クラシック以外


2026.09.06 Wembley Stadium (London)
BON JOVI - Forever Tour
Jon Bon Jovi (vocal, guitar)
David Bryan (keyboards), Tico Torres (drums)
Phil X (guitar), John Shanks (guitar)
Hugh McDonald (bass), Everett Bradley (percussion)

 このライブ、気づいたときにはほとんどソールドアウト、300ポンド以上のVIP席がリセルでちらほら出ているのみだったので、これはさすがに行けないなと思っていたら、直前になって下級クラスの席が追加でドカドカと出て来たので、思わず条件反射でゲットしてしまいました。7月に行ったデフ・レパードと比べると、ボン・ジョヴィはそんなに思い入れがあるバンドではなかったものの、自分のバンドで何曲かドラムをコピーしていたし、ヒット曲が多いので単純にライブは楽しめるのではないかと。また聖地ウェンブリースタジアムにはまだ入ったことがなかったので、その興味もありました。
 この「Forever」ツアーは7月にスタートし、ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンで9日間のライブを敢行したのち、エジンバラ、ダブリン、最後はロンドンで3日間行うスケジュールになっています。アルバムをリリースした2024年からちょっと時間が経っていますが(このときはシングル第一弾の「Legendary」が山下智久主演のテレビドラマ「ブルーモーメント」主題歌に使われたりもしたのでよく聴きました)、ジョン・ボン・ジョヴィが2022年に受けた声帯インプラント手術以降で初めてのツアーであり、十分なリハビリを行う時間を考慮し、慎重にスケジュールを組んだものと思われます。ボン・ジョヴィは全盛期のころからすでにライブでは半音下げチューニングでやっていたので、もとよりそんなに頑丈な喉ではなかったんでしょう。
 ウェンブリーアリーナとO2アリーナは行ったことがありますが、やはり9万人収容のウェンブリースタジアムのデカさはケタが違います。駅からスタジアムに向かう表参道からしてもう人人人の大渋滞。場内に入ってみると、ステージの遠さもケタ違いで、大型スクリーンすら小さく見えます。よく考えると野外のスタジアムでライブを見るのは、1982年の阪急西宮球場で見たクイーン「Hot Space Tour」以来かも。元々、音楽はジャンルを問わず静かに耳を傾けたいほうで、野外ステージとかフェスは苦手なのでした。
 このツアーでエジンバラ及びロンドンのオープニングアクトはジェームズ・ベイだったのですが、よく知らないし見送りました。ぼちぼち日も暮れかかる7時20分ごろにボン・ジョヴィのライブがスタート。ステージから一番遠いショートサイドの後方エリアだったので、やはり肉眼で見えるボン・ジョヴィは豆粒どころかケシの実くらいのサイズ。大型LEDビジョンをオペラグラスで見てちょうどいいくらいでしたが、ジョンのバネ感があって溌剌としたパフォーマンスと、眩しい笑顔は実にアメリカンな明るさで、やっぱりカッコ良かったです。髪も短くなって白くなり、時々鹿賀丈史に見えてしまいますが、良い歳の取り方をしていると思います。ジョンは64歳、最年長のヒューは75歳、最年少のフィルも60歳なので、全員60歳越えのバンドになってしまいました…。
 やはり「You Give Love a Bad Name」「Born to Be My Baby」「It's My Life」「Livin' on a Prayer」といったメガヒット曲は特に盛り上がりました。隣席の母娘連れと思しき人々は、娘がずっと大人しく座っていたのに対し、むしろ母の方がノリノリで踊りまくってました。しかし、正直言ってPAの音はひどいものでした。ボーカルは割れてるし、ベースとキーボードは終始何やってるかほとんどわからないくらいのグシャっとした音響でした。ジョンは、声帯手術のリハビリが上手くいってるようで、おそらくキーは下げていますが、ちゃんと声が出て歌えていました。また、サビのキツいところはマイクを向ければ観衆が全部歌ってくれるので、無理する必要は全くありません。ボン・ジョヴィのロンドンでの人気の凄さに驚くとともに、やっぱり持つべきものはヒット曲だよなあと、あらためて思いました。

Set list:
With a Little Help From My Friends (The Beatles cover)
Beautiful Drug
We Weren't Born to Follow
Lost Highway
You Give Love a Bad Name
Born to Be My Baby
Legendary (with James Bay)
Whole Lot of Leavin'
Bed of Roses
Have a Nice Day
These Days
This House Is Not for Sale
It's My Life
Livin' on a Prayer
Raise Your Hands
I'll Sleep When I'm Dead
Hey God
Keep the Faith
Encore:
I'll Be There for You
Wanted Dead or Alive
Bad Medicine
Always


2026.09.04 Gillian Lynne Theatre (London)
My Neighbour Totoro - based on the 1988 film "となりのトトロ" written by Hayao Miyazaki of Studio Ghibli
Royal Shakespeare Company's Production
Phelim McDermott (Director)
Joe Hisaishi (Music Composer/Executive Producer)
Tom Morton-Smith (Music Adapter)
Helen Chong (Satsuki), Victoria Chen (Mei)
Dai Tabuchi (Tatsuo), Phyllis Ho (Yasuko)
Jacqueline Tate (Granny Ogaki), Steven Nguyen (Kanta)
Natsumi Kuroda (Tsukiko), Richard P. Peralta (Hiroshi)
Kumiko Mendl (Nurse Emiko), Sango Tajima (Miss Hara)
Rachel Clare Chan (Kaze No Koe/Singer)

 ご存知ジブリの名作長編アニメ映画「となりのトトロ」をロイヤル・シェークスピア・カンパニーが舞台化したプロダクションです。2022年にバービカンシアターにて初演が行われ、2024年にかけて断続的に上演されたのち、2025年からロンドン・ウエストエンドのジリアン・リン劇場に場所を移し、ロングランを行っていましたが、ついに来年1月で終了するとのことで、今のうちに見ておこうと思い立ち、出かけました。この劇場のルーツを辿ると16世紀のエリザベス朝まで遡ることができるそうですが、現在の建物は1973年にニューロンドン劇場として再建されたもので、2018年にジリアン・リン劇場に改名されたということです。キャパは千人ちょっとのこじんまりとした劇場で、どの席からでもステージは見やすそうな感じがしました。
 場内はやはり子供連れ家族が多かったです。「となりのトトロ」はそれこそ自分の子供がこのくらい小さいころにDVDを飽きるほど繰り返し見た(見させられた)ので、しばらくちゃんと見てないとはいえ、音楽とストーリーは頭に刷り込まれています。役名や地名は映画のままだし、セリフもところどころで日本語のフレーズが散りばめられていて、無理やり英語化せずに原作の世界観を尊重しているのは嬉しい限りです。舞台装置は目まぐるしく変わり、このAIの時代にCGとかプロジェクションマッピングに一切頼らず、数々のアナログなアイデアが非常に心地良かったです。
 大筋のストーリーはアニメと同じですが、たくさん出てくる空想上の生物をどう表現するのだろうと思っていたら、Kazegoと呼ばれる黒子のパペッティアが大活躍で、ススワタリも「そう来るか」と感心すること請け合いです。何と言ってもトトロとネコバスの大きさはインパクト大です。一方でアニメと大きく違うのは、舞台にほぼずっと大きな月が出ていて、基本は夜の風景であり、異世界感が強い点です。ここは舞台化に際し、劇場で映えるように世界観を修正するにあたっての重要ポイントだったと思いました。
 キャストは中華系を中心に、日系、東南アジア系の役者で概ね固められていました。もちろん、皆さん英語はネイティブレベル。特にマイクを仕込んでなかったと思いますが、テンション高く、よく通る声でした。
 バンドはボーカル、ホーン、ヴァイオリン、チェロ、ドラムセット、パーカッション、ウッドベース、キーボードといった構成。舞台の左右に0階、1階の2階立てでそれぞれミニピットがあり、さらには舞台上の奥側にも舞台装置の木の上にバンドを配置し、立体的な生演奏なのが良いです。楽器の人はさすがに動き回れないのですが、ボーカルは各ピットと舞台上を行き来していろんな場所で歌っていました。音楽は久石譲オリジナルの映画サントラからアレンジされたものですが、歌の歌詞は半分くらい日本語のままでした。
 ちなみに見に行ったのはAcorn Performanceというアクセシブル公演だったので子連れ家族が多かったですが、大人のカップルもそこそこいて、子供の真ん前の席でいちゃついて肩を抱き肘が大きく後ろの席にはみ出していて、迷惑この上ない輩もいました。子供にとって大きい大人ははっきり言って観劇の邪魔ですから、ちょっとは周囲に気を配り、「ここでは自分は邪魔者だ」という立場をちゃんとわきまえて欲しいです。
 舞台上は飽きさせない凝った仕掛けが多く、役者の熱意も大いに感じられて、たいへんよくできた舞台にいたく感動したと同時に、子供が小さかったころを思い出してホロリときてしまいました…。


2026.08.09 Bunkamuraオーチャードホール (東京)
角川映画音楽祭 ~テーマ曲・挿入歌コンサート~
こがけん (MC), 南佳孝 (vocal, guitar), 小室哲哉 (vocal, piano)
松村とおる (vocal), マリーン (vocal), クミコ (vocal), 藤井空 (trumpet)
野村宏伸 (vocal), 松本隆/佐野史郎 (talk guests)
石黒彰 (keyboards), 力石理江 (keyboards)
阿部薫 (drums), 鍬田修一(sax), 渡辺格 (guitar), ハピネス徳永 (bass)
阿部美緒(violin), 丸山明子 (violin), 保科由貴 (viola), 大沼深雪 (cello)

