダーの切っ先は厳しく、老いたオビワンを追い込んでいく。しかし、対決が佳境に入った時、オビワンは無防備になり、静かに目を閉じる。その一瞬の隙をついて、ベーダーのライトセーバーが、オビワンを襲う。オビワンの肉体は消失し、ローブだけが、床に残る。
 ここで分かることは、オビワンはベーダーとの戦いで、敢えて負けたということである。なぜ、対決の最中に防御をといて目をつぶることは、すなわち戦闘放棄を意味するし、自殺行為である。いや、オビワンは自殺したのだ。自殺という言葉が適切でなければ、「敢えてベーダーに敗れてみせた」と言うべきであろうか。
 そして重要なのは、オビワンの肉体が消失した後の、ベーダーの反応である。ベーダーは明らかに、驚いた様子で、床に落ちたオビワンのローブをめくる。「どこにオビワンは突然と消えたのか」、そんな疑問を抱いたからこさ、ベーダーはあわててローブをめくったに違いない。つまり、通常のライトセーバー同士の戦闘では、肉体が完全に消失することはないということである。では、なぜオビワンの肉体は消失したのか。それは、オビワンが、フォースによって自らの肉体を消失せしめたのではないか。では、その理由は。
 オビワンは死んだにも関わらず、ESBにもRJにもしつこく登場して、ルークに支持と助言を与える。いや、NHのデス・スターへのトレンチ突入シーンでも、「Use the Force, Luke.」と声だけ現れて、ルークに指示を与えていた。
 これらの、オビワンの役割、つまりルークへ助言と支持を与え、ルークの守護者となることを目的として、自らの肉体を消失させたのではないか。おそらく、強力なフォースの持ち主であれば、RJのラスト・シーンのヨーダーや、アナキンのように、死後も現世に登場することができるだろう。しかし、オビワンの登場はしつこい。それは、他社によって肉体が抹殺されたためではなく、自ら肉体を消去することで、現世での精神を残存させる能力を強めたとでも言おうか。単に、フォースが強いだけで、現世に登場できるとすれば、RJで死んだ皇帝パルパティンも、今後しつこく現世登場できるということになる。しかし、それはおそらくないだろう。「エピソード7」以降でパルパティンが、新たな銀河の指導者に、マンツーマンでコーチする姿を、我々は見ることはないであろう。
 以上のような理由によって、ベーダーはオビワンのとどめをむさしたのではないことがわかる。ただ、RJでのセールバージ上でのルークのライトセーバーによるぶった切りシーンを考慮に入れると、飛び道具を持っている敵に関しては、「腕切り」以上の厳しい制裁が加えられることがわかる。
 「ファントム・メナス」においても、ひょっとすると「腕切り」が登場する可能性は高く、注目したい。
 「なぜ、腕を切るのか。例えば、肩を切ってもいいのではないか」という疑問を抱く人がいるかもしれないが、実は「腕切り」には隠れた意味が隠されていた。「arm(腕)」には、腕以外に重要な意味がある。「武力」である。「disarm(腕切り)」は、「武装解除」という意味である。これが、シャレかどうかはわからないが、相手を武装解除するために腕を切るというのは、実に当然の行為と考えられよう。

 隠れジェダイ発見

 上記の表に、旧三部作における「腕切り」を示したが、この表に含まれない腕切りが一件あるのだ。NHで荒野をランドスピーダーで進む、ルークと3PO、R2。そして、彼らは突然、タスケン・レイダー(サンド・ピープル)の襲撃を受ける。戦闘の末、3POの腕は切断されるのだ!!! SWサガに何度も登場する「腕切り」のテーマを考慮すると、この3POの腕切られ事件を、偶然の事件として処理することはできない。タスケン・レイダーにも「腕切り」のマナーを知っている者がいた。このことは、二つの可能性を示唆する。一つ目は、「腕切り」が、単にジェダイ騎士に限定されることなく、全銀河に共通する戦闘マナーである可能性。二つ目は、ルークを襲ったサンドピープルが、ジェダイ騎士であるという可能性である。

    arm_3po.jpg (9477 バイト) サンドピープルによって切断されたC-3POの腕
 前掲表に示したように、「腕切り」のマナーは、ジェダイ騎士に限定されたマナーのように思える。そうすると、このサンドピープルがもとジェダイであるという結論に達してしまう。その可能性は全くないわけではない。
 フォース継承者であるルークを守護し、監視するためにオビワンは、世捨て人を装いタトゥイーンに住んでいた。オビワン以外にも、ルークを監視するジェダイ(または、もとジェダイ)がタトゥイーンにいたとしてもおかしくない。
 では、その守護者としてのタスケンレイダーに紛れたジェダイは、何故にルークを襲撃したのか。それは、成長したルークの腕前を試すためである。タスケンレイダーは、獰猛で情け容赦のない悪党として知られている。そのサンドピープルに襲われたルークは、なんとかすり傷だけで助かったのだ。途中で、オビワンが助けに来たとはいえ、ルークの傷は軽すぎる。つまりサンドピープルは、ルークに対して手加減を加えた可能性がある。
 オビワンは、サンドピープルの天敵であるクライトドラゴンの鳴き声を真似て、サンドピープルを追い払う。しかし、聴力と野生の勘に優れたサンドピープルを、猫家江戸八ならまだしも、物真似の素人であるオビワンの下手な物まねで誤魔化すことができるのか。あるいは、オビワンは、モス・アイズリーでトルーパーに使ったようなフォースによる意識操作を使いながら、物真似をしたのか。ここでも、もう一つのむ可能性が想定しえる。つまり、サンドピープルはオビワンの下手な物真似で退散したのではなく、オビワンのフォースを感じ取り、あるいはオビワンに正体を知られてはまずいと思って、速やかに退散したとも考えられよう。
 いずれにせよ、タトゥイーンの腕切りサンドピープルは、SWサガには、二度と登場しないだろう。