HOTH PRESS 
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  ボスク編

 ボスクのにらみを見逃すな
バウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)といえば、有名なのがボバ・フェットである。SWに登場するキャラクターの中で、脇役キャラで最も人気が高いといってもいいだろう。とうぜんのごとく、ボバ・フェット専門さいとがいくつもある。ボバ・フェットについて詳しく知りたい人は、そちらのサイトを参考にして欲しい。「HOTH PRESS」の編集方針の一つは、登場時間が短い超脇役キャラにスポットを当てることである。その意味からいって、ボスクは絶好のキャラといえる。登場時間が短い割には、言及すべき点がいくつもある。
 ダース・ベイダーはハン・ソロの乗ったミレニアム・ファルコン号を追跡されるために、六人のバウンティ・ハンターをエクゼクターに召集した。では、この六人のバウンティ・ハンターの中で、最も聴力と注意力に秀でていたのは誰か。それは、ボスクである。このバウンティ・ハンターのシーンを注意深く見て欲しい。ヴェイダーが帝国軍の追跡能力に限界を感じ、バウンティ・ハンターの下司な力を頼ろうとしたことに対して、艦橋の下にいたピエッド提督は「バウンティ・ハンターめが」と、不平をもらした。ボスクの鋭い聴力は、その小声を聞き逃さなかった。ピエットを鋭い眼光でにらみ、「ゲググググ」と威嚇の言葉を発する。そして、その鋭いにらみにピエットは、びびった表情になり、ごまかすように下向いて、その場を去るのである。恐るべき威嚇力である。百戦錬磨の帝国士官であり提督らにまで昇進したピエットですら、びびってしまうのである。
 このピエットの小声に反応したのは、、六人のバウンティ・ハンターの中で唯一ボスクだけであった。この瞬間、デンガーは、これから指令を発しようとしているヴェイダーに中が向いてしまっている。常に周囲のあらゆる状況に注意を向けておくことは、常に命の危険ににさらされる可能性があるバウンティ・ハンターにとって重要な能力である。この一シーンだけを見てもボスクの恐ろしさと、バウンティ・ハンターの力量が伝わってくる。