 いろいろ恨み節がありまして、半分以上は逆恨みであることは承知のうえで、思うところを正直に書いております。あくまで超私的な個人の感想にすぎませんが、私は口が悪いので、気分を害しそうな予感がする方はこの先読まれないほうがよいです。
 1976年公開の角川映画第一弾「犬神家の一族」から、今年は50周年の記念イヤーになります。「犬神家」「人間の証明」「野性の証明」といった初期の角川映画に心奪われたのち、薬師丸ひろ子、荻野目慶子、原田知世のファンでもだった私は、角川の月刊誌「バラエティ」を毎号欠かさず買って熟読したものです。ちょうど5年前の45周年記念にも角川映画祭があり、4Kリストアの「犬神家」「人間の証明」を超久々にスクリーンで鑑賞しました。50周年にはさらに大規模な映画祭が行われるだろうから、2018年に行きそびれてしまった「角川映画シネマ・コンサート」を再現してくれないかなと密かに期待していたのですが、音楽関係だと今回は「角川映画音楽祭」なるコンサートが開催されることに。幸い、夏休みでちょうど帰国している時期であり、イギリスからがんばってチケットをゲットしました(ちなみに、チケットぴあは国外からの購入だとVPNを噛ませても携帯電話認証が突破できず、だいぶ試行錯誤しました)。
 この音楽祭の情報は3月に開催が発表され、5月に予定出演者と予定演目の公表およびチケット発売開始だったのですが、初期三部作に素晴らしい音楽を提供し、角川映画スタートダッシュへの功績が絶大だったことは間違いない大野雄二大先生が5月4日に老衰のため亡くなります。「犬神家の一族」のテーマ曲「愛のバラード」は特に自分にとって特別な存在です。初めて出会った時に一瞬で恋に落ち、その後絶えることなくずっと愛し続けている曲で、そのような曲は他にはありません。他にも好きな曲、好きなアーティストは山ほどありますが、必ずどこかで飽きて心が離れる時期が来るのが普通ですが、大野雄二は例外的に別格でした。私個人の事情はそれとしても、「角川映画音楽祭」の名にかけて、当然のごとく大野雄二追悼企画は追加で盛り込まれるであろうと信じて伺わなかったのですが、その後のイベントニュースを追っかけていても、MCとしてピン芸人のこがけん参加決定が後から発表されたくらいで、演奏予定曲(下のセットリストと同じ)の下に思わせぶりに記された「and more…」の文字は、ずっとそのまま。このセットリストだけで「角川映画の音楽」を語るとしたらあまりにも消化不良ですが、結局その後も情報が更新される気配がまるでなく、告知動画でもクローズアップされるのは小室哲哉や野村宏伸ばかりで、大野雄二は完全スルー。日が近づくにつれ、すっかり諦めモードに陥っていました。
 そうやって個人的関心が薄れつつあった中、演奏会当日を迎えましたがここでさらなる問題が。今回の電子チケットはMOALAというサービスを経由した受け取りになっていたのですが、こいつがイベント当日の開場時間ギリギリにならないと電子チケットにアクセスできないクソ仕様になっており、苛立ちました。私は元より心配性なので、普段なら演奏会やイベントのチケットを事前に何度も見直し、場所と時間、交通ルートを入念に確認するのですが、チケットがそもそも手元にない状態が直前まで続いたため、事前確認をつい怠っていました。なぜだかわかりませんが、開演時間を夜7時半だとずっと思い込んでいた私は、余裕で間に合うはずの時間にオーチャードホール近くのスタバで涼を取っていたところ、やっとスマホに表示されるようになったチケットを見て、開演時間が「7時30分」ではなく「17時30分」であることに気づき、愕然としました。あわててコーヒーを飲み干し、会場に向かったものの、音楽祭はすでに中盤に差し掛かっており、前半部分を聴き逃してしまいました。はい、開演時間を間違えるという初歩的なミスで、全くもって自己責任以外の何物でもありません。しかし、19時30分開演はイギリスでは普通なので疑うマインドが起こりにくかったし、他の電子チケットだと極めて一般的な、遅くともイベントの前日にはチケットが配布される仕様であればこのようなミスをやらかすことはなかったと断言できるので、MOALAには恨み節をぶつけます。ぴあも何でこんなとこを使っているんだろう(ネットで調べると総合的に見てもユーザの評判が非常に悪いサービスのようで…)。
 というわけで、前半を聴き逃したのが痛恨ですが、気を取り直して、後半のトップバッターは南佳孝。ただし、「スローなブギにしてくれ」と「メイン・テーマ」(薬師丸ひろ子への提供曲を自身が後にセルフカバーした男性目線のバージョンではなくあえて女性目線の歌詞のままで歌った)、ともによく知っている曲ながら、どちらかというと苦手な部類の歌です。かつてはもっと艶やかな声とセクシーな歌い方だったように思いますが、76歳の今となってはすっかり枯れ切った味わいの歌唱でした。まあファンの人には元気で歌っている姿が見られたのは良かったんでしょうけど…。
 続いて登場した野村宏伸は、「メイン・テーマ」の薬師丸ひろ子の相手役オーディションで2万3千人の中から選ばれたシンデレラボーイでしたが、元々役者をやりたかったわけではなく純粋に賞金が欲しくて応募したとトークで語っていました。実際、経済的にだいぶ苦労した少年期を過ごしたようです。その後俳優の道を進む決断をするも、初主演作「キャバレー」では監督の角川春樹に人格否定されまくりのパワハラを受け、その恨みが言葉の端々に滲み出ていました。今でもテレビドラマやバラエティでたまに見ることがありますが、実際に生で見る野村宏伸はかつてのシュッとしたイケメンの面影はなく、ルーズなジーンズ姿も相まって、くたびれたオジサン感が隠せません。トークゲストだけかと思いきや、自身が声優として主演したアニメ映画「ボビーに首ったけ」の主題歌「ボビーにRock 'n Roll」(この曲も作詞松本隆、作曲南佳孝ですね)を40年ぶりに歌うとのこと。嫌な予感はしましたが、やはりというか、はっきり言って人前で歌うレベルではない準備不足の拙い歌唱でした。
 次がいよいよ今日のイベントの真打ちであろう、小室哲哉の登場です。客席のそこかしこから「てっちゃ〜ん」という黄色い歓声が止みません。小室哲哉は確かに「ぼくらの七日間戦争」と「天と地と」それぞれの劇伴音楽と主題歌(前者はTM NETWORK名義)を担当してはいるものの、角川映画の歴史を語る上でそんなにキーマンなのかなあと疑問に思っていたのですが、なるほど、これは角川映画音楽の名を借りた、内実は小室哲哉のファンイベントみたいなもので、自分のほうが「よそ者」だったのだとようやく理解しました。野村宏伸を交えたトークでは「あの方(=角川春樹)の名前はタブーじゃなかったでしたっけ?」などとボケをかましながらも、二人で「天と地と」および角川春樹との思い出話をひとしきりやった後、ステージ中央に置かれたグランドピアノに座って、まずは自身がボーカルを取った主題歌「天と地と〜HEAVEN AND EARTH〜」を弾き語りで披露。続いて実質的なメインテーマといえる「炎」をバンドおよびストリングスメンバーと一緒に照明効果付きで演奏。もちろん、いろいろあったとはいえ、真に一世を風靡したスターミュージシャンである小室哲哉を生で見れる機会は貴重でしたが、特にファンというわけでもない私から見て、歌は正直いただけないレベルの弱さでした。
 セットリストでまだやってない曲があるような気がしましたが、ここでひとまずエンドクレジットが流れ、小休止ののち、アンコールではマリーンが(再)登場し、「汚れた英雄」の主題歌「Riding High」(元の歌手はローズマリー・バトラー)を熱唱。マリーンもいい歳ですが声は衰えず、やっとプロの歌唱が聴けたと安堵したのも束の間、トリは今日の出演者がわらわらと出てきて、「ぼくらの七日間戦争」主題歌「SEVEN DAYS WAR」を全員でがやがやと斉唱。うーん、思い入れないし、カラオケにもならない雑な「みんなで歌いましょう!」なんかどうでもいい。出演者からしてやる気なしで、松本隆などはマイクを持たされてはいたものの歌うそぶりはみじんも見せなかったです。最後に、客席をバックに出演者全員で記念撮影をしてお開きとなりました。
 こがけんの司会は、まあがんばっていたと思いますが、世代的に言って、どこまで角川映画という切り口に共感を覚えているのか。当事者感はなく、お仕事感でいっぱいでした。返す返すも、前半の「野獣死すべし」やマリーンの「You Are Love」「Left Alone」を聴き損ねたのは痛かったです。しかしこのイベント、音楽祭にしてはトークの部分が長すぎで、出演者の本気度も大いに疑問に思いました。企画自体がぬる過ぎて、まあこんなもんでいいっしょ、というやっつけ仕事感が満載。「角川映画の音楽」に対するリスペクトは残念ながらほとんど感じられなかったです。これで全席同一料金(席の選択もできない)の15,000円ですから、自分としてはコスパの悪いコンサートでがっかりでした。そしてこれは、もし仮に最初からちゃんと聴けていたとしても、評価は変わらなかっただろうと思います。角川映画を語る上で絶対欠かせない大野雄二の楽曲が一切なかったのは残念を通り越して暴挙ですし、ましてやタイミング的に追悼という二度とないきっかけを掴めたはずなので、なかった理由が逆にさっぱりわかりません。さらに言うと、角川映画が産んだ大スターである薬師丸ひろ子と原田知世、さらにはまだ存命であろう角川春樹本人まで引っ張り出してくれたら、真の意味で50周年記念に相応しい「角川映画音楽祭」になったのになあ、という思いがひとしおです。全席一律のこの価格設定で、いったいどこにお金を使ったのやら。どうせならチケットさらに高くなってもいいから、本当の功労者をもっと呼んで欲しかったですねえ。

セットリスト(公式ページより)
『復活の日』より 「You are love」 歌唱:マリーン
『キャバレー』より 「Left Alone」 歌唱:マリーン
『野獣死すべし』より 「野獣死すべしのテーマ」 演奏:藤井空
『Wの悲劇』より 「Woman “Wの悲劇”より」 歌唱:クミコ
『戦国自衛隊』より 「戦国自衛隊のテーマ」 歌唱:松村とおる
『スローなブギにしてくれ』より 「スローなブギにしてくれ」 歌唱:南佳孝
『メイン・テーマ』より 「メイン・テーマ」 歌唱:南佳孝
『ボビーに首ったけ』より 「ボビーにRock'n Roll」 歌唱:野村宏伸
『天と地と』より 「天と地と〜HEAVEN AND EARTH〜」 歌唱・演奏:小室哲哉
『天と地と』より 「炎」 演奏:小室哲哉
『汚れた英雄』より 「汚れた英雄 -Riding High-」 歌唱:マリーン
『ぼくらの七日間戦争』より 「SEVEN DAYS WAR」 演奏:小室哲哉


2026.07.19 The Roundhouse (London)
Atarashii Gakko! (新しい学校のリーダーズ): “LONDON 降臨” AG! 11th Anniversary Show

 クラシックの2025/2026シーズンがほぼ終了し、BBCプロムスが始まるまでの束の間の休息であるここ1ヶ月は、スティーブ・スミス、デフ・レパード、パット・メセニーときて、今日の新しい学校のリーダーズまでのこの流れは、我ながら節操ない雑食だなと思いました。
 本日の会場Roundhouseは、地下鉄Northern LineのChalk FarmからCamden Townへ少し戻ったところに位置し、文字通り機関車の扇形庫だった施設をコンサート、演劇、映画等に使うため改装したものです。このクラスの会場では入口が一箇所のため入場に時間がかかり、行ってみたら案の定長蛇の列で、並んでから入るまで1時間近くかかりました。客層は若者中心で、原宿カワイイ系、ゴスロリ系、スーサイドスクワッド系など個性的なコスプレの人々が多数。中年、老年の人もそこそこおり、腕にびっしりと刺青している兄ちゃん姉ちゃんがセーラー服を着ているのはシュールながらどこか微笑ましいです。
 中は円形のホールの一方にステージがあり、残りはオールスタンディング。着席の座席は上階になりますが、数はそんなに多くなく、結局全体でキャパは約3000人とのこと。上階の席は10列ほどしかなく、どこで見てもステージが結構近いのがこのホールの利点と思いました。元からあったと思われる柱が邪魔と言えば邪魔ですが、見通しは良かったです。
 新しい学校のリーダーズはSUZUKA、KANON、MIZYU、RINの女性4人から成るダンスボーカルユニットで、全員20代後半の若い人々ですが、メンバー交代もなくすでに11年のキャリアがあります。自分のバンドのレパートリー探しで新しめのJ-POPを常々追いかけている中で、「オトナブルー」が流行った2023年ごろからウォッチはしていましたが、ライブを見るのはもちろん初めて。そのルックス、キャラ設定、音楽性から、海外志向があるとはとても思えなかったのですが、実のところ2020年から米国のレーベルと契約して、「Atarashii Gakko!(通称AG!)」の名称で積極的に海外展開しているのが非常に意外でした。しかも主戦場は中国・アジアではなく、欧州、北米、南米の西洋文化圏。日本独特のセーラー服仕様の女子制服に、全て日本語歌詞で五音階スケールを多用した楽曲、ガニ股で腰を折り重心を低くしたコミカルな振付など、どこにも外国に媚びた様子が見当たらないそのスタイルは、実は一周回って正解だったのかと思いました。
 満員御礼のスタンディング客から「AG!」コールが湧き上がる中、日本人にはお馴染みの学校のチャイム音(この音階のオリジナルはビッグ・ベンの時鐘だそうですね)が鳴り、4人がすっと登場。生バンドはなく音源を使うパフォーマンスで、クラブイベントの様相でした。狭いステージも4人だけなら十分な広さがあります。ステージ後方のスクリーンはプリメイドの映像を流すのみで、ライブ中継の投影はありません ただ、ステージが近いのでスタンドから肉眼でも十分見えたし、オペラグラスだと表情までくっきりと見えたので良かったです。
 キャラ設定が全く異なる4人ですが、11年もやってるからダンス・パフォーマンスは完成されていてたいへん上手く、息もぴったり。知らない曲がほとんどでしたが、激しいダンスナンバーありーの、アイドルチックな曲もありーの、韓流ともAKB・坂道系とも違う独自の個性が存分に発揮された、とても面白いライブでした。全部日本語の歌詞なのに、イギリスの若者はノリノリで歌います。一方のAGメンバーのMCは、さすがに原稿丸暗記の英語でしたが、時々飛んでたのが微笑ましい。「Our English is not good enough」と言い訳をして笑いを取ってました。「Tokyo Calling」では、ライブの定番だそうですが、SUZUKAがオールスタンディングの客を突っ切って反対側まで行き、フェンスのヘリに立って歌った後に、クラウドサーフでお客に持ち上げられながらステージに戻ってきました。もちろんずっとガードの人は付いていましたが、危なっかしくて見ていてハラハラしました。ウェーブの途中で方向がずれ、なかなか戻れないSUZUKAは「プリーズ」と叫びながら軌道修正し、無事時間内でステージに戻ってこれたので一安心。
 アンコールではSUZUKAとRINが黒、KANONとMIZYUが白の「ロンドン降臨」限定のライブTシャツに着替えて、リリース間近の新曲と、SAIKO!で盛り上がる「One Heart」で締め。前座もなく全部で1時間20分という単独としては短めのライブでしたが、自分的にはちょうどいい長さで、十分満足しました。

2026/07/19 set list:
Go Wild
Toryanse
Chanka Chanka
Otona Blue
Arigato
TTTTOKYO
Catch That Train (Kanon solo)
Kore de E (Mizyu solo)
Waiting for Good Time (Rin solo)
Dance Dance
Oi AG!
Fantastico
Forever Sisters
UTAGE HIKARU
Pineapple Kryptonite (remix)
Fly High
Tokyo Calling
Encore:
Take Me with You
One Heart


2026.07.18 Barbican Hall (London)
Pat Metheny: Side-Eye III+ Tour 2026
Pat Metheny (guitar)
Chris Fishman (piano, keyboards), Joe Dyson (drums)
Jermaine Paul (vocal, bass), Leonard Patton (vocal, percussion)

 30年ぶりに生で聴くパット・メセニーです。自分のバンドで過去に何曲か取り上げた関係で、パット・メセニー・グループ(PMG)の初期のアルバムをいくつか持っているものの、1996年の来日公演@パシフィコ横浜を観て以降は、その間の動向をつぶさに追いかけていたわけではなかったのですが、バービカンに来るとなれば聴きに行かないという選択肢はありません。チケットが予想外に高かったのでバルコニー席でがまんすることにしたのですが、直前になってストール最前列ど真ん中の席がリターンされているのを発見、これはプライスレスだと思って即ゲットし、バルコニーのチケットはリターンしました。
 世の中は30年前と比べるとずいぶん便利になっていて、ファンサイトながら「The Pat Metheny Database (PMDB)」という極めて充実したデータベースを公開されている奇特な方がいらっしゃいまして、それを参照すると1996年の横浜公演のメンバーとセットリストを確認することができました。PMGの「James」や、ミルトン・ナシメントの「Vera Cruz」をやっていた他はカバー曲が多く、バンドというよりもジャムセッションだった、という自分の記憶を追認できました。2012年のバービカン公演も聴きに行くチャンスはあったのですが、他の予定とクラッシュしたので断念していました。
 この8月で72歳になるメセニー、若手ミュージシャンを採用したユニット、Side-Eye III+で新譜を2月末にリリースしたばかりですが、3月から早速全米とヨーロッパを廻るワールドツアーを鋭意敢行中です。ほぼ毎日、日によっては昼夜2回のライブをずっとこなしていて、ヨーロッパではポーランド、スロヴェニア、ハンガリーの東欧圏を含む11カ国を歴訪するという移動もたいへんそうなツアーで、若いメンバーは良いとして、70歳を超えてもこれだけ精力的にドサ周り的な活動ができるメセニーの情熱と体力にまず脱帽です。
 開演のセレモニーで、メセニー以外のメンバーは客席後方からマーチングドラムで入場。今回のユニットはメセニーに加えてドラムとキーボードがコアメンバーですが、ツアーではサポートとしてベースとパーカッションが加わった5人編成になります。キーボードはオタクっぽい白人メガネ、ドラムはドレッドヘアの黒人ヒゲ男で、72歳のメセニーと比べたら若いとはいえ、どちらも見たところ30代半ばの中堅セッションプレイヤー。サポートベースも同世代に見えましたが、パーカスはだいぶ年齢がいってそうで、このサポートの黒人ふたりはソウルフルな美声を活かしてボーカルも担当します。メセニーはトレードマークのもじゃもじゃヘアが変わらず健在で、年齢的にはもしかしてヅラかな、とも勘ぐりましたが、ジャズギタリストがあえてヅラにする理由も思いつかないので、幸せな地毛であろうと結論しました。
 ドラムセットはワンタム、ツーフロアのシンプルなジャズのセットですが、ツースネアと多彩なシンバルが特徴です。キーボードはグランドピアノ、オルガン、シンセにぐるっと囲まれて、いかにもなオタク風。ベースはほとんどダブルベースで弾いていて、ときどきエレキベース、という感じ。
 セットリストはざっくり言うと、新譜である「Side-Eye III+」の曲と、パット・メセニー・グループ(PMG)時代の曲を交互に演奏する構成でしたが、これが驚くほどスムースに繋がって、違和感がない。今回の新譜はPMG時代への回帰という評判が一部で言われているのもうなづけます。新譜を聴いた限りドラムはもっと尖った人の印象だったのですが、実演のプレイはそんなにアグレッシブではありません。スネアの抜けた音が気持ちよく、手は速いけれども変態的ではなく、シンバルワークを中心に、普通に上手いジャズドラマーの感じ。メセニーのギターおよびギターシンセは全く衰えを感じさせない、枯れるどころか瑞々しいパッション溢れるもので、しかも難曲の「First Circle」を含むPMG時代の曲を期待以上にやってくれたので、非常に盛り上がったライブになりました。「Phase Dance」はピアノとギターのデュオでしたが、構成はほぼ原曲通りだったので、だったらなぜドラム、ベースも入れたフル編成でやってくれないのだろうかと、不思議に思いました。
 アンコールは二回に分けて、どちらもアコギソロに続きPMGの曲という構成。休憩なしで2時間半のライブを難なくこなすメセニーは、まだまだ現役感満載でした。隣席で終始ノリノリ、キャーキャーと黄色い歓声を投げていたおばさんから、終了間際に「本当は息子と一緒に聴きに来る予定だったけど、息子は調子が悪かったのでその席のチケットを手放したのよ、あなたはラッキーね」と声をかけられ、おっしゃる通り、期せずして絶好の良席で生メセニーを堪能することができ、たいへん満足です、ありがとう。

Set list:
Opening drum intro
In On It
Bright Size Life
Don’t Look Down
Better Days Ahead (Pat Metheny Group song)
Timeline (Michael Brecker cover)
Make a New World
The First Circle (Pat Metheny Group song)
Urban and Western
The Red One (John Scofield & Pat Metheny song)
Más allá (Beyond) (Pat Metheny Group song)
Phase Dance (Pat Metheny Group song) (guitar and piano duet)
Round Trip / Broadway Blues
Zenith Blue
Encore:
America The Beautiful / The People United Will Never Be Defeated / Last Train Home (solo acoustic guitar)
Are You Going With Me? (Pat Metheny Group song)
Minuano (Six Eight) / As It Is / James / September Fifteenth / This Is Not America / Antonia (solo acoustic guitar)
Song for Bilbao (Pat Metheny Group song)


2026.07.02 The O2 Arena (London)
DEF LEPPARD: Live 2026 with special guest EXTREME
Extreme:
Gary Cherone (vocal), Nuno Bettencourt (guitar)
Pat Badger (bass), Kevin Figueiredo (drums)
Def Leppard:
Joe Elliott (vocal), Phil Collen (guitar), Vivian Campbell (guitar)
Rick Savage (bass), Rick Allen (drums)

 初のO2アリーナ。2007年完成なので比較的新しいライブ会場です。かつての駐在時は、まだできて間もないこのO2アリーナでマイケル・ジャクソンが「THIS IS IT!」の連続公演をまさに行おうとしていたところだったのを思い出しました。こういった大きなアリーナ系や屋外会場は音とビジュアルのどちらも楽しめないという先入観があり敬遠していたのですが、他ならぬデフ・レパードということで、残りわずかになっていたチケットを思わずポチッと。デフ・レパードのライブは1993年の来日公演「Adrenalize Tour」を日本武道館で観て以来、実に33年ぶりです。さらに後になって、オープニング・アクトがエクストリームという予想外のビッグネームであることに驚きました。
 3月の高中のライブが、開場時間を過ぎたころに着いてみたら長蛇の列が会場を一周半回るような状態で入場までかなり時間がかかってしまったので、その反省で早めに出発したら、18時半開場の1時間くらい前に着いてしまいました。それでもすでに数十人並んでいましたが、長蛇には程遠かったし、O2アリーナは入り口が多数あるので、これなら開場時間ギリギリでも全然余裕だったかと。中に入ると、ちょうどドーム球場のようにゆったりと広々した空間があり、アーティストのグッズ売り場も人が少なく余裕でツアーTシャツを買えました。
 アリーナの中は、東京ドームほどにはバカデカくないけど日本武道館よりははるかに大きい感じです。実際にキャパを調べてみると、東京ドーム5万5千人、武道館1万4千人に対してO2アリーナは2万3千人、まあそんなところです。同じロンドンで比較すると、ウェンブリー・スタジアムの9万人は屋外会場なので除外するとして、ウェンブリー・アリーナの1万2千人からは倍近くになり、実際に屋内のライブ会場としてはヨーロッパ最大級だそうです。今回、一番安い席はどのみちステージから遠いので、できるだけ正面側の席を選びましたが、それにしても遠い。オペラグラスでLEDスクリーンを見るとちょうど良い、くらいの距離でした。
 エクストリームは19時30分過ぎに始まりました。彼らのライブを見るのは初めてでしたし、聴き込んだバンドではないのであまり曲がわからなかったのですが、ゲイリー・シェローンとヌーノ・ベッテンコートはどちらも遠目に見た限りでは老けた感じは全くなく、若いころと変わらずスリムな体型で、動きもシャキシャキとした躍動感があり、現役バリバリ感がハンパなかったです。ゲイリーは今年65歳、ヌーノも60歳の還暦になりますが、歌もギターも衰えを感じさせず、いやー、さすがエクストリーム、カッコ良かったです。また彼らならではの遊びとして、曲のイントロで「We Will Rock You」ライブバージョンをちょろっとやってみたり、アコースティックタイムで「天国への階段」をちょろっと弾いてみたり、最後はオジー・オズボーン・メドレーで締めるというサービスぶり。フレディー・マーキュリー追悼コンサートでクィーン・メドレーを時間いっぱいやったその気骨は、今なお健在でした。

Extreme Set List:
Decadence Dance
REBEL
Rest in Peace
Play With Me (With Queen's 'We Will Rock You' intro)
Hole Hearted
Midnight Express
More Than Words
Get the Funk Out
RISE
Flight of the Wounded Bumblebee
I Don't Know / Bark at the Moon / Crazy Train (Ozzy Osbourne cover)

少し休憩を挟んで、メインのデフ・レパードは21時きっかりに開始。1993年のライブと全く同じメンバーが今なおステージに立っているのは、よく考えると凄いことです。最年少のリック・アレンが62歳、最年長のフィル・コリンが68歳、とりあえず皆身体は元気そうです。元々短髪だったフィルはもうしっかりとハゲになり、1993年当時は加入したばかりだったヴィヴィアン・キャンベルも、チャラいカーリーロングヘアはもうありません。隻腕のドラマー、リック・アレンは若いころと比べるとずいぶん顔つきがイカツくなりましたが、ミドルテンポの曲を中心に、一発一発ビートを深く叩き込んでいく安定感は健在というかますます進化していました。ドラムセットを取り囲む円形のレールにはドラマー専用のカメラが設置されていて、遠隔操作でレールに沿って行ったり来たりで撮影された動画は時折そのままバックの大スクリーンに投影されます。不屈の精神力はもちろんのこと、技術の進歩にも支えられた、唯一無二のドラマーです。もし自分が右腕だけでドラムを続けたらと想像すると、片腕だけにかかるアンバランスな負荷は尋常じゃないハードワークになり、とても40年は身体が持たず、早々に頼みの綱の右腕も壊してしまってジ・エンド、という未来しか思い浮かびません…。
 セットリストはやはり驚異的に売れたアルバム「Hysteria」からの選曲が多く、シングルカットされた7曲のうち6曲がセレクトされてました。他のアルバムからは多くても2曲で、個人的には「Foolin'」もやって欲しかったですが、概ね満足のセットリストでした。特にラスト、「Armageddon It」以降の畳み掛けるヒット曲波状攻撃は、古い曲ばかりとはいえ、バンドがここまで築き上げた実績があってこそできることで、大いに盛り上がりました。ただちょっと残念だったのは、ジョー・エリオットのボーカルが調子悪く、高音域がかなり苦くなっていた状況で、「Rock of Ages」から「Photograph」にかけての最高潮の場面ではもうサビが裏声しか出なくなってしまっていたことです。コーラスがしっかりしていたので曲としてはなんとか聴けましたが。ジョーも今年67歳、まあ高音域が出なくなるのは自然の摂理で仕方がないことですが、ほぼ同世代のゲイリー・シェローンがまだまだ現役感を出していたのと対照的に、ジョーについてはだいぶ「老い」を感じてしまいました。
 11時手前まで、ほぼ2時間のショーが終わると怒涛の人数が会場を出て一斉にノース・グリニッジ駅に向かうので、大混乱と大混雑を避けるためにアンコールラストの「Pour Some Sugar On Me」が終わるや否や会場を飛び出し、一目散に駅にダッシュしました。O2アリーナはロンドン西側から行くにはちょっとアクセスが悪いうえに、ライブの終了時刻も遅いのがネックですね…。

Def Leppard Set List:
Rejoice
Animal
Let's Get Rocked
Personal Jesus (Depeche Mode cover)
Bringin' On the Heartbreak
Switch 625
Just Like '73
Rocket
Rock On (David Essex cover)
White Lightning
Slang (with Nuno Bettencourt)
Promises
Armageddon It
Love Bites
Rock of Ages
Photograph
Encore:
When Love and Hate Collide
Hysteria
Pour Some Sugar on Me


2026.06.27 Ronnie Scott’s Jazz Club, Main Stage (London)
Steve Smith & Vital Information
Steve Smith (drums, konnakol)
Manuel Valera (piano, Fender Rhodes, Hammond B3 organ, synths)
Janek Gwizdala (electric bass)