   
図1 ベイダーに召集された              図2 ボスクのにらみ
   バウンティ・ハンター            反乱軍兵士と同じスーツを着るボスク
                                    

 SWに隠されたリサイクルのテーマ
ボスクが身につけているのは、反乱軍パイロットが着ているスーツ、ベストと同じである。ここで、生じる疑問は、なぜボスクが反乱軍のスーツを着ているかということである。ここで仮説がいくつか考えられる。
 @ボスクは昔反乱軍に属していた。
 A反乱軍のスーツは、反乱軍が自前で製作しているオリジナルの製品ではなく、どこかの会社が販売している既製品を使用しているに過ぎない。よって、ボスクは既製品の新品スーツを購入し使用していた。
 B反乱軍オリジナルスーツを、どこからか入手て着ていた。つまり、中古スーツを着ていた。わざわざ、反乱軍スーツを着ていたのは、反乱軍スーツが高性能であるため。
 以上の三点が、考えられる。@の可能性は、かなり低い。ボスクが反乱軍にいたという情報や資料は存在していない。また、怪しげな経歴を持つボスクを反乱軍が、雇うようなことは考えられない。反乱軍の基地は、ヤヴィンにしても、ホスにしても、秘密基地であった。その基地の場所が帝国軍に知られることは、基地を放棄しなくてはいけなくなる。反乱軍は、帝国軍のスパイにはかなり注意しているはずだ。
 Aの可能性は、捨てがたい。例えば、反乱軍の主力戦闘機であるXウイングの正式名称は「インコム社製T-65B Xウイング宇宙戦闘機 」であり、Yウイングの正式名称は「コーンセイヤー社製BTL-A4 Yウイング宇宙戦闘機ロングプローブ」である。つまり反乱軍は、インコム社やコーンセイヤー社の既製品の戦闘機を購入して使っているのである。帝国軍のTIEファイターは、「
シーナー・フリート・システムズ社製TIE/in」であり、やはり他社製品を使っている。反乱軍の十分でない資金力では、戦闘機を自ら開発したり、製作したりする余力はなかった。したがって、パイロットのスーツにしても、自らのオリジナルで製作することは、困難であったかもしれない。しかしながら、いくら資金力に乏しい反乱軍でも、宇宙服くらい自前で作れるだろうし、どこかの業者に依頼して製作してもらうこともできるかもしれない。ボスクが既製品の新品を買った可能性を否定できない。
 私はBの可能性、すなわち中古のスーツを着ていたという可能性が高いと考える。その証拠は、実はたくさんある。ボスクと同じく、バウンティ・ハンターであるボバ・フェットの装甲服をみてみよう。ボバ・フェットが着ている装甲服は、クローン大戦当時にジェダイの騎士団によって滅ぼされたマンダロア星系(Mandalore system)の戦士団が着ていた装甲服と同種のものである。ボバ・フェット自体がマンダロア戦士団の生き残りだとという説もあるが、彼がどこからかその服を手に入れ着ているという説が有力である。つまり中古の装甲服を手に入れたボバ・フェットは、それを着ていた。フェットの装甲服は電子双眼鏡プレート、赤外線スコープ、各種センサー、小型コンピュータを内蔵しており、さらにリストレーザー、ロケットダート、小型火炎放射器、震動弾発射装置なども装備されており、非常に高性能な装甲服であることに疑いはない。
 話は少し変わる。オビワンとともに、レーア姫を救出に向かうことを決意したルークは、ミレニアム・ファルコン号のパイロット、ハン・ソロを雇う。ハンとの契約が成立し、カンティーナから出てきたルークが、まず初めにしたことは何だったか。それは、彼のランドスピーダーを売ることだった。「新型がでたから、これっぼっちにしかならなかった」とぼやくルーク。SWユニバースには中古売買の大きな市場が存在している。
 もっともわかりやすいのは、ジャワの存在である。ジャワはスクラップとして捨てられているドロイドを拾い集め、修理し販売する。リサイクル業者である。ルークのおじオーエン・ラーズは、中古品として売られていたR2-D2とC-3POを購入した。
 先に紹介したXウイングの値段は、新品で142000だが、中古は73500、TIEファイターは、新品で60000だが、中古では25000が相場として知られている。このように、SWユニバースには中古価格まで全宇宙的に決まった、確固とした中古市場が存在するのである。その理由は、帝国軍の圧制による慢性的な物資不足が原因と考えられる。惑星地球における北朝鮮が、極端の物資不足に陥っていたように、専制政治、独裁政治は経済が硬直化しやすくなる。そうした理由によって、新品の宇宙船やドロイドの値段は高騰し、一般人には手が出ないほどになっていた。一般庶民は、中古のドロイドを買い、反乱軍ですら中古の戦闘機を購入していたようだ。
 そして、SWユニバースの人々は、良い製品であれば、たとえ古くても大切にする傾向がある。その最も顕著な例が、ハン・ソロである。ハン・ソロは天衣無縫な性格として登場しているが、その彼にしても中古品を大切にする心は忘れない。ミレニアム・ファルコン号は、そもそもランド・カルリシアンの持ち物だったのを、ハンが博打のかたにとったのである。ミレニアム・ファルコン号もまた中古だった。ESBにおいて帝国軍の追撃を受けるミレニアム・ファルコン。ハンはハイパースペスで楽勝で逃げ切れるはずだったが、肝心なところで故障しハイパードライブに移れなかった。その後、修理しながら、やっとのことで帝国の追撃を振り切った。ミレニアム・ファルコンは宇宙一速いと、ハンは豪語していたが、そのフォルコンも、かなりガタがきているといわざるをえない。しかし、ハンのファルコンへの愛着は、ただならないものがあった。
 SWユニバースにおいて、機械や乗り物などを中古で売買することは当たり前のことであり、性能が良ければ中古でも全く構わないのである。
 反乱軍兵士が使用していたパイロット・スーツは、品質として高い品質を有しているであろう。したがって、腕利きのボスクが、そうした高性能のスーツを身につけたいと考えても不思議はない。ボスクは、何らかの方法で反乱軍のパイロット・スーツを手に入れて、それを愛用していたと考えられる。それが、新品か中古であるかはわからないが、SWユニバースの中古事情を考慮すると、中古スーツであっても全く不思議はない。彼がこのスーツを入手するために、わざわざ反乱軍兵士を殺したとまではいわないが、凶悪なボスクの性格を考えると、やりかねない気もする。
 惑星地球では、最近になってリサイクルや中古品利用の重要性、ゴミの排出をいかに少なくするかということが話題になっているが、十年以上前のSWにおいて、リサイクルが重要なテーマとして語られていたことは、驚きに値する。我々も、SWユニバースのキャラクターに見習って、物を大切に使い、ゴミの排出量を抑えたいものである。