 1ヶ月ぶりのロニー・スコッツは、スティーヴ・スミスがジャーニー在籍時の1983年に結成したジャズ・フュージョンバンド、ヴァイタル・インフォメーション。ジャズドラマーとしてステップス・アヘッドやプレイヤーズでの活躍も評価されつつ、基本的にはやっぱり「元ジャーニー」という肩書きで語られる人で、ヴァイタル・インフォメーションがスティーヴ以外のメンバーはガラリと入れ替わりつつも40年以上に渡って商業的に活動できているのは、ひとえにその看板があってのことなんじゃないかと思います。
 ロニー・スコッツ初心者につき色々試しているところ、今日はあえてRestricted Viewの席にしてみました。前回のStandard席は肝心のドラムが柱の影で見えず欲求不満が残ったので、ちょっと不安を感じていましたが、今日はステージにグランドピアノが入ったおかげでドラムの位置が変わり、柱に遮られることなく見通せるようになったのがラッキーでした。Sonorのドラムにジルジャンのシンバルを合わせたセットは、シンバルの位置も低く、至ってコンパクトでオーソドックス。特徴といえばブラシ用にスネアが二つあったことくらいでしょうか。
 スティーヴ・スミスの生ドラムを聴くのは初めてですが、ドラムスタイルはジャーニーの面影など全くない、完全なジャズドラマーでした。ジャーニー時代のプレイはレコードで刷り込まれるほど聴いていますが、シンプルにビートを刻みつつも、安定したグルーヴ感が心地よい、非常に基本がしっかりしている(とアマチュアが評価するのも失礼ですが)ラウド系ロックドラマーという印象でしたが、リアルなスティーヴは、音が特別ラウドなわけでもなく、頻繁にグリップをマッチドからレギュラーに持ち替えて、ブラシも多用し、プレイ自体は既存のジャズプレイからはみ出ない極めてスタンダードなスタイル。この人しかできない、というような特殊技術のスーパープレイはない代わりに、手数自体は多いので全体的に「脈絡なく音が多くてうるさいドラム」という印象を持ちました。ライドシンバルを2枚同時に両手で叩くなどはちょっとやり過ぎでは・・・。
 曲はヴァイタル・インフォメーションのアルバム(いっぱいあるんですね、知りませんでした)からの選曲のほか、ステップス・アヘッド「Sumo」、サウンドガーデン「Black Hole Sun」のカバーに加えて、ジャーニーの「Don't Stop Believin'」「Who's Crying Now」もカバーしてました。ただしジャーニーはほとんど原型を留めないジャズアレンジで、言われなかったらわからないかも、というレベルのカバーでしたが。ドラムスタイルは全く変わっても、やはりジャーニーの看板は捨てられません。
 ヴァイタル・インフォメーションのバンド歴は40年以上あるものの、現在のメンバーは2020年から。初期にはマイク・スターン、フランク・ギャンバレといったスーパーギタリストが参加していましたが、今はピアノトリオの編成です。ピアノとキーボードのマヌエル・バレラはキューバ出身、シンセの音作りがちょっと濁っている気がしました。ベースのヤネク・グウィズダラは、名前はポーランド系ですがイギリス出身の人気ベーシストとのこと。いずれにしてもこのバンドはスティーヴ・スミスが中心であってほかのメンバーはあくまで彼のサポートに徹することを要求され、スリーピースとしてのバランスは悪く、スリリングさに欠ける気がしました。先日のデイヴ・ウェックルは実質のリーダーがベースのトム・ケネディでしたので、ドラムをフィーチャーしつつも緊張感あるバランスを保っていたと思いました。もちろんスティーヴ・スミスの卓越したテクニックとコナッコル(口ドラム)は一聴の価値があると思いましたが、またぜひ聴きたいかと言うと…。すいません。
 とこれを書いている今、ちょうどテレビで「Separate Ways」のビデオクリップが流れていて、見入っていますが、スティーヴは当時からレギュラーグリップ中心で、バンドでも一番長髪だったんですねえ…。今はその片鱗なくツルツルのボールドヘッドですがww。


2026.05.27 Ronnie Scott’s Jazz Club, Main Stage (London)
The Dave Weckl/Tom Kennedy Project
Dave Weckl (drums)
Tom Kennedy (electric bass)
Ryan Davlin (tenor sax)
Stu Mindeman (keyboards)

 昨日に続き、二夜連続でロニー・スコッツ。今日は欧州ツアー中のデイヴ・ウェックル&トム・ケネディのプロジェクトです。昨今のジャズ・シーンなど全く知識がない私にとって、心を引き寄せられたのがまずはドラマーのプロジェクトでしたので、たまたまサイモン・フィリップスとデイヴ・ウェックルというレジェンドが続いてしまったおかけで連チャンになってしまいました。サイモンが「ストレートな凄腕ラウド系」だとすれば、デイヴ・ウェックルはまさに「異星から来た、人間を超えたハイテク手数系」ドラマー。ちょっとでも隙間があれば高精細な変態的フレーズのオカズで埋めていき、なおかつ音楽としてセンス良く成立させるバランス感覚を備えた、サイモンとは全くタイプの違うジャズ・ドラマーです。過去に一度だけそのプレイを見たのは2004年、真夏の盛りのブダペストで、チック・コリア・エレクトリック・バンドのオールスタンディングライブでした。
 今回はPriorityではなくStandardの席を試してみました(というかPriorityは売切れ…)。昨日の経験から10分早めに到着したものの、入場の列はさほど変わらず、やはり着席できたのは17時45分頃。案内された席がやや後方なのはまあ仕方がないのですが、ちょうど柱がドラムセットに被る位置でドラマーの姿が見えにくく、がっかりしました。会場内には他にも柱はあるものの、ステージを遮るような柱はこの1本だけで、自分で選べるなら(特にドラムが目当ての自分にとっては)絶対に選ばないエリアの席です。実際、ドラムはほぼ全身がスポッと柱の影に入ってしまい、演奏中に辛うじて見えたのがドラマーの左手首から先だけというたいへん残念な状況。今後ここに来る際は何としてもこの邪魔な柱を回避したく、そうすると基本はPriority席を買うのかなと思いました。あとは入場する際の配席担当者にダメ元で希望を言ってみるとか。
 ベースのトム・ケネディは、初めて見ますが、長身の眼鏡姿が頼もしさを感じさせるナイスミドル。ウェックルとは90年代から組んで、ずっと一緒にプレイしている相性抜群の盟友です。スラップはやらないものの、こちらもかなりの手数系と言えそうです。今日のセットリストは、5月に出たばかりのケネディ自身の新作リードアルバム「The Summit」と、彼の過去作からの選曲が中心。名義こそウェックルを前面に出したプロジェクトながら、実質的なバンドリーダーはケネディだと見ました。演奏した曲はどれ一つ音源を持っておらず、知らない曲だったのですが、曲を知らないのがむしろデフォルトで、それでも十分楽しめるのがジャズライブの良いところだと改めて感じました。
 そもそも今回の目的は「デイヴ・ウェックルの生プレイを見ること」。その意味では「見る」ことは満足できなかったものの、生演奏の音は堪能できました。ドラムセットはヤマハ製で、ラックで固定された比較的オーソドックスなジャズドラムの構成。打ち込みはなかったと思うのですが、ミキサーがあり、本人もイヤモニをしていたので、モニタの返し、兼、耳の保護もあったのではないかと。それにしてもやはりウェックルは凄かったの一言です。圧倒的なドラムプレイと千手観音のドラムソロは66歳になった今も健在。基本パターンの際は昔よりも多少大人しくなった気もしましたが、無理筋なオカズをしれっと突然詰め込んで、リズムは一切ブレることなく通り過ぎるその安定感よ。単に音数が多いだけでなく、片手だけで高速タム回しをやってみたり、誰もやらないようなフレーズのアイデアがいちいちカッコ良い。センスがぶっ飛んでるので、長年のパートナー、ケネディですら時々合わせ損ねる場面もありました。そして、異次元のドラムソロはもう言葉もありません。恐ろしいのは、これだけメチャクチャ叩きまくって、まだまだ余力を残しているような余裕が感じられること。しかし、無駄な動きが少なく身体的な動作は非常にコンパクトなので、柱の影からはやっぱり左手の手首から先しか見えないという恨み節…。とにかく今日は席が最悪だったので、ウェックルにはどんな企画でもいいからまた近いうちに来てくれないかな、と思うものであります。


2026.05.26 Ronnie Scott’s Jazz Club, Main Stage (London)
Simon Phillips & Protocol 6
Simon Phillips (drums)
Phillip Whack (saxes)
Alex Sill (guitars)
Otmaro Ruiz (piano/keyboards)
Ernest Tibbs (electric bass)

 初のロニー・スコッツ。有名なジャズクラブですが、前回の駐在時にも一度行きたいと思いつつ結局機会がありませんでした。場所はロンドンの中心地、Soho。讃岐うどん「Koya」と同じ並びだったのを、現地に来てみて「ああ、ここだったか」と思い出しました。
 5月なのに34℃超の記録更新猛暑の中、勝手がわからないのでとりあえず開場時間の15分前に到着してみたら、店の前にはすでに30人くらいの行列。ここから着席までさらに30分くらいかかりました。配席は当日決まるシステムみたいですが、先着順でより良い席、ということでもなく、グループの人数も考慮しつつ、その日のフロアチーフの独断で決められていくようです。今回は最初ということもありPriority席にしたのが功を奏し、案内されたのはドラム真正面の席。しかもステージかぶりつきではなく、ひとテーブル分置いて距離があったので、むしろ近すぎずにドラムを堪能できる席で良かったです。あまり近すぎるとドラムの生音が耳を直撃して他の楽器が聴こえなくなってしまうのですが、演奏全体を自分にとってちょうど良いバランス(ドラム近め)で楽しめる位置でした。
 場内はまさに古い高級ジャズクラブの雰囲気。キャパはブルーノート東京とコットンクラブの中間くらいでしょうか。見渡すと、ロンドンのジャズクラブ界隈の客層は比較的年齢が高めで、ほぼ白人。男性客が多かったのはドラマー中心のバンドだからですかね。
 サイモン・フィリップスを生で観るのは今回が初めてです。自分の同時代体験で言うとやはりマイケル・シェンカー・グループのファーストアルバムが最初の衝撃で、しかしこの人は基本メタルではなく、ジェフ・ベック、ミック・ジャガー、TOTOなどでのプレイの傍ら、ロック寄りではあるがフュージョン、ジャズなんでもござれのセッションドラマーとして長年第一線を走ってきた今やレジェンドで、そのドラミングを何度もコピーしたことがありますし、ドラムのスタイルで学ぶ点が非常に多いです。
 普段からタムもバスドラも多めのサイモンのドラムセットはTAMA製で、思ったよりもコンパクトに配置されていました。ストレートではあるがシンプルではなく、多彩な音色を駆使するサイモン仕様は、得意なツインバスの上に、メロタムが10個(一番大きいのはフロアタムより大きい…)、シンバルも多数ある中で、ライドシンバルが左側に置かれていたのに違和感。それで、演奏が始まってようやく気づいたのですが、サイモンは左右の手がスネアの上でクロスしないオープンハンドスタイルのドラマーだったんですね。自分はあまり教則ビデオを見ないし、サイモンがクロスかオープンかなんて考えたこともなかったので、生で見る初サイモンのナチュラルかつ機能美を感じさせるオープンハンドのフォームが非常に新鮮でした。
 今回は、サイモンが1989年から続けている自身のソロ・プロジェクト「Protocol」の第6弾ですが、「Protocol 6」のアルバムは6月発売予定でまだ世に出ていないので、このツアーで披露されるのが初出になります。エイトビートのノリの楽曲が中心ですが、曲ごとに16ビートやラテンなど多彩な味付けが加わり、アクセントになっています。意外に小柄なサイモンの身体から叩き出されるビートは、ツーバスを多用し、メタラーを思わせる完全にラウド系のドラム。ただパワフルなだけではなくて、リズムの体幹が揺るぎなく安定しており、アタックの効いた鋭い音に、ぶれないバランスと、生き生きとしたグルーヴ。打ち込みも少し使っていましたが、イヤモニを着けている様子はなく、自分のリズム感に絶対の自信がないとできない芸当です。フィルインやドラムソロではラウド系にあるまじき小技を詰め込み、圧巻のドラミングに圧倒されました。変態的なことは何もしておらず、パターン、フレーズは至って基本に忠実。ただその一つ一つが恐ろしく完璧で確実です。69歳という年齢を考えるともっと枯れていても不思議ではありませんが、若いころと変わらぬ路線で突き通すパワープレイは驚異的な生命力を感じさせました。
 「Protocol 6」の他のメンバーは、黒人白人二人ずつ、出身も英国、米国、ベネズエラ、女性はいないものの年齢はバラバラで、多様性があります。ベースのアーネスト・ティブスは「Protocol II」からずっと参加していますが、サックスを除く他メンバーは「Protocol V」からの参加です。しかしメンバーが誰であれ、このプロジェクトがサイモン中心であることは明確で(実際、最初のProtocolはサイモンが全楽器を担当)、皆サイモンという大きな船に乗っかっており、決してはみ出さないし、戦わない。サイモンのハイテクパワードラムを存分に堪能できただけでもう十分お腹いっぱいの夜でした。


2026.03.31 O2 Academy Brixton (London)
City Pop Waves: SUPER TAKANAKA WORLD LIVE 2026
高中正義 (guitar)
斉藤ノヴ (percussion), 岡沢章 (bass), 宮崎まさひろ (drums)
井上薫 (keyboard), 髙本りな (keyboard), 大滝裕子, 斉藤久美 (chorus)

 高中は自分の世代的には「虹伝説」リリース時にずいぶん熱心に聴き込んだことと、その後バンドでいくつか著名曲を演奏したこともあり、もちろん生で見たかったアーティストの一人だったのですが、基本的に武道館とか野外フェスなどの巨大な箱でしかやらない人という先入観があり、足が遠のいていました。このライブに気づいたとき、せっかくロンドンに来るというのでこれは是非見たいと思ったのですが、チケットはすでにソールドアウト。オフィシャル販売サイトであるTicketmasterにリターンが出てないかを日々ウォッチしつつ、リセールサイトのTwicketでもアラート登録をして待ち構えていたのですが、ライブの一ヶ月前になろうとする時期になっても一向に出てこないので、痺れを切らせて別のリセールサイトviagogoを探すといくつか出ているのを発見。ここは手数料が高く、トータルでけっこうな値段になってしまうのですが、毎日ヤキモキするのも疲れるのでここらで諦めて手を打ち、もうストールで立ち見する年齢でもないので、Limited Viewですがサークル席のチケットを無事ゲットしました。
 いろいろネットを調べていると、このライブは最初、同じO2でもShepherd's Bush Empireのほうで開催の予定だったのが、チケットの売れ行きが想像以上だったため、急きょ場所がO2 Academyに変更になり、さらに追加公演も発表されたという経緯のようです。例えば2025年に藤井風が行ったロンドン公演はO2 Shepherd’s Bush Empire(収容約2千人)で二日間ソールドアウトだったのに対し、今回の高中はO2 Academy(収容約5千人)で同じく二日間ソールドアウト、動員力はざっと藤井風の2.5倍あったということになります。キャリアもジャンルもファン層も違うので比較はあまり意味がないかもしれませんが(私は両方大好きなのですが)、これが日本だったら藤井風のライブチケットは高中の100倍は入手困難でしょうから、ロンドンで高中の人気がこれほどまでに高いというのがまず素直に驚きでした。
 18時開場、20時開演ですが、着席だからあまり早く行っても時間を持て余すと思い、それでもちょっと早めに結局18時半ごろ会場に着いてみれば、入場を待つ人々が2ブロック先まで続く長蛇の列を成しており、あらためてビックリ。大人しく並んで、やっと入口まで辿り着いたかと思ったら、行列は何とさらに建物を一周巻いて続いており、さらにぐるっと回らされてやっと入場できました。雨に降られなくて本当に良かったです。客層を見ると、人種はいろいろですが、概ねイギリス人の若者ばかり。日本人らしき人は一人も見かけませんでした。列に並んでいる際も、すぐ後ろにいた白人の若者集団(多分20代前半)はまだ肌寒い気候の中Tシャツ一枚でワインを瓶からラッパ飲みしつつ大騒ぎしており、時折り「Brasilian Skies」や「Seven Goblins」を鼻歌で歌ったりしてたので、行列を間違えていないなという確認にはなったのですが、日本の高中のライブでは多分まず見ることがないであろう客層です。そのうちの一人は「自分は高中ファンだけどカシオペアのほうが好きなんだ」などと声をかけてきて、何でそんな古いジャパニーズフュージョンがイギリスで人気なのか聞きたかったのですが、彼らは楽器をやるわけではなく、ただ日本のフュージョンシーンはとても特別で、イギリスでも好んで聴く人は多い、というところで、入場の列がストールとサークルで分かれてしまい話途中までしか聞けず。
 O2 Academy Brixtonは初めて来たのですが、元々Brixton Academyと呼ばれていた老舗のライブシアターで(例えばBrian May Bandのライブアルバム)、建物も内装もトイレも、かなり伝統と歴史を感じさせる古臭さです。サークルから下を見下ろすと、立ち見のストールは盛り上がる気満々の人々ですでに寿司詰め状態。
 特に前座アーティストもなく、8時ジャストにライブがスタート。バンドメンバーに続いて、「TAKA!」コールに後押しされ、定番の真っ赤なスーツで登場した高中は、年齢を感じさせず元気いっぱいの様子。1曲目はオリジナルアレンジの「Blue Lagoon」、早速場内大盛り上がり。こっちの若者のライブの楽しみ方は、とにかく歌う歌う。高中の曲は基本的にインストなので、ウォーウォーワーワーとスキャットでメロディラインを歌いつつ、歌詞のある曲ではもちろん、「Tokyo Reggie」のような日本語の歌詞でも皆さん歌いまくるのは感心しました。高中の曲はインプロヴィゼーション重視のモロジャズとは違い、メロディアスなギターテーマと決めソロ中心のシティポップ・フュージョンですから、完全に歌モノとして捉えられているようです。また、ストールはオールスタンディングですが、サークルでもみんな立って歌うのかなと思っていたら、昨今の聴衆はみんなスマホで動画撮影するので、周囲に遠慮してむしろ基本は大人しく座ったままだったのが意外でした(一方で演奏中でも頻繁にビールを買いに行ったりトイレに立ったりする人は後を絶ちませんでしたが)。
 セットリストは文末の通りで、おそらく日本でやるライブでもほぼ同じようなラインナップでしょう。「Blue Lagoon」からサンタナの「哀愁のヨーロッパ」カバーまでは70年代の曲が続き、その後は80年代の人気曲を中心に、最後はサディティック・ミカ・バンドの「黒船」まで一気に年代を遡ってしっとりと終わりますが、もちろんアンコールではお約束のサーフボードギターを披露し、シメは超定番「虹伝説」からのシングルカット曲「You Can Never Come To This Place」。潔いほどのオール懐メロプログラムでした。私の大好きな小林泉美の「Palm Street」を筆頭に、聴きたかった曲はだいたい全部やってくれたので、大満足です。
 バンドの中心メンバーは長年大きな変化はなく、斉藤ノブと岡沢章が75歳、宮崎まさひろが71歳、高中がその中間の73歳、セクシーなコーラスお姉様方のアマゾンズ(今回は吉川さんを欠く二人構成でしたが)もすでに還暦越え。皆さん年齢を全く感じさせない溌剌としつつも、年輪を重ねた安定感抜群のパフォーマンスで、こちらもその恩恵で力をもらった気分になれます。一方でこのバンドのキーボードはだいたいいつも比較的若い人が常に2名サポートする編成になっていますが、近年の常連メンバー井上薫に加えて、もう一人は今年のツアーから高本りなが新たに加入。見目麗しい外見からは想定外のパワフルでリズムキレキレのピアノが非常に良かったです。まあ、ホールの音響はどう見てもジャズ向きではないので、本来ならいろいろ細かい技を持っている宮崎まさひろや斉藤ノブのプレイがもっと解像度良く近くで聴けたら、とは無い物ねだりでしょうか。
 今日の客層から言うと、自分らはおろか両親すらまだ生まれていないかもしれない年代の曲を、祖父母世代の極東ミュージシャンがはるばる海を越えてきて演奏するのを若い音楽ファンがこれだけ熱狂して楽しめるのというのは、シンプルに凄いことだと感服しました。日本のオールドミュージシャンとイギリスの若い音楽ファンに脱帽するしかありません。

セットリスト:
01. BLUE LAGOON (1979)
02. RADIO RIO (1979)
03. BLUE CURACAO (1978)
04. BRASILIAN SKIES (1978)
05. OH! TENGO SUERTE (1976)
06. Tokyo Reggie (1976)
07. Europa (Earth's Cry, Heaven's Smile) (Santana cover) (1976)
08. JUNGLE JANE (1986)
09. SHAKE IT (1986)
10. Nagisa Moderato (1985)
11. SAUDADE (1982)
12. PALM STREET (1980)
13. Taj Mahal (Jorge Ben Jor cover) (1972)
14. THUNDER STORM (1981)
15. READY TO FLY (1977)
16. Kurofune (Kaei 6-nen 6-gatsu 4-ka) (Sadistic Mika Band song) (1974)
アンコール:
17. JUMPING TAKE OFF (with surfboard guitar) (1983)
18. YOU CAN NEVER COME TO THIS PLACE (with rainbow guitar) (1981)


2024.09.27 コットンクラブ (東京)
TOKO FURUUCHI "Reunion" [2nd show]
古内東子 (vo)
佐野康夫 (ds)
石成正人 (g)
小松秀行 (b)
中西康晴 (p)
草間信一 (key)

 コットンクラブに来るのは2021年12月の南野陽子以来、3年ぶり。前回ここで古内東子を聴いたのは2013年11月ですから、もう11年も前の話になりました。月日の経つのは早いものです…。
 その11年前の備忘録で、「古内東子と言えば血の通ったソウルフルなバンドサウンドも聴きたいもの。」と書いていた私にとって、今回の「Reunion」はまさに長年待ち望んでいた特別なライブです。古内東子さんはほぼ毎年のようにコットンクラブでライブをされていますが、デュオかトリオの弾き語りばかりだったので、もうフルバンドはやらないのかと残念に思っていましたが、デビュー31周年という半端な年に、突然の垂涎の企画。この小さい箱(失礼)で、しかも一夜限りはいかにももったいないけれど、ともかく激しいチケット争奪戦になるのは必至なので、気合いを入れて何とかチケット勝ち取りました。
 今回は端的に言うと1997年発表の6枚目アルバム「恋」のレコーディングメンバーが27年ぶりに再集結するという企画で、セットリストを見ても、「恋」からの選曲が7曲、5枚目「Hourglass」から5曲、7枚目「魔法の手」から2曲の合計14曲という、セールス的にも一番成功していたその時期のリスナー世代をピンポイントで狙っていました。特に、小松秀行という(当時は)若くて才に溢れたベーシストが、オリジナル・ラヴを経て、サウンドプロデューサーとして全面的に支援したこれら古内東子のアルバムでその創作能力を一気に開花させていくプロセスは、同じくオリジナル・ラヴからやってきた佐野康夫をはじめとするバックミュージシャンたちの勢いあるプレイも相まって、その時代のその人たちだからこそ成し得た奇跡のように思います。MCで東子さん本人も、小松さんがいなかったら今の私はありません、と感謝を述べていました。
 やはり小松・佐野のリズム隊が揃うからか、前の弾き語りライブのときより客層の男性率が高いように見えました。業界人っぽい集団、YouTubeで見たことある人などもちらほらと。まあしかし、今日の目当ては何と言っても念願の佐野康夫の生ドラム。正面でよく見える席だったのでラッキーでした。ドラムセットはワンタム、ワンフロアのシンプルな構成で、シンバルもクラッシュ2、ライド1のミニマムでしたが、ライドを多彩に活用したジャズっぽいプレイスタイルでした。また、元々ソウル系リズムの曲が多いから当然そうなるのですが、片手16ハイハットが延々と続く、ドラマーにとっては修行のような曲が続きます。90年代は金髪でキレキレ、やんちゃっぽい雰囲気だった佐野さんも、今や燻銀の渋さ。「星空」などバラード系ではスティックとブラシを両手で持ち、途中で左右入れ替えたり、レギュラーとマッチドの両グリップを使い分けたり、細かいところでテクニシャンぶりを発揮してました。落ち着いたドラミングが要求される曲が多かったところ、アンコールの超高速「宝物」と、やはり締めはこれしかない「いつかきっと」では手数全開グルーヴ満点のノリノリドラムで本領を見せつけました。
 コットンクラブのサイズだとドラムの生音が大きめで、相対的に歌がちょっと聴こえにくかったのですが、どのみちほぼずっとドラムを凝視していたので気になりませんでした。MCで東子さんも言ってましたが、もちろん全然違うようにも演奏できる優れたミュージシャンたちですが、今回はあえて、これらアルバムを愛してくれた人々と想いを共有するために、当時のアレンジをほぼ再現する形で、満足度マックス、夢のようなステージを提供してくれました。古内東子とReunionバンドの人々には本当に感謝です。

セットリスト:
01. 悲しいうわさ/恋
02. 大丈夫/恋
03. ルール/Hourglass
04. 余計につらくなるよ/恋
05. そして二人は恋をした/恋
06. ブレーキ/恋
07. 星空/Hourglass
08. 月明かり/恋
09. 淡い花色/魔法の手
10. 誰より好きなのに/Hourglass
11. 心にしまいましょう/魔法の手
12. あの日のふたり/Hourglass
13. 宝物/恋(アンコール)
14. いつかきっと/Hourglass(アンコール)


2021.12.11 コットンクラブ (東京)
To Love Again 〜SNOWFLAKES〜 YOKO MINAMINO
南野陽子 (vo)
エルトン永田 (p), 加藤JOE (vln), 角田順 (g)
長岡道夫 (b), 島村英二 (ds), 田代修二 (key)
増渕東 (manipulator), 萩田光雄 (sound producer)

 コットンクラブに来るのは4年半ぶりです。南野陽子さんはバリバリの現役アイドル時代に特に追っかけていたわけではないものの、10年ほど前にきっかけは忘れましたがYouTubeで新旧の動画を探しては観るのが突如マイブームになってしまい、40代(当時)になっても驚異的な美貌とアイドル時代から変わらぬ愛嬌にすっかり魅せられてしまいました。しかしながら、ライブのコンサートはほとんどやってないようなので、実物を見れる機会が来ようとは夢にも思いませんでした。というわけで、10月に広告を見て、こいつだけは逃すまいと、発売日は出先にも関わらず気合を入れて何とかチケットをゲット。まあ取れたから良かったものの、コットンクラブはただでさえ座席数が少ないうえに、コロナ対策で間隔を開けた配席になっているので、12時からの販売開始で5分後には4公演全席完売という予想通りの超激戦でした。同じコットンクラブで5年前の原田知世のコンサートが、同じく瞬殺でチケット取れずだいぶ落胆したのですが、今回はリベンジです。
 以前と違い、コロナ対策でフロアテーブル席も全席指定になっているので開場前に早くから並ぶ必要はなくなりました。チケットを取る際は通信環境のせいで売り切れギリギリの攻防だったので、最終的な配席が心配だったのですが、非常に至近距離の席だったのでラッキーです。待ちに待った生ナンノは、エレガントなロングドレスに身を包み、54歳になってもアイドルの瞳がキラキラ光ってます!さすがに40代のころからはイメチェンして、「半沢直樹」シーズン2のIT会社副社長(悪役)のごとく歳相応の貫禄がついたのが(スタイルは変わらず完璧なプロポーションでしたが)、目の前のリアルでした。初日なので見るからに緊張している様子で、声が上ずるなどちょっと失敗した後に見せる苦笑いがむしろ愛嬌だったりするわけですが、1曲目から早速歌詞を飛ばす事故で「ごめんなさ〜い」。MCで本人も「この後も多分何度もやらかします」と予告していた通り、自分の持ち歌でも何回も歌詞を飛ばし、それでも温かく見守ってもらえる天性の愛嬌は、まさに昭和アイドルのオーラでした。
 前半の曲は「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」「幸せの黄色いリボン」「真珠の首飾り」といった幼少期に慣れ親しんだというスタンダードナンバー中心。本人が歌いたいものを歌う趣旨で全くかまわないのですが、正直なところ歌唱力はアイドル時代からあまり変わってないので、この路線で最後まで行くのはちとつらいかなと思っていたら、後半には16年ぶりのオリジナル新曲「大切な人」と、「秋のIndication」「メリー・クリスマス」「楽園のDoor」(ボサノバ風アレンジがとっても良かった)といったバリバリアイドル時代のナンバーを披露し、観衆は皆ほっとした様子でした。アンコールでは超速で自身のプリントTシャツとジーンズに着替え、もう1曲の新曲「空を見上げて」に続いて最後は「はいからさんが通る」で大いに盛り上がりました。個人的には「話しかけたかった」で髪をはねたり、「吐息でネット」でくるりと回るのも見たかったところですが、多分コロナ対策で、合いの手系やサビ歌わせ系の曲は意図的に外したんだろうと思いました。
 サウンドプロデューサー萩田光雄が集めてきたバックバンドは、皆さん70代のベテランを超えたレジェンドのスタジオミュージシャンばかりで安定感は抜群。MCでは「サンタのおじいさんたち」と茶化されてましたが。1万円のチケットはちょっと高めではありましたが、たいへん贅沢なコンサートでした。


2017.05.10 コットンクラブ (東京)
PETER ERSKINE NEW TRIO + 1
Peter Erskine (ds), Vardan Ovsepian (p), Damian Erskine (b), Aaron Serfaty (per)

 そんなにたくさん聴いてきたわけじゃないけど、ピーター・アースキンのドラミングスタイルは、何を聴いても引き出しの多さに圧倒され、とても真似したり目指したりする気にならないので、正直好みではありませんでした。従って生で見る機会も今までなかったのですが、12月の読響演奏会でドラム協奏曲のソリストとして出演することが判明し、これは是非見に行かねばと楽しみにしていたところ、それに先立ってジャズトリオでの来日もあるということで、もう今年はピーター・アースキン・イヤーで行くしかないと、前哨戦として聴いてみました。
 ステージ上のドラムセットは、シズルシンバルやペダル付きのカバサがちょっと目を引きますが、あとはワンタム、ツーフロアのいたってオーソドックスなジャズドラムセット。その横のパーカッションも、コンガ、ボンゴ、あと小物という感じで、スパイラルシンバルが珍しいくらい。さてトリオはドラム、ピアノ、エレキベースという構成で、今回はプラスワンとしてパーカッションが加わります。まあでも、パーカスは正直なくても困らない程度の存在感でした。甥っ子のベースを初め、ピーター以外は皆息子というよりむしろ孫に近いような若手を集め、「アースキン翁の音楽道場」といった趣きの朗らかさが漂っていました。若い3人はピーターを頼り切っている感じのバンドで、スリリングさはあまりなかったのが不満ですが、その中でもピアノは自身の作曲では時々エキセントリックな独特の曲調を覗かせて、良い味を出していました。
 さて肝心のピーター・アースキンのドラムは、小技系かと思いきや、意外とラウド系。シンプルに粒のそろったビートを安定したタイム感で叩き出す、オーソドックスな正にお手本ドラム。バラードを含めリズミカルな曲ばかりで、16以外のありとあらゆるリズムのサンプルを聴かされた気分で、そのどれもが基本に忠実でありながら、やっぱり引き出しの多さは別格。ハメを外すことはなかったですが、リムショットしながら肘でスネアのヘッドを押してチューニングをグリッサンド気味に下げるというよくわからない裏技を披露する茶目っ気もあり。あらためて、凄い人でした。アコースティックなドラムの醍醐味を十二分に堪能させてもらいました。
(後で調べたら、ピーター・アースキン62歳、ヴァルダン・オヴセピアン41歳で、孫というほどの年齢差はないんですね、すんません…)


2014.03.26 コットンクラブ (東京)
Pat Martino Trio
Pat Martino (g), Pat Bianchi (Hammond B3), Carmen Intorre (ds)

 広告を見て、パット・マルティーノが生で聴けるとは、行こうかどうしようか、と迷っているときに、コットンクラブからメルマガ会員特典として1名分のチャージで3名まで入場できます、という追い風メール。この機会に娘をジャズクラブデビューさせてやろうということで、家族揃って行ってまいりました。
 私はジャズキチでは全くないし、パット・マルティーノもデビュー作の「El Hombre」は多少聴き込んだ、程度のえせファンですので、最初の感想は「おー、パット・マルティーノ、動いてるよ、まだ生きてるよ」などというミーハーかつ失礼なものですいません。大病を患ったため長いブランクがあり、今年70歳なので見た目はすっかりおじいちゃんになってしまっているのですが、デビュー時の22歳とスタイルは基本的に変わっていないのが凄いです。カッティングのアタックは鋭く音圧があり、マルティーノ節の速弾きも健在。一方で即興にはだいぶ波があると感じました。サポートメンバーは、近年レギュラーでトリオを組んでいる人々のようです。ドラムは上手いんですがリズムがもっさりとしていて、好みではありませんでした。オルガンは多分「影のバンマス」で、常にメンバーに目線を送り、演奏しながらPAに指示を出し、の活躍でした。ただし演奏自体は控え目なもので、せっかくのベース抜きオルガントリオなら、「El Hombre」のようにド派手なオルガンサウンドをかまして欲しかったと勝手な妄想。
 さて肝心の娘のジャズクラブデビュー、けっこう気に入ったようで「オペラより全然いい」とかぬかしおって、この贅沢モノめ。


2013.11.20 コットンクラブ (東京)
古内東子 -秘密の調べ-
古内東子 (vocal, piano), 草間信一 (keyboard)

 丸の内のコットン・クラブで古内東子のライブがあるというチラシをたまたま見つけ、こんな近場でやってるなら是非見たいものだと、ふらっと行ってみました。古内東子は小松秀行がプロデュースをしていた全盛期のころまではよく聴いていましたが、1998年だから、もう全盛期ならぬ前世紀の話なんですねえ…。
 古内東子と中原めいこと松任谷由実にはいろいろと語り尽くせない思い出がまとわりついていて、客観的な評価はなかなかできないのですが、古内東子についてはずっと思っているのが、オーラが全く感じられないこと。デビューのころのビジュアルは拗ねた女子大生風だし、売れたころも、そのへんにいつも歩いていそうなOL風の域を出ない。決して美人とは言えないし、歌が飛び抜けて上手いわけでもない(個性的ではありますが)。ひとえに楽曲の良さで売れてきた人でしょう。前世紀末に恋愛教祖としてブレークしたのは、本人のカリスマ性のなさがかえって好まれたのかとも思っています。
 コットンクラブは初めて来ましたが、2005年開業だから日本にいなかったので、知らなくてあたり前か。ブルーノート東京より一回り小さい、アダルトな雰囲気の洒落た箱です。こんな空間が、こんな近くにあったとは。早めに行ったので運良くかぶりつきのテーブルに座れました。念のため持ってきたオペラグラスを使うまでもなくよく見えましたが、そういえばジャズクラブでオペラグラスを使ってる人は、見たことないな…。
 公式HPなんかで見る最近のプロモ写真が昔とずいぶん違うので(笑)、もしやお顔がすっかり「変身」してしまったのかと思っていましたら、登場した古内東子はかつての人がそのまま普通に年を召したような、全くの想定内だったので安心しました。相変わらず、オーラはない。昼間は丸の内でOLやってます、と言っても違和感ありません。ステージは、ピアノ弾き語りにキーボードのサポートを付けた、1時間強のこじんまりとしたものでした。アンコールの「ピーチ・メルバ」を除き、バラード中心のまったりとした構成。長い間追っかけてなかったので半分くらい知らない曲でしたが、私のカラオケレパートリーである「逢いたいから」や「うそつき」をモノホンで聴けたのは感動しました。カバー曲コーナーでは、ちょうど来日中のポール・マッカートニー「My Love」なんかも歌っていました。最近はこういう弾き語りのスタイルが多いそうですが、古内東子と言えば血の通ったソウルフルなバンドサウンドも聴きたいもの。今年2月にブルーノート東京でやったデビュー20周年記念ライブでは佐野康夫がドラムを叩いていたようで、帰国前だったから無い物ねだりとは言え、これは見たかったです。ということで、次にフルバンドでやるのはいつの日かと、公式ページのNEWSを追いかける毎日なのでした。


2012.10.28 Royal Albert Hall (London)
Level 42
Mark King (bass, vocal), Mike Lindup (keyboards, vocal)
Nathan King (guitar), Sean Freeman (saxophone), Pete Ray Biggin (drums)

  1. Lessons In Love
  2. Children Say
  3. Running In The Family
  4. It's Over
  5. To Be With You Again
  6. Two Solitudes
  7. Fashion Fever
  8. The Sleepwalkers
  9. Freedom Someday
  10. ---
  11. All I Need
  12. Out of Sight Out of Mind
  13. Guaranteed
  14. ---
  15. Heathrow
  16. The Sun Goes Down (Living It Up)
  17. Starchild
  18. Something About You
  19. Hot Water
  20. ---
  21. Love Games (Bass solo introduction)
  22. Heaven in My Hands

 レヴェル42は80年代にヒット曲を飛ばした、ジャズ・ロックの走りのようなバンドですが、中心メンバーだったマーク・キングとマイク・リンダップ以外はサポートメンバーで、今でも元気にライブ活動を続けております。去年、一昨年は日本にも行っているはず。
 7時半開演でしたが、まずは前座でアコースティックギターをかき鳴らす元気のいいロックンロールおねえちゃんで出てきて数曲歌い、少し休憩を挟んで真打ち登場かと思いきや、もう一人のヘッドライナーは、これまたアコースティックギターを抱えたフォークソングのおにいちゃん。5〜6曲歌ってました。その後セットアップでまた時間が開いて、結局本チャンが始まったのはほとんど9時。前座は別に悪くはなかったけど、それを見に来たわけではないので、長過ぎです。
 レヴェル42の生ライブを見るのは実は初めて。名物ベースのマーク・キングは、見た目はすっかり老けたオジサンですが、体力はまだまだ衰えていなさそうで、ぴょんぴょん飛び跳ね、声もしっかり出ていました。ベースを構える高さが低くなった(というより普通になった)かな。サポートメンバーは、オリジナルではないとは言え、ギターのネーザン・キング(マークの弟)、サックスのシーン・フリーマンはもう10年以上一緒にやってる人たちです。ドラムだけ比較的新しく、2010年から。みんなそれなりに老けているので、みんなオリジナルメンバーかと思ってしまったのは内緒です。
 それにしても音がでかかった。こないだのクイーン+アダム・ランバートよりも大音量で、耳がジンジンしました。会場のロイヤル・アルバート・ホールは日本武道館を一回り小さくしたような会場ですが、音響は武道館よりもむしろ東京ドームに近く、特に今日の席は上のほうのサークルだったので、音がぐわんぐわんと回ってとんでもないことになってました。従って、音楽にじっくり耳を傾けるという環境ではなかったことを最初に宣言しておきます。スタジアムならともかく、何故レヴェル42でここまで音を大きくしないといけないのか。一方で、今はツアーが主な活動みたいなので、照明効果はよくこなれていました。バックに縦長3枚のスクリーンを置き、各種効果映像に混じって時折ヒット曲の当時のビデオクリップを流していましたが、30年近く前の自分らの姿とステージ上で生で対峙するというのは、相当に勇気の要ることではないかと。特にマークは、全然別人と言っていいかもしれない。
 見たところ客の年齢層は高く、若い人はほとんど見ませんでした。最後のほうでSun Goes Down、Something About You、Hot Waterといったヒット曲が連発すると、オジサンオバサン踊りまくり。ディスコ世代なんですねえ。などと思いながらサークル席前列に座って下界を見下ろしておりました。ふと周りの客席を見渡すと、ベースのスラッピングを真似ている人の何と多いことか(笑)。ほとんどの人はマークのベースを見に来ているのですから、気持ちは分かります。何にせよ彼のベース弾き語りはまだまだ健在であることを確認できただけでも収穫でした。あと5〜6年は大丈夫でしょうけど、次はマークのソロプロジェクトをRonnie Scott'sあたりでじっくり聴くのが正解な気がします。


2012.07.14 HMV Hammersmith Apollo (London)
Queen + Adam Lambert
Brian May (G, Vo), Roger Talor (Ds, Vo), Adam Lambert (Vo)
Spike Edney (Key, Musical Director), Neil Fairclough (B), Rufus Taylor (Ds, Perc)

Hammersmith, 14th July: Set List

  1. Flash (intro)
  2. Seven Seas Of Rhye
  3. Keep Yourself Alive
  4. We Will Rock You (Fast ver.)
  5. Fat Bottomed Girls
  6. Don’t Stop Me Now
  7. Under Pressure (Roger/Adam duet)
  8. I Want It All
  9. Somebody To Love
  10. Who Wants To Live Forever
  11. A Kind Of Magic (Roger vo.)
  12. These Are Days Of Our Lives (Roger vo.)
  13. You're My Best Friend (part) (Brian vo.)
  14. Love Of My Life (Brian vo.)
  15. '39 (Brian vo.)
  16. Dragon Attack
  17. Bass Solo
  18. Drum Battle
  19. Guitar Solo
  20. I Want To Break Free
  21. Another One Bites The Dust
  22. Radio Ga Ga
  23. Crazy Little Thing Called Love
  24. The Show Must Go On
  25. Bohemian Rhapsody
  26. ---
  27. Tie Your Mother Down (Brian vo.)
  28. We Will Rock You
  29. We Are The Champions
  30. God Save The Queen

 クイーン+アダム・ランバートの最終日。初日をすでに見ていますし、昼に「ポーギーとベス」を見た後、ほとんどその足でライブを見に行くのはけっこうキツイと思ったのですが、まあせっかくチケットを買ったので老体に鞭打ってがんばってみました。
 初日が25分くらい待たせたのに対し、今日は15分遅れで始まりました。DVDのためのビデオ撮りがあるとの噂があり、また初日・二日目の様子はすでにたくさんYouTubeやブログにアップされていたので追加公演である最終日のチケットホルダーはもう十分に期待を煽られていて、会場の熱気は相当なものでした。
 ショーの構成はほぼ同じなので意外性はありませんでしたが、初日で時々気になったハウリングが今日はなく、初日と比べてバンドの音がずいぶんと固まっていました。今日のロジャーは黒いシャツをダラリと出して、ポッコリお腹が目立たないようにしていました。ブライアンは初日より相当調子が良さそうで、張り切りすぎて最後のTie Your Mother Downで弦を切ってました。アダム君も調子はさらに上がっていましたが、相変わらず動きは大人しい。ブライアンはもう65歳なんだから、その分も君がもっと走りなさい!
 毎回ほぼ同じのセットリストの中で、ブライアンのアコースティックコーナー冒頭は毎回違う曲を一部分だけ弾き語ります。初日はThe Show Must Go On、二日目はSomebody To Loveでしたが、今日は意外なところでYou're My Best Friend。初日ではやらなかった本チャンのThe Show Must Go Onは、今日はラス前にちゃんと仰々しくやってくれました。これがここまで歌えるのだから、アダムは確かに良いシンガーです。
 さて今回のクイーン+アダム・ランバート、今後ツアーを西ヨーロッパ、アメリカ、アジアまで拡大していくのかどうかは知りませんが、クイーンファンにオススメできるかどうかは、ちょっと微妙。クイーンのライブを追体験するんだ、という風に割り切れば十分楽しめるものでしょう。でも、一気に老いてしまったブライアンとロジャーを見るのは辛いと感じる人も多いかも。


2012.07.11 HMV Hammersmith Apollo (London)
Queen + Adam Lambert
Brian May (G, Vo), Roger Talor (Ds, Vo), Adam Lambert (Vo)
Spike Edney (Key, Musical Director), Neil Fairclough (B), Rufus Taylor (Ds, Perc)

Hammersmith, 11th July: Set List

  1. Flash (intro)
  2. Seven Seas Of Rhye
  3. Keep Yourself Alive
  4. We Will Rock You (Fast ver.)
  5. Fat Bottomed Girls
  6. Don’t Stop Me Now
  7. Under Pressure (Roger/Adam duet)
  8. I Want It All
  9. Who Wants To Live Forever
  10. A Kind Of Magic (Roger vo.)
  11. These Are Days Of Our Lives (Roger vo.)
  12. The Show Must Go On (part) (Brian vo.)
  13. Love Of My Life (Brian vo.)
  14. '39 (Brian vo.)
  15. Dragon Attack
  16. Bass Solo
  17. Drum Battle
  18. Guitar Solo
  19. I Want To Break Free
  20. Another One Bites The Dust
  21. Radio Ga Ga
  22. Somebody To Love
  23. Crazy Little Thing Called Love
  24. Bohemian Rhapsody
  25. ---
  26. Tie Your Mother Down (Brian vo.)
  27. We Will Rock You
  28. We Are The Champions
  29. God Save The Queen

 このライブ、元々はクイーンのバンド結成40周年を記念してネブワースのロックフェスSonisphereにヘッドライナーとして出演する予定が、ロックフェス自体が開催中止になり、では単独でやろうという、クイーンファンにとってはむしろ願ってもない「瓢箪から駒」の話になったようです。ポール・ロジャースとの衝撃的なツアーから早7年、今回は米国のオーディション番組「American Idol」出身でTVではすでに共演している若手シンガー、アダム・ランバートをボーカルに迎えて、キエフ、モスクワ、ヴロツワフ(ポーランド)にロンドン2日間(後で追加公演が1日プラス)というミニツアーに結局落ち着きました。ロンドンの会場は初期のころ数々のライブをこなしてきたハマースミス・アポロ(当時の名称はオデオン)。まさかハマースミス・オデオンに生クイーンを見に行くなんてことが今更自分の身に起ころうとは、これっぽっちも想像しませんでした。
 当然ながらロンドンの3日間とも即日完売のプラチナチケットで、後日出たリターンを何とか運良くゲットできたのですが、もう若くはないのでオールスタンディングのストールではなく、上階サークル後方の着席にしました。普通ならクイーンはスタジアム級の箱でしかパフォーマンスしないバンドであることを思えば、肉眼で見えるのだから近いものです。周りを見渡すと、年齢層の高いこと高いこと。どう見ても60歳は超えてそうな人もたくさんいました。
 アダム・ランバートは派手な衣装を何度も着替えながら、でも足は裸足で熱唱。ポール・ロジャースがAll Right Now等自分の持ち歌もいくつか入れて来たのと対象的にアダムは潔く全てクイーンナンバーで通しました。歌はそれなりにしっかり歌えていたのが驚きですが、やっぱり多少の気後れがあるのか、あるいは歌に集中するあまりか、仁王立ちでマイクを持つ場面が多く、パフォーマー、エンターテイナーとしての「格」は、ポール・ロジャースやジョージ・マイケルとは(もちろんフレディとも)比較するのが気の毒です。また、ポールがフレディのコピーをやる気などこれっぽっちもなく、見事に自分の歌として消化していたのに比べ、やっぱりアダムはフレディの節回しに引きずられている歌い方になっていて(まあ、しょうがないですけどね)、もっと吹っ切れたほうが結局は良いのになあ、と思ってしまいました。
 ブライアン・メイ、ロジャー・テイラーともにもうすぐ誕生日で、各々65歳、63歳になるんですなあ。二人ともすっかり白髪で老人顔になり、ロジャーなどは昔のキュートボーイは見る影もなく、お腹ポッコリの好々爺、という感じです。7年前はさすがにここまで老け込んではいなかったと思います。いつものごとく二人とも自分の持ち歌でメインボーカルを取りますが、声が出てなかったです。ブライアンのギターは(もちろん若いころほどの勢いはないものの)まだ往年のプレイを維持していましたが、ロジャーのドラムは手が回っておらず、息子のルーファス君が単なるパーカッションの色添え以上に父親のドラミングをサポートしていたおかげで何とか最後までもった、という感じでした。死ぬまで元気バリバリだと思っていたこの人達にも老いはやってくるんだなあと、ちょっと淋しくなりました。誤解を恐れず正直な感想を言うと、こないだ見たミュージカル「We Will Rock You」のほうが、バンド演奏という意味では数段上だったかなーと。でも、何だかんだ言っても、生きて動いている本物のブライアンとロジャーをまた見れたというだけで、わざわざ足を運んだ値打ちはあったし、ステージングは素直に楽しめるものでした。最後のほうは火は噴くわ、花火は上がるわで、オデオンの狭いステージがたいへんなことになっていました。
 ところでちょっと不快に思ったのは、演奏中のほとんど最初から最後まで、写真やビデオを撮ってる人の何と多いこと。スマホの性能が上がったからそういうこともできるようになったわけで、昔だったら考えられないことですよね。私も少しだけですがこっそり写真は撮ったので人のこと言えませんが、周りのことなどお構いなしにスマホを高く掲げてずっと録画している輩は、はっきり言って邪魔以外の何物でもない。お前はいったい何しに来たんじゃと。


2012.04.28 Dominion Theatre (London)
We Will Rock You - The Musical by Queen and Ben Elton
Noel Sullivan (Galileo Figaro), Emma Hatton (Scaramouche)
Brenda Edwards (Killer Queen), Alasdair HarveyKhashoggi)
Wayne Robinson (Brit), Rachel John (Meat)
David Gwyn (Rebel Leader), Dean Read (Pop)

 今年10周年の人気ミュージカル。クイーンファンのはしくれとして、一度は見とかなくてはとずっと思いつつもなかなかチャンスがなく(時間がなかったというよりは、オケ、オペラ、バレエへの投資を優先していたからなんですが)、ようやく見に行けました。
 会場はトテナム・コートロード駅を出て目の前のドミニオン・シアター。エントランスの上に巨大なフレディ像があるので非常に目立ちます。中に入ると結構古くさい劇場。コリーシアムよりもさらにくたびれてる感じです。席はストールの後方(WW列)だったのですが、上階席の天井が思いっきりかぶさっていて圧迫感があり、舞台の上のほうは一部見えないものの、鑑賞に支障があるほどのものではありません。実はチケットを取る際、ロンドンに来たてのころホールの席選びで大いに勉強になったTheatremonkey.comのコメントを今回も参考にさせてもらいました。そこにもあるように、このクラスのチケットでは一つ前のVV列のほうがベターでしょう。というのは、何故だかわかりませんがVV列のさらに前の3列分くらい、一人も座らずごそっと空いていて視界良好だったからです。多分高いチケットの最後尾なので売れないんでしょう。
 ミュージカルは当然クイーンの楽曲のみで構成されていて、休憩含めて3時間くらいと、結構長いです(でもオペラを思うと普通か)。あらすじは、

 遠い未来、キラー・クイーン率いる巨大企業グローバル・ソフトに支配された地球で、ボヘミアンと名乗る反乱分子が地下活動(アジトは廃墟となったトテナム・コートロード地下鉄駅)を続けている最中、少年ガリレオと少女スカラムーシュが出会い、ボヘミアン達と共に伝説のロックバンド・クイーンが残した楽器を探す。ついに見つけた伝説の地で石の中から出現したブライアン・メイ・スペシャルモデルのギターを弾くとキラー・クイーンは倒れ、人々に自由が訪れた、めでたしめでたし、「伝説のチャンピオン」大合唱。ボヘミアン・ラプソディも聴きたいかい?

という、まあたわいもないもの。曲のセットリストは以下の通りです。

Act I:

  1. Innuendo
  2. Radio Ga Ga
  3. I Want to Break Free
  4. Somebody to Love
  5. Killer Queen
  6. Play the Game
  7. Death on Two Legs (instrumental)
  8. Under Pressure
  9. A Kind of Magic
  10. I Want It All
  11. Headlong
  12. No-One but You
  13. Crazy Little Thing Called Love
  14. Ogre Battle (instrumental)
Act II:
  1. One Vision
  2. Who Wants to Live Forever
  3. Flash
  4. Seven Seas of Rhye
  5. Fat Bottomed Girls
  6. Don't Stop Me Now
  7. Another One Bites the Dust
  8. Hammer to Fall
  9. These Are the Days of Our Lives
  10. Bicycle Race
  11. Headlong (reprise)
  12. Brighton Rock solo (instrumental)
  13. Tie Your Mother Down (instrumental)
  14. We Will Rock You
  15. We Are the Champions
Encore:
  1. We Will Rock You (fast version)
  2. Bohemian Rhapsody

 ぱっと見、後期の曲に偏ってるかも、と思ったのですが(まあどこからが「後期」かという議論はあるものの)、実際に初出のアルバムごとに集計すると以下のようなところでした(2回出てくるHeadlongは1回として数えてます)。

2 Queen II (1974)
2 Sheer Heart Attack (1974)
2 A Night at the Opera (1975)
2 A Day at the Races (1976)
2 News of the World (1977)
3 Jazz (1978)
1 Live Killers (1979)
3 The Game (1980)
1 Flash Gordon (1980)
1 Greatest Hits (1981) or Hot Space (1982)
3 The Works (1984)
3 A Kind of Magic (1986)
1 The Miracle (1989)
3 Innuendo (1991)
1 *Single (1997) or Greatest Hits III (1999)

 これを見ると、一つのアルバムからの選曲は最大3曲に止め、ほぼ全てのアルバムから選出して、どの世代のファンからも支持されたい(逆に言うとソッポを向かれる世代がないように)という全方位的な気配り、別の言い方をするとよく練られたマーケティング戦略が感じられます。ただ、ファーストの「Queen」と、ある意味ラストの「Made in Heaven」からの選曲が1つもないのは残念で、どうせなら"Keep Yourself Alive"とか"I was born to love you"も押し込んで欲しかった、とは思います。
 ロックミュージカルなので音量はロックコンサートと同じと思ってください。普段クラシックのみを聴き慣れた耳になっている人には、音が大き過ぎて絶えられないかもしれません。ミュージシャンは、よく見えなかったのですが舞台左右の櫓の上で分かれて演奏していました。クイーンの楽曲がほぼ原曲そのまんまのアレンジで、ギターソロ含めクイーンサウンドを涙ぐましいくらい忠実に再現しているのが嬉しかったですが、これも当然ファンの涙をしぼる戦略なんでしょう。後であらためてパンフに書いてあったバンドメンバーを見てみると、キーボードにSpike Edney、ベースにNeil Murrayの名前が。何と!モノホンじゃないですか。スパイクは長年ツアーのサポートをやっててほとんどクイーンの準メンバーですし、大御所ニールもブライアン・メイ・バンドでクイーンの曲は相当演奏しています。この日の公演にその人達が実際ピットに入っていたかは確認できませんでしたが(彼らもそんなにヒマじゃない気がする)、このミュージカルがバックバンドの充実を重要視している姿勢はたいへんよくわかりました。
 歌手は、もちろんフレディと比較してどうのこうのいうのは野暮として、皆さんさすがにちゃんと「歌える」人が揃ってました。そりゃそうだわな、でないとクイーンの楽曲でミュージカルを構成するというアイデア自体が成り立たないもの。中でもKiller Queen役の人は恰幅の良い黒人女性でしたが、腰の据わった声とコミカルな演技が特筆ものでした。出番が少ないわりに美味しい場面ばかりなのも、おトクな役柄だったでしょう。
 クイーン好きなら、まあ一度はご覧になっといて損はないミュージカルです。私も、また見てみたいと思いました。もちろん、本当は本家のクイーンのライブを見れたらなあ、という無い物ねだりなんですけどね…。ところでいつもオペラ座や演奏会に頻繁に連れて行ってるうちの娘も、このミュージカルはたいへん気に入ってしまって、「次から私はミュージカルがいい、オペラとかコンサートはもうヤダ」などと抜かしておるので、両親ピンチ、です…。


2010.11.15 Queen Elizabeth Hall (London)
John Scofield Trio / John Scofield (G), Steve Swallow (B), Bill Stewart (Ds)
Scottish National Jazz Orchestra

 Southbank CentreのWebサイトをつらつら見ていてふと発見したので(普段はオーケストラの情報ばかり見てるのでLondon Jazz Festivalのほうは気付きませんでした)、当日飛び込みで聴きに行ってみました。ジャズは普段あまり聴かないのですが、ジョンスコの「Electric Outlet」から「Pick Hits Live」くらいまでのアルバムは、当時組んでいたバンドでいくつかコピーをしていたこともあり、よく聴いていました。もう20年以上も前になるんですなあ…(遠い目)。
 本日は、前半がジョンスコ・トリオ、休憩を挟んで後半がSNJO featuring John Scofieldという2部構成でした。実は生では初めて見るジョンスコは、来月で59歳。髭も、残り少ない髪もすっかり白くなって、もはやおじいちゃんの風貌です。ベースのスティーヴ・スワローはさらに上を行く70歳、若いドラムのビル・スチュワートにしてすでに44歳の超ベテラン熟年トリオですが、プレイは衰え知らずのアグレッシブで、特にハイテンションなギターは全く健在でした。この20年全く追いかけていなかったので知らない曲ばかりでしたが、曲はスインギーでブルージーな色合いがいっそう濃くなって、変態的なリズムやコード進行は鳴りを潜めていました。ビル・スチュワートの音は軽すぎてあまり好みではなかったのですが、手数系でポリリズムを多用した密度の濃いドラミングは、さすがです。
 ジョンスコがゲストソリストで出演した後半は、あくまでビッグバンドが主役でしたので、打って変わってリラックスしたプレイでのびのびといっそうブルージーに弾いていました。マイルス時代のジョンスコの曲が中心だったらしいですが、その時代はあまり聴いていないので、「あー、これね」とわかる曲はありませんでした。SNJOはトランペットとテナーサックスのソロが非常に上手かった他は、特段粒ぞろいという感じはなく、ブラスがちょっとキンキン響き過ぎで聴いてて疲れました。ドラムは何かもっさりしていて、前半のスチュワートと比較されたら本人もたまらんでしょうが、並べるとやはり見劣りはしてしまうので、損しましたね。
 隣りのおじちゃんは後半のほうがノッていましたが、私はトリオのほうがスリリングで面白かったかな。いずれにせよジョンスコのプレイは見かけより全然若かったので、思い立って聴きに行って本当に良かったです。


2009.09.16 The Underground (London)
The Michael Schenker Group
Michael Schenker (G), Gary Barden (Vo), Chris Glen (B), Wayne Findlay (G, Key), Pete Holmes (Ds)

 たまたま同時期にロンドンに赴任しているバンド仲間に誘われて、Camden TownのUnderworldに行ってきました。MSGは我々の世代でバンドをやってる人ならたいがいは通った道ですが、実は初の生Michael。メンバーも往年のGary BardenとChris Glenが参加とのことで、これでドラムがCozy Powellならまさに全盛期のラインアップそのもの!
 Underworldはキャパ500人くらいの結構名の通ったライブハウスですが、普段は200人集まれば上出来とのことで、現在のMSGでは果たしてどうなるかとハラハラ思っていたら、そこは「腐っても神」、めでたく完売御礼でした。会場は身動きが取れないくらい人人人で、しかもみんな身体がごついので、残念ながらMichaelはあまりよく見えませんでした。客層は見事にアングロサクソンのおっさんおばはんばかりで、若者はほとんどおりません。
 演奏の方はちょっと「神」にはほど遠い感じでした。Garyは年を取ってますます声が出てませんし、ドラムの若造はプロとしてはちょっとどうかというレベル。全体的にバランスが悪くMichaelの音があまり全面に出てきません。リズムが悪いのでキレもよくありません。それでも、Armed & Ready、Cry For The Nations、Into The Arena、Rock Bottomなどといった往年の名曲は一通り聴け、客もGaryを補うべくよく歌ったので、まあ盛り上がったライブでした。
 それにしてもチケットは15ポンド也。MSGがこの値段で見れるとは、感慨深いものがあります。


2009.08.31 Wembley Arena (London)
Walking With Dinosaurs - The Arena Spectacular

 有名なBBCのドキュメンタリー番組をベースに企画された、ヨーロッパ各地のアリーナを巡回しているイベントです。今日がイギリスでの最終日で、このあと来年までかけてヨーロッパ各国を回ります。今日イギリスは休日で、しかも夏休み最終日なので、会場は子連れファミリーでぎっしりでした。
 イギリスは「テレタビーズ」(BBC制作のたいへんユルい子供番組)の国なので、めちゃめちゃショボいシロモノじゃないだろうかという不安も若干ありましたが、けっこう大音響ビビらし系の迫力のあるパフォーマンスで、恐竜大好きの娘も大喜びだったので一安心。恐竜は動きも含めてなかなかリアルでよくできていて、実物大の動く恐竜を体感できる機会というのもそうそうないので、まあ、安くはないチケット代分だけのことはあったかな、という感じです。


2006.04.06 Lyceum Theatre (London)
The Lion King

 ミュージカルを見に行くのは実は初めてでした(大昔に宝塚歌劇は見たかも)。娘が大好きなのでディズニーのアニメ映画版はもう飽きるくらい見ているのですが,基本的には全く同じと言えますが,歌と踊りが増えている分尺が長くなっていて,ワタシ的にはちょっと長すぎかなあ。後半は半分くらいウトウトしてました。登場するのは全て動物なのでそれをどうミュージカルの「役」にするかにまず興味がありましたが,ハリボテ,影絵,小道具にいろいろとアイデアを凝らした斬新なステージで,その点は非常に感銘を受けました。特にハイエナは素晴らしい。それにしても出演者は毎日毎日同じ演目を何年にも渡ってこなしているのですよね?恐れ入ります。


2005.08.17 Millenaris Park, Fogado (Budapest)
Hida Jimbo

 ヒダノ修一と神保彰の和洋混合ドラムユニット「ヒダじんぼ」が東欧ツアーの皮切りにブダペストで2公演行いました。ここハンガリーでは何故か和太鼓の人気が非常に高く,この公演もほとんどがハンガリー人観衆で会場は超満員になりました。和太鼓とドラムだけで果たして間が持つのかと心配でしたが,90分間全く飽きるところがなく楽しめました。和太鼓は色彩感があまりない代わりに腹にズンと来る低音が聴衆をじわじわと引き込んで行きます。最近の神保彰はトリガーシステムを駆使した「一人オーケストラ」をスタイルとしているようで,このユニットではそのおかげでより広い客層にアピールするエンターテイメントとして成立しているのだと思いましたが,カシオペア「サンダー・ライブ」の頃からの神保ファンとしては,彼の比類なきタイム感やメロディーメイカーとしてのセンスがあまり活かされないなあと,多少物足りなく感じました。まあそれでも,相変わらずアイデアに溢れた面白いおかずを叩いていたし,彼のプレイは十分堪能できました。


2005.07.14 Palace of Arts, Festival Theatre (Budapest)
Balogh Kalman & Gipsy Cimbalom Band
Bratsch

 Balogh Kalmanはメタリックな音色のツィンバロンでバンドをぐいぐいと牽引します。スピーディーでノリの良い曲が多く,途中コミカルな演出も交えながら最後まで飽きさせません。芸達者な人たちです。時間が押しているにもかかわらずアンコールの拍手はなかなか鳴り止みませんでした。
 一方のBratschはフランスのジプシーバンド。ジプシー音楽の暗い側面を強調し,短調の曲ばかりを淡々と演奏するのでどんどん気が滅入ってきます。非常にシリアスで,アドリブ含めたその高い演奏技術はむしろ前のバンドより上かもしれませんが,何かが決定的に足りない気がするのは,やはり彼らがロマ出身ではないことから来ているのでしょうか。


2005.04.23 Papp Laszlo Sportarena (Budapest)
Queen + Paul Rodgers
Paul Rodgers (Vo, G), Brian May (G, Vo), Roger Taylor (Ds, Vo),
Spike Edney (Key, Vo), Jamie Moses (G, Vo), Danny Miranda (B, Vo)

Set List:

  1. Reaching Out
  2. Tie Your Mother Down
  3. I Want To Break Free
  4. Fat Bottomed Girls
  5. Crazy Little Thing Called Love
  6. Say Its Not True
  7. Long Away
  8. Love Of My Life
  9. Hammer To Fall
  10. Feel Like Making Love
  11. Drums Solo
  12. I’m In Love With My Car
  13. Guitar Solo
  14. Last Horizon
  15. These Are The Days Of Our Lives
  16. Radio Ga Ga
  17. Can’t Get Enough
  18. A Kind Of Magic
  19. I Want It All
  20. Bohemian Rhapsody
  21. ---
  22. The Show Must Go On
  23. All Right Now
  24. We Will Rock You
  25. We Are The Champions
  26. God Save The Queen

 8時開始予定が実際にPaulが出てきたのは40分すぎでずいぶん待たせました。客入りはSold Outとはいかず,最終的に9割くらいでした。日本円で約7800円のチケットはこちらの人にとってまだまだ高価で,グッズショップでは英語で買い物している人がたくさんいたので,外国人が主な購買層だったのかもしれません。年齢層は60代とおぼしき老夫婦から10代までまんべんなく広がっていました。私ぐらいの世代だと子連れで来ている人も多数見かけました。
 Paul Rodgersは衰えを感じさせない立派な歌いっぷりで,もちろんFreddieとは全くキャラクターは違いますが,それなりに消化して自分のパフォーマンスにしていました。これはこれで良いライブになっていたことから,あらためて楽曲の良さを再認識したというか。BrianはTie Your Mother Downで早速弦を切りギター交換,全般的にあまり調子はよくなさそうでした。Roger Taylorは絶好調のマイペース,These Are The Days Of OurLivesではドラムは打ち込みに任せてマイク握りながらの熱唱,バックで流れていた初来日時の映像(日本庭園でお茶会しているやつ)が涙を誘いました。
 今回の復活ツアー全体に対する感想ですが,Freddieはもちろんのこと,John Deaconも参加しておらず,それでもQueenを名乗ることに賛否両論はあるでしょうし,御大PaulRodgersといえどもFreddieと比較して物足りなく感じる人は多いだろうとは思いますが,例えば追悼コンサートのGeorge Michaelを評価できる人だったら見に行って損はないと思いました。私の場合はそれ以前に,長年のQueenファンとしては何にせよ「スルーする」という選択を取ることはできませんでしたが…。Queenの残映を求めてBrian MayBandを見に行くより100倍満足度が高いと思います。逆に,Bad CompanyやFreeがQueenよりもずっと好きな人にはあまりオススメできないかも。


2004.08.02 Millenaris Park, Teatrum (Budapest)
Chick Corea Electric Band
Chick Corea (P, Key), Dave Weckl (Ds), Frank Gambale (G),
Eric Marienthal (Sax), Ric Fierabracci (B)

 町中の広告ポスターにはJohn Patitucci (B)と書いてあったので往年のレギュラーメンバー勢揃いと思っていました。実は私は全盛期にライブを見に行く機会がなく,当時見に行ったバンド仲間の話から,もっとアクロバチックでいかにもフュージョンくさいライブを期待していたのですが,わりと普通のジャムセッションでした。Chick Coreaはずいぶんと横にでかくなって小林克也のような風貌,Frank Gambaleは昔とは全く別人の白髪ハゲ親父になっていましたが,Dave WecklとEric Marienthalはあまり大きな変化はなく若々しさを保っていました。特に,一度は生でみたいと思っていたDave Wecklのプレイをほぼかぶりつきの位置で見れたのがこの日の収穫でした。隙間があれば何か音を埋めないと気が済まない,せわしないプレイは相変わらずでしたが,どんなに手数を入れても憎らしいくらいにきっちりとタイムキープ,ハラハラさせるところがないのでかえって物足りなく思えてしまいます。それにしても,この日はオールスタンディングだったのですが,2時間立ちっぱなしはさすがにきつい年齢になりましたなー。


2004.07.06 Skanzen, Amfiteatrum (Szentendre)
Boban Markovic Orkestar

 出身国セルビアのみならず中欧全域で高い人気を誇るジプシースタイルの小編成ブラスバンド。会場はブダペスト郊外センテンドレの野外博物館にある野外ステージでした。前半は半円状の固定立ち位置に並んで淡々と演奏していましたが,休憩後の後半は「この方がいい」とばかりに全員で舞台の前まで出てきて横一列に並び,マイク無視の生音で勝負。実際こっちの方がだんぜん良く,客も大いにノリノリで盛り上がりました。ストリートパフォーマンスが彼らの原点なのだなと,妙に感心しました。最後には客席から子供を引っ張って舞台にのせ,一緒に列を作って演奏しながら退場。まさにプロのエンターテイナー達でした。


2003.03.18 Budapest Convention Centre (Budapest)
Tap Dogs

 オーストラリアのモダン・タップダンス・グループ。リストに入れてはみたものの,これは「演奏会」ではないなあ…。


